2回目チート人生、まじですか

ゆめ

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動き出した影と光

村長

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「こんな辺境な地に足をお運び頂きありがとうございます。もてなすことが出来ず申し訳ございません…」

 頭を下げる長に俺は慌てる。

「いや…こちらこそ唐突に押しかけてすみません…それより聞いてもいいですか?」
「この地域の状況…ですね…」
「えぇ、私が知ってる範囲ですとここは緑に溢れとても素晴らしい街、と記憶してますが…」
「そう…ですね……そうだったのです…………ここ数年のうちに荒れ果ててしまいました…」
「何があったんですか?」
「………………分かりません…」
「分からない?」
「えぇ…まず雨が降らなくなったのが最初です。ですが乾期は今ではありませんしこんなにも雨が降らないことなど初めてです…それに加え」

 1度区切って長は顔をゆがめた。

「まったく作物が育たないのです」
「それは雨が降らないからという原因ではなく?」
「はい…ここでは水を必要としない作物の栽培も行っておりました。しかしそれすら育つことはありません………こんなことは記憶に残ってる限りでも初めてのことでして…どうしたらよいか…」
「……………………………………」

「……少し探索してもよろしいですか?」
「えぇ…勿論です…案内を…」
「や、大丈夫です…では失礼します」



 


「どーすんだ?団長」
「んーー…とりあえず様子を見なきゃな…」
「でもなぁ……雨が降らないに加え作物が育たないって………」
「ま、行くぞ」

まず、近くの畑に足を向ける。
かなり広大な土地だ。だが、そこに実っている食材は何も無い。僅かに草が生えている程度だ。ほとんど種のまま土の中に入ってるんだろう。

「団長?」
「………………………」

 俺は土の上に手を当て、軽く魔力を流す。正確には魔力をサークル上にして土の中を探る感覚だ。単純な魔力操作と感覚の行使なので詠唱など行わない。

「よし、じゃ、次だ」
「お、おい!何してんだ?」
「さっ、次はー」
「聞けよ…」

 そしてそのまま俺たちは街にある全ての畑に行った。
 最後の仕上げとして俺は街の中心地点に立ち目を閉じ口を開く。

「『枷非ずして尚進まん』」
「お、おい…」

 しばらくそのまま目を閉じている。
 そして数分後、目を開け、長の元へと歩みを進める。

「団長ーーーー説明なんもなしかよー」

 その時の俺はどうやら最高にぶちギレていたらしい。
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