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変化が日々起きている事を実感するのは難しい 2
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始業式はともかく休み明けに実力テストがあるこの学校では休み明けの気の抜けた空気はなくピリピリとしている。テストより宿題が終わらない!提出が間に合わない!と必死な声が響く光景の中、陸斗は同じクラスの葉山と過ごしていた。
葉山と言えば中学で怪我をしてテニスを辞めたとはいえ、中学からそのまま高校に上がった友人も多い人気者の一人だった。
その葉山がこのクラスの底辺に居ると言っても間違いのない陸斗と一緒に居る。休みが開けた途端の仲の良い友人となっていて楽しそうに話をする光景はかなり目を疑う光景となっていた。
葉山に声をかけたい女子達も陸斗の存在に少しためらいがちに遠巻きに眺め、仲の良かった友人達も挨拶はすれどそこまでなのは二人とも余裕ある顔でテスト勉強の確認をしているから。高校生のテスト当日に在るべき姿に誰もが遠巻きに眺める方が問題だと言う事に気づいているのはわずか何人か。
さらに言えばクラスの下から数えた方が早い順位の二人。むしろツートップを争う二人が勉強を教え合う光景程違和感はないだろう。むしろ違和感しかない。
だけど既に終えた夏休みの宿題をもとに問題の解き方を確認し合ってる光景の違和感に誰もが遠巻きにしているのは声のかけづらさだけでもないだろう。
テストとテストの合間には次のテストの確認をする。底辺校ではなかなか見かける事のない光景に誰となくテキストを開いて勉強を始めるも、そもそも肝心のテキストが埋まってないからやりようもない。声をかけたくてもかけにくい雰囲気の中で学校生活が始まり、そんな長い一日を終えれば葉山と一緒に教室を出た陸斗の所に下田もやって来た。
下田は幼稚園の頃から当時住んでいた所で有名なクラブでサッカーをやって来たがこちらに引っ越ししたと同時にクラブを辞めてしまった。さすがに移動距離数十キロは中学生でも遠すぎたのだ。引っ越した先の弱小サッカー部で有名なこの高校のサッカー部に移籍問題もあり入る事はせずに帰宅部を選んで小さい頃から続けてきたサッカーを完全に辞めた事に両親は落胆していた事には申し訳なく思うも、既に芽が出ている奴らにはとっくに声がかかっている。幼稚園から一緒にやって来た仲間はそちらに誘われて寄宿舎付きの学校に旅立ってしまったのに自分には一つも声がかからなかった。見切るのは早いとクラブのコーチにも言われたが、折れた心のモチベーションの上げ方が分らず、そこで断念した事こそ誘われなかった理由の一つだと今は思う事にしている。
とは言え葉山同様夢中になれる事に夢中になって勉強をおろそかにした結果のお粗末さは高校の初めてのテストで痛感し、学期末のテストで認めるしかない状況に捨てたテストの結果を見つけ出した両親の努力に俺は再び両親を落胆させていた事を改めて悔しく思うのだった。でも基本ができていないので勉強をしようにも分からず、勉強の仕方もわからない。途方に暮れながらただ時間を過ごすそんな中、強制的にどこかの部活に入れと言われて入れられた理科部では頭を殴られるような衝撃が待ち受けていた。
昭和以前の過去にタイムスリップした環境に俺は捨てられるのかと思うもそこに居た一人の痛々しい姿を見て葉山と一緒に酷く戸惑うのだった。
バカ騒ぎして酷く賑やかな三年生と、それを追従する二年生。話はした事はないけど隣のクラスなので知ってはいる葉山と言う面子で唯一なんとなく話をするべき相手として声をかけながら包帯まみれの同じクラスの同級生を見守るのだった。
だけど一年の最底辺に居るはずの篠田は先輩達に可愛がられ、謎のこの家の持ち主にも酷く可愛がられていた。勿論先生の監視と言う目がある物の話しをした事のない、只今学校で一番話題の人物と仲良くなるべきかなんて判断するには難しい懸案だ。葉山は部活の仲間としての関係でいいだろって言ったが、不思議な事に既に先輩達と打ち解けていて、俺達の方がアウェイってどう言う事だよと拗ねてしまうのは、今まで友人関係で困った事が無い二人が戸惑うのは当然だ。
だけど一緒に勉強して行く中で、唯一勉強で勝てる相手は既に俺の上を行き……さすがに焦った。期末の結果が俺と同レベルの葉山も次々に問題を解いて行く様子に進まない宿題に苛立ってしまう物の判らなければすぐに質問に来る先輩達の様子を真似るのはなんとなくプライドが許さなかった。
「その成績でプライドってなに?」
一日目が終わった後二階で勉強進んでなかったけど大丈夫かと植田先輩に聞かれた時に答えた言葉への感想に言わなければよかったと思うのは当然だ。
「理科部は学校の最底辺に居て救いようのない奴らで構成されている」
上島先輩、水野先輩、そして二年生の先輩達もうんうんと認めて頷いていた。そこ認めるんだと呆れるもその内の一人に数えられている事にショックは隠せれない。
「お前らみたいにテニスとサッカーがなくなったら何も残らなかった奴、俺達みたいに未来に絶望して迷走している奴。陸斗のように虐待を受けて自分の意志を持たせてもらえなかった奴もいる」
篠田の浮いた存在な理由をあっさりと聞かされてぎょっとするも
「あ、これは篠田一族が昔ながらの膿家一族で有名すぎて誰もが知ってるから、お前らも篠田一族と変にかかわるなよ」
「さすがにそれぐらいヤバいって事は知ってますよ」
とは葉山。他所から来た俺は知らないと言えば
「陸斗に圭斗さんって言うお兄さんともう一人有名なゴリ先輩がいるから。その人達には逆らうなよ。ゴリ先輩はともかく圭斗さんは綾人さんと同じ年で弟と妹の親になったすごく良い人だからお前ら尊敬しろよ」
凄い勇気がある人だと驚くも
「そういや近所の空き家に最近篠田って表札がかかってた……」
下田が歩いてすぐなんだけどと言えば大体の場所を聞いてそこだと言う事が判明。何時かお邪魔しようと計画を立て、窓伝いに隣に居る篠田が療養している部屋に往復しては漫画を読み漁り、面倒だから向こうで寝ると言って布団まで担いで行った先輩達は勇者だと思う。
とりあえず合宿も終わる最終日、古民家の家に乗ってる茅って言う奴を下ろす作業に駆り出されて、埃塗れ草まみれになって汗もかいてチクチクして最悪だと泣きたくなるけどお昼の時間になってすべて報われたと葉山と二人で本気に泣きかけていた。
何でこんな事に付き合わないといけないんだとふてくされていたけど、見た事もないようなSNS映えする料理が山ほど並んでいて、このご飯を食べる権利を得るために親達も呼ばれたのかと納得すると同時にどれから食べようかと目移りしていれば今頃になって車がやって来た。何なんだよと思っていれば宮下さんって言う人が篠田達を二階に隠そうとしたけどお兄さん、お父さん?その圭斗さんがその制止を振り切って現れて、俺でも生涯かけて理解できそうもない人達と言い争っていた。
「あれが陸斗をあんなふうにした原因だよ」
植田先輩が小さな声で教えてくれて納得。
誰の言葉も虫の声の如く気にせずに自分が世界の中心だと本気で思っている人達の言動は自分の子供でさえ動物のような労働力としか考えていないようだった。あっけにとられて何も言えないまま立ち尽くしていればそれを阻止してくれたのが一番の年長者の長沢さんと言う人。なんかあの家族と因縁のある人らしい。頭も真っ白で、髪も短く切り落とし、深い皺は全身刻まれ、仕事のせいか真っ黒の指先は不格好な形になっていた。
その人のたった一言二言で宇宙人のような二人はすぐに消え、そして小さな子供を使って場を和ませる魔法使いのような爺さんになんとなく年を取ったらあんなかっこいい爺さんになりたいなんて漠然と思ってしまった。
そんなこんなで第一回合宿は終わり、あんな嫌な事も綾人さんの知り合いと言うシェフの美味しい料理に腹も心も満たされれば自然と湧き上がる笑顔ですべての嫌な思いを塗り替えてくれた。
美味しい料理は人を幸せにする、確かにと実感した俺達に先生は最後に俺と葉山に向かって
「お前達に足りないのは経験だ。狭い人間関係の中で完結しているから今回みたいな状況に馴染めなくって、何をしても大概を許している交友関係しかないから間違いに対して何をすればいいか判らないままなんだ。
一歩つっこんでみる付き合いが出来ないままならずっとお前達はそのままだぞ」
そう言って、部活しか接点のない先生は他の人達とあいさつを交わしに行くのだった。
今までなら気にせずに流してきた言葉だが、妙に心に残り悶々とするも、家に帰ってから人に会わなく何するわけでもなくだらだらとスマホゲームをしたり昼寝をしたりと言った自堕落な生活を堪能しる日々に戻っていた。映画館すらないこの町は退屈しかなく、何をすればいいのか迷っていた所にお盆だからと言って出かけたのがこの夏の最大のイベント。とは言ってもジイちゃんがバアちゃん、従兄に会っても何するわけもなくただスマホを弄るだけの日々は家に居るのと変わらなく、そして意外と近い場所なのでその日のうちに帰るあっけないイベントだった。まだ合宿の方が面白かった……ポツリとつぶやいて出そうな言葉に勉強の何が楽しいかと思うも暇がなかった。それが楽しかったのかとぼんやりと考え再度鬱々とした日々に戻ろうかという所で植田先輩から連絡が来た。
「お前ら宿題終わらせたか?
合宿までにやらないと綾っちがすごいぞ」
何がすごいのかわからないがとても危険な内容な事は理解できた。
葉山にすぐ連絡をすれば向こうにもメッセージが届いたらしくて強制的に篠田の家に勉強会に行く事になった。とは言え歩いて数分の距離。親もこんなに近いのに泊まるのは悪いからと先輩達にも説明して勉強だけ一緒にする事にしたが……
たった数日。
わずか数日で篠田は別人になっていた。
葉山と言えば中学で怪我をしてテニスを辞めたとはいえ、中学からそのまま高校に上がった友人も多い人気者の一人だった。
その葉山がこのクラスの底辺に居ると言っても間違いのない陸斗と一緒に居る。休みが開けた途端の仲の良い友人となっていて楽しそうに話をする光景はかなり目を疑う光景となっていた。
葉山に声をかけたい女子達も陸斗の存在に少しためらいがちに遠巻きに眺め、仲の良かった友人達も挨拶はすれどそこまでなのは二人とも余裕ある顔でテスト勉強の確認をしているから。高校生のテスト当日に在るべき姿に誰もが遠巻きに眺める方が問題だと言う事に気づいているのはわずか何人か。
さらに言えばクラスの下から数えた方が早い順位の二人。むしろツートップを争う二人が勉強を教え合う光景程違和感はないだろう。むしろ違和感しかない。
だけど既に終えた夏休みの宿題をもとに問題の解き方を確認し合ってる光景の違和感に誰もが遠巻きにしているのは声のかけづらさだけでもないだろう。
テストとテストの合間には次のテストの確認をする。底辺校ではなかなか見かける事のない光景に誰となくテキストを開いて勉強を始めるも、そもそも肝心のテキストが埋まってないからやりようもない。声をかけたくてもかけにくい雰囲気の中で学校生活が始まり、そんな長い一日を終えれば葉山と一緒に教室を出た陸斗の所に下田もやって来た。
下田は幼稚園の頃から当時住んでいた所で有名なクラブでサッカーをやって来たがこちらに引っ越ししたと同時にクラブを辞めてしまった。さすがに移動距離数十キロは中学生でも遠すぎたのだ。引っ越した先の弱小サッカー部で有名なこの高校のサッカー部に移籍問題もあり入る事はせずに帰宅部を選んで小さい頃から続けてきたサッカーを完全に辞めた事に両親は落胆していた事には申し訳なく思うも、既に芽が出ている奴らにはとっくに声がかかっている。幼稚園から一緒にやって来た仲間はそちらに誘われて寄宿舎付きの学校に旅立ってしまったのに自分には一つも声がかからなかった。見切るのは早いとクラブのコーチにも言われたが、折れた心のモチベーションの上げ方が分らず、そこで断念した事こそ誘われなかった理由の一つだと今は思う事にしている。
とは言え葉山同様夢中になれる事に夢中になって勉強をおろそかにした結果のお粗末さは高校の初めてのテストで痛感し、学期末のテストで認めるしかない状況に捨てたテストの結果を見つけ出した両親の努力に俺は再び両親を落胆させていた事を改めて悔しく思うのだった。でも基本ができていないので勉強をしようにも分からず、勉強の仕方もわからない。途方に暮れながらただ時間を過ごすそんな中、強制的にどこかの部活に入れと言われて入れられた理科部では頭を殴られるような衝撃が待ち受けていた。
昭和以前の過去にタイムスリップした環境に俺は捨てられるのかと思うもそこに居た一人の痛々しい姿を見て葉山と一緒に酷く戸惑うのだった。
バカ騒ぎして酷く賑やかな三年生と、それを追従する二年生。話はした事はないけど隣のクラスなので知ってはいる葉山と言う面子で唯一なんとなく話をするべき相手として声をかけながら包帯まみれの同じクラスの同級生を見守るのだった。
だけど一年の最底辺に居るはずの篠田は先輩達に可愛がられ、謎のこの家の持ち主にも酷く可愛がられていた。勿論先生の監視と言う目がある物の話しをした事のない、只今学校で一番話題の人物と仲良くなるべきかなんて判断するには難しい懸案だ。葉山は部活の仲間としての関係でいいだろって言ったが、不思議な事に既に先輩達と打ち解けていて、俺達の方がアウェイってどう言う事だよと拗ねてしまうのは、今まで友人関係で困った事が無い二人が戸惑うのは当然だ。
だけど一緒に勉強して行く中で、唯一勉強で勝てる相手は既に俺の上を行き……さすがに焦った。期末の結果が俺と同レベルの葉山も次々に問題を解いて行く様子に進まない宿題に苛立ってしまう物の判らなければすぐに質問に来る先輩達の様子を真似るのはなんとなくプライドが許さなかった。
「その成績でプライドってなに?」
一日目が終わった後二階で勉強進んでなかったけど大丈夫かと植田先輩に聞かれた時に答えた言葉への感想に言わなければよかったと思うのは当然だ。
「理科部は学校の最底辺に居て救いようのない奴らで構成されている」
上島先輩、水野先輩、そして二年生の先輩達もうんうんと認めて頷いていた。そこ認めるんだと呆れるもその内の一人に数えられている事にショックは隠せれない。
「お前らみたいにテニスとサッカーがなくなったら何も残らなかった奴、俺達みたいに未来に絶望して迷走している奴。陸斗のように虐待を受けて自分の意志を持たせてもらえなかった奴もいる」
篠田の浮いた存在な理由をあっさりと聞かされてぎょっとするも
「あ、これは篠田一族が昔ながらの膿家一族で有名すぎて誰もが知ってるから、お前らも篠田一族と変にかかわるなよ」
「さすがにそれぐらいヤバいって事は知ってますよ」
とは葉山。他所から来た俺は知らないと言えば
「陸斗に圭斗さんって言うお兄さんともう一人有名なゴリ先輩がいるから。その人達には逆らうなよ。ゴリ先輩はともかく圭斗さんは綾人さんと同じ年で弟と妹の親になったすごく良い人だからお前ら尊敬しろよ」
凄い勇気がある人だと驚くも
「そういや近所の空き家に最近篠田って表札がかかってた……」
下田が歩いてすぐなんだけどと言えば大体の場所を聞いてそこだと言う事が判明。何時かお邪魔しようと計画を立て、窓伝いに隣に居る篠田が療養している部屋に往復しては漫画を読み漁り、面倒だから向こうで寝ると言って布団まで担いで行った先輩達は勇者だと思う。
とりあえず合宿も終わる最終日、古民家の家に乗ってる茅って言う奴を下ろす作業に駆り出されて、埃塗れ草まみれになって汗もかいてチクチクして最悪だと泣きたくなるけどお昼の時間になってすべて報われたと葉山と二人で本気に泣きかけていた。
何でこんな事に付き合わないといけないんだとふてくされていたけど、見た事もないようなSNS映えする料理が山ほど並んでいて、このご飯を食べる権利を得るために親達も呼ばれたのかと納得すると同時にどれから食べようかと目移りしていれば今頃になって車がやって来た。何なんだよと思っていれば宮下さんって言う人が篠田達を二階に隠そうとしたけどお兄さん、お父さん?その圭斗さんがその制止を振り切って現れて、俺でも生涯かけて理解できそうもない人達と言い争っていた。
「あれが陸斗をあんなふうにした原因だよ」
植田先輩が小さな声で教えてくれて納得。
誰の言葉も虫の声の如く気にせずに自分が世界の中心だと本気で思っている人達の言動は自分の子供でさえ動物のような労働力としか考えていないようだった。あっけにとられて何も言えないまま立ち尽くしていればそれを阻止してくれたのが一番の年長者の長沢さんと言う人。なんかあの家族と因縁のある人らしい。頭も真っ白で、髪も短く切り落とし、深い皺は全身刻まれ、仕事のせいか真っ黒の指先は不格好な形になっていた。
その人のたった一言二言で宇宙人のような二人はすぐに消え、そして小さな子供を使って場を和ませる魔法使いのような爺さんになんとなく年を取ったらあんなかっこいい爺さんになりたいなんて漠然と思ってしまった。
そんなこんなで第一回合宿は終わり、あんな嫌な事も綾人さんの知り合いと言うシェフの美味しい料理に腹も心も満たされれば自然と湧き上がる笑顔ですべての嫌な思いを塗り替えてくれた。
美味しい料理は人を幸せにする、確かにと実感した俺達に先生は最後に俺と葉山に向かって
「お前達に足りないのは経験だ。狭い人間関係の中で完結しているから今回みたいな状況に馴染めなくって、何をしても大概を許している交友関係しかないから間違いに対して何をすればいいか判らないままなんだ。
一歩つっこんでみる付き合いが出来ないままならずっとお前達はそのままだぞ」
そう言って、部活しか接点のない先生は他の人達とあいさつを交わしに行くのだった。
今までなら気にせずに流してきた言葉だが、妙に心に残り悶々とするも、家に帰ってから人に会わなく何するわけでもなくだらだらとスマホゲームをしたり昼寝をしたりと言った自堕落な生活を堪能しる日々に戻っていた。映画館すらないこの町は退屈しかなく、何をすればいいのか迷っていた所にお盆だからと言って出かけたのがこの夏の最大のイベント。とは言ってもジイちゃんがバアちゃん、従兄に会っても何するわけもなくただスマホを弄るだけの日々は家に居るのと変わらなく、そして意外と近い場所なのでその日のうちに帰るあっけないイベントだった。まだ合宿の方が面白かった……ポツリとつぶやいて出そうな言葉に勉強の何が楽しいかと思うも暇がなかった。それが楽しかったのかとぼんやりと考え再度鬱々とした日々に戻ろうかという所で植田先輩から連絡が来た。
「お前ら宿題終わらせたか?
合宿までにやらないと綾っちがすごいぞ」
何がすごいのかわからないがとても危険な内容な事は理解できた。
葉山にすぐ連絡をすれば向こうにもメッセージが届いたらしくて強制的に篠田の家に勉強会に行く事になった。とは言え歩いて数分の距離。親もこんなに近いのに泊まるのは悪いからと先輩達にも説明して勉強だけ一緒にする事にしたが……
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わずか数日で篠田は別人になっていた。
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