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決意は口に出さずに原動力に変えて 6
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飯田さんがお風呂に出てくると一足先にご飯を頂いている俺を見て何やらショックを受けている様子だったがのんびり風呂に入ってる方が悪いと土間の台所の机の上いっぱいに広げた料理はすでに半分ほどなくなっている。
「待っててくれてもいいのに」
「待ってたら冷えるでしょ?」
お母様の容赦なさに俺も頷きながら猪の麹で漬け込んだソテーを頂きます。いつから仕込んだのか知らないけど猪の肉なのにしっとりと柔らかく
「臭みがないな」
「下処理の大切さがいかに重要だと言う事だな。
仕留めてすぐはらわたを出したのだろう。魚もだがすぐに処理をしないと身が駄目になる。かといって自然な方法で血抜きをしても上手く抜けきるなんてできないし、流水で血を流しながらなら体温を下げてやらないと喰えたものじゃなくなる」
「体温ですか?」
「漁船なんかで魚も釣ったらすぐに凍らすだろ?それと同じだ。
体が傷ついて死ぬと体に雑菌が入ってすぐに増殖する。雑菌が増殖するに一番の体温になるからな。だからその前に増殖しにくいように冷やす事が重要になる。猟をする奴らは水場のある場所を好むと言うが?」
「解禁の時期になると皆さんここに集まりますね」
豊富な水と解体に適した場所もある。何より巨大冷凍庫もあるので解体料、肉代を差し引いて使いたい放題なのだ。維持費の方が高いと言うのに、ジイちゃんがの太っ腹加減が判る一例だが俺もバアちゃん同様同じように引き継いでいる。
「それをきちんとこなしている。肉から出る水分もきちんと晒しでしっかりと取ってある。ちゃんと凍らせて虫の対策もしてあるし、これであの程度の商売しかしていないのが不思議だ」
「猟友会の肉屋さんに行ったのですか?」
「薫が挨拶に行くと言ってな、その時に店を見てきた。なかなか興味深い肉が並んでた。猪に鹿は勿論雉や鴨もあったし普通の鶏もあったな」
「烏骨鶏達もそこに時々卸してます。卵もたまにですが」
教えれば少し瞬きをして
「烏骨鶏はなかったぞ?」
「ん?売れちゃったかな?」
この夏に烏骨鶏を増やそうと卵を孵したがオスが結構増えてしまい、朝からの大合唱に早々に処分を決めた。とは言え、一人で処理するには多すぎる数にそれなりに引き取ってもらったと思ったのにと思えば、引き取りに来てもらった顔を思い出せば納得。売る前に買われてしまったかと、これでは烏骨鶏の美味さが広まらないなとくぎを刺しておく事にしよう。
そんなジビエレクチャーを受けている合間に山川さんが晴れやかな顔をしてやってきた。
「飯田さんちょっといいですか?綾人さんも皆さんもお食事中で申し訳ないのですが良かったら見に来てください」
薄暗くなった離れに向かう。長沢さん渾身の玄関の扉を潜り、広い、まだ木材が置かれた土間の正面に大きな窯が待ち構えていた。
「この家の象徴をする物なので正面に置いてみました。
飯田さんはキッチンの方に置きたかったでしょうが、熱が半端なくてとても側で作業何てしてられません。でしたらストーブ代わりにこちらに置けば、二階も自然と暖かくなるでしょう。その代りキッチンは広くなりましたので動線は楽ですよ?
奥に冷蔵庫と冷凍庫を並べてすぐ目の前にヒノキの机を作業台として作りました。形状は一般的な調理器具と同じ方が使いやすいと真似をしてます。
同じように水回りもヒノキをかぶせました。店舗ではないのでステンレスである理由はなくても良いでしょうが、かぶせてあるだけなので具合が悪ければ取り払って使ってください。
食器棚も要望通りの大容量の作り付けをしてあります。上段下段と別れてますので用途に応じて使い分けてください。あとは他に納戸をつくりました。食器棚と同じデザインの扉ですが、冷蔵庫のサイズに合わせた余剰の場所なので入り込んで使ってください。もし冷蔵庫が大きくなっても扉を外して貰えれば幾らでも調節できるので、その時は内田さんを呼んで説明してもらえれば対応できます。
さあ、いかがでしょう?」
いかがでしょうと言われて飯田さんを見上げれば、放心したかのように台所を見つめていた。
感無量と言った所だろうか。
下手に凄い凄いと騒ぎ立てられるよりよっぽど雄弁に語る感動の背中の後では山川さんと森下さん、そして内田親子が握手を交わしていた。
「いつまでも呆けてないで、感謝の言葉位いわんか」
背中を突く父親の手でやっと現実に戻ってきた飯田さんは、山川さんの手を握って言葉を探そそうとしても出てこなくて。ただひたすら頭を下げたまま、やっとの事でありがとうございますと言う事が出来たのだった。
「さあ、飯田さんはもう一泊するなら台所の引っ越しとか始めて見ると良い。ただし!」
「ただし?」
山川さんの真剣な目が飯田さんを貫いて真剣に語る。
「まだ壁の漆喰は乾いてないし竈オーブンの漆喰も乾いてない。ここで火を使うとひびが入って使い物にならん。急激な乾燥はまた一から作り初めになるからせめて一週間は触らないように」
「判りました。なら来週試運転して見ようと思います」
「水、木だったな。俺も見に来るから俺が来るまで薪を入れるなよ」
「了解しました。お待ちしてます」
「いや、ぜひとも安全運転で来てくれ」
火曜日の仕事上がりに徹夜で来ると聞かされれば誰もが心配するのは仕方がないだろう。不安しかないなと思うも
「楓か?私だが、薫の事で少しいいか?
いや、怪我じゃなくて綾人君の家の台所が完成してな。来週試運転するらしいからこの浮かれたバカ息子が心配だからお前も付いて来てやれないか?
ああ、済まない。お前には世話ばかりかけて……
いや、楽しませてもらってる。ここは何と言うか、良い所だな」
どうやら飯田さんのお父さんは弟の青山さんと連絡を取ってるらしく、目付け役として同行を願っていた。
うん。正しい判断だと思う。
飯田さんにもし耳としっぽがあればはちきれんばかりに振り回している姿しか想像できない。
次第に落ち着いてきたのか色々な扉を開けたり水道の水量を確認したりと大忙しに頬ずりしていた。作業台の机を抱きしめて。
さすがのお母様と言えども引き気味でイケメンシェフの実態にここまで喜ばれるとはと困惑気味の山川さんもこれはそっとしておくのが一番だと灯だけは付けてキッチンから退出するのだった。
「それでは我々は片づけたら帰りますので」
森下さんの言葉に一泊二日の泊まり込みの仕事が終わった事を理解するのだった。
「また来週もお邪魔します。何でしたらまた美味い料理食わせてくださいって飯田さんにお伝えしてください」
「はい」
「家の中も今月中には終わりそうだが、森下はどうだ?」
「私も今回のノルマは終わらせましたよ」
見上げるのは伸びやかに枝を伸ばす山桜とその景色。十分凄くね?と思うもどこか物足りなさを覚えるのは森下さんの心の師匠の作品を毎日眺めているからだろうか。
あら可愛いと評価する飯田母の言葉とは別に内田さんはまあまあだなとの辛辣な評価。
「いつかまたリベンジしますよ」
「お前は、欄間の材料と言う物の値段を知って行ってるのか?」
「それは……そこは綾人君に甘えたく思います」
言い切った言葉に誰もが失笑。だけど
「居間の物を越えれるのならお待ちしてます」
それぐらいの価値ある物ならお金は気にするな。倉庫の残りの木材で良ければ使ってくれと太っ腹にも言って見せれば
「ええと、二十年後ぐらいには越えたいかなと思います」
笑い声が帳の降りた山々に響き渡り
「さあ、これ以上暗くなると山道は危ない。
これの代わりじゃないが土産を持って行ってくれ」
出かけた時に買ったのだろう塗り物のお重をしっかりと包んで山川さん、森下さん、内田さんに渡すのだった。
「ええと……」
本当にもらっていい物かと思う顔に
「たまにはあいつの親らしい所をさせてくれ。
あんな大きくなっても一つの気配りも出来ない馬鹿者だが、それでも可愛いと思うから」
不出来な子供のフォローをさせてくれと言う口上だが、飯田さんの知らない所で親としての優しさは判りにくい物の愛情があふれている事は当人だけが知らないだけ。不器用な親子だと失笑しながらも後片付けがあるのでと忙しくする様子のあとに飯田さんを何とからキッチンから引っ張り出してお見送りをするのだった。
「待っててくれてもいいのに」
「待ってたら冷えるでしょ?」
お母様の容赦なさに俺も頷きながら猪の麹で漬け込んだソテーを頂きます。いつから仕込んだのか知らないけど猪の肉なのにしっとりと柔らかく
「臭みがないな」
「下処理の大切さがいかに重要だと言う事だな。
仕留めてすぐはらわたを出したのだろう。魚もだがすぐに処理をしないと身が駄目になる。かといって自然な方法で血抜きをしても上手く抜けきるなんてできないし、流水で血を流しながらなら体温を下げてやらないと喰えたものじゃなくなる」
「体温ですか?」
「漁船なんかで魚も釣ったらすぐに凍らすだろ?それと同じだ。
体が傷ついて死ぬと体に雑菌が入ってすぐに増殖する。雑菌が増殖するに一番の体温になるからな。だからその前に増殖しにくいように冷やす事が重要になる。猟をする奴らは水場のある場所を好むと言うが?」
「解禁の時期になると皆さんここに集まりますね」
豊富な水と解体に適した場所もある。何より巨大冷凍庫もあるので解体料、肉代を差し引いて使いたい放題なのだ。維持費の方が高いと言うのに、ジイちゃんがの太っ腹加減が判る一例だが俺もバアちゃん同様同じように引き継いでいる。
「それをきちんとこなしている。肉から出る水分もきちんと晒しでしっかりと取ってある。ちゃんと凍らせて虫の対策もしてあるし、これであの程度の商売しかしていないのが不思議だ」
「猟友会の肉屋さんに行ったのですか?」
「薫が挨拶に行くと言ってな、その時に店を見てきた。なかなか興味深い肉が並んでた。猪に鹿は勿論雉や鴨もあったし普通の鶏もあったな」
「烏骨鶏達もそこに時々卸してます。卵もたまにですが」
教えれば少し瞬きをして
「烏骨鶏はなかったぞ?」
「ん?売れちゃったかな?」
この夏に烏骨鶏を増やそうと卵を孵したがオスが結構増えてしまい、朝からの大合唱に早々に処分を決めた。とは言え、一人で処理するには多すぎる数にそれなりに引き取ってもらったと思ったのにと思えば、引き取りに来てもらった顔を思い出せば納得。売る前に買われてしまったかと、これでは烏骨鶏の美味さが広まらないなとくぎを刺しておく事にしよう。
そんなジビエレクチャーを受けている合間に山川さんが晴れやかな顔をしてやってきた。
「飯田さんちょっといいですか?綾人さんも皆さんもお食事中で申し訳ないのですが良かったら見に来てください」
薄暗くなった離れに向かう。長沢さん渾身の玄関の扉を潜り、広い、まだ木材が置かれた土間の正面に大きな窯が待ち構えていた。
「この家の象徴をする物なので正面に置いてみました。
飯田さんはキッチンの方に置きたかったでしょうが、熱が半端なくてとても側で作業何てしてられません。でしたらストーブ代わりにこちらに置けば、二階も自然と暖かくなるでしょう。その代りキッチンは広くなりましたので動線は楽ですよ?
奥に冷蔵庫と冷凍庫を並べてすぐ目の前にヒノキの机を作業台として作りました。形状は一般的な調理器具と同じ方が使いやすいと真似をしてます。
同じように水回りもヒノキをかぶせました。店舗ではないのでステンレスである理由はなくても良いでしょうが、かぶせてあるだけなので具合が悪ければ取り払って使ってください。
食器棚も要望通りの大容量の作り付けをしてあります。上段下段と別れてますので用途に応じて使い分けてください。あとは他に納戸をつくりました。食器棚と同じデザインの扉ですが、冷蔵庫のサイズに合わせた余剰の場所なので入り込んで使ってください。もし冷蔵庫が大きくなっても扉を外して貰えれば幾らでも調節できるので、その時は内田さんを呼んで説明してもらえれば対応できます。
さあ、いかがでしょう?」
いかがでしょうと言われて飯田さんを見上げれば、放心したかのように台所を見つめていた。
感無量と言った所だろうか。
下手に凄い凄いと騒ぎ立てられるよりよっぽど雄弁に語る感動の背中の後では山川さんと森下さん、そして内田親子が握手を交わしていた。
「いつまでも呆けてないで、感謝の言葉位いわんか」
背中を突く父親の手でやっと現実に戻ってきた飯田さんは、山川さんの手を握って言葉を探そそうとしても出てこなくて。ただひたすら頭を下げたまま、やっとの事でありがとうございますと言う事が出来たのだった。
「さあ、飯田さんはもう一泊するなら台所の引っ越しとか始めて見ると良い。ただし!」
「ただし?」
山川さんの真剣な目が飯田さんを貫いて真剣に語る。
「まだ壁の漆喰は乾いてないし竈オーブンの漆喰も乾いてない。ここで火を使うとひびが入って使い物にならん。急激な乾燥はまた一から作り初めになるからせめて一週間は触らないように」
「判りました。なら来週試運転して見ようと思います」
「水、木だったな。俺も見に来るから俺が来るまで薪を入れるなよ」
「了解しました。お待ちしてます」
「いや、ぜひとも安全運転で来てくれ」
火曜日の仕事上がりに徹夜で来ると聞かされれば誰もが心配するのは仕方がないだろう。不安しかないなと思うも
「楓か?私だが、薫の事で少しいいか?
いや、怪我じゃなくて綾人君の家の台所が完成してな。来週試運転するらしいからこの浮かれたバカ息子が心配だからお前も付いて来てやれないか?
ああ、済まない。お前には世話ばかりかけて……
いや、楽しませてもらってる。ここは何と言うか、良い所だな」
どうやら飯田さんのお父さんは弟の青山さんと連絡を取ってるらしく、目付け役として同行を願っていた。
うん。正しい判断だと思う。
飯田さんにもし耳としっぽがあればはちきれんばかりに振り回している姿しか想像できない。
次第に落ち着いてきたのか色々な扉を開けたり水道の水量を確認したりと大忙しに頬ずりしていた。作業台の机を抱きしめて。
さすがのお母様と言えども引き気味でイケメンシェフの実態にここまで喜ばれるとはと困惑気味の山川さんもこれはそっとしておくのが一番だと灯だけは付けてキッチンから退出するのだった。
「それでは我々は片づけたら帰りますので」
森下さんの言葉に一泊二日の泊まり込みの仕事が終わった事を理解するのだった。
「また来週もお邪魔します。何でしたらまた美味い料理食わせてくださいって飯田さんにお伝えしてください」
「はい」
「家の中も今月中には終わりそうだが、森下はどうだ?」
「私も今回のノルマは終わらせましたよ」
見上げるのは伸びやかに枝を伸ばす山桜とその景色。十分凄くね?と思うもどこか物足りなさを覚えるのは森下さんの心の師匠の作品を毎日眺めているからだろうか。
あら可愛いと評価する飯田母の言葉とは別に内田さんはまあまあだなとの辛辣な評価。
「いつかまたリベンジしますよ」
「お前は、欄間の材料と言う物の値段を知って行ってるのか?」
「それは……そこは綾人君に甘えたく思います」
言い切った言葉に誰もが失笑。だけど
「居間の物を越えれるのならお待ちしてます」
それぐらいの価値ある物ならお金は気にするな。倉庫の残りの木材で良ければ使ってくれと太っ腹にも言って見せれば
「ええと、二十年後ぐらいには越えたいかなと思います」
笑い声が帳の降りた山々に響き渡り
「さあ、これ以上暗くなると山道は危ない。
これの代わりじゃないが土産を持って行ってくれ」
出かけた時に買ったのだろう塗り物のお重をしっかりと包んで山川さん、森下さん、内田さんに渡すのだった。
「ええと……」
本当にもらっていい物かと思う顔に
「たまにはあいつの親らしい所をさせてくれ。
あんな大きくなっても一つの気配りも出来ない馬鹿者だが、それでも可愛いと思うから」
不出来な子供のフォローをさせてくれと言う口上だが、飯田さんの知らない所で親としての優しさは判りにくい物の愛情があふれている事は当人だけが知らないだけ。不器用な親子だと失笑しながらも後片付けがあるのでと忙しくする様子のあとに飯田さんを何とからキッチンから引っ張り出してお見送りをするのだった。
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