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まずは一歩 11
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台所で料理の盛り付けが最終段階の所に差し掛かると庭から賑やかな笑い声が響いてきた。その頃になると兄弟喧嘩に負けて席を外した弟さんも戻ってきた。
そこはちゃんと料理人なのだと見直すも飯田さんは何も言わずに指示を次々に飛ばす。お父さんもその指示を聞いて自分が何をすればいいのかわかると言うように飯田さんんと阿吽の呼吸で料理を完成させていた。
「大将!竃の調子はどうだ?」
この竃オーブンを仕上げた左官職人の山川さんが料理の仕上がりが気になったと言うかこの立ち込める美味しそうな匂いに釣られてやってきたのだった。
「想像以上に調子がいい。この間の試運転の時も思ったけどやはりこの厚みが竃の中の温度を一定にする効果の持続が理想以上だ」
言いながらオーブンの中から狐色に焼かれたアップルパイが取り出された。何層にも折り重なるパイ生地から漂うバターとリンゴの甘酸っぱい香りが広がった。次に火から一番遠いところでゆっくりと焼かれたプディング。先程のものとは全く趣の違う王道なプディングは主に子供向けなのでお酒は一切加えられてない。そして取り出されたパンも香ばしい香りが広がり、最後に取り出された烏骨鶏のローストはあまり食欲をおぼえない黒い皮がぱりっと焼けていた。だけど香りは食欲がそそり、次々に取り出されてきたローストにはお父さんさえ興味津々だ。
「火は通ってます?」
「普通のオーブンなら十分な時間だけど」
中はどうだとひっくり返して切り込みを入れて確認。
ナイフを入れればぷつりと裂けた肉の繊維から透明な肉汁が溢れ出して止まらない。
「ああ、もったいない」
汁を掬い上げて肉にかけていく。
「中にはガーリックライスやマッシュしたじゃがいもや林檎も詰めた物があります。肉汁を吸って美味しいですよ。パンを詰めるものもありますが、今回他にも料理があるのでお肉を挟んで食べるのもいいでしょう」
お父さんはひょいと溢れ出た肉汁をスプーンで掬い取ってぺろりと舐める。
「随分と薄味だな」
ゆっくりと鼻から息を出すようにしての感想。それには飯田さんは頷き弟さんにもスプーンで肉汁を試食させる。弟さんも顔を顰めるぐらいの薄味は同じように試食させてもらった俺も納得する中にやりと笑う飯田さん。
「これはソースをかけて食べるんです」
言いながら何種類ものソースを冷蔵庫から持ち出してきた。
「ベリー、マスタード、トリュフ、チーズ、ルッコラと言った定番のものから胡椒、バジル、チリソース、マヨわさびなど色々な可能性を探して用意しました」
にこやかな顔は新しい料理の可能性を模索する料理人の顔。
「って言うか飯田さんよ、トリュフってあの高級食材の?」
「青山におねだりしてきました」
にこやかな顔での告白にお父さんは苦笑するし、弟さんは背中を向けて笑っていた。
「さて、そんなことより盛り付けて料理が冷える前に持って行きましょう!
庵は鶏の肉の外し方知ってるよな?」
「それぐらいできるに決まってるだろ!」
ムッとする顔だけど飯田さんはならお前は烏骨鶏担当だと広場で目の前で取り分けろと言われて顔をひきつらせていた。
「父さんはしし汁をお願いします。ご飯は母さんに任せてますけど……」
「薫、ご飯炊けたわよ。松茸も混ぜたし食べれるわよ」
「すごい、みんな同じ時間に料理ができた」
山川さんの称賛に
「これがプロの仕事です」
当然だと汗だくの飯田さんは爽やかな笑みを浮かべれば
「あやっち手伝いはない?」
匂いに釣られた植田の気遣いに丁度いいと目を光らせる飯田さんは容赦なくテーブルに運びましょうと合図を出した。
そこからあとは歓喜の悲鳴が山間に響き渡った。
先程までの笑い声とは比べ物にならないくらいの喜びの悲鳴にどこかしけた顔の庵さんも巻き込まれて笑顔になっていた。
並ぶ料理に目を輝かす子供達。
子供のように目を輝かす大人達。
遠巻きに冷静人なって眺める大人達も次々に運ばれて来る料理に冷静な顔はもうどこにもない。青空の下、新しい木の香りと畳の香り、田の字型の部屋を二間にリフォームした広い室内は所狭しとひしめいていて、二階の入り口を見つけた子供達は大はしゃぎをして探検に出かける。勿論率先して室内からはみ出された若手の方達にも同じ料理が振る舞われた所で人の注目を浴びる事に慣れた波瑠さんが立ち上がって俺をみんなから見える、この家の象徴とも言うべき竃オーブンの前に立たせた。
「はい皆んなちゅーもーく!!!」
空まで突き抜けるような大きな声に誰もが口を閉ざして俺の肩を抱く波瑠さんを見ていた。
「今目の前に美味しそうなご飯が並んでいるけど、いただきますをする前にホストの綾人君からのお言葉をもらいましょう!
なんでここに住むのか、新築と言ってもいいくらいのリフォームとか、このタイミングでの高額投資を私たちは耳を傾けなければこのお料理を食べる資格はないと思う!」
静まる室内を見渡して
「綾人君も家を直すだけならお金だけで済ませることで十分なのに、この場を設けたんだから自分の胸の中にとどめて一人で納得していないで全部吐き出しちゃいなさい!」
多分誰もが思っていただけで口に出せない言葉だと思う。無言の感謝ですますつもりでそれを受け入れてもらおうと思ったし、それで許してもらえそうな「仕事」と言う薄い関係と皆さんの大人な年齢に甘えさせてもらおうと思ったのにと舌打ちしそうになるも
「綾人君もここで逃げたら一生後悔するよ。
みんな綾人君の事を知ってて甘えさせてくれているかもしれないけど、実のお父さんと会ってあんな死にそうな顔をした綾人君見て半端な気持ちにままでいる事を私は許さない!」
息を飲むかのような演説の中で波瑠さんは言い切った。
「私は綾人君がもっと正しく人に甘えれるような人間にならなくてはいけない!
そしてみんなが空気を察してではなく、綾人君の言う言葉を綾人君の意思を認めて、綾人君を一人の大人として見てあげることが成長につながると思う!」
頷く頭の数にもうこのままでは居られない事を思い知る。
「だから綾人君、この際だから心の中に押し込めてる事を吐き出しちゃいなさい!」
激しい入れ替わりのある世界の中で何十年とトップを歩き続ける女優には俺の葛藤なんてお見通しなのだろう。沢山の人の人生をファインダー越しに撮り続けた大守さんも俺を誤魔化さないようにじっと見つめるようにカメラを向けている。
そして背後に立つ飯田さんや、ずっと見守ってきてくれた先生、何より一番辛かった時を一緒に寄り添ってくれた宮下と圭人も俺の言葉を待っている。
そんな俺が口にできた言葉は
「ただ寂しかった」
ぽつりと吐き出した弱音が最初の関だった。それがなくなればあとはもう吐き出すだけだった。
「山の中の一人暮らしは誰とも話すこともない孤独だ!山暮らしの孤独を憧れる人たちに向けてあえて言おう。あなた達が理想とする孤独とは別次元の温度がない事をまず頭に叩き込んでほしい!」
それから息を深く吸い込み
「こんな山奥に住みたいなんて物ずきがいるのなら是非ともお目にかかりたい!
俺だってジイちゃんとバアちゃんが残してくれた家だから住んでいる!縁がなければこんな所になんていない!むしろなんでもっと早く山を降りないんだと恨んだ数は感謝で誤魔化さなければどれだけかなんて数え切れる数じゃない!そうすればこんな苦労も孤独も、親に捨てられる事もなかった!
だけど俺はここで生きるしか、あの時ただ何も選択のできなかった無力なガキで!
だから俺は一つでも自分で選べるように努力をしたんだ!」
喧嘩腰の波瑠さんに俺も喧嘩腰で言い返す。挑発するような笑みの波瑠さんに向かって
「田舎を笑うのなら羨ましがるくらい、手放した事を後悔するくらいにすればいい!不便だと笑うのなら不便でない事を証明すればいい!足りないものは山ほどあるなら手に入れることのできないものを同じくらい作ればいい!」
暗い心の奥底に押し込んだ本音が溢れ出す。
「目の前に差し出される理想や夢なんて金が解決できるくらい些細なことを知ればいい!それで手に入らないものがどれだけ眩しいか知りもしないくせに、なんで代用品がおせっかいなくらいに!ここで差し出すのかっ!憧れていたのに!なんでこんなにも、簡単にっ!こんなにっ!あったかい気持ちになるんだよ!」
暴言と入り混じる支離滅裂の本音に波瑠さんは俺の頭を抱きしめて、その胸で俺を受け止めた。
「やっと聞けた。ずっといい子だった綾人君の本音。
やっぱり男の子だね。
辛いなら辛いってちゃんと言えるのが大人なんだから。いつまでも周囲に甘えてちゃダメだよ。
家は完成したし、みんなどんどん自分の事ばかりにかかりきりになる歳になるんだから。
自分の足で立つ、そこは思い違いしちゃダメよ?」
すでに身にしみる事ばかりを容赦なく思い出させる言葉。
「だからこそ、理想の自分を語ってみよう、だーいじょーうぶ。誰も笑う人はこの場にいないから。一人で立つ事を覚えたのなら、歩き出す事もおぼえようよ」
まるで魔法使いの言葉のような囁きに俺は口をゆっくりと開けた。
そこはちゃんと料理人なのだと見直すも飯田さんは何も言わずに指示を次々に飛ばす。お父さんもその指示を聞いて自分が何をすればいいのかわかると言うように飯田さんんと阿吽の呼吸で料理を完成させていた。
「大将!竃の調子はどうだ?」
この竃オーブンを仕上げた左官職人の山川さんが料理の仕上がりが気になったと言うかこの立ち込める美味しそうな匂いに釣られてやってきたのだった。
「想像以上に調子がいい。この間の試運転の時も思ったけどやはりこの厚みが竃の中の温度を一定にする効果の持続が理想以上だ」
言いながらオーブンの中から狐色に焼かれたアップルパイが取り出された。何層にも折り重なるパイ生地から漂うバターとリンゴの甘酸っぱい香りが広がった。次に火から一番遠いところでゆっくりと焼かれたプディング。先程のものとは全く趣の違う王道なプディングは主に子供向けなのでお酒は一切加えられてない。そして取り出されたパンも香ばしい香りが広がり、最後に取り出された烏骨鶏のローストはあまり食欲をおぼえない黒い皮がぱりっと焼けていた。だけど香りは食欲がそそり、次々に取り出されてきたローストにはお父さんさえ興味津々だ。
「火は通ってます?」
「普通のオーブンなら十分な時間だけど」
中はどうだとひっくり返して切り込みを入れて確認。
ナイフを入れればぷつりと裂けた肉の繊維から透明な肉汁が溢れ出して止まらない。
「ああ、もったいない」
汁を掬い上げて肉にかけていく。
「中にはガーリックライスやマッシュしたじゃがいもや林檎も詰めた物があります。肉汁を吸って美味しいですよ。パンを詰めるものもありますが、今回他にも料理があるのでお肉を挟んで食べるのもいいでしょう」
お父さんはひょいと溢れ出た肉汁をスプーンで掬い取ってぺろりと舐める。
「随分と薄味だな」
ゆっくりと鼻から息を出すようにしての感想。それには飯田さんは頷き弟さんにもスプーンで肉汁を試食させる。弟さんも顔を顰めるぐらいの薄味は同じように試食させてもらった俺も納得する中にやりと笑う飯田さん。
「これはソースをかけて食べるんです」
言いながら何種類ものソースを冷蔵庫から持ち出してきた。
「ベリー、マスタード、トリュフ、チーズ、ルッコラと言った定番のものから胡椒、バジル、チリソース、マヨわさびなど色々な可能性を探して用意しました」
にこやかな顔は新しい料理の可能性を模索する料理人の顔。
「って言うか飯田さんよ、トリュフってあの高級食材の?」
「青山におねだりしてきました」
にこやかな顔での告白にお父さんは苦笑するし、弟さんは背中を向けて笑っていた。
「さて、そんなことより盛り付けて料理が冷える前に持って行きましょう!
庵は鶏の肉の外し方知ってるよな?」
「それぐらいできるに決まってるだろ!」
ムッとする顔だけど飯田さんはならお前は烏骨鶏担当だと広場で目の前で取り分けろと言われて顔をひきつらせていた。
「父さんはしし汁をお願いします。ご飯は母さんに任せてますけど……」
「薫、ご飯炊けたわよ。松茸も混ぜたし食べれるわよ」
「すごい、みんな同じ時間に料理ができた」
山川さんの称賛に
「これがプロの仕事です」
当然だと汗だくの飯田さんは爽やかな笑みを浮かべれば
「あやっち手伝いはない?」
匂いに釣られた植田の気遣いに丁度いいと目を光らせる飯田さんは容赦なくテーブルに運びましょうと合図を出した。
そこからあとは歓喜の悲鳴が山間に響き渡った。
先程までの笑い声とは比べ物にならないくらいの喜びの悲鳴にどこかしけた顔の庵さんも巻き込まれて笑顔になっていた。
並ぶ料理に目を輝かす子供達。
子供のように目を輝かす大人達。
遠巻きに冷静人なって眺める大人達も次々に運ばれて来る料理に冷静な顔はもうどこにもない。青空の下、新しい木の香りと畳の香り、田の字型の部屋を二間にリフォームした広い室内は所狭しとひしめいていて、二階の入り口を見つけた子供達は大はしゃぎをして探検に出かける。勿論率先して室内からはみ出された若手の方達にも同じ料理が振る舞われた所で人の注目を浴びる事に慣れた波瑠さんが立ち上がって俺をみんなから見える、この家の象徴とも言うべき竃オーブンの前に立たせた。
「はい皆んなちゅーもーく!!!」
空まで突き抜けるような大きな声に誰もが口を閉ざして俺の肩を抱く波瑠さんを見ていた。
「今目の前に美味しそうなご飯が並んでいるけど、いただきますをする前にホストの綾人君からのお言葉をもらいましょう!
なんでここに住むのか、新築と言ってもいいくらいのリフォームとか、このタイミングでの高額投資を私たちは耳を傾けなければこのお料理を食べる資格はないと思う!」
静まる室内を見渡して
「綾人君も家を直すだけならお金だけで済ませることで十分なのに、この場を設けたんだから自分の胸の中にとどめて一人で納得していないで全部吐き出しちゃいなさい!」
多分誰もが思っていただけで口に出せない言葉だと思う。無言の感謝ですますつもりでそれを受け入れてもらおうと思ったし、それで許してもらえそうな「仕事」と言う薄い関係と皆さんの大人な年齢に甘えさせてもらおうと思ったのにと舌打ちしそうになるも
「綾人君もここで逃げたら一生後悔するよ。
みんな綾人君の事を知ってて甘えさせてくれているかもしれないけど、実のお父さんと会ってあんな死にそうな顔をした綾人君見て半端な気持ちにままでいる事を私は許さない!」
息を飲むかのような演説の中で波瑠さんは言い切った。
「私は綾人君がもっと正しく人に甘えれるような人間にならなくてはいけない!
そしてみんなが空気を察してではなく、綾人君の言う言葉を綾人君の意思を認めて、綾人君を一人の大人として見てあげることが成長につながると思う!」
頷く頭の数にもうこのままでは居られない事を思い知る。
「だから綾人君、この際だから心の中に押し込めてる事を吐き出しちゃいなさい!」
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そして背後に立つ飯田さんや、ずっと見守ってきてくれた先生、何より一番辛かった時を一緒に寄り添ってくれた宮下と圭人も俺の言葉を待っている。
そんな俺が口にできた言葉は
「ただ寂しかった」
ぽつりと吐き出した弱音が最初の関だった。それがなくなればあとはもう吐き出すだけだった。
「山の中の一人暮らしは誰とも話すこともない孤独だ!山暮らしの孤独を憧れる人たちに向けてあえて言おう。あなた達が理想とする孤独とは別次元の温度がない事をまず頭に叩き込んでほしい!」
それから息を深く吸い込み
「こんな山奥に住みたいなんて物ずきがいるのなら是非ともお目にかかりたい!
俺だってジイちゃんとバアちゃんが残してくれた家だから住んでいる!縁がなければこんな所になんていない!むしろなんでもっと早く山を降りないんだと恨んだ数は感謝で誤魔化さなければどれだけかなんて数え切れる数じゃない!そうすればこんな苦労も孤独も、親に捨てられる事もなかった!
だけど俺はここで生きるしか、あの時ただ何も選択のできなかった無力なガキで!
だから俺は一つでも自分で選べるように努力をしたんだ!」
喧嘩腰の波瑠さんに俺も喧嘩腰で言い返す。挑発するような笑みの波瑠さんに向かって
「田舎を笑うのなら羨ましがるくらい、手放した事を後悔するくらいにすればいい!不便だと笑うのなら不便でない事を証明すればいい!足りないものは山ほどあるなら手に入れることのできないものを同じくらい作ればいい!」
暗い心の奥底に押し込んだ本音が溢れ出す。
「目の前に差し出される理想や夢なんて金が解決できるくらい些細なことを知ればいい!それで手に入らないものがどれだけ眩しいか知りもしないくせに、なんで代用品がおせっかいなくらいに!ここで差し出すのかっ!憧れていたのに!なんでこんなにも、簡単にっ!こんなにっ!あったかい気持ちになるんだよ!」
暴言と入り混じる支離滅裂の本音に波瑠さんは俺の頭を抱きしめて、その胸で俺を受け止めた。
「やっと聞けた。ずっといい子だった綾人君の本音。
やっぱり男の子だね。
辛いなら辛いってちゃんと言えるのが大人なんだから。いつまでも周囲に甘えてちゃダメだよ。
家は完成したし、みんなどんどん自分の事ばかりにかかりきりになる歳になるんだから。
自分の足で立つ、そこは思い違いしちゃダメよ?」
すでに身にしみる事ばかりを容赦なく思い出させる言葉。
「だからこそ、理想の自分を語ってみよう、だーいじょーうぶ。誰も笑う人はこの場にいないから。一人で立つ事を覚えたのなら、歩き出す事もおぼえようよ」
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