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冬の訪れ 3
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朝は案の定と言う様にひどい頭痛と渇いた喉に目を覚ましてウォーターサーバーで白湯を飲んでいればいつの間にか隣で寝ていた飯田さんも起きて来て、理不尽な事に爽やかな笑顔でおはようと挨拶をしてくれた。
酔っぱらった形跡はない。
酒の匂いも残ってない。
一流のシェフはアルコール如きには負けないと言う事か?
ワインを普通に一人で空ける人だからザルに飲ませる酒はないけど毎度この爽やかな顔を見てると一度ぐらいべろんべろんになった姿を見てやりたいと思う。たぶん一生見る事は出来ないけど。飯田さん酔いだすとハイになって料理やお酒攻撃をする人にジョブチェンジする。この攻撃に一度も勝てた事ないけど、先生も見事撃沈なのだ。俺と宮下如きでは勝てるわけがないと早々に負ける様にしている。二日酔いの状態の辛さは誰よりも自分自身が知っているからね。知らない人はこの辛さを一度経験すればいいと思う。
とは言え俺達が起きれば当然泊まっていってくれた皆さんも起きだしていて、それに合わせて飯田さんがご飯を炊きだしてくれた。うぷっ……ごめん、無理かもと思うもキャベツと玉ねぎの味噌汁は美味しそうでそれだけは貰おうと決めた。
っていうかおかしいよな。
皆さんあれだけ飲んで二日酔いが俺だけって絶対間違ってると味噌汁をすすりながら食欲旺盛で刻んだ葱をふんだんに淹れた烏骨鶏の卵焼きを皆さん召し上がってる様子に何とも言えない理不尽さを覚えながらお茶をすする。水分をいっぱいとって既に飯田さんが卵を取りに行った時烏骨鶏を出してくれたので
「悪いけど昼まで寝て良い?」
「でしたら俺は少し出かけてきます」
行先は猟友会の直営販売所だろう。うきうきとした顔を見れば良き先何て聞かなくても判る。
「じゃあ、俺達は帰るな。朝ご飯ご馳走さん」
「気を付けて。あと熊の処分ありがとうございます」
「いやいや、こっちこそいつも獲物を置かせてもらって悪いな」
「電気代活用できて何よりでーす」
持ちつ持たれつ。大なり小なりの差は在れどどちらかが利を得るだけの関係は間違っているとジイちゃんがの言葉は今も俺の中に生きづいている。だから皆さん足を運んでくるれるし、俺もその優しさに助けられる事がである。
熊と出会ってバトった日なんてまともな精神じゃ居られない。だけどこうやって謎の盛り上がりと賑やかな食卓、あんなことがあったのに腹の底から笑い合える人達に囲めれる事こそかけがえのない財産。みんながいなかったらまた一週間ほど鬱気味になったり、最悪ここから逃げ出して慣れ親しんだ街で実りのない生涯を終えるのだろう。
山を降りていく姿を見送れば
「じゃあおやすみなさい」
「昼食は……」
「適当に昨日の残り食べるから。ゆっくりしてきてください」
「では甘えさせていただきます」
「後、増えすぎた烏骨鶏持ってって貰えます?頭にマジックでマーキングしたやついたでしょ?」
「ええと、いいのですか?」
散々料理に使ったのにと言う飯田さんに
「年寄りのやつと雄鶏ばかりだから」
「あー……」
「一丁前に鳴き出してさ、とにかくうるさい」
「この時期熊じゃなくても寄ってきますね」
「全部じゃなくていいので何羽か間引いて下さい」
言いながらも朝食のために着替えた服からスウェットに着替える動きは緩慢で
「まだ気持ち悪い」
「二日酔い残ってるのに頑張って朝食を召し上がるからですよ」
「食べなかったらみんな心配するじゃんって言うか何でみんな二日酔いしないの?」
土間の片隅に置いてあるダンボールの山の中からペットボトルの水を持ち出して部屋へと向かおうとすれば苦笑する飯田さんは
「これも経験ですかね?」
「違う絶対遺伝だと思う」
修行でお酒に強い体質になれても限度があるだろう。飯田さんと同じくお酒を酌み交わしていた父親のことを思い出せば絶対遺伝だと言うしかない。今日は話をする程度の気力もないのでさっさとベットにに籠ることにした。
ふらふらとした足取りで部屋に籠った綾人を見送って飯田は土間から外に出る。この家から出てきた人は美味しいおやつをくれることを学習した一羽の人懐っこい烏骨鶏が飯田の足元に擦り寄ってきた。この烏骨鶏を飯田は密かに「雪」と呼んでいた。真っ白の見た目からつけた安直な名前だが、綾人の見ていない所でこっそりと呼んでいるのは秘密の話だ。
手を伸ばしても逃げることなく首筋を触れさせてくれる烏骨鶏に皆さんがお土産で箱で買ってきたみかんの底の方に一つはあると言ってもいい潰れたみかんを半分に切ったものを庭におけばすぐに啄む烏骨鶏を見守る。すぐに他の烏骨鶏たちも集まってきて、放っておいても最後は綺麗に皮だけが残るからそれまで見守る事にしておく。果汁たっぷりのみかんは腐ってようが未熟だろうが関係なく烏骨鶏たちにはよろこばれるのを見守りながら、暫くの間、妙に人懐っこい烏骨鶏の頭につけられた青色のマジックでマーキングされた印を見つめ
「全部じゃなくてもいいって言ってましたね」
綾人や父のように割り切る事がまだできない飯田はほんの少し憂鬱になった気分とこう言う時のために名前をつけず、ペットとしてではなく愛着を持たない様にする事は分かっていても既に形作られた情にこの烏骨鶏を見ないふりをして別の烏骨鶏を三羽ほど捕まえて袋に入れるのだった。
酔っぱらった形跡はない。
酒の匂いも残ってない。
一流のシェフはアルコール如きには負けないと言う事か?
ワインを普通に一人で空ける人だからザルに飲ませる酒はないけど毎度この爽やかな顔を見てると一度ぐらいべろんべろんになった姿を見てやりたいと思う。たぶん一生見る事は出来ないけど。飯田さん酔いだすとハイになって料理やお酒攻撃をする人にジョブチェンジする。この攻撃に一度も勝てた事ないけど、先生も見事撃沈なのだ。俺と宮下如きでは勝てるわけがないと早々に負ける様にしている。二日酔いの状態の辛さは誰よりも自分自身が知っているからね。知らない人はこの辛さを一度経験すればいいと思う。
とは言え俺達が起きれば当然泊まっていってくれた皆さんも起きだしていて、それに合わせて飯田さんがご飯を炊きだしてくれた。うぷっ……ごめん、無理かもと思うもキャベツと玉ねぎの味噌汁は美味しそうでそれだけは貰おうと決めた。
っていうかおかしいよな。
皆さんあれだけ飲んで二日酔いが俺だけって絶対間違ってると味噌汁をすすりながら食欲旺盛で刻んだ葱をふんだんに淹れた烏骨鶏の卵焼きを皆さん召し上がってる様子に何とも言えない理不尽さを覚えながらお茶をすする。水分をいっぱいとって既に飯田さんが卵を取りに行った時烏骨鶏を出してくれたので
「悪いけど昼まで寝て良い?」
「でしたら俺は少し出かけてきます」
行先は猟友会の直営販売所だろう。うきうきとした顔を見れば良き先何て聞かなくても判る。
「じゃあ、俺達は帰るな。朝ご飯ご馳走さん」
「気を付けて。あと熊の処分ありがとうございます」
「いやいや、こっちこそいつも獲物を置かせてもらって悪いな」
「電気代活用できて何よりでーす」
持ちつ持たれつ。大なり小なりの差は在れどどちらかが利を得るだけの関係は間違っているとジイちゃんがの言葉は今も俺の中に生きづいている。だから皆さん足を運んでくるれるし、俺もその優しさに助けられる事がである。
熊と出会ってバトった日なんてまともな精神じゃ居られない。だけどこうやって謎の盛り上がりと賑やかな食卓、あんなことがあったのに腹の底から笑い合える人達に囲めれる事こそかけがえのない財産。みんながいなかったらまた一週間ほど鬱気味になったり、最悪ここから逃げ出して慣れ親しんだ街で実りのない生涯を終えるのだろう。
山を降りていく姿を見送れば
「じゃあおやすみなさい」
「昼食は……」
「適当に昨日の残り食べるから。ゆっくりしてきてください」
「では甘えさせていただきます」
「後、増えすぎた烏骨鶏持ってって貰えます?頭にマジックでマーキングしたやついたでしょ?」
「ええと、いいのですか?」
散々料理に使ったのにと言う飯田さんに
「年寄りのやつと雄鶏ばかりだから」
「あー……」
「一丁前に鳴き出してさ、とにかくうるさい」
「この時期熊じゃなくても寄ってきますね」
「全部じゃなくていいので何羽か間引いて下さい」
言いながらも朝食のために着替えた服からスウェットに着替える動きは緩慢で
「まだ気持ち悪い」
「二日酔い残ってるのに頑張って朝食を召し上がるからですよ」
「食べなかったらみんな心配するじゃんって言うか何でみんな二日酔いしないの?」
土間の片隅に置いてあるダンボールの山の中からペットボトルの水を持ち出して部屋へと向かおうとすれば苦笑する飯田さんは
「これも経験ですかね?」
「違う絶対遺伝だと思う」
修行でお酒に強い体質になれても限度があるだろう。飯田さんと同じくお酒を酌み交わしていた父親のことを思い出せば絶対遺伝だと言うしかない。今日は話をする程度の気力もないのでさっさとベットにに籠ることにした。
ふらふらとした足取りで部屋に籠った綾人を見送って飯田は土間から外に出る。この家から出てきた人は美味しいおやつをくれることを学習した一羽の人懐っこい烏骨鶏が飯田の足元に擦り寄ってきた。この烏骨鶏を飯田は密かに「雪」と呼んでいた。真っ白の見た目からつけた安直な名前だが、綾人の見ていない所でこっそりと呼んでいるのは秘密の話だ。
手を伸ばしても逃げることなく首筋を触れさせてくれる烏骨鶏に皆さんがお土産で箱で買ってきたみかんの底の方に一つはあると言ってもいい潰れたみかんを半分に切ったものを庭におけばすぐに啄む烏骨鶏を見守る。すぐに他の烏骨鶏たちも集まってきて、放っておいても最後は綺麗に皮だけが残るからそれまで見守る事にしておく。果汁たっぷりのみかんは腐ってようが未熟だろうが関係なく烏骨鶏たちにはよろこばれるのを見守りながら、暫くの間、妙に人懐っこい烏骨鶏の頭につけられた青色のマジックでマーキングされた印を見つめ
「全部じゃなくてもいいって言ってましたね」
綾人や父のように割り切る事がまだできない飯田はほんの少し憂鬱になった気分とこう言う時のために名前をつけず、ペットとしてではなく愛着を持たない様にする事は分かっていても既に形作られた情にこの烏骨鶏を見ないふりをして別の烏骨鶏を三羽ほど捕まえて袋に入れるのだった。
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