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冬を乗り切れ 12
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お正月の三日はあっという間だった。
圭斗と陸斗はまるでここが実家だと言わんばかりに寛いでいたが、宮下はスキーを担いで実家とここを行ったり来たり。就職して家を出たのなら実家でゆっくりしろよと思うも、ここには友人がいるからと友人を優先したらしい。綾人が感動していてちょっと気持ち悪かった。時々差し入れを持ってきたり、飯田さんの料理を運んだり。家に居てもグダグダしてるだけで邪魔だと追い出されていると言う理由も宮下一家との仲が良い証拠だろうと少しだけ羨ましく思う。
本日は帰ってきたら犬が実家に住んでいたと言う犬を連れてやって来た。中々凛々しい顔をした紀州犬(女の子)は雪にも負けない真っ白の親子で、何やら綾人に懐いていて、俺と陸斗はやんちゃな子犬をひたすら遊び倒していた。
「子犬何て初めて触るし」
子犬と言うにはちょっと大きく育ちすぎてるがまだ抱っこが出来るサイズ。陸斗と俺は最初こそおっかなびっくりだったもののもなかと名付けられた子犬様は綾人が持って来た鹿肉のジャーキーを訓練のご褒美と一生懸命頬張っていた。ちなみにこれは綾人がお願いして飯田さんに作ってもらったと言う。離れにある竈オーブンの火を落すタイミングで作った干し肉だとか。
「薄くスライスして後は乾燥させただけです。燻製と同じ要領ですね。ただし味付けはしてないので美味しくないですよ?」
食べようとした圭斗の手は一瞬止まったけど、そのまま物は試しと口へと入れて……
「まっず……」
「犬用だから美味くないに決まってるだろ」
呆れた顔をする綾人だけど
「安心してください。綾人さんも同じ感想なので間違いないです」
一見美味しそうに見えるのにとふてくされて見せる様子は既に経験したからこその物。お前も食べてみろと渡されて口にすれば確かに
「まずい……」
獣臭いと思わず残りを母犬のあずきに与えるのだった。だけどあずきはしっぽをはちきれんばかりに振りまくって喜んで食べ、子犬のもなかも頂戴頂戴と言う様にぴょんぴょんと飛び回って強請る様子に綾人はお座りと伏せをさせ手から与えるのだった。
「もなかはともかくあずきは賢い犬だなあ」
「ほんと。もともと猟犬とは言え野良犬だったとは思えないよね」
そんな宮下の言葉に俺は驚く。
「え?こんな毛並みも躾もしっかりした犬が野良犬なのか?ドッグトレーニングも受けてるはずだろ?」
蓮司は立ち上がってあずきの名前を呼んだあと右足を叩けばすぐに右足の横にやってきて次の命令を待つように見上げていた。
「ほら、凄く賢い子だぞ」
と伏せをさせて鹿肉を上げるのだった。
「すげー犬使いが居た」
驚く飼い主の息子に
「いや、フツーな一般知識だろ」
「東京じゃ大型犬は躾けないとすぐ虐待だって通報されるからな」
「そこまでオーバーな事はありませんよ」
俺が宮下に驚かすも飯田によって訂正されてしまう。
だけどだ。
「猟で帰り道に犬を捨てて行くって最低だよな」
伏せるあずきの横にしゃがみ込んでもふもふと首回りをさすってやればうれしそうに目を細めて仲間と認めてかこの手を舐めていた。
「まぁ、帰る時飯田さんに毎年もてあます鹿肉で作ってもらったジャーキー持って帰ってよ。おやつにどうぞって、骨も一緒に持ってってくれ」
「うん。おやつに貰って帰る」
その横で飯田が少し寂しそうな顔をしていたのを誰もが全力で見ないふりをするのは笑うしかない。どう見ても料理をさせてくれと訴えている視線に誰もが全力で視線を反らせるが
「そういや鹿肉のタルタルステーキって言うの食べてみたい。そう言うのって作れるの?」
飯田さんの腕を全部理解してないただの料理好きの人だと思ってる蓮司は冷凍した鹿肉でも出来るの?と聞くが
「ええ、できますよ。安全の為に野生の肉は一度凍らして寄生虫対策するだけなので。俺は仕事柄生肉は食べませんが、綾人さんはレバ刺しなどガッツリ食べてもらってますので度胸次第ですよ?」
「あ、俺レバ刺し全然行けます」
「さすが多紀さんのお気に入り。怪しい物ガッツリ食べれますね」
飯田さんの判断なんかおかしくね?なんて思うもそこは黙っておこう。通と言えばそれまでなのだが、人脈の広い多紀さんだけにこう言った食べる所が限定される物は一通り嗜んでいるので料理のし甲斐があるとただ食べさせたいだけの俺達とは違って盛り上がっていたのに少しジェラシーを覚えた物の東京に居た時の俺にはそう言った財力もなくジャンクフードとインスタントをこよなく愛するどこにでもいる都会の子供だった事を思いだした。それが何でスローフードを愛する大人に変化したのかとそればかりは環境に適応しただけ。何で田舎に移住した人がピザ釜を作りたがる理由だってそこがピザの配達エリア内から外れてるという理由だと疑っているし、そもそもピザ釜何て使ったら隣近所から顰蹙を買いまくるだろう。そのくせ分けて貰ったら黙る癖にと鼻で笑う。だけど妙に気合の入ってる飯田さんにビビる蓮司に俺達はほっこりしつつも陸斗もレバ刺しと聞いてごくりと息を飲んでいた。
圭斗君ごめんなさい。
この山奥に住んでいて未だにレバ刺しを食べた事がないと言う陸斗にレバ刺しの美味さを教えたのは俺です。好みが分かれてどうだろうかと思ったけどまさかここまで嵌るとは思っていませんでした。なので睨まないでくださいとお昼はガッツリレバニラ定食を頼むも何故かがっかりした残念な子を見る目を向けられる意味が俺には分かりません。
蓮司はこの陸斗って子が良い奴でほんと可愛い弟分で仕方がないと言うのがこの数日での癒しとなった。俺とは違い本当に素直な子で今時こんな良い子がいるのかと、飯田さんにくっついて薪割の手伝いをレクチャーしてもらった時に聞いた話が、兄貴の圭斗共々、もう一人姉がいるが親に虐待して育ったために反抗を一切許して貰えなかったと言う。何で圭斗が守ってやらなかったんだよと思うも、金銭的な虐待も受けていたようで、学校の授業料や制服代などと言った物の購入費を稼ぐために家を出たと言う選択だった。愕然とするも妹の方も性的な虐待からも逃げる為に家を出て、残された陸斗がひたすら二人が迎えに来る日を待っていたと言う忍耐の生活だったと言う。詳しくは話してくれないのは当然だが、そう言った生い立ちと聞けば綾人ではなくても甘やかしたくなるのは当然だ。そして宮下も知的障害に認定されなかったものの何かあるようで、今は立派な天職と出会って日々楽しく仕事にのめり込んでいると言う。なんだかわけありの人が多すぎて思わず飯田さんを見上げれば
「俺ですか?俺は、まぁ、結婚を意識した相手にこっぴどく振られて傷ついた心を癒しに来てるだけです。まぁ、今は目的も変ってここの竈オーブンで自分に挑戦の途中ですね」
周囲は雪に囲まれて氷点下を切っている環境なのに斧を振りおろし続ける体は熱いを通り越し、Tシャツ一枚で汗だくになり息を切らせながら少しだけコツを掴んだ薪割を既に何時間だろうか格闘していた。飯田さんは丸太を切りやすいように切り落としたり、割れた薪を乾燥させるために軒下に運んだりと分業作業の為に涼しい顔をしている。宮下と陸斗は烏骨鶏の鳥小屋掃除をしていて、圭斗と綾人は何やら烏骨鶏ハウスの二階を掃除していると言う。何やら企んでいるみたいだけどそんなよそごとに気を取られていたら振り下ろした斧で自分の足を切り落としそうなので集中集中と自分に言い聞かせる。
圭斗と陸斗はまるでここが実家だと言わんばかりに寛いでいたが、宮下はスキーを担いで実家とここを行ったり来たり。就職して家を出たのなら実家でゆっくりしろよと思うも、ここには友人がいるからと友人を優先したらしい。綾人が感動していてちょっと気持ち悪かった。時々差し入れを持ってきたり、飯田さんの料理を運んだり。家に居てもグダグダしてるだけで邪魔だと追い出されていると言う理由も宮下一家との仲が良い証拠だろうと少しだけ羨ましく思う。
本日は帰ってきたら犬が実家に住んでいたと言う犬を連れてやって来た。中々凛々しい顔をした紀州犬(女の子)は雪にも負けない真っ白の親子で、何やら綾人に懐いていて、俺と陸斗はやんちゃな子犬をひたすら遊び倒していた。
「子犬何て初めて触るし」
子犬と言うにはちょっと大きく育ちすぎてるがまだ抱っこが出来るサイズ。陸斗と俺は最初こそおっかなびっくりだったもののもなかと名付けられた子犬様は綾人が持って来た鹿肉のジャーキーを訓練のご褒美と一生懸命頬張っていた。ちなみにこれは綾人がお願いして飯田さんに作ってもらったと言う。離れにある竈オーブンの火を落すタイミングで作った干し肉だとか。
「薄くスライスして後は乾燥させただけです。燻製と同じ要領ですね。ただし味付けはしてないので美味しくないですよ?」
食べようとした圭斗の手は一瞬止まったけど、そのまま物は試しと口へと入れて……
「まっず……」
「犬用だから美味くないに決まってるだろ」
呆れた顔をする綾人だけど
「安心してください。綾人さんも同じ感想なので間違いないです」
一見美味しそうに見えるのにとふてくされて見せる様子は既に経験したからこその物。お前も食べてみろと渡されて口にすれば確かに
「まずい……」
獣臭いと思わず残りを母犬のあずきに与えるのだった。だけどあずきはしっぽをはちきれんばかりに振りまくって喜んで食べ、子犬のもなかも頂戴頂戴と言う様にぴょんぴょんと飛び回って強請る様子に綾人はお座りと伏せをさせ手から与えるのだった。
「もなかはともかくあずきは賢い犬だなあ」
「ほんと。もともと猟犬とは言え野良犬だったとは思えないよね」
そんな宮下の言葉に俺は驚く。
「え?こんな毛並みも躾もしっかりした犬が野良犬なのか?ドッグトレーニングも受けてるはずだろ?」
蓮司は立ち上がってあずきの名前を呼んだあと右足を叩けばすぐに右足の横にやってきて次の命令を待つように見上げていた。
「ほら、凄く賢い子だぞ」
と伏せをさせて鹿肉を上げるのだった。
「すげー犬使いが居た」
驚く飼い主の息子に
「いや、フツーな一般知識だろ」
「東京じゃ大型犬は躾けないとすぐ虐待だって通報されるからな」
「そこまでオーバーな事はありませんよ」
俺が宮下に驚かすも飯田によって訂正されてしまう。
だけどだ。
「猟で帰り道に犬を捨てて行くって最低だよな」
伏せるあずきの横にしゃがみ込んでもふもふと首回りをさすってやればうれしそうに目を細めて仲間と認めてかこの手を舐めていた。
「まぁ、帰る時飯田さんに毎年もてあます鹿肉で作ってもらったジャーキー持って帰ってよ。おやつにどうぞって、骨も一緒に持ってってくれ」
「うん。おやつに貰って帰る」
その横で飯田が少し寂しそうな顔をしていたのを誰もが全力で見ないふりをするのは笑うしかない。どう見ても料理をさせてくれと訴えている視線に誰もが全力で視線を反らせるが
「そういや鹿肉のタルタルステーキって言うの食べてみたい。そう言うのって作れるの?」
飯田さんの腕を全部理解してないただの料理好きの人だと思ってる蓮司は冷凍した鹿肉でも出来るの?と聞くが
「ええ、できますよ。安全の為に野生の肉は一度凍らして寄生虫対策するだけなので。俺は仕事柄生肉は食べませんが、綾人さんはレバ刺しなどガッツリ食べてもらってますので度胸次第ですよ?」
「あ、俺レバ刺し全然行けます」
「さすが多紀さんのお気に入り。怪しい物ガッツリ食べれますね」
飯田さんの判断なんかおかしくね?なんて思うもそこは黙っておこう。通と言えばそれまでなのだが、人脈の広い多紀さんだけにこう言った食べる所が限定される物は一通り嗜んでいるので料理のし甲斐があるとただ食べさせたいだけの俺達とは違って盛り上がっていたのに少しジェラシーを覚えた物の東京に居た時の俺にはそう言った財力もなくジャンクフードとインスタントをこよなく愛するどこにでもいる都会の子供だった事を思いだした。それが何でスローフードを愛する大人に変化したのかとそればかりは環境に適応しただけ。何で田舎に移住した人がピザ釜を作りたがる理由だってそこがピザの配達エリア内から外れてるという理由だと疑っているし、そもそもピザ釜何て使ったら隣近所から顰蹙を買いまくるだろう。そのくせ分けて貰ったら黙る癖にと鼻で笑う。だけど妙に気合の入ってる飯田さんにビビる蓮司に俺達はほっこりしつつも陸斗もレバ刺しと聞いてごくりと息を飲んでいた。
圭斗君ごめんなさい。
この山奥に住んでいて未だにレバ刺しを食べた事がないと言う陸斗にレバ刺しの美味さを教えたのは俺です。好みが分かれてどうだろうかと思ったけどまさかここまで嵌るとは思っていませんでした。なので睨まないでくださいとお昼はガッツリレバニラ定食を頼むも何故かがっかりした残念な子を見る目を向けられる意味が俺には分かりません。
蓮司はこの陸斗って子が良い奴でほんと可愛い弟分で仕方がないと言うのがこの数日での癒しとなった。俺とは違い本当に素直な子で今時こんな良い子がいるのかと、飯田さんにくっついて薪割の手伝いをレクチャーしてもらった時に聞いた話が、兄貴の圭斗共々、もう一人姉がいるが親に虐待して育ったために反抗を一切許して貰えなかったと言う。何で圭斗が守ってやらなかったんだよと思うも、金銭的な虐待も受けていたようで、学校の授業料や制服代などと言った物の購入費を稼ぐために家を出たと言う選択だった。愕然とするも妹の方も性的な虐待からも逃げる為に家を出て、残された陸斗がひたすら二人が迎えに来る日を待っていたと言う忍耐の生活だったと言う。詳しくは話してくれないのは当然だが、そう言った生い立ちと聞けば綾人ではなくても甘やかしたくなるのは当然だ。そして宮下も知的障害に認定されなかったものの何かあるようで、今は立派な天職と出会って日々楽しく仕事にのめり込んでいると言う。なんだかわけありの人が多すぎて思わず飯田さんを見上げれば
「俺ですか?俺は、まぁ、結婚を意識した相手にこっぴどく振られて傷ついた心を癒しに来てるだけです。まぁ、今は目的も変ってここの竈オーブンで自分に挑戦の途中ですね」
周囲は雪に囲まれて氷点下を切っている環境なのに斧を振りおろし続ける体は熱いを通り越し、Tシャツ一枚で汗だくになり息を切らせながら少しだけコツを掴んだ薪割を既に何時間だろうか格闘していた。飯田さんは丸太を切りやすいように切り落としたり、割れた薪を乾燥させるために軒下に運んだりと分業作業の為に涼しい顔をしている。宮下と陸斗は烏骨鶏の鳥小屋掃除をしていて、圭斗と綾人は何やら烏骨鶏ハウスの二階を掃除していると言う。何やら企んでいるみたいだけどそんなよそごとに気を取られていたら振り下ろした斧で自分の足を切り落としそうなので集中集中と自分に言い聞かせる。
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