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春は遠いよどこまでも 11
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食後のお茶を飲みながら綾人は飯田に体調が悪くて今日は圭斗の家に泊まっていると連絡をしていた。
すぐに青山から仕事中だからと代わりに連絡が来たが、先生も代打で理由ともうご飯もしっかりと食べて薬も飲んで後は寝るだけと返し、その内容から今週は飯田はこっちに来ることは取りやめとなったことを本人達を無視して決定となった。美味しいご飯が食べれないのが非常に残念だなと思う綾人だが、飯田は我が子の如く可愛がってる竈オーブンのお世話ができない事を子供のような顔でショックを受けているだろう姿を想像してくつくつと笑ってしまう。
先生はいつの間にかゴロリと横になってテレビを見て笑い、陸斗は理科部の奴らに俺の弱った写真を送り付けるという心配からの暴挙をして下さっていた。おかげでスマホの画面がさっきから賑やかなお知らせが届いて鬱陶しい。
先生と一緒にゴロリとなればそのまま意識が遠くなって行き
「今は寝て脳を休ませるのが一番の治療方だ。何も考えずに寝ていろ」
逆に何も考えないというのは無理だなと、考えるのを止めないというように今日一日の事を振り返りながら坊主の読経の無限ループに陥ったところでやっと寝るのだった。
おかげで悪夢を見て、体が休まれば素晴らしい精度を誇る体内時計でいつもの時間に目を覚ましていた。
烏骨鶏でさえまだ寝ている午前五時。外は真っ暗だが起き抜けのルーティンのようにトイレに立てば、すぐ隣で先生が寝ていた。
先生も泊まったんだとそっと起きてトイレへと向かえば寝起きの掠れた声が
「何時だ?」
「五時ぐらい」
数分の誤差までは面倒を見ない。
「トイレか?」
「あと喉乾いた」
水を飲んで来ると言えばむくりと起きる気配。無視してトイレに行った後台所に向かえば勝手にストーブをつけてポットで白湯を用意してくれた先生がいて徐におでこに手を伸ばしてきた。
「熱はもうないな」
「鍋の効果は抜群でした」
久しぶりのふんだんな魚介類に上がったテンションに熱もドン引きでどこかへと消えていっていた。
「先生は帰らなくって良かったの?」
「まあ、このまま学校に行くわけにいかないから一度着替えに帰るさ」
寝癖もひげも酷くて風呂も必要だなと笑ってやる。
白湯を半分ぐらい飲んだ所で
「二人とも早いな」
「起こしたか?」
「いや、ぼちぼち起きる時間」
そう言う様に暫くもしないうちに二階から陸斗の階段から降りてくる音が聞こえるのだった。
「早起きだなあ」
俺には言われたくないだろうが
「お掃除したりお弁当作ったりするとどうしても早起きしないといけないので」
えへへと言う様にまだ暗いと言うのに洗濯機を回していた。軒下でも縁側でも倉庫でも干せる余裕のある家なので雨や雪に当るような問題がないのでその天気ごとに場所を変えてる様子はまめだなあと感心してしまう。
ほとんどの部屋をフローリングに変えてしまったので掃除は簡単に終えてしまうも玄関はちゃんと箒で掃く音がなんだか懐かしく思うのだった。
夏休みに陸斗を預かっていた短い期間。あの時もこうやって箒で畳だらけの部屋と広い土間を掃いてくれていたことを思い出すも外のゴミ箱にゴミを捨てに行った陸斗が驚きを隠せない、だけど嬉しそうな顔で家の中に飛び込んできた。
何があったかと思うも陸斗の背後からひょいと家の中を覗く長身の男。
薄暗い玄関の灯りの中でも朝にふさわしい爽やかな笑顔で
「おはようございます。綾人さんが熱を出されたと聞いてお見舞いに来ました」
まだ外は真っ暗な世界での訪問に先生も圭斗も慌てて玄関に飛び出してきたものの
「朝早くからお邪魔します。これお見舞いにくる途中で買ってきたものです。よろしかったら食べてください」
どう見ても見慣れた飯田さんの職場のケーキの箱だった。
「ありがとうって言うかさ飯田さん。いつ来たの……」
庭に止めてある駐車場に泊まる車の気配はついぞ気づかなかった。
「つい先ほどです。あまり早く伺うのも何でしたので少し待たせて貰いましたが陸斗君が出てきてみえたのでお邪魔しても良ろしいかと思いまして」
訪問には非常識な時間帯だが、この時間帯に活動している俺たちが言えるわけもなく
「陸斗君、うちのパティシエがバレンタインのお菓子を用意してくれたのでどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
箱に詰められたものは匂いからクッキーだろうか。
「圭ちゃん、バレンタインで初めてもらった」
「良かったな。大切に食べろよ」
「うん!」
これはバレンタインで良いのかと思うも本人が喜んでいるので何もいうまいという感じだろうか。いや、それより初めてというフレーズに生みの親は何をしているのか?!いや、何もしなかったのか?!と大切そうに箱を抱える陸斗を良かったなーと言いつつも産みの親に腹を立ててしまうのは仕方が無いだろう。むしろ土用の丑の鰻とかクリスマスとか子供が体験するべきことをなぜ教えないと、まだ体験した事のある俺の方がマシなのかと不幸比べなんてするものじゃないのは分かっていても自分と比べて愕然としてしまう。
「飯田さん、三月の初め頃にひな祭りの何かお料理お願いしても良いかな?」
「奇遇ですね。俺も何かしなくちゃと思っていたところです。ちらし寿司に蛤のお吸い物、おやつに雛あられなんて定番で攻めてみたいですね」
俺のいわんとすることを理解してくれる飯田さんとガシッと握手を組み交わせば何やら先生の白い目線。
陸斗のためだ!
そんな馬鹿にした目で見るな!!!
「先生には後日お稲荷にしてお届けしましょう」
飯田さんの反撃が始まった。
「いや、ふつーに食いに来るから」
先生には効果は薄かったようだ。
「あまり生徒の家にチョロチョロするのは問題でしょう」
なんて嫌味も
「そこは大丈夫。元々こいつらの家には教育的指導でしょっちゅう出入りしてたから学校側も何もいわなくなったぞ」
それはそれで大問題のような気もする。
「なあ綾人、飯田さんとセンセーってほんと仲悪いな」
こそりと圭斗の耳打ちに黙ってうなづくも
「宮下曰く同属嫌悪らしいから放っておくのが一番だとさ」
どの辺が同属なんだかと呆れる綾人に圭斗は目を逸らした。
親の心子知らずとはいうが、これだけ心配性のお父さんが二人もいても何も心に響いてない綾人の鉄壁の防御は筋金入りだと逆に感心さえしてしまうも
「ちょっと甘めのお稲荷さんって美味しいよね」
箱を抱えたままの陸斗がほんわかと口にするのを聞いて
「揚げはあります?ご飯炊いてる匂いがするのでお酢と砂糖があれば合わせてすぐに準備しますよ?ああ、お弁当に持っていくのも良いですよね」
そんな提案に陸斗の口の端から涎がじゅるりと垂れた。
「お揚げは昨日おつとめ品がいっぱいあったから買い溜めしたやつでも良いですか?」
「十分です。じゃあお野菜刻んで味付けしましょう。陸斗君台所に案内してください」
「はい!お願いします!」
すっかり飯田に餌付けられている陸斗は早速案内をして台所を紹介すれば飯田の手慣れた調理によって朝から田舎風でも華やかなちらし寿司とちらし寿司のアレンジメニューでお弁当用のお稲荷さんを用意してみせるのだった。
もちろんそこには先生と圭斗の分もあり、さっきまでいがみ合っていた先生も少し嬉しそうにお弁当を覗いている。
「んー、でもなんか忘れているような」
同じ味だと飽きるだろうからと綾人の家から来た野沢菜漬けを刻んだお稲荷を口に運びながら
「そういや蓮司の奴放って置いて大丈夫か?」
それだ。
口には出さなかったものの人の家で一晩のお留守番とはいえ大丈夫だろうかと不安は膨らんでいき
「圭斗、悪いが俺家に帰るわ」
「そうしてやれ」
「なら俺は台所を片付けてからお伺いしますね」
「ちゃっかり遊びに行くんだな」
「スーパーも開いてる時間なので。陸斗君は学校にいく時間大丈夫ですか?」
「まだ早いので大丈夫です」
まだ七時にもなってない。
「って言うか先生は一度着替えに戻れよ」
圭斗の言葉に一時間あれば楽勝と言いつつもご馳走様と言って飯田の弁当をしっかり持って先に出るあたり先生の人間性が心配になるが
「圭斗悪いな。いきなり来て世話かけて」
一応反省をしておく、
「何、困った時はお互い様。俺の方が沢山面倒をかけてる自信はあるから。こういう時は遠慮しないで頼ってくれ」
少し恥ずかしげに言って見せた言葉に綾人も照れてしまう。
「じゃあ、また仕事が休みの時に遊びに来いよ」
「おう、雪かきのバイトぐらい任せろ」
そんな挨拶をして服はかりっぱなしだけど今度返す約束で一人山奥の家に取り残された蓮司のお土産にコンビニスイーツを全種類用意して帰るのだった。
すぐに青山から仕事中だからと代わりに連絡が来たが、先生も代打で理由ともうご飯もしっかりと食べて薬も飲んで後は寝るだけと返し、その内容から今週は飯田はこっちに来ることは取りやめとなったことを本人達を無視して決定となった。美味しいご飯が食べれないのが非常に残念だなと思う綾人だが、飯田は我が子の如く可愛がってる竈オーブンのお世話ができない事を子供のような顔でショックを受けているだろう姿を想像してくつくつと笑ってしまう。
先生はいつの間にかゴロリと横になってテレビを見て笑い、陸斗は理科部の奴らに俺の弱った写真を送り付けるという心配からの暴挙をして下さっていた。おかげでスマホの画面がさっきから賑やかなお知らせが届いて鬱陶しい。
先生と一緒にゴロリとなればそのまま意識が遠くなって行き
「今は寝て脳を休ませるのが一番の治療方だ。何も考えずに寝ていろ」
逆に何も考えないというのは無理だなと、考えるのを止めないというように今日一日の事を振り返りながら坊主の読経の無限ループに陥ったところでやっと寝るのだった。
おかげで悪夢を見て、体が休まれば素晴らしい精度を誇る体内時計でいつもの時間に目を覚ましていた。
烏骨鶏でさえまだ寝ている午前五時。外は真っ暗だが起き抜けのルーティンのようにトイレに立てば、すぐ隣で先生が寝ていた。
先生も泊まったんだとそっと起きてトイレへと向かえば寝起きの掠れた声が
「何時だ?」
「五時ぐらい」
数分の誤差までは面倒を見ない。
「トイレか?」
「あと喉乾いた」
水を飲んで来ると言えばむくりと起きる気配。無視してトイレに行った後台所に向かえば勝手にストーブをつけてポットで白湯を用意してくれた先生がいて徐におでこに手を伸ばしてきた。
「熱はもうないな」
「鍋の効果は抜群でした」
久しぶりのふんだんな魚介類に上がったテンションに熱もドン引きでどこかへと消えていっていた。
「先生は帰らなくって良かったの?」
「まあ、このまま学校に行くわけにいかないから一度着替えに帰るさ」
寝癖もひげも酷くて風呂も必要だなと笑ってやる。
白湯を半分ぐらい飲んだ所で
「二人とも早いな」
「起こしたか?」
「いや、ぼちぼち起きる時間」
そう言う様に暫くもしないうちに二階から陸斗の階段から降りてくる音が聞こえるのだった。
「早起きだなあ」
俺には言われたくないだろうが
「お掃除したりお弁当作ったりするとどうしても早起きしないといけないので」
えへへと言う様にまだ暗いと言うのに洗濯機を回していた。軒下でも縁側でも倉庫でも干せる余裕のある家なので雨や雪に当るような問題がないのでその天気ごとに場所を変えてる様子はまめだなあと感心してしまう。
ほとんどの部屋をフローリングに変えてしまったので掃除は簡単に終えてしまうも玄関はちゃんと箒で掃く音がなんだか懐かしく思うのだった。
夏休みに陸斗を預かっていた短い期間。あの時もこうやって箒で畳だらけの部屋と広い土間を掃いてくれていたことを思い出すも外のゴミ箱にゴミを捨てに行った陸斗が驚きを隠せない、だけど嬉しそうな顔で家の中に飛び込んできた。
何があったかと思うも陸斗の背後からひょいと家の中を覗く長身の男。
薄暗い玄関の灯りの中でも朝にふさわしい爽やかな笑顔で
「おはようございます。綾人さんが熱を出されたと聞いてお見舞いに来ました」
まだ外は真っ暗な世界での訪問に先生も圭斗も慌てて玄関に飛び出してきたものの
「朝早くからお邪魔します。これお見舞いにくる途中で買ってきたものです。よろしかったら食べてください」
どう見ても見慣れた飯田さんの職場のケーキの箱だった。
「ありがとうって言うかさ飯田さん。いつ来たの……」
庭に止めてある駐車場に泊まる車の気配はついぞ気づかなかった。
「つい先ほどです。あまり早く伺うのも何でしたので少し待たせて貰いましたが陸斗君が出てきてみえたのでお邪魔しても良ろしいかと思いまして」
訪問には非常識な時間帯だが、この時間帯に活動している俺たちが言えるわけもなく
「陸斗君、うちのパティシエがバレンタインのお菓子を用意してくれたのでどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
箱に詰められたものは匂いからクッキーだろうか。
「圭ちゃん、バレンタインで初めてもらった」
「良かったな。大切に食べろよ」
「うん!」
これはバレンタインで良いのかと思うも本人が喜んでいるので何もいうまいという感じだろうか。いや、それより初めてというフレーズに生みの親は何をしているのか?!いや、何もしなかったのか?!と大切そうに箱を抱える陸斗を良かったなーと言いつつも産みの親に腹を立ててしまうのは仕方が無いだろう。むしろ土用の丑の鰻とかクリスマスとか子供が体験するべきことをなぜ教えないと、まだ体験した事のある俺の方がマシなのかと不幸比べなんてするものじゃないのは分かっていても自分と比べて愕然としてしまう。
「飯田さん、三月の初め頃にひな祭りの何かお料理お願いしても良いかな?」
「奇遇ですね。俺も何かしなくちゃと思っていたところです。ちらし寿司に蛤のお吸い物、おやつに雛あられなんて定番で攻めてみたいですね」
俺のいわんとすることを理解してくれる飯田さんとガシッと握手を組み交わせば何やら先生の白い目線。
陸斗のためだ!
そんな馬鹿にした目で見るな!!!
「先生には後日お稲荷にしてお届けしましょう」
飯田さんの反撃が始まった。
「いや、ふつーに食いに来るから」
先生には効果は薄かったようだ。
「あまり生徒の家にチョロチョロするのは問題でしょう」
なんて嫌味も
「そこは大丈夫。元々こいつらの家には教育的指導でしょっちゅう出入りしてたから学校側も何もいわなくなったぞ」
それはそれで大問題のような気もする。
「なあ綾人、飯田さんとセンセーってほんと仲悪いな」
こそりと圭斗の耳打ちに黙ってうなづくも
「宮下曰く同属嫌悪らしいから放っておくのが一番だとさ」
どの辺が同属なんだかと呆れる綾人に圭斗は目を逸らした。
親の心子知らずとはいうが、これだけ心配性のお父さんが二人もいても何も心に響いてない綾人の鉄壁の防御は筋金入りだと逆に感心さえしてしまうも
「ちょっと甘めのお稲荷さんって美味しいよね」
箱を抱えたままの陸斗がほんわかと口にするのを聞いて
「揚げはあります?ご飯炊いてる匂いがするのでお酢と砂糖があれば合わせてすぐに準備しますよ?ああ、お弁当に持っていくのも良いですよね」
そんな提案に陸斗の口の端から涎がじゅるりと垂れた。
「お揚げは昨日おつとめ品がいっぱいあったから買い溜めしたやつでも良いですか?」
「十分です。じゃあお野菜刻んで味付けしましょう。陸斗君台所に案内してください」
「はい!お願いします!」
すっかり飯田に餌付けられている陸斗は早速案内をして台所を紹介すれば飯田の手慣れた調理によって朝から田舎風でも華やかなちらし寿司とちらし寿司のアレンジメニューでお弁当用のお稲荷さんを用意してみせるのだった。
もちろんそこには先生と圭斗の分もあり、さっきまでいがみ合っていた先生も少し嬉しそうにお弁当を覗いている。
「んー、でもなんか忘れているような」
同じ味だと飽きるだろうからと綾人の家から来た野沢菜漬けを刻んだお稲荷を口に運びながら
「そういや蓮司の奴放って置いて大丈夫か?」
それだ。
口には出さなかったものの人の家で一晩のお留守番とはいえ大丈夫だろうかと不安は膨らんでいき
「圭斗、悪いが俺家に帰るわ」
「そうしてやれ」
「なら俺は台所を片付けてからお伺いしますね」
「ちゃっかり遊びに行くんだな」
「スーパーも開いてる時間なので。陸斗君は学校にいく時間大丈夫ですか?」
「まだ早いので大丈夫です」
まだ七時にもなってない。
「って言うか先生は一度着替えに戻れよ」
圭斗の言葉に一時間あれば楽勝と言いつつもご馳走様と言って飯田の弁当をしっかり持って先に出るあたり先生の人間性が心配になるが
「圭斗悪いな。いきなり来て世話かけて」
一応反省をしておく、
「何、困った時はお互い様。俺の方が沢山面倒をかけてる自信はあるから。こういう時は遠慮しないで頼ってくれ」
少し恥ずかしげに言って見せた言葉に綾人も照れてしまう。
「じゃあ、また仕事が休みの時に遊びに来いよ」
「おう、雪かきのバイトぐらい任せろ」
そんな挨拶をして服はかりっぱなしだけど今度返す約束で一人山奥の家に取り残された蓮司のお土産にコンビニスイーツを全種類用意して帰るのだった。
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