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恵みの雨が来る前に 5

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 簡単肉なし卵丼をどんぶりで食べるも山ほどよそったご飯はまだまだ残ってて、この話の展開は消化に悪い非常に痛いたい流れだ。
 寧ろ高校生が全員がチェーンソーやら電気のこぎりを使いこなす集団こそ何なんだと思うも思い出しついでに
「村道沿いの放置してた畑の草刈りまでしてもらってありがとうございます」
「いやいや、持ち主に寒根蔓の草刈り許可を貰ってこっちこそ有り難い。
 知人で山羊を飼ってる奴が何時も羨ましそうにしてたからな。堂々と貰えてほんと有り難い」
 その話までは知らない。
「前田の家か?」
 大矢さんがこの辺で山羊飼ってる奴と言えばと言う様に空を見上げて他に誰かいたかと考えてれば
「おう、前田の奴だ。
 あそこも畑が広いし膝を痛めて畑を辞めた時に草刈りにって山羊を飼ったんだが、あいつらの食欲が半端なくてな。
 竹の葉っぱも雑草もみんな運んでやったら感謝されてるぞ」
「まぁ、草を燃すより安全ですね」
 人にやらせっぱなしはどうかと思う前に俺はその前田さんを知らない。なんかトラブル臭漂うな、せめて前もって一言言ってよと思って顔を顰めていれば
「水野の、前田に餌をやるのはほどほどにしておけよ」
 長谷川さんが気付いてか先に一言言ってくれた。
「おぅ、既に次はまだかって言われた時点でいい加減にしろって言っておいた。
 ここはうちの畑でもないしお前の畑でもない。草刈りは頼まれて仕事としてやっている事だから調子に乗るなって言ってはある」
 ほら、既に面倒な事になっていた。
「だからもうあいつの所には行って無からな」
 それは当然ですと頷くもおかずのないタレが沁み込んだご飯を眺めて
「ガードレールが隠れないうちに草刈りに行かないとな」
 今年は下の畑を何とかしないとと思ってただけにうんざりとしてしまう。いや、皆様の安全の為に畑よりも優先度は高いと明日にもいかないとと予定を組めば
「だったらうちの若いのにさせればいい。うちも草刈りの仕事引き受けてるから構わないぞ」
 だから園芸部が居るのかと遠藤の存在に納得してしまった。というかだ。
「草刈やってくれるなんて知らなかった。知ってたらちゃんと定期的に依頼してお願いするんだったのに!」
 家の周りは何とかなったが飛び地の場所は見ないふりしていてお寺さんの檀家の奥様方に小言を貰ったりして俺の心に負ったダメージは何だったのだと思えば
「何だったら今のうちに場所さえ教えてくれれば1反一万円を基本料金にしてゴミ処理代を追加と言う形で請け負いますぞ?」
 健太郎さんがタブレットを取り出して来て料金表を見せてくれた。
 1反が10アールで、300坪。
 営業上手だなと感心しながら見せてくれた地図を見ながら場所を指定する。
 一つ、二つと赤色でマーキングをしながら六つ、七つと増えて行く場所に顔を青くしていく。
「悪いね、ちょこちょこ小さい土地がまばらにあって大変だけど、ここの柵が終わってからで十分だからお願いしますね」
 この山の畑を覗く下の街までの飛び地は合わせて十七。
 大なり小なりといろいろな大きさもあり、小さい場所でも都会サイズの一軒の家が建つ広さはある。
「これだけをずっと遊ばせていたのか?」
 呆れる健太郎さんはもったいないという。うん。だから木を一本だけ植えてるんだけどねと税金対策はしているつもりだ。
「ジイちゃんのコレクションを知ったのはバアちゃんが死んだ後だったから。まず売っても買い手のない土地だしねー。バアちゃんの知り合いの沢村さんから樋口さんを紹介してもらって義務的な管理はお願いしてるんだー」
 草刈りはしなくても納税義務が発生するのでその管理を毎年お願いしている。安い仕事だろうと思った物のこの量に給料の値上げ交渉をされたのは仕方がないだろう。
 石原や遠藤達もここ知ってると言う位放置していた土地はジイちゃんが死んだ後から続いている。
 ほら、バアちゃん車乗れないからね。
 気軽に商談を持ちかけた健太郎さんも空笑いを零しながらも面積を計算して柵の仕事が終わったらこれをやるのかと言う皆さんはウンザリと笑みをこぼしていた。
「まぁ、年に二度ほどよろしくお願いします?あ、優先度は低くていいので他のお仕事の依頼が在ればそちらを優先してください」
 もともと十年近く放置してたのだ。今更感もあるし、お金で解決するなら万々歳だとサクッとお願いしてサクッと仕事を引き受けてくれた理由はあまり仕事がないからと見て良いだろう。柵を作って草を刈って何て何でも屋のような仕事をしている所以はこんな所だろうか。
 まあ、圭斗達には山の仕事をしてもらうしと山以外の土地はこれから長谷川さん達に任そうと決めるのだった。さすがに全部を圭斗に押し付ける事も出来ないしね。
 そんな感じで話がまとまって明日ちゃんと見積書を作って持ってくると約束して午後の仕事が始まるのだった。




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