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山の日常、これぞ日常 2
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かこーん、かこーん……
どこからともなく聞こえる薪割の音で目が覚める朝の五時。
時計を見て呆然とする。
「お、俺が寝坊だと……」
ふらふらと起きて真夏だと言うのに囲炉裏から香ばしい匂いを纏う煙がゆらゆらと立ち昇るのを見て
「やっと起きたか。
三十過ぎて丸一日爆睡とはまだまだ若いな」
先生がいい感じに焼き上げた虹鱒をぼんやりと見ながら無意識に手にしていたスマホで時間を見る。
朝の五時ちょっと過ぎた所。
朝食に虹鱒か……
なんという朝食かと思うも思わず眉間を寄せてしまう。
「ガチ日付がおかしいんだけど……」
「だーかーらー、丸一日寝てたんだって。
シェフの奴も起きないからってもう帰って行ったし、残りの奴らはお盆の間居座る気満々だから勝手に色んな事やってるぞ。あ、一樹は家の手伝いに行ってるから居ないけど、幸治も一樹の家に手伝いに行っているぞ」
坊主の中で何の手伝いがあるのかと思うもそれなりに仲の良い友達だから坊主以外の人間と接点も取れるようにお手伝いをしているのだとの説明。
重い物を持つ仕事もあるし、修行に来てる人達だけでは足りない事もある。それに前住職の奥さんを中心とした檀家のマダム達もだいぶ高齢になり、境内の掃除はやれても網戸の張替や建付けの修理までは無理だと言う。
いや、普通に無理だから。
あのお寺未だに木枠の窓とかだから。
「長沢さんと言う本職の建具職人が居るけど頼まないのはそう言った修理も坊主の仕事だと言うらしい……
だから建具の修理位は余裕の一樹が手伝いに行ったりとか、あ、別にそのあたりは資格は要らないから宮下の指導の下で教育中だ」
「マジか?」
出世したなーと思いながらも
「じゃあ長沢さんは?」
「第二回の個展に向けて手伝わされてるらしい」
くつくつと笑う。
「手伝わされてるって……」
「奥さんがはりきって第二回の作品展をやりたいとか。目標はお正月に向けてのめでたい感じで?」
「あああ、なんか生きがいを与えちゃったとか……」
「お前んとこの畑から木の皮を剥いでたぞ?」
「ああ、うん。それは俺がいらないから好きに使ってって言ってあるから問題ないよ。良く長沢さんと宮下と大和さんと一緒に取りに来てるはずだよ?」
「長沢夫妻の孫か、羨ましい!」
「っていうか先生、ニコイチハウスで暮してるのに何で知らないの?」
ささやかな疑問に
「奥さんの作業場は自宅の方だからな」
「あ、先生はぶられた」
「草刈り要因にもならないなんて先生寂しい!」
「普通に考えたら休日の先生をこき使うなんて発想は申し訳なくてできないって言う所だろうな」
ふてくされる先生から受け取った虹鱒を食べ終えた所で
「あ、綾人起きた?珍しくよく寝たじゃん」
「おはようございます」
宮下と隣には卵の入った籠を抱えている陸斗がいた。
「それなりに疲れてたみたいでよく寝たよ」
「起きたのなら飯田さんが朝食用意して行ってくれたから食べようか」
「じゃあ先輩達起こしてきます!」
卵を置いてたたたーと離れに向かって走って行く背中を見送りながら
「相変わらず良く働くけど圭斗は?」
「あいつは仕事があるから帰ったぞ。って言うか、顔洗って来い」
寝癖も酷いだろうと思えば
「風呂にざっと入ってくる。
さすがに自分の匂いが辛い」
「そう言いつつちゃっかり虹鱒二匹食べるあたりがお前だよな」
そんな褒め言葉に照れながらも着替えを持って五右衛門風呂に向かう。
「あー、綾っち起きたんだ」
「綾っち言うな。って言うかせいが出るな上島ブラザーズよ」
「綾っちおはよう。勝手に畑弄らせてもらってます」
「綾っち言うな。まぁ、大和さんに支配された畑だから好きに弄ってくれ」
不思議と自分で丹精に作った畑ではないので愛着はない。だけど実った野菜たちに罪はないし、四年間放置されるはずの畑は今も四年前とは変わらぬふかふかの土で雑草もほぼなく休憩所のようにある蜜柑の木も今年もきっとすっぱすぎて口にできない実を付けてくれるのだろう。
まあ、これは烏骨鶏の餌ようだから気にしないけどと外の洗い場で野菜を洗っている横から手を出してトマトを頂く。
「んめえぇぇぇ!!!」
「後で良く冷やした物を出しますね。食べ放題ですよ?」
「やったね!」
なんて言いながらかぶりつき五右衛門風呂へと向かい、文字通りさっと汗を流して出る頃には囲炉裏の部屋には机が並べられて飯田さんの絶対おいしい朝ごはんが机いっぱいに並べられていた。
「あああ、これぞ幸せ……」
「綾っちの幸せって基本綾っちを甘やかしてくれる所にポイントが重くなりますね」
「園田よ綾っち言うな。そんな分析一人暮らしすれば絶対のポイントって言う事ぐらいわかるだろ」
「判りすぎて俺も涙が出そうです。しかも神飯田氏の朝食が食べ放題ですよ?!節約に節約を重ねる大学生活を思えばここ天国ですよ?!」
「節約はしなかったが、神飯田氏の朝食食べ放題は天国だな」
その部分だけは力強く頷いていれば
「ほら、バカな事言ってないでご飯にしよう?」
お味噌汁もご飯もいきわたった所で箸を握りしめて
「いただきまっす!」
気合入れて懐かしの竈ご飯を飯田さん作の水ナスのお漬物で一杯頂いてしまう。
これぞ幸せ。
この為に育ててもらった水ナスの瑞々しさと絶妙な塩梅の糠床の浸かり具合。
「俺はこの為に帰って来た……」
感涙する俺の手からお茶わんを奪い取った宮下はおかわりをよそったお茶わんを俺の手に戻してくれて
「バカな事言ってないで、冷めちゃう前にお味噌汁とか煮物とか食べちゃって」
「うん。オリオールのご飯もおいしいけどやっぱり和食はメイドイン日本の食材に限る」
「当たり前だろ。その土地その味覚に合った調味料で育って来たんだ。いくら取り寄せてもその場で食べる以上の贅沢はないだろう」
もっともな先生の言い分なんて無視して烏骨鶏の卵焼きをうっとりと食べていれば先生が先生凄く良い話したんだから聞いてと縋って来たのを全力で無視。
これだけ美味しいご飯と正面から語り合わずにいる何て事出来ない。
ジイちゃん、バアちゃんが繋いでくれた人の繋がりがこんなおいしいご飯になったよと心の中で開け放たれた襖の奥にある仏壇に向かって語りかける。良かったねと言ってるかどうかなんてわからないけど開け放たれた窓から忍び込んだ風がお線香の煙をくゆらせる様子がまるでよかったねと返事をしてるようで
「ほんと幸せ」
香ばしいおこげの部分を噛みしめながらまだまだ久しぶりすぎて餓えた和食を堪能する時間は当分終わりそうになかった。
そこ、まだ食べるの?片付かないじゃんって顔しないように。
どこからともなく聞こえる薪割の音で目が覚める朝の五時。
時計を見て呆然とする。
「お、俺が寝坊だと……」
ふらふらと起きて真夏だと言うのに囲炉裏から香ばしい匂いを纏う煙がゆらゆらと立ち昇るのを見て
「やっと起きたか。
三十過ぎて丸一日爆睡とはまだまだ若いな」
先生がいい感じに焼き上げた虹鱒をぼんやりと見ながら無意識に手にしていたスマホで時間を見る。
朝の五時ちょっと過ぎた所。
朝食に虹鱒か……
なんという朝食かと思うも思わず眉間を寄せてしまう。
「ガチ日付がおかしいんだけど……」
「だーかーらー、丸一日寝てたんだって。
シェフの奴も起きないからってもう帰って行ったし、残りの奴らはお盆の間居座る気満々だから勝手に色んな事やってるぞ。あ、一樹は家の手伝いに行ってるから居ないけど、幸治も一樹の家に手伝いに行っているぞ」
坊主の中で何の手伝いがあるのかと思うもそれなりに仲の良い友達だから坊主以外の人間と接点も取れるようにお手伝いをしているのだとの説明。
重い物を持つ仕事もあるし、修行に来てる人達だけでは足りない事もある。それに前住職の奥さんを中心とした檀家のマダム達もだいぶ高齢になり、境内の掃除はやれても網戸の張替や建付けの修理までは無理だと言う。
いや、普通に無理だから。
あのお寺未だに木枠の窓とかだから。
「長沢さんと言う本職の建具職人が居るけど頼まないのはそう言った修理も坊主の仕事だと言うらしい……
だから建具の修理位は余裕の一樹が手伝いに行ったりとか、あ、別にそのあたりは資格は要らないから宮下の指導の下で教育中だ」
「マジか?」
出世したなーと思いながらも
「じゃあ長沢さんは?」
「第二回の個展に向けて手伝わされてるらしい」
くつくつと笑う。
「手伝わされてるって……」
「奥さんがはりきって第二回の作品展をやりたいとか。目標はお正月に向けてのめでたい感じで?」
「あああ、なんか生きがいを与えちゃったとか……」
「お前んとこの畑から木の皮を剥いでたぞ?」
「ああ、うん。それは俺がいらないから好きに使ってって言ってあるから問題ないよ。良く長沢さんと宮下と大和さんと一緒に取りに来てるはずだよ?」
「長沢夫妻の孫か、羨ましい!」
「っていうか先生、ニコイチハウスで暮してるのに何で知らないの?」
ささやかな疑問に
「奥さんの作業場は自宅の方だからな」
「あ、先生はぶられた」
「草刈り要因にもならないなんて先生寂しい!」
「普通に考えたら休日の先生をこき使うなんて発想は申し訳なくてできないって言う所だろうな」
ふてくされる先生から受け取った虹鱒を食べ終えた所で
「あ、綾人起きた?珍しくよく寝たじゃん」
「おはようございます」
宮下と隣には卵の入った籠を抱えている陸斗がいた。
「それなりに疲れてたみたいでよく寝たよ」
「起きたのなら飯田さんが朝食用意して行ってくれたから食べようか」
「じゃあ先輩達起こしてきます!」
卵を置いてたたたーと離れに向かって走って行く背中を見送りながら
「相変わらず良く働くけど圭斗は?」
「あいつは仕事があるから帰ったぞ。って言うか、顔洗って来い」
寝癖も酷いだろうと思えば
「風呂にざっと入ってくる。
さすがに自分の匂いが辛い」
「そう言いつつちゃっかり虹鱒二匹食べるあたりがお前だよな」
そんな褒め言葉に照れながらも着替えを持って五右衛門風呂に向かう。
「あー、綾っち起きたんだ」
「綾っち言うな。って言うかせいが出るな上島ブラザーズよ」
「綾っちおはよう。勝手に畑弄らせてもらってます」
「綾っち言うな。まぁ、大和さんに支配された畑だから好きに弄ってくれ」
不思議と自分で丹精に作った畑ではないので愛着はない。だけど実った野菜たちに罪はないし、四年間放置されるはずの畑は今も四年前とは変わらぬふかふかの土で雑草もほぼなく休憩所のようにある蜜柑の木も今年もきっとすっぱすぎて口にできない実を付けてくれるのだろう。
まあ、これは烏骨鶏の餌ようだから気にしないけどと外の洗い場で野菜を洗っている横から手を出してトマトを頂く。
「んめえぇぇぇ!!!」
「後で良く冷やした物を出しますね。食べ放題ですよ?」
「やったね!」
なんて言いながらかぶりつき五右衛門風呂へと向かい、文字通りさっと汗を流して出る頃には囲炉裏の部屋には机が並べられて飯田さんの絶対おいしい朝ごはんが机いっぱいに並べられていた。
「あああ、これぞ幸せ……」
「綾っちの幸せって基本綾っちを甘やかしてくれる所にポイントが重くなりますね」
「園田よ綾っち言うな。そんな分析一人暮らしすれば絶対のポイントって言う事ぐらいわかるだろ」
「判りすぎて俺も涙が出そうです。しかも神飯田氏の朝食が食べ放題ですよ?!節約に節約を重ねる大学生活を思えばここ天国ですよ?!」
「節約はしなかったが、神飯田氏の朝食食べ放題は天国だな」
その部分だけは力強く頷いていれば
「ほら、バカな事言ってないでご飯にしよう?」
お味噌汁もご飯もいきわたった所で箸を握りしめて
「いただきまっす!」
気合入れて懐かしの竈ご飯を飯田さん作の水ナスのお漬物で一杯頂いてしまう。
これぞ幸せ。
この為に育ててもらった水ナスの瑞々しさと絶妙な塩梅の糠床の浸かり具合。
「俺はこの為に帰って来た……」
感涙する俺の手からお茶わんを奪い取った宮下はおかわりをよそったお茶わんを俺の手に戻してくれて
「バカな事言ってないで、冷めちゃう前にお味噌汁とか煮物とか食べちゃって」
「うん。オリオールのご飯もおいしいけどやっぱり和食はメイドイン日本の食材に限る」
「当たり前だろ。その土地その味覚に合った調味料で育って来たんだ。いくら取り寄せてもその場で食べる以上の贅沢はないだろう」
もっともな先生の言い分なんて無視して烏骨鶏の卵焼きをうっとりと食べていれば先生が先生凄く良い話したんだから聞いてと縋って来たのを全力で無視。
これだけ美味しいご飯と正面から語り合わずにいる何て事出来ない。
ジイちゃん、バアちゃんが繋いでくれた人の繋がりがこんなおいしいご飯になったよと心の中で開け放たれた襖の奥にある仏壇に向かって語りかける。良かったねと言ってるかどうかなんてわからないけど開け放たれた窓から忍び込んだ風がお線香の煙をくゆらせる様子がまるでよかったねと返事をしてるようで
「ほんと幸せ」
香ばしいおこげの部分を噛みしめながらまだまだ久しぶりすぎて餓えた和食を堪能する時間は当分終わりそうになかった。
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