944 / 976
勝ち負けの線引きはどこにある?! 4
しおりを挟む
飯田さんがご機嫌に鼻歌を歌いながら料理を作っていた。
不便な山奥とは違いここは痒い所に手が届く飯田さんの庭のような場所。
ほしい食材や謎なまでにそろい過ぎている調理器具を広い作業場に並べて着々と料理を作っていく。
夏なので岩ガキを用意してくれたし、夏の定番の鱧も骨切りをしてくれている。
シャリシャリと骨を切る音はもちろんさっとお湯にくぐらせてすぐに氷水で冷やせば真っ白な花が咲くような変化は何度見てもおいしそうだ。
美味しい、確定とは言え重要です。
飯田さん曰く酸っぱくないですか?ぐらいが好きなので自分で酢味噌を合わせて待機。
多紀さんも俺を見てお酢と味噌を合わせて待機する様子に飯田さんは苦笑しながら目の前に鱧を並べてくれる。当然並べられたそばから多紀さんと二人で出来立ての鱧を頂く。
「これを食べると夏が来たってかんじます!」
「うん。鱧、実は苦手だけどさすが飯田君だよね。生臭さも感じないしスーパーで売ってる骨切りした奴は時々骨が残ってるから嫌いなんだ」
いい生活してるなと思うもスーパーで買うのかと新鮮さを覚えるも
「奥さんが好きなんだよね」
奥さんはすり身にしてあんかけをかけたのを食べるのが好きなんだという話を聞く横で鱧のてんぷらを揚げていてくれた。
もちろん熱々の鱧が出てきたので
「抹茶塩と梅塩を用意してみました」
「くっ!麓の街ではない奴!」
「そしてこちらもお忘れなく」
でんと出されたのはキンと冷やされたビール。しかも恵比須顔!
「お、お高い奴ではありませんか?!」
多紀さんはそうかと言うように小首をかしげるが飯田さんはふっふっふと笑い
「多紀さんがお見えになると聞いていたのでなんとなく思い出してしまいました」
「飯田君にとって僕は恵比須顔なんだ」
「って言うか、さらりと今日のセッティングしたの飯田さんって言うのげろりましたね」
なるほど、だから俺の好物のオンパレードなのだろう。
だけど間髪入れずに鱧を揚げ終わったら直火で串を打った鱧を焼き始めると言う匂いテロ。
さらに醤油とみりんとお酒、さらに粗目を加えて作ったタレをタラリとつけて焼きだす始末。
「鱧の蒲焼って絶対ヤバい奴ですね!」
「鰻も良いですが鱧も良いですよ?」
「よくない理由をぜひとも聞きたい!」
叫びながら鼻をひくひくさせながら綾人は香ばしく焼かれていく鱧の匂いを楽しんでいれば
「これはビールよりもお酒が欲しくなるねえ」
多紀さんの神がかった発言。
電撃に打たれたかのようにその言葉に目を見開いてしまえば
「もちろん冷酒もご用意してますよ?」
まるで待っていたかのように冷えすぎなくらいの冷酒を用意してくれた。
冷房が効いているとはいえうだる暑さが家の中まで侵食するこの季節。
落ち着いた深い緑の織部焼に真っ白の鱧が飾られる隣には美濃焼の素朴な風合いのお皿にこってりとタレをまとった蒲焼が鎮座する。
その隣には深い青の長角皿の上をほんのりと黄みを帯びた鱧のてんぷらが並ぶ側に浅鉢にクラッシュした氷を乗せた上に岩ガキが並ぶ
「なにこの天国……」
感動と言うように多紀さんから頂いたお酒に口をつけながらほわほわとした気分でまだ湯気ののぼる蒲焼を品よく一口大に切り取って口へと運ぶ。
「普段使い用とは言えこれだけ種類が豊富だと盛り付けも楽しいですね」
言いながら何やら牛肉の塊に串を打ってたたきを作ろうとする暴挙に出る飯田様。
強火でしっかりと外側を焼いてアルミホイルで包んで少し休ませる、ローストビーフよりもレア感あふれる逸品は間違いなく塩だけでも問題ない甘味すら感じる美味さがとろけるように舌の上に広がっていく。
だけどそこは飯田さん。
そんな手抜きはしませんと言わんように山葵をすり出して何やら取り出した見るからにお高そうなお醤油をセットにして
「お刺身のようにお召し上がりください」
「食べなくても分かる絶対うまい奴!」
「二口目からはぜひとも薬味を添えてお召し上がればより味が広がりましょう」
何とう言う暴力的な提案に恐る恐るというまずはシンプルに塩だけで食べ、その後脂身の甘みを際立たせるように山葵を乗せる。
少し山葵を乗せすぎて涙が出そうになったものの
「薬味に紅葉おろしも良いですが、まずは白髪ねぎからいってみましょう」
「見るからにシャキシャキ感が楽しめそうです!」
言いながら山葵をちょんと乗せてさらにその上に白髪ねぎを添える。
少し濃厚でどこか甘めなお醤油にそっとお肉を触れさせればお醤油の表面にぱっと散るうま味の脂に一口で食べてしまうのは仕方がないだろう。
優雅に食べるのはもう少しおなかを満たしてからで許してくださいと心の中で謝りつつ冷酒を頂く。
「ふふふ、綾人君は本当においしそうに食べるんだねえ」
多紀さんが俺を見ながら冷酒用のお猪口で俺を眺めながら牛のたたきを食べたかと思えば目を見開いて
「飯田君、ごはんはあるかい?!」
「はい、もちろんご用意してます」
言えば多紀さんは自らどんぶりにご飯をよそってたたきを並べ、山葵と白髪ねぎをドンと乗せたかと思えば豪快に醤油をかける。
「これ!これなんだよ!!!」
どれなんだよ!なんて突っ込みたかったけど、当分多紀さんの口を黙らせた事に喜ぶ合間に飯田さんは鱧の骨を焼いて出汁を取ったお吸い物をそっと差し出していた。
鱧の身が一切れとアサツキだけのどこまでもシンプルで澄んだお吸い物。
俺も頂けば淡いと言うくらいのあっさりとしたお出しが牛肉のたたきと鱧の蒲焼の濃厚な味を洗い流していった。
ほう……
口の中に残された洗礼されたお出汁と塩味にほっと感嘆の溜息をついてしまうのはそれだけ満たされた証拠。
目を細めて満足げに笑う飯田さんに俺も同じように笑みを浮かべながら
「で、ここまでして今度は俺に何をやらせたいの?」
天国を地獄に一瞬で変える……
そういえばだから高校時代魔王なんて呼ばれていたんだよなと思い出しながら高校卒業して十年そこそこじゃ人間の根底は変わらないんだなと悲しい発見をするのだった。
不便な山奥とは違いここは痒い所に手が届く飯田さんの庭のような場所。
ほしい食材や謎なまでにそろい過ぎている調理器具を広い作業場に並べて着々と料理を作っていく。
夏なので岩ガキを用意してくれたし、夏の定番の鱧も骨切りをしてくれている。
シャリシャリと骨を切る音はもちろんさっとお湯にくぐらせてすぐに氷水で冷やせば真っ白な花が咲くような変化は何度見てもおいしそうだ。
美味しい、確定とは言え重要です。
飯田さん曰く酸っぱくないですか?ぐらいが好きなので自分で酢味噌を合わせて待機。
多紀さんも俺を見てお酢と味噌を合わせて待機する様子に飯田さんは苦笑しながら目の前に鱧を並べてくれる。当然並べられたそばから多紀さんと二人で出来立ての鱧を頂く。
「これを食べると夏が来たってかんじます!」
「うん。鱧、実は苦手だけどさすが飯田君だよね。生臭さも感じないしスーパーで売ってる骨切りした奴は時々骨が残ってるから嫌いなんだ」
いい生活してるなと思うもスーパーで買うのかと新鮮さを覚えるも
「奥さんが好きなんだよね」
奥さんはすり身にしてあんかけをかけたのを食べるのが好きなんだという話を聞く横で鱧のてんぷらを揚げていてくれた。
もちろん熱々の鱧が出てきたので
「抹茶塩と梅塩を用意してみました」
「くっ!麓の街ではない奴!」
「そしてこちらもお忘れなく」
でんと出されたのはキンと冷やされたビール。しかも恵比須顔!
「お、お高い奴ではありませんか?!」
多紀さんはそうかと言うように小首をかしげるが飯田さんはふっふっふと笑い
「多紀さんがお見えになると聞いていたのでなんとなく思い出してしまいました」
「飯田君にとって僕は恵比須顔なんだ」
「って言うか、さらりと今日のセッティングしたの飯田さんって言うのげろりましたね」
なるほど、だから俺の好物のオンパレードなのだろう。
だけど間髪入れずに鱧を揚げ終わったら直火で串を打った鱧を焼き始めると言う匂いテロ。
さらに醤油とみりんとお酒、さらに粗目を加えて作ったタレをタラリとつけて焼きだす始末。
「鱧の蒲焼って絶対ヤバい奴ですね!」
「鰻も良いですが鱧も良いですよ?」
「よくない理由をぜひとも聞きたい!」
叫びながら鼻をひくひくさせながら綾人は香ばしく焼かれていく鱧の匂いを楽しんでいれば
「これはビールよりもお酒が欲しくなるねえ」
多紀さんの神がかった発言。
電撃に打たれたかのようにその言葉に目を見開いてしまえば
「もちろん冷酒もご用意してますよ?」
まるで待っていたかのように冷えすぎなくらいの冷酒を用意してくれた。
冷房が効いているとはいえうだる暑さが家の中まで侵食するこの季節。
落ち着いた深い緑の織部焼に真っ白の鱧が飾られる隣には美濃焼の素朴な風合いのお皿にこってりとタレをまとった蒲焼が鎮座する。
その隣には深い青の長角皿の上をほんのりと黄みを帯びた鱧のてんぷらが並ぶ側に浅鉢にクラッシュした氷を乗せた上に岩ガキが並ぶ
「なにこの天国……」
感動と言うように多紀さんから頂いたお酒に口をつけながらほわほわとした気分でまだ湯気ののぼる蒲焼を品よく一口大に切り取って口へと運ぶ。
「普段使い用とは言えこれだけ種類が豊富だと盛り付けも楽しいですね」
言いながら何やら牛肉の塊に串を打ってたたきを作ろうとする暴挙に出る飯田様。
強火でしっかりと外側を焼いてアルミホイルで包んで少し休ませる、ローストビーフよりもレア感あふれる逸品は間違いなく塩だけでも問題ない甘味すら感じる美味さがとろけるように舌の上に広がっていく。
だけどそこは飯田さん。
そんな手抜きはしませんと言わんように山葵をすり出して何やら取り出した見るからにお高そうなお醤油をセットにして
「お刺身のようにお召し上がりください」
「食べなくても分かる絶対うまい奴!」
「二口目からはぜひとも薬味を添えてお召し上がればより味が広がりましょう」
何とう言う暴力的な提案に恐る恐るというまずはシンプルに塩だけで食べ、その後脂身の甘みを際立たせるように山葵を乗せる。
少し山葵を乗せすぎて涙が出そうになったものの
「薬味に紅葉おろしも良いですが、まずは白髪ねぎからいってみましょう」
「見るからにシャキシャキ感が楽しめそうです!」
言いながら山葵をちょんと乗せてさらにその上に白髪ねぎを添える。
少し濃厚でどこか甘めなお醤油にそっとお肉を触れさせればお醤油の表面にぱっと散るうま味の脂に一口で食べてしまうのは仕方がないだろう。
優雅に食べるのはもう少しおなかを満たしてからで許してくださいと心の中で謝りつつ冷酒を頂く。
「ふふふ、綾人君は本当においしそうに食べるんだねえ」
多紀さんが俺を見ながら冷酒用のお猪口で俺を眺めながら牛のたたきを食べたかと思えば目を見開いて
「飯田君、ごはんはあるかい?!」
「はい、もちろんご用意してます」
言えば多紀さんは自らどんぶりにご飯をよそってたたきを並べ、山葵と白髪ねぎをドンと乗せたかと思えば豪快に醤油をかける。
「これ!これなんだよ!!!」
どれなんだよ!なんて突っ込みたかったけど、当分多紀さんの口を黙らせた事に喜ぶ合間に飯田さんは鱧の骨を焼いて出汁を取ったお吸い物をそっと差し出していた。
鱧の身が一切れとアサツキだけのどこまでもシンプルで澄んだお吸い物。
俺も頂けば淡いと言うくらいのあっさりとしたお出しが牛肉のたたきと鱧の蒲焼の濃厚な味を洗い流していった。
ほう……
口の中に残された洗礼されたお出汁と塩味にほっと感嘆の溜息をついてしまうのはそれだけ満たされた証拠。
目を細めて満足げに笑う飯田さんに俺も同じように笑みを浮かべながら
「で、ここまでして今度は俺に何をやらせたいの?」
天国を地獄に一瞬で変える……
そういえばだから高校時代魔王なんて呼ばれていたんだよなと思い出しながら高校卒業して十年そこそこじゃ人間の根底は変わらないんだなと悲しい発見をするのだった。
227
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!
野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。
私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。
そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる