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マダム襲来
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「メリッサちゃん!
おーそーいー!
声をかけても返事はないし、ドアは鍵がかかってないし、勝手に入って待たせてもらっちゃったわよ」
マダム・クインが食卓のテーブルに着いて何故か執事の人を連れて来ていた挙句に勝手にお菓子を並べてお茶を淹れて飲んでいた。
「え、あの、すみません。
お掃除に夢中ですっかり忘れてました……」
「あら、働き者なのね。って言うか、どういうファッションなの……」
目を点にするマダム・クインの視線から逃げるように顔を背ける。お母様の何年も昔のドレスのお下がりで作り上げたペチコートすらないワンピースにベルリオーズ家の使用人のエプロン。ちぐはぐなのはわかっているけど汚れるのが判っているならこれで十分だろうと言う残念ファッション。お店のきらびやかなドレスを見た後では酷い物だというのがよくわかった。
むしろ逆に斬新すぎて……お母様が私にドレスを作り続けさせた理由が分かった気がした。
「ええと、汚れ仕事をするのにちょうどいいかと思いまして……
あ、着替えてきますのでもう少しお待ちください」
そう言って炊事場の奥に在る私の部屋へ向かうのを不思議そうな目で見送られ、それからしばらくしないうちにマダムの前に立てば物凄い不審な物を見る目で見られる事になった。
「ねえメリッサ。あなた今どこで寝起きしてるの?」
「炊事場の奥に火の番の方のお部屋があるのでそこをお借りしております」
カップに紅茶を注いでいた執事が驚いてソーサーの上に紅茶を零していた。
すぐに気付いて慌てて拭うも動揺からかカチャカチャと食器の当る音が響いている。
気を付けないと欠けちゃうぞと心配するも
「そのワンピースも今日店に着てきた奴じゃないの」
「ええと、あまり服を持っていないので……」
「なのに三着?」
「ルヴィ様の指示でして」
なんとなくマダムが見れなくて、執事からの視線を避けるように俯いてしまう。
「まぁ、こんな事だろうとは思ったけどね……」
カップを傾けながら私に正面の席に座るように促して執事から紅茶を頂いた。
「今朝お買い上げいただいたドレスを持って来たわ」
そう言って三点のドレスを並べてくれた。
黒色、紺、濃緑とシックな色合いはまだ私のような年齢が普段に着るドレスではないものの、訪問着とすれば当然の色合いなだけに色については文句は言えない。
それどころかこんな上等なドレスを用意して頂けるだけで私は幸せ者だ。
大切に着なくちゃと煌煌と輝くシャンデリアの下に並べられたドレスをうっとりと眺めていれば
「あとこっちは髪飾りと靴ね。サイズは合わせてあるから安心して。
それとストッキングと、下着よ。
ちゃんとドレスに合わせてリボンの色をそろえてあるからちゃんとドレスに合わせて着るのよ」
「え?あの……え?」
マダムとは言え男の人の目の前でぴらりと広げられた下着の可愛らしさに……
執事の方はちゃんと背中を向けてくれた。
よくできた人だ。
その優しさが今は逆に辛い。
「メリッサちゃんの年齢でフォーマルだなんてルヴィちゃんも意地悪なんだから~。
なら何時脱がされても良い様に、貞淑なのに脱がせたらメリッサちゃんたら超・だ・い・た・ん!!
な、作戦でルヴィちゃんを驚かせちゃいましょうね~!!!」
「なっ!なっ!なっ!」
あまりの布面積の小ささと言うか総レースとか、スケスケとか、横がリボンだけとか……
「こっ!こっ!こっ!
こんなのありえなーーーいっっっ!!!」
力の限り叫べば扉がバンと開いた。
そこには息を切らせたルヴィ様が扉にもたれるようにして立っていて私達を見て一言。
「クイン、メリッサで遊ぶな……」
ぜーはーぜーはーと体中で息をしていたと思ったらそのまま床の上にパタンと倒れ込んでしまった……
おーそーいー!
声をかけても返事はないし、ドアは鍵がかかってないし、勝手に入って待たせてもらっちゃったわよ」
マダム・クインが食卓のテーブルに着いて何故か執事の人を連れて来ていた挙句に勝手にお菓子を並べてお茶を淹れて飲んでいた。
「え、あの、すみません。
お掃除に夢中ですっかり忘れてました……」
「あら、働き者なのね。って言うか、どういうファッションなの……」
目を点にするマダム・クインの視線から逃げるように顔を背ける。お母様の何年も昔のドレスのお下がりで作り上げたペチコートすらないワンピースにベルリオーズ家の使用人のエプロン。ちぐはぐなのはわかっているけど汚れるのが判っているならこれで十分だろうと言う残念ファッション。お店のきらびやかなドレスを見た後では酷い物だというのがよくわかった。
むしろ逆に斬新すぎて……お母様が私にドレスを作り続けさせた理由が分かった気がした。
「ええと、汚れ仕事をするのにちょうどいいかと思いまして……
あ、着替えてきますのでもう少しお待ちください」
そう言って炊事場の奥に在る私の部屋へ向かうのを不思議そうな目で見送られ、それからしばらくしないうちにマダムの前に立てば物凄い不審な物を見る目で見られる事になった。
「ねえメリッサ。あなた今どこで寝起きしてるの?」
「炊事場の奥に火の番の方のお部屋があるのでそこをお借りしております」
カップに紅茶を注いでいた執事が驚いてソーサーの上に紅茶を零していた。
すぐに気付いて慌てて拭うも動揺からかカチャカチャと食器の当る音が響いている。
気を付けないと欠けちゃうぞと心配するも
「そのワンピースも今日店に着てきた奴じゃないの」
「ええと、あまり服を持っていないので……」
「なのに三着?」
「ルヴィ様の指示でして」
なんとなくマダムが見れなくて、執事からの視線を避けるように俯いてしまう。
「まぁ、こんな事だろうとは思ったけどね……」
カップを傾けながら私に正面の席に座るように促して執事から紅茶を頂いた。
「今朝お買い上げいただいたドレスを持って来たわ」
そう言って三点のドレスを並べてくれた。
黒色、紺、濃緑とシックな色合いはまだ私のような年齢が普段に着るドレスではないものの、訪問着とすれば当然の色合いなだけに色については文句は言えない。
それどころかこんな上等なドレスを用意して頂けるだけで私は幸せ者だ。
大切に着なくちゃと煌煌と輝くシャンデリアの下に並べられたドレスをうっとりと眺めていれば
「あとこっちは髪飾りと靴ね。サイズは合わせてあるから安心して。
それとストッキングと、下着よ。
ちゃんとドレスに合わせてリボンの色をそろえてあるからちゃんとドレスに合わせて着るのよ」
「え?あの……え?」
マダムとは言え男の人の目の前でぴらりと広げられた下着の可愛らしさに……
執事の方はちゃんと背中を向けてくれた。
よくできた人だ。
その優しさが今は逆に辛い。
「メリッサちゃんの年齢でフォーマルだなんてルヴィちゃんも意地悪なんだから~。
なら何時脱がされても良い様に、貞淑なのに脱がせたらメリッサちゃんたら超・だ・い・た・ん!!
な、作戦でルヴィちゃんを驚かせちゃいましょうね~!!!」
「なっ!なっ!なっ!」
あまりの布面積の小ささと言うか総レースとか、スケスケとか、横がリボンだけとか……
「こっ!こっ!こっ!
こんなのありえなーーーいっっっ!!!」
力の限り叫べば扉がバンと開いた。
そこには息を切らせたルヴィ様が扉にもたれるようにして立っていて私達を見て一言。
「クイン、メリッサで遊ぶな……」
ぜーはーぜーはーと体中で息をしていたと思ったらそのまま床の上にパタンと倒れ込んでしまった……
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