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うちの隊長は浮かれまくってる亭主を可愛いなあと言う気分でどうか眺めさせてくださいと言う心境です
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暁の大牙の屋敷は古いだけに本当に便利な所に在る。
いわくつきの屋敷だがそれでも今はSクラスの冒険者達が住む屋敷としてそれなりに手入れもされてるし庭も美しく手入れされている。
怪我をして引退……ではない、結婚するから引退、子供が出来て引退したけど子供も手が離れて小遣い稼ぎに稼ぎたいからと言ったようなトラブルのない人達をヴォーグが面接して仕事を与えたのはもう二年も前になる。
あの大きな屋敷を購入して随分と手入れがされてない屋敷の修復はかなり手を入れなくてはならなく、必要な物も購入を考えれば何度かヴォーグに連れまわされる事になったがそれでも今は落ち着いて周囲の貴族の屋敷と遜色ないぐらいの立派な屋敷になっていた。
そんな屋敷から城までは徒歩十数分。
馬の足ならさらに短く、前に郊外に出現した時よりも随分と短縮が出来る。
「こんな所に出入り口を作りおって……」
元団が呆れていたが
「んー、まぁ、場所が場所だから馬車での移動が出来ないのが不便だけどね。
俺は問題ないけど」
問題がある人達は顔を顰めていたが
「じゃあこの様子だとアレクの家にも出入り口が?」
「内緒だけどね。
カレヴァが番をしてくれているから向こうは心配してないし」
「前にアレクが夜中にお前が庭を歩いてたなんて夢を見たと言ってたが……」
「あー、カレヴァが種を持ってるかもってちょくちょく足を運んだからな」
「結構こっちに来てて大丈夫かよ」
「主要な場所に出入り口はあるからね。
滞在時間は最短で済ますようにしている」
だから心配しないでとヴォーグは馬上から手を伸ばしてラグナーの頬に手を当てる。
物凄いバランスが見ていても不安にならないくらいに乗馬の技術は高い。
あんな田舎で暮らすのだから馬との生活が必須だとは判っているが最後尾のアンディの不安な乗馬技術を見てると少しでも見本にしなさいと言いたくなる。
そんな事をラグナーに説明している合間にも城についてしまう。
馬を預かる城の騎士棟へと向かえばそこにはゴルディーニが待ち構えていた。
にこにこと笑みを湛えて背後に視線を彷徨わせている宮廷騎士を侍らせてのお出迎えは元団ですら一瞬息を詰めてしまっていたが
「やあゴルディーニ出迎えご苦労」
ゴルディーニの嫌味の笑みも気にならないと言わんばかりのヴォーグに彼の眉が神経質に跳ね上がる。
そんなゴルディーニを前にヴォーグは身軽な動きで馬を降りた。
「時間が迫ってますが?」
「それはお前達のだろう。
辛うじて間に合ってるはずだが?」
ひょいと肩をすくめるヴォーグに口元を引きつらせるゴルディーニ。
どうやらこんなゴルディーニすら今は目に入らないらしいくらいの浮かれっぷりだ。
再婚効果って凄いなと思うラグナーだが、ラグナー自身は目の前の伴侶の浮かれっぷりを見て冷静にならずにはいられなかった。
「昨夜には戻ってくるはずの新人が帰ってこないってどころか宿泊するなんて連絡をいきなりもらってもどうすればすぐに信じれるでしょう?」
「それを信じるのがお前の仕事だろ?」
宮廷騎士筆頭が何を言ってるとヴォーグは小首をかしげながらも俺が馬を下りるのを補助してくれる。
いや、必要ないがエスコートしたりとかああいうノリで俺に構いたいというのはまぁ、判らないでもないが頼むから今のゴルディーニの目の前でして下さるなと心の中で訴えてしまう。
「ああ、悪いが俺の名前で天藍の間を用意しておいてくれ。
ホルガー達と会う予定がある」
さらには小間使いのようにゴルディーニに指示を与えれば彼のこめかみの血管は今にも切れそうだった、が
「あと陛下にも連絡を。
今夜はバックストロムの剣で会うと」
怒りで爆発しそうな顔から怒りが消えて喜色に変わる。
「悪いがその時奥さんとしてラグナーを借りるよ。
フレッドは悪いがすぐにでもリオネルを呼んできてくれ。ついでにマリーも連れて来てくれると助かる」
言えば元団は頭を下げてすぐに動くのだった。
その後ろ姿を見送り
「今度の宮廷騎士の動きには呆れるな。
一から十まで説明しないと動けないとは情けない」
言えばゴルディーニは真っ赤にしていた顔を深呼吸することで平常心にまで落ち着かせ
「理由を求めてはいけないのですか?」
「主人の言動から想像できることを常時情報を集めておくのがお前達の仕事ではないのか?
ただ警護するだけならそこらにいる騎士でもできる。
何で宮廷騎士が特別なのか、血筋だけではない事を証明できないのなら引退すると良い。
ラグナーまたあとで。フレッドに呼びに行かせるから」
言いながら俺の手をすくって手の甲に唇を軽く触れさせて本日の護衛を連れて鼻歌を歌いながら城の奥にある屋敷へと行ってしまった。
ちらりとゴルディーニを見れば彼はこれ以上とないくらいバツの悪い顔をしてヴォーグを睨んでいた。
これはまずいなと思うも直ぐにゴルディーニは張りつめた空気を壊すような溜息を零し
「忙しさから余裕がないと言う事でしょうか……」
そんな疲れ切った呟きに俺達が思う以上に宮廷騎士筆頭の地位は重いものだと思うしかなかった。
いわくつきの屋敷だがそれでも今はSクラスの冒険者達が住む屋敷としてそれなりに手入れもされてるし庭も美しく手入れされている。
怪我をして引退……ではない、結婚するから引退、子供が出来て引退したけど子供も手が離れて小遣い稼ぎに稼ぎたいからと言ったようなトラブルのない人達をヴォーグが面接して仕事を与えたのはもう二年も前になる。
あの大きな屋敷を購入して随分と手入れがされてない屋敷の修復はかなり手を入れなくてはならなく、必要な物も購入を考えれば何度かヴォーグに連れまわされる事になったがそれでも今は落ち着いて周囲の貴族の屋敷と遜色ないぐらいの立派な屋敷になっていた。
そんな屋敷から城までは徒歩十数分。
馬の足ならさらに短く、前に郊外に出現した時よりも随分と短縮が出来る。
「こんな所に出入り口を作りおって……」
元団が呆れていたが
「んー、まぁ、場所が場所だから馬車での移動が出来ないのが不便だけどね。
俺は問題ないけど」
問題がある人達は顔を顰めていたが
「じゃあこの様子だとアレクの家にも出入り口が?」
「内緒だけどね。
カレヴァが番をしてくれているから向こうは心配してないし」
「前にアレクが夜中にお前が庭を歩いてたなんて夢を見たと言ってたが……」
「あー、カレヴァが種を持ってるかもってちょくちょく足を運んだからな」
「結構こっちに来てて大丈夫かよ」
「主要な場所に出入り口はあるからね。
滞在時間は最短で済ますようにしている」
だから心配しないでとヴォーグは馬上から手を伸ばしてラグナーの頬に手を当てる。
物凄いバランスが見ていても不安にならないくらいに乗馬の技術は高い。
あんな田舎で暮らすのだから馬との生活が必須だとは判っているが最後尾のアンディの不安な乗馬技術を見てると少しでも見本にしなさいと言いたくなる。
そんな事をラグナーに説明している合間にも城についてしまう。
馬を預かる城の騎士棟へと向かえばそこにはゴルディーニが待ち構えていた。
にこにこと笑みを湛えて背後に視線を彷徨わせている宮廷騎士を侍らせてのお出迎えは元団ですら一瞬息を詰めてしまっていたが
「やあゴルディーニ出迎えご苦労」
ゴルディーニの嫌味の笑みも気にならないと言わんばかりのヴォーグに彼の眉が神経質に跳ね上がる。
そんなゴルディーニを前にヴォーグは身軽な動きで馬を降りた。
「時間が迫ってますが?」
「それはお前達のだろう。
辛うじて間に合ってるはずだが?」
ひょいと肩をすくめるヴォーグに口元を引きつらせるゴルディーニ。
どうやらこんなゴルディーニすら今は目に入らないらしいくらいの浮かれっぷりだ。
再婚効果って凄いなと思うラグナーだが、ラグナー自身は目の前の伴侶の浮かれっぷりを見て冷静にならずにはいられなかった。
「昨夜には戻ってくるはずの新人が帰ってこないってどころか宿泊するなんて連絡をいきなりもらってもどうすればすぐに信じれるでしょう?」
「それを信じるのがお前の仕事だろ?」
宮廷騎士筆頭が何を言ってるとヴォーグは小首をかしげながらも俺が馬を下りるのを補助してくれる。
いや、必要ないがエスコートしたりとかああいうノリで俺に構いたいというのはまぁ、判らないでもないが頼むから今のゴルディーニの目の前でして下さるなと心の中で訴えてしまう。
「ああ、悪いが俺の名前で天藍の間を用意しておいてくれ。
ホルガー達と会う予定がある」
さらには小間使いのようにゴルディーニに指示を与えれば彼のこめかみの血管は今にも切れそうだった、が
「あと陛下にも連絡を。
今夜はバックストロムの剣で会うと」
怒りで爆発しそうな顔から怒りが消えて喜色に変わる。
「悪いがその時奥さんとしてラグナーを借りるよ。
フレッドは悪いがすぐにでもリオネルを呼んできてくれ。ついでにマリーも連れて来てくれると助かる」
言えば元団は頭を下げてすぐに動くのだった。
その後ろ姿を見送り
「今度の宮廷騎士の動きには呆れるな。
一から十まで説明しないと動けないとは情けない」
言えばゴルディーニは真っ赤にしていた顔を深呼吸することで平常心にまで落ち着かせ
「理由を求めてはいけないのですか?」
「主人の言動から想像できることを常時情報を集めておくのがお前達の仕事ではないのか?
ただ警護するだけならそこらにいる騎士でもできる。
何で宮廷騎士が特別なのか、血筋だけではない事を証明できないのなら引退すると良い。
ラグナーまたあとで。フレッドに呼びに行かせるから」
言いながら俺の手をすくって手の甲に唇を軽く触れさせて本日の護衛を連れて鼻歌を歌いながら城の奥にある屋敷へと行ってしまった。
ちらりとゴルディーニを見れば彼はこれ以上とないくらいバツの悪い顔をしてヴォーグを睨んでいた。
これはまずいなと思うも直ぐにゴルディーニは張りつめた空気を壊すような溜息を零し
「忙しさから余裕がないと言う事でしょうか……」
そんな疲れ切った呟きに俺達が思う以上に宮廷騎士筆頭の地位は重いものだと思うしかなかった。
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