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スライム、疑問……?
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「オーク王を倒したのか」
戦闘が終わりほっと一息ついた瞬間赤い鎧を着た人たちがやってきた。ガイさんたちだ。向こうも戦闘が終わったらしい。
「あ、ガイさん、お疲れ様です。えっと、はい。ミツバやスラりんのおかけでなんとか勝てました」
「すまない、こちらにもオーク将軍が2体出て手こずっていたのだが、そうか。あのオーク王を倒すとは、オーク将軍を倒した実力は本物だったんだな。改めてリーダーとして礼を言おう。このクエストに参加してくれてありがとう、エアトくん」
ガイさんにギュッと両手を握られる。なんか俺がオーク王を倒したみたいな雰囲気になっているけど凄い誤解です。
オーク王を倒すことができたのはミツバとスラりんとそれから最強スキル、エルデさんが込められたクリスタル・ソードがあったからだ。
俺自身は全然すごくないからそんな褒めるのやめて欲しい。なんかすっごくいたたまれないです。
「いや、本当に俺だけの力じゃなくてミツバも、」
「オーク王を倒したのはエアトのおかげなのです。謙遜なんて必要ないですよ」
なんとか雰囲気を変えようと言葉を重ねていると後ろからコツンと頭を小突かれた。その声に思わず振り返る。
「ミツバ!?よかった、もう動けるの?」
「魔力切れてて辛いですが。動けないほどではないのです。それよりエアト、あの光のスキル、もしくは高度な魔法使ってオーク王を倒したのは貴方の手柄なのです。自分の手柄を人に押し付けないで欲しいのです」
ミツバは呆れたような顔でそういった。え、でも実際、ミツバが火弾撃ってくれたりスラりんがオーク王に飛びかかってくれなかったら俺やばかったよ?
うん、やっぱりこれは皆の協力プレイによる成果だと思います。
「エアトくん、もし良ければ答えてくれないか」
ガイさんが少し真剣な顔でそう言ってきたので俺の背筋が伸びる。え、なにこの空気?俺なに聞かれるの?
「戦闘している時に幾多の星が流れ刃となり地に降り注ぐのが見えた。あれは勇者が使えるという伝説のスキル、《ー輝刃の流星群ー》ではないのか?」
ガイさんが真っ直ぐと視線を俺に向ける。どうやらエルデさんについての質問らしい。
「そうですよ。あれは勇者が使える最強スキル、《ー輝刃の流星群ー》です」
「やはりそうか。では君は勇者なのか?」
「いや、違いますよ」
俺がそう答えるとガイさんが目を丸くする。勇者のスキルだと言いながら自分は勇者じゃないというのだから意味がわからないのだろう。
でも俺は勇者じゃない。勇者は俺の幼馴染なのだ。
「違うのか?じゃあ、何故あのスキルを使えるのだ?」
「幼馴染が勇者なんです。スキルを込めたクリスタルを貰ったので一回だけ俺でも《ー輝刃の流星群ー》を使うことができたんです」
《ー輝刃の流星群ー》を込めたクリスタルを作らせてくれから俺にでも最強のスキルを使うことができた。でも《ー輝刃の流星群ー》のクリスタル・ソードももう品切れだ。
これで俺がただの一般人であることがわかってもらえただろう。俺はただ幼馴染が勇者なだけの普通の人間でしかない。だからあんまり褒めるのやめて下さいね!俺の力じゃないのに賞賛されるのめっちゃいたたまれないから!
「勇者の幼馴染?ならば、まさか、君は…っ、」
ガイさんが何かを言いかけた瞬間、ガサガサと草を踏みしめる音が聞こえた。まさか、オークの生き残り!?と皆が警戒してそちらを見るとそこには赤い鎧を着た人物が立っていた。
「オーク王は倒したのですね。悔しいですね、私はオーク将軍が精一杯でした」
「ノルン!よかった、無事だったのかっ!」
そこにいた人物はノルンさんだった。赤竜の焔の人々がノルンさんに駆け寄る。
ノルンさん、まさかひとりでオーク将軍を倒してしまったのだろうか?毒も道具も使わずに実力で倒しちゃうなんてノルンさん、凄すぎる。
うん、やっぱり俺なんて全然大したことないよ。本当に強い人とはノルンさんみたいな人のことをいうのだろう。
「ノルン、オーク将軍をひとりで仕留めたのか?」
「ええ、ですが相討ちでしたね。向こうの剣がこちらを貫いた瞬間力を振り絞って斬り返しました。それが致命傷でした。互いに命に関わる傷を負いましたが、私は上級ポーションを持っていましたからなんとか命は繋げました。向こうには回復手段がなかったのでそのままトドメを刺しました。団長、貴重な上級ポーションを使ってしまいました。申し訳ありません」
「気にするな。そんなものはお前の命には代えられん。傷は大丈夫なのか?」
「ええ。万全とはとても言えないような状態ですが、動ける程度にはなんとか。上級ポーションのおかげで一応傷は塞がってはいますが完治まではしていません。当分の間俺は活動は控えた方が良いのかもしれません」
「無理はするな。おい、誰か肩を貸してやれ」
ガイさんとノルンさんの話し声が聞こえてくる。どうやらノルンさんはオーク将軍には勝ったけれども結構ギリギリだったらしく傷だらけらしい。
じゃあ今こそ俺の出番ですね。俺がこの討伐隊に参加したのはポーション担当の回復要員ですから。
「ノルンさん、よかったら俺、上級ポーションを持っているので使いませんか?」
「エアトさん、いいんですか?貴方こそオーク王との戦いで疲弊しているでしょうにそんな貴重な物を私がいただいてしまっても……」
「いえいえ、ノルンさんがオーク将軍をひとりで受け持ってくださったからこそ今回の討伐が成功したのですよ。それに俺は薬屋なので気にせず使ってください」
「そうですか。ではお言葉に甘えていただきますね」
にこりと笑うノルンさんにスライムポーションを渡す。どれにしよう。あ、1番色が濃いこのポーションにしよう。
ノルンさんにスライムポーションを渡すと『スライム?』と首を傾げていたがそれ以上気にすることなく蓋を開け口を受けた。
「ッ!ゲホッ、ーーッ!」
「え、ノルンさん大丈夫ですか?」
「ええ、すいません。思ったより苦かったので噎せてしまいました。……え?」
急に咳き込むノルンさんに不安になって話しかける。
材料はちびスラと薬草だけだけどひょっとしたらノルンさんがスライムアレルギーということもあるかもしれない。世の中には牛乳や卵がダメな人もいるっていうしスライムがダメな人もいるのかもしれない。
スライムアレルギー、なんと恐ろしい物なんだ。俺はスライムが食べられてよかった。
そう思って心配するとただ苦かっただけとノルンさんはいう。ああ、なるほど。ただ苦いだけか。確かにスラりんのちびスラって苦いよね。しかもどんどん苦くなってきている。食べにくくなってきて実に辛いです。
「ノルン、どうかしたか?」
「傷が、全て治っています。オーク将軍に貫かれたところも斬り合いで負った傷も全て治っています。上級ポーションではこうならないはず……。まさか特級ポーション!?特級ポーションを下さったのですか!?」
ノルンさんがギョッとした表情でこちらを向く。
はい?特級ポーション?
ノルンさんに渡したのはスライムポーションだ。スライムポーションは上級ポーションと同じ効果があるとイツダツさんが言っていた。それなのに特級ポーションだとノルンさんがいっている。意味が分からん。どういうことなのだろう。
そこでハタとノルンさんに渡したポーションを思い出す。確かにノルンさんに渡したのはスライムポーションだったが、色が濃かった。深濃緑って感じの色をしたポーションだった。
まさかそれで効果が上がったのだろうか?スラりん、なんて役に立つ子なの。まさかスライムと薬草で特級ポーションが作れるようになるとは驚きです。
「そんな貴重な物を私に使っていただけるなんて……。エアトさん、ありがとうございます。対価はどれくらいお支払いすればよろしいでしょうか?」
「え、そんなオーク将軍をひとりで相手して下さったノルンさんからお代もらうなんてできないですよ。それにこれはクエスト内のことだからギルドに請求できるんじゃないんですか?」
「恐らく特級ポーションほど高価な物はギルドは負担してくれませんよ。モンスターの相手をしたというならばエアトさんはオーク王を倒して下さったのですからそれを理由に対価を支払わないというのもおかしな話です」
「ああ、ノルンの言う通りだ。是非とも支払いをさせてくれ。こいつが使い物にならなければ暫く我々のパーティは停滞を余儀なくされた。5000sくらいでどうだろうか?」
ガイさんがそう持ちかける。ごせんしりんぐ?え、ちょっと待って、それスライム何個分だ?スライムがひとつ25sだから200個分?
高っ!特級ポーション高すぎでしょ!なんで上級ポーションの10倍の値段になっているの?いやいや、ぼったり過ぎでしょう!材料ちびスラと薬草と白硝石だけだよ!
「いやいやいや、そんなに貰えません!俺が勝手にしたことですし別に材料費貰えたら充分ですよ!」
「使用者を全回復させる特級ポーションにはそれくらいの価値があるのですよ。冒険者は身体が資本なので万全な状態をお金で買えるならばそれに越したことはないのです。ここは払わせて下さい」
そういってノルンさんがニコッと笑う。笑顔の圧力……押し切られてしまった。
ノルンさんに金色の硬貨を5枚貰う。まさかスライムポーションがオーク将軍の討伐代と同じ価格になってしまうとは、インフレ率が高すぎて怖い。
スラりん、君って実は凄いやつなの?俺は肩に乗る柔らかな塊を撫でた。
「そういえばガイさん、さっき何か言いかけてませんでしたか?」
ノルンさんの傷も癒えてひと段落したところでガイに話しかける。ノルンさんが来たことで中断してしまったが確かガイさんは何か言いかけていたはずだ。
「……いや、なんでもない。よく考えればあり得ないことだった」
ガイさんがらそういって首を振る。解決したのかな?
取り敢えず俺は魔力が枯渇してしんどそうなミツバにコンペートゥを渡す為にその場を離れたのだった。
※※※ガイ視点※※※
「何かあったのですか?」
ノルンがそう聞いてくる。流石に付き合いが長いだけあって俺の様子がおかしいことに気付いたのだろう。
「ああ、エアトについてだ」
「そうですね、彼には驚かされるばかりでしたね。勇者のスキルを封じ込めたアイテムに特級ポーションを惜しいと思わないほどの錬金力、どれと常人の物とは考えられないですね。彼は何者なのでしょう」
「俺は最初、彼が勇者ではないかと思ったのだ。500年間前誰にも倒されることのなかった魔王に打ち勝った全種族最強の男、その者ならばオーク王を倒しても不思議ではないと思った」
だけれども違った。ただの勇者の幼馴染で一度だけスキルを譲って貰ったのだと。
「ですが確か今、勇者は王都にいるのですよね?」
「そうだな、魔王を倒した功績が認められ国王のひとり娘と婚約したと聞いている」
500年間誰も倒すことのできなかった魔王を討ち滅ぼした褒美に勇者は王女と結婚することが許された。だからそもそもこんなところに勇者がいるはずがなかったのだ。
「だから俺は彼が創成の錬金術師だと思ったのだ」
ノルンが驚いた顔でこちらを見てくる。
「それはあの勇者パーティのですか?」
「そうだ。今世で最も力を持ちありとあらゆる物を錬成できると言われている、魔王を倒した勇者パーティのひとりではないかと頭によぎった」
魔王を倒した勇者のパーティは4人組だったと言われている。
1人目は魔王の中でも最強だといわれる竜王を倒した歴代の勇者、2人目は魔法を構築するのに必要な108の魔術式を全て使いこなし、さらにオリジナルの魔術式も生み出していると言われる稀代の天才魔術師、3人目は岩を砕き海を割り誰にも砕けぬといわれたアマンダイト竜の背を切り裂いたと言われる豪腕の剣士、
そして最後が神級のポーションまで作れると言われた不可能を可能にする奇跡の力を持つ、創成の錬金術師だ。
勇者は王都にいるが他の3人は行方知れずになっている。『魔王との戦いで死んだ』『勇者が手柄を独占する為に殺した』『実は3人とも何処かの国の王族で国へ帰った』など街には色々な噂が流れている。
ともに魔王を倒すという偉業を果たした四人が何故バラバラになってしまったかは不明だが、そのうちのひとりがたまたまこの地を訪れたのではないかと思った。エアトは魔王を倒したパーティのひとり、創成の錬金術師ではないかとそう考えた。
だが、よくよく考えればあり得ないことだった。創成の錬金術師、その者は……
「エアトがその可能性はないのでしょうか?」
「おそらくないだろう。勇者が公表しているのだ。パーティは男ひとりで、残りは皆、女だったと…」
勇者パーティは勇者を除いて皆女であるはずだ。エアトが創成の錬金術師であることはないだろう。
だけれども違和感がある。勇者の幼馴染だかは特別であるという彼はそれだけではない力を秘めているように見える。
エアト、彼は一体何者なのだろうか。
戦闘が終わりほっと一息ついた瞬間赤い鎧を着た人たちがやってきた。ガイさんたちだ。向こうも戦闘が終わったらしい。
「あ、ガイさん、お疲れ様です。えっと、はい。ミツバやスラりんのおかけでなんとか勝てました」
「すまない、こちらにもオーク将軍が2体出て手こずっていたのだが、そうか。あのオーク王を倒すとは、オーク将軍を倒した実力は本物だったんだな。改めてリーダーとして礼を言おう。このクエストに参加してくれてありがとう、エアトくん」
ガイさんにギュッと両手を握られる。なんか俺がオーク王を倒したみたいな雰囲気になっているけど凄い誤解です。
オーク王を倒すことができたのはミツバとスラりんとそれから最強スキル、エルデさんが込められたクリスタル・ソードがあったからだ。
俺自身は全然すごくないからそんな褒めるのやめて欲しい。なんかすっごくいたたまれないです。
「いや、本当に俺だけの力じゃなくてミツバも、」
「オーク王を倒したのはエアトのおかげなのです。謙遜なんて必要ないですよ」
なんとか雰囲気を変えようと言葉を重ねていると後ろからコツンと頭を小突かれた。その声に思わず振り返る。
「ミツバ!?よかった、もう動けるの?」
「魔力切れてて辛いですが。動けないほどではないのです。それよりエアト、あの光のスキル、もしくは高度な魔法使ってオーク王を倒したのは貴方の手柄なのです。自分の手柄を人に押し付けないで欲しいのです」
ミツバは呆れたような顔でそういった。え、でも実際、ミツバが火弾撃ってくれたりスラりんがオーク王に飛びかかってくれなかったら俺やばかったよ?
うん、やっぱりこれは皆の協力プレイによる成果だと思います。
「エアトくん、もし良ければ答えてくれないか」
ガイさんが少し真剣な顔でそう言ってきたので俺の背筋が伸びる。え、なにこの空気?俺なに聞かれるの?
「戦闘している時に幾多の星が流れ刃となり地に降り注ぐのが見えた。あれは勇者が使えるという伝説のスキル、《ー輝刃の流星群ー》ではないのか?」
ガイさんが真っ直ぐと視線を俺に向ける。どうやらエルデさんについての質問らしい。
「そうですよ。あれは勇者が使える最強スキル、《ー輝刃の流星群ー》です」
「やはりそうか。では君は勇者なのか?」
「いや、違いますよ」
俺がそう答えるとガイさんが目を丸くする。勇者のスキルだと言いながら自分は勇者じゃないというのだから意味がわからないのだろう。
でも俺は勇者じゃない。勇者は俺の幼馴染なのだ。
「違うのか?じゃあ、何故あのスキルを使えるのだ?」
「幼馴染が勇者なんです。スキルを込めたクリスタルを貰ったので一回だけ俺でも《ー輝刃の流星群ー》を使うことができたんです」
《ー輝刃の流星群ー》を込めたクリスタルを作らせてくれから俺にでも最強のスキルを使うことができた。でも《ー輝刃の流星群ー》のクリスタル・ソードももう品切れだ。
これで俺がただの一般人であることがわかってもらえただろう。俺はただ幼馴染が勇者なだけの普通の人間でしかない。だからあんまり褒めるのやめて下さいね!俺の力じゃないのに賞賛されるのめっちゃいたたまれないから!
「勇者の幼馴染?ならば、まさか、君は…っ、」
ガイさんが何かを言いかけた瞬間、ガサガサと草を踏みしめる音が聞こえた。まさか、オークの生き残り!?と皆が警戒してそちらを見るとそこには赤い鎧を着た人物が立っていた。
「オーク王は倒したのですね。悔しいですね、私はオーク将軍が精一杯でした」
「ノルン!よかった、無事だったのかっ!」
そこにいた人物はノルンさんだった。赤竜の焔の人々がノルンさんに駆け寄る。
ノルンさん、まさかひとりでオーク将軍を倒してしまったのだろうか?毒も道具も使わずに実力で倒しちゃうなんてノルンさん、凄すぎる。
うん、やっぱり俺なんて全然大したことないよ。本当に強い人とはノルンさんみたいな人のことをいうのだろう。
「ノルン、オーク将軍をひとりで仕留めたのか?」
「ええ、ですが相討ちでしたね。向こうの剣がこちらを貫いた瞬間力を振り絞って斬り返しました。それが致命傷でした。互いに命に関わる傷を負いましたが、私は上級ポーションを持っていましたからなんとか命は繋げました。向こうには回復手段がなかったのでそのままトドメを刺しました。団長、貴重な上級ポーションを使ってしまいました。申し訳ありません」
「気にするな。そんなものはお前の命には代えられん。傷は大丈夫なのか?」
「ええ。万全とはとても言えないような状態ですが、動ける程度にはなんとか。上級ポーションのおかげで一応傷は塞がってはいますが完治まではしていません。当分の間俺は活動は控えた方が良いのかもしれません」
「無理はするな。おい、誰か肩を貸してやれ」
ガイさんとノルンさんの話し声が聞こえてくる。どうやらノルンさんはオーク将軍には勝ったけれども結構ギリギリだったらしく傷だらけらしい。
じゃあ今こそ俺の出番ですね。俺がこの討伐隊に参加したのはポーション担当の回復要員ですから。
「ノルンさん、よかったら俺、上級ポーションを持っているので使いませんか?」
「エアトさん、いいんですか?貴方こそオーク王との戦いで疲弊しているでしょうにそんな貴重な物を私がいただいてしまっても……」
「いえいえ、ノルンさんがオーク将軍をひとりで受け持ってくださったからこそ今回の討伐が成功したのですよ。それに俺は薬屋なので気にせず使ってください」
「そうですか。ではお言葉に甘えていただきますね」
にこりと笑うノルンさんにスライムポーションを渡す。どれにしよう。あ、1番色が濃いこのポーションにしよう。
ノルンさんにスライムポーションを渡すと『スライム?』と首を傾げていたがそれ以上気にすることなく蓋を開け口を受けた。
「ッ!ゲホッ、ーーッ!」
「え、ノルンさん大丈夫ですか?」
「ええ、すいません。思ったより苦かったので噎せてしまいました。……え?」
急に咳き込むノルンさんに不安になって話しかける。
材料はちびスラと薬草だけだけどひょっとしたらノルンさんがスライムアレルギーということもあるかもしれない。世の中には牛乳や卵がダメな人もいるっていうしスライムがダメな人もいるのかもしれない。
スライムアレルギー、なんと恐ろしい物なんだ。俺はスライムが食べられてよかった。
そう思って心配するとただ苦かっただけとノルンさんはいう。ああ、なるほど。ただ苦いだけか。確かにスラりんのちびスラって苦いよね。しかもどんどん苦くなってきている。食べにくくなってきて実に辛いです。
「ノルン、どうかしたか?」
「傷が、全て治っています。オーク将軍に貫かれたところも斬り合いで負った傷も全て治っています。上級ポーションではこうならないはず……。まさか特級ポーション!?特級ポーションを下さったのですか!?」
ノルンさんがギョッとした表情でこちらを向く。
はい?特級ポーション?
ノルンさんに渡したのはスライムポーションだ。スライムポーションは上級ポーションと同じ効果があるとイツダツさんが言っていた。それなのに特級ポーションだとノルンさんがいっている。意味が分からん。どういうことなのだろう。
そこでハタとノルンさんに渡したポーションを思い出す。確かにノルンさんに渡したのはスライムポーションだったが、色が濃かった。深濃緑って感じの色をしたポーションだった。
まさかそれで効果が上がったのだろうか?スラりん、なんて役に立つ子なの。まさかスライムと薬草で特級ポーションが作れるようになるとは驚きです。
「そんな貴重な物を私に使っていただけるなんて……。エアトさん、ありがとうございます。対価はどれくらいお支払いすればよろしいでしょうか?」
「え、そんなオーク将軍をひとりで相手して下さったノルンさんからお代もらうなんてできないですよ。それにこれはクエスト内のことだからギルドに請求できるんじゃないんですか?」
「恐らく特級ポーションほど高価な物はギルドは負担してくれませんよ。モンスターの相手をしたというならばエアトさんはオーク王を倒して下さったのですからそれを理由に対価を支払わないというのもおかしな話です」
「ああ、ノルンの言う通りだ。是非とも支払いをさせてくれ。こいつが使い物にならなければ暫く我々のパーティは停滞を余儀なくされた。5000sくらいでどうだろうか?」
ガイさんがそう持ちかける。ごせんしりんぐ?え、ちょっと待って、それスライム何個分だ?スライムがひとつ25sだから200個分?
高っ!特級ポーション高すぎでしょ!なんで上級ポーションの10倍の値段になっているの?いやいや、ぼったり過ぎでしょう!材料ちびスラと薬草と白硝石だけだよ!
「いやいやいや、そんなに貰えません!俺が勝手にしたことですし別に材料費貰えたら充分ですよ!」
「使用者を全回復させる特級ポーションにはそれくらいの価値があるのですよ。冒険者は身体が資本なので万全な状態をお金で買えるならばそれに越したことはないのです。ここは払わせて下さい」
そういってノルンさんがニコッと笑う。笑顔の圧力……押し切られてしまった。
ノルンさんに金色の硬貨を5枚貰う。まさかスライムポーションがオーク将軍の討伐代と同じ価格になってしまうとは、インフレ率が高すぎて怖い。
スラりん、君って実は凄いやつなの?俺は肩に乗る柔らかな塊を撫でた。
「そういえばガイさん、さっき何か言いかけてませんでしたか?」
ノルンさんの傷も癒えてひと段落したところでガイに話しかける。ノルンさんが来たことで中断してしまったが確かガイさんは何か言いかけていたはずだ。
「……いや、なんでもない。よく考えればあり得ないことだった」
ガイさんがらそういって首を振る。解決したのかな?
取り敢えず俺は魔力が枯渇してしんどそうなミツバにコンペートゥを渡す為にその場を離れたのだった。
※※※ガイ視点※※※
「何かあったのですか?」
ノルンがそう聞いてくる。流石に付き合いが長いだけあって俺の様子がおかしいことに気付いたのだろう。
「ああ、エアトについてだ」
「そうですね、彼には驚かされるばかりでしたね。勇者のスキルを封じ込めたアイテムに特級ポーションを惜しいと思わないほどの錬金力、どれと常人の物とは考えられないですね。彼は何者なのでしょう」
「俺は最初、彼が勇者ではないかと思ったのだ。500年間前誰にも倒されることのなかった魔王に打ち勝った全種族最強の男、その者ならばオーク王を倒しても不思議ではないと思った」
だけれども違った。ただの勇者の幼馴染で一度だけスキルを譲って貰ったのだと。
「ですが確か今、勇者は王都にいるのですよね?」
「そうだな、魔王を倒した功績が認められ国王のひとり娘と婚約したと聞いている」
500年間誰も倒すことのできなかった魔王を討ち滅ぼした褒美に勇者は王女と結婚することが許された。だからそもそもこんなところに勇者がいるはずがなかったのだ。
「だから俺は彼が創成の錬金術師だと思ったのだ」
ノルンが驚いた顔でこちらを見てくる。
「それはあの勇者パーティのですか?」
「そうだ。今世で最も力を持ちありとあらゆる物を錬成できると言われている、魔王を倒した勇者パーティのひとりではないかと頭によぎった」
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1人目は魔王の中でも最強だといわれる竜王を倒した歴代の勇者、2人目は魔法を構築するのに必要な108の魔術式を全て使いこなし、さらにオリジナルの魔術式も生み出していると言われる稀代の天才魔術師、3人目は岩を砕き海を割り誰にも砕けぬといわれたアマンダイト竜の背を切り裂いたと言われる豪腕の剣士、
そして最後が神級のポーションまで作れると言われた不可能を可能にする奇跡の力を持つ、創成の錬金術師だ。
勇者は王都にいるが他の3人は行方知れずになっている。『魔王との戦いで死んだ』『勇者が手柄を独占する為に殺した』『実は3人とも何処かの国の王族で国へ帰った』など街には色々な噂が流れている。
ともに魔王を倒すという偉業を果たした四人が何故バラバラになってしまったかは不明だが、そのうちのひとりがたまたまこの地を訪れたのではないかと思った。エアトは魔王を倒したパーティのひとり、創成の錬金術師ではないかとそう考えた。
だが、よくよく考えればあり得ないことだった。創成の錬金術師、その者は……
「エアトがその可能性はないのでしょうか?」
「おそらくないだろう。勇者が公表しているのだ。パーティは男ひとりで、残りは皆、女だったと…」
勇者パーティは勇者を除いて皆女であるはずだ。エアトが創成の錬金術師であることはないだろう。
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