【完結】病弱な幼馴染が大事だと婚約破棄されましたが、彼女は他の方と結婚するみたいですよ

冬月光輝

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第七話

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 カイン兄様が選んだお店で会食をすることになった私とリュオン殿下。
 はっきり言って昨日の夜、ほとんど眠れていません。緊張のしすぎで……。
 
 別に結婚とか、そういう話をしようというのではないのですから、構えなくても良いのですが相手が相手ですから。

 それにしても、リュオン殿下が婚約破棄されるって、そんなことあり得るのでしょうか。
 だって、相手はルーメリア王国の第二王女ですよ。破棄なんてしたら、国際問題ですし。
 カイン兄様曰く、婚約破棄の話はまだ公表しないのだそうです。
 ですから、今回の会食も人払いして個室でします。


「ルティアさん、ですか? カインくんの妹の……」

 先に到着した私に声をかけられたのは、アメジストのようにきれいな瞳をしている銀髪の青年。
 この国の第三王子、リュオン殿下です。

「は、はい。ルティア・アルディスです。リュオン殿下、今日はこのような会食の場を――」

「あはは、そんなに固くならなくても大丈夫ですよ。すみません、無理を言ってわざわざ来ていただいて」

 穏やかな口調で私に気を遣わせないようにする殿下。
 話すのは今日が初めてなのですが、とても優しそうな方でしたので安心しました。

 そして、コース料理の前菜が運ばれて、和やかな雰囲気で会食は始まります。


「婚約者が駆け落ちしてしまいまして。どうやら、彼女はずっと幼馴染のルーメリア騎士団の団長のことを想い続けていたみたいで……そんなことが綴られた手紙を見ると何だか私の方が悪役なのかなって、虚しくなりましてね」

 リュオン殿下の婚約破棄の話もなかなか壮絶でした。
 ルーメリア王国、第二王女であるオリビア殿下は十年以上もの間、幼馴染の騎士団長トムのことを愛していたのだそうです。
 しかし、外交的な目的も兼ねてリュオン殿下との婚約が決まってしまい、毎日苦しんだのだとか。
 そして、ついに二人は駆け落ちをして国から姿を消してしまった――そんなお話です。

 まるでおとぎ話のような、駆け落ちなのですがリュオン殿下からすれば、たまったものではありません。

「本当は父以上に私が怒らなくてはならないと思うのですが、オリビアの葛藤にも気付かなかった私にも非があると思うと――」
 
 国王陛下は怒り、ルーメリア王国側も謝罪しつつ二人を捜索しているのですが、殿下はもうそんなことはどうでも良くなっているみたいです。

「リュオン殿下は悪くないですよ。人の感情なんて簡単には分かりません」

 私もマルサスが幼馴染のエルザさんのことを土下座して別れてほしいと言われるほど想っていたなんて、考えにも及びませんでした。

 あの日まで、彼は普通に結婚式の準備や話し合いをしてしましたし、彼は出席する友人のリストや席の配置まできちんと意見を述べていましたから。

 それだけにあの日の豹変ぶりにびっくりしたのですが――。

「愚痴を聞いてくれてありがとうございます。色々と吐き出すと楽になりました」

「いえ、リュオン殿下も私の話を聞いてくれてありがとうございます。私も何だかスッキリしました。前を向いて生きていけそうです」  

 お互いの話をすると心が軽くなりました。
 共感してもらえることが、こんなに嬉しいこととは思いませんでした。

「……あの、ルティアさん!」

「は、はい!」

「また会って頂けませんか……?」


 この日から私は殿下と何度も食事をすることとなります。
 私とリュオン殿下は波長が合っており、私が二度目の婚約をするのにそう時間はかかりませんでした――。
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