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第十五話(ニッグ視点)
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ふっふっふっふっ、伯爵家に着いたぞ。ジーナ、お前には何の恨みもないが、罪を被って貰うぞ。
嫉妬に狂った女なんて、如何にもお前らしくて良いじゃないか。
そもそも、急に俺にベタベタしてきたのは嫉妬だしな。
「ニッグの旦那……!?」
「んっ? その声はジョンか?」
ジーナの家に入ろうとしたそのとき、俺は男爵家のジョンに話しかけられた。
顔が包帯でグルグル巻きになっており、一瞬誰なのか分からなかったぞ。
こいつ、俺の金貨2枚を持って行ったきり、行方不明になっていたけど、どうしたんだ?
「旦那、あんたのせいで俺ァ、この王都から出ていかなくちゃならなくなった……。あんた、とんでもないモンを敵に回してるぜ」
「なんだと? それはどういうことだ?」
「まだ気付いてないのか? へへっ、気楽なモンだなァ。まぁいいや、俺はギリギリ命は助かったが、あんたは絶対に助かりゃしねぇ……!」
不気味な笑い声を上げながらジョンは、俺の元から走り去る。
あーっ!? あ、あいつ、金貨2枚持ち逃げしやがったな。
役立たずの上に泥棒とは、やっぱりろくな奴じゃない。
とんでもない連中を敵に回してることくらい分かっている。俺を見縊るなよ。
だからこそ、俺はジーナにこれから濡れ衣を着せに行くのだ。あいつが、そのとんでもない連中のターゲットになればいい。
俺はジーナのいる伯爵家の中に入った。
「ニッグ! 久しぶりじゃない。付き合いが急に悪くなったから心配していたのよ……!」
「いやー、ごめん、ごめん! ちょっと、忙しくてさ。あー、喉が渇いた。飲み物をもらえるかい?」
「飲み物? ちょっと待って。今、紅茶を淹れさせるわ」
伯爵夫妻に挨拶をして、彼らから絶大な信頼を得ている俺は簡単にジーナの部屋に入り込む。
くっくっくっ、俺はこいつの部屋に様々な仕掛けをする。ならず者を金で雇った証拠とか隠したり、な。
そのために“眠り薬”を用意した……!
スキを見て、これをあいつの紅茶に入れるだろ。
あいつがこれを飲んだら、コロッと寝ちゃうだろ。
その間にあれこれ準備するんだ……。
「ジーナお嬢様、お紅茶を用意しました」
「あー、私持っていくから。ありがとう!」
ジーナは笑顔を向けながら、俺に紅茶を渡す。
さて、どうやって“眠り薬”を入れるかって? そんなのは簡単だ。目を瞑ってもらえば良い。
「ジーナ、紅茶を飲む前にお前を待たせてしまった償いをしたい」
「ニッグ……?」
「目を閉じて、お前を感じたいんだ――」
キスをする雰囲気に持っていって、ジーナが目を瞑ったスキに俺は薬を素早く取り出して、入れる。
この間はやりたい放題――。
「ちょっと待って! やっぱり、キスは駄目……!」
「えっ……!?」
あ、あ、危なーーーい!
急にキスを拒否するなんて酷いじゃないか。
危うく薬を入れ損ねるところだったぞ。
「い、今はそういう気分じゃないの」
「そ、そうか。まぁいいけど」
何か態度が変だな。
俺は自分の紅茶に口をつけながら、ジーナが紅茶を飲むのを確認する。
良しっ! 飲んだ! じきに、ジーナは眠りにつくはず――。
あ、あれ? なんで俺の体が痺れるんだ?
変だな、動けないぞ……。
「痺れ薬が効いてきたみたいねぇ、ニッグ……」
「へっ……?」
「あなたを地獄に送ってあげる――スー、スー」
し、痺れ薬? そんなもん飲まされたの? てか、ジーナは眠り薬が効いて眠っているし……。
くっ……、本当に動けん……!
ジーナが眠り薬飲んで眠って、俺が痺れ薬飲んで麻痺して……どうしてこんな状況になった?
◇ ◇ ◇
あとがき
作者の近況ボードにて、次回作のアンケートなど取っております。
よろしければ、ご覧になって頂ければ幸いです!
嫉妬に狂った女なんて、如何にもお前らしくて良いじゃないか。
そもそも、急に俺にベタベタしてきたのは嫉妬だしな。
「ニッグの旦那……!?」
「んっ? その声はジョンか?」
ジーナの家に入ろうとしたそのとき、俺は男爵家のジョンに話しかけられた。
顔が包帯でグルグル巻きになっており、一瞬誰なのか分からなかったぞ。
こいつ、俺の金貨2枚を持って行ったきり、行方不明になっていたけど、どうしたんだ?
「旦那、あんたのせいで俺ァ、この王都から出ていかなくちゃならなくなった……。あんた、とんでもないモンを敵に回してるぜ」
「なんだと? それはどういうことだ?」
「まだ気付いてないのか? へへっ、気楽なモンだなァ。まぁいいや、俺はギリギリ命は助かったが、あんたは絶対に助かりゃしねぇ……!」
不気味な笑い声を上げながらジョンは、俺の元から走り去る。
あーっ!? あ、あいつ、金貨2枚持ち逃げしやがったな。
役立たずの上に泥棒とは、やっぱりろくな奴じゃない。
とんでもない連中を敵に回してることくらい分かっている。俺を見縊るなよ。
だからこそ、俺はジーナにこれから濡れ衣を着せに行くのだ。あいつが、そのとんでもない連中のターゲットになればいい。
俺はジーナのいる伯爵家の中に入った。
「ニッグ! 久しぶりじゃない。付き合いが急に悪くなったから心配していたのよ……!」
「いやー、ごめん、ごめん! ちょっと、忙しくてさ。あー、喉が渇いた。飲み物をもらえるかい?」
「飲み物? ちょっと待って。今、紅茶を淹れさせるわ」
伯爵夫妻に挨拶をして、彼らから絶大な信頼を得ている俺は簡単にジーナの部屋に入り込む。
くっくっくっ、俺はこいつの部屋に様々な仕掛けをする。ならず者を金で雇った証拠とか隠したり、な。
そのために“眠り薬”を用意した……!
スキを見て、これをあいつの紅茶に入れるだろ。
あいつがこれを飲んだら、コロッと寝ちゃうだろ。
その間にあれこれ準備するんだ……。
「ジーナお嬢様、お紅茶を用意しました」
「あー、私持っていくから。ありがとう!」
ジーナは笑顔を向けながら、俺に紅茶を渡す。
さて、どうやって“眠り薬”を入れるかって? そんなのは簡単だ。目を瞑ってもらえば良い。
「ジーナ、紅茶を飲む前にお前を待たせてしまった償いをしたい」
「ニッグ……?」
「目を閉じて、お前を感じたいんだ――」
キスをする雰囲気に持っていって、ジーナが目を瞑ったスキに俺は薬を素早く取り出して、入れる。
この間はやりたい放題――。
「ちょっと待って! やっぱり、キスは駄目……!」
「えっ……!?」
あ、あ、危なーーーい!
急にキスを拒否するなんて酷いじゃないか。
危うく薬を入れ損ねるところだったぞ。
「い、今はそういう気分じゃないの」
「そ、そうか。まぁいいけど」
何か態度が変だな。
俺は自分の紅茶に口をつけながら、ジーナが紅茶を飲むのを確認する。
良しっ! 飲んだ! じきに、ジーナは眠りにつくはず――。
あ、あれ? なんで俺の体が痺れるんだ?
変だな、動けないぞ……。
「痺れ薬が効いてきたみたいねぇ、ニッグ……」
「へっ……?」
「あなたを地獄に送ってあげる――スー、スー」
し、痺れ薬? そんなもん飲まされたの? てか、ジーナは眠り薬が効いて眠っているし……。
くっ……、本当に動けん……!
ジーナが眠り薬飲んで眠って、俺が痺れ薬飲んで麻痺して……どうしてこんな状況になった?
◇ ◇ ◇
あとがき
作者の近況ボードにて、次回作のアンケートなど取っております。
よろしければ、ご覧になって頂ければ幸いです!
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