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3話
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セドリック卿の館は、想像以上に素晴らしい場所だった。広大な薬草園に囲まれ、館の中には貴重な薬草学の古書が山のように収められている。
「ここは私の隠居所です。王宮を退いてから、薬草の研究に専念していましてね」
セドリック卿は優しく微笑みながら、アリアドネを書庫に案内した。そこには見たこともない珍しい書物がぎっしりと並んでいる。
「まあ……こんなにたくさんの……」
アリアドネの目が輝いた。幼い頃から薬草に興味を持っていた彼女にとって、これは夢のような光景だった。
「君は昔から薬草に深い関心を持っていたね。その才能、まだ眠っているのでしょう?」
セドリック卿の言葉に、アリアドネは頷いた。
「はい。でも、父は『女らしくない』と言って……レグルス様も、薬草なんかに興味を持つ私を退屈だと……」
「愚かな!」
セドリック卿の声が響いた。
「薬草の知識は、多くの人々を救う尊い力だ。それを理解できない者こそ、真に愚かというものです」
その日から、アリアドネは夢中になって知識を吸収していった。セドリック卿の指導のもと、調薬技術や毒草の知識、解毒法などを学ぶ。驚くべき速さでそれらを習得していく自分に、アリアドネ自身が驚いた。
(私にも、こんな才能があったなんて……)
ある日、王都から届いた新聞を手に取った時、アリアドネの手が震えた。
『ヴァーミリオン侯爵子息とエルムウッド家次女の婚約披露パーティー、盛大に開催』
華やかなパーティーの様子が詳細に描かれている。そして記事の片隅に、小さく書かれた一文。
『エルムウッド家前令嬢は病気療養のため辺境へ』
(病気療養……そんな嘘を……)
さらに、セドリック卿の古い情報網から入ってきた話は、アリアドネの怒りを頂点まで押し上げた。
「リディア嬢が、君の母上の形見の宝飾品を自分の持参金として計上しているらしい。しかも、エルムウッド家の一番良い領地も、婚約の際の贈り物として譲渡される予定だとか」
母の形見まで……。アリアドネの中で、何かが弾けた。
「もう許さない……」
静かだが、燃えるような怒りが込められた言葉だった。
「私を陥れ、家族の愛を奪い、母の形見まで盗んだ者たちに、その行いの愚かさを思い知らせる。そして、私の知識と力で、私自身の未来を切り開く!」
セドリック卿は、そんなアリアドネの決意を静かに見守っていた。
「君の知識は、使い方次第で薬にも毒にもなる。それをどう使うかは君次第だ」
意味深長な言葉に、アリアドネは深く頷いた。
(レグルス様とリディア……あなたたちは大きな間違いを犯したのよ。私という存在の価値を見誤ったことを、必ず後悔させてあげる)
薔薇園で絶望に打ちひしがれていたあの日から、アリアドネは全く別の人間に生まれ変わろうとしていた。知識という名の武器を手に、彼女の反撃が始まる。
「ここは私の隠居所です。王宮を退いてから、薬草の研究に専念していましてね」
セドリック卿は優しく微笑みながら、アリアドネを書庫に案内した。そこには見たこともない珍しい書物がぎっしりと並んでいる。
「まあ……こんなにたくさんの……」
アリアドネの目が輝いた。幼い頃から薬草に興味を持っていた彼女にとって、これは夢のような光景だった。
「君は昔から薬草に深い関心を持っていたね。その才能、まだ眠っているのでしょう?」
セドリック卿の言葉に、アリアドネは頷いた。
「はい。でも、父は『女らしくない』と言って……レグルス様も、薬草なんかに興味を持つ私を退屈だと……」
「愚かな!」
セドリック卿の声が響いた。
「薬草の知識は、多くの人々を救う尊い力だ。それを理解できない者こそ、真に愚かというものです」
その日から、アリアドネは夢中になって知識を吸収していった。セドリック卿の指導のもと、調薬技術や毒草の知識、解毒法などを学ぶ。驚くべき速さでそれらを習得していく自分に、アリアドネ自身が驚いた。
(私にも、こんな才能があったなんて……)
ある日、王都から届いた新聞を手に取った時、アリアドネの手が震えた。
『ヴァーミリオン侯爵子息とエルムウッド家次女の婚約披露パーティー、盛大に開催』
華やかなパーティーの様子が詳細に描かれている。そして記事の片隅に、小さく書かれた一文。
『エルムウッド家前令嬢は病気療養のため辺境へ』
(病気療養……そんな嘘を……)
さらに、セドリック卿の古い情報網から入ってきた話は、アリアドネの怒りを頂点まで押し上げた。
「リディア嬢が、君の母上の形見の宝飾品を自分の持参金として計上しているらしい。しかも、エルムウッド家の一番良い領地も、婚約の際の贈り物として譲渡される予定だとか」
母の形見まで……。アリアドネの中で、何かが弾けた。
「もう許さない……」
静かだが、燃えるような怒りが込められた言葉だった。
「私を陥れ、家族の愛を奪い、母の形見まで盗んだ者たちに、その行いの愚かさを思い知らせる。そして、私の知識と力で、私自身の未来を切り開く!」
セドリック卿は、そんなアリアドネの決意を静かに見守っていた。
「君の知識は、使い方次第で薬にも毒にもなる。それをどう使うかは君次第だ」
意味深長な言葉に、アリアドネは深く頷いた。
(レグルス様とリディア……あなたたちは大きな間違いを犯したのよ。私という存在の価値を見誤ったことを、必ず後悔させてあげる)
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