私より妹がお好きですって? どうぞご自由に。

法華

文字の大きさ
6 / 8

6話

しおりを挟む
 アリアドネは、フェリクス公爵と協力し、レグルス、リディア、そしてエルムウッド伯爵の不正の証拠を本格的に集め始めた。
 かつてエルムウッド家で過ごした日々の記憶を頼りに、彼女は父の書斎にある帳簿の隠し場所を思い出した。また、リディアが秘密の日記をつけていたことも。

「セドリック卿、お願いがあります」
「何でも言いなさい」
「私の実家に、信頼できる人を送っていただけませんか? 重要な証拠があるのです」

 セドリック卿の配下が、夜陰に紛れてエルムウッド家に潜入した。そして、予想通りの場所から貴重な証拠を入手することに成功する。
 リディアの日記には、アリアドネを陥れた詳細な手口が赤裸々に記されていた。

『姉の婚約者を奪う計画、順調に進行中。レグルス様は私の涙にとても弱い。姉が薬草に夢中になっている隙に、彼の心を完全に掴んでしまおう』
『今日もレグルス様に、姉の悪口を吹き込んだ。「アリアドネは冷たくて、女らしさがない」と。彼は完全に信じている。馬鹿な男ね』
『母の形見の宝飾品、もう少しで私のものになる。あんな地味な姉には似合わないもの。私が身につけてこそ価値がある』

 また、レグルスがヴァーミリオン侯爵家の金を使い込み、違法な賭博に手を出している証拠も掴んだ。さらに、エルムウッド伯爵が娘の持参金を不当に操作している帳簿も発見された。
 これらの証拠を手に、アリアドネは精神的にさらに強くなっていた。かつての気弱さは完全に影を潜め、冷静沈着に計画を進める女性へと変貌していた。

「君の成長ぶりは目覚ましいものがありますね」

 フェリクス公爵の言葉に、アリアドネは微笑んだ。

「私はもう、あの頃の弱い女ではありません。自分の価値を見出し、それを正しく使う方法を知りました」

 王宮で開かれる大規模な夜会が近づいていた。アリアドネは、この夜会を全ての真相を明らかにし、彼らに裁きを下す舞台にすることを決意した。

「その夜会で、すべてに決着をつけましょう」
「全面的に協力します」

 フェリクス公爵の力強い言葉が、アリアドネの背中を押した。
 その頃、リディアはアリアドネの動きを察知し始めていた。薬師アリアの正体に薄々気づいた彼女は、最後の悪あがきとしてアリアドネに直接的な危害を加えようと画策する。

「あの女、もしかして……でも、まさか姉があんなに有能なはずがない……」

 しかし、フェリクス公爵の護衛によって、リディアの企みは事前に阻止された。
 運命の夜会まで、あと数日。アリアドネは最後の準備を整えながら、心に誓った。

(もう二度と、誰にも踏みにじられることはない。私の知識と意志で、正義を実現してみせる)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】妹のせいで貧乏くじを引いてますが、幸せになります

恋愛
 妹が関わるとロクなことがないアリーシャ。そのため、学校生活も後ろ指をさされる生活。  せめて普通に許嫁と結婚を……と思っていたら、父の失態で祖父より年上の男爵と結婚させられることに。そして、許嫁はふわカワな妹を選ぶ始末。  普通に幸せになりたかっただけなのに、どうしてこんなことに……  唯一の味方は学友のシーナのみ。  アリーシャは幸せをつかめるのか。 ※小説家になろうにも投稿中

私ではありませんから

三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」 はじめて書いた婚約破棄もの。 カクヨムでも公開しています。

婚約者にざまぁしない話(ざまぁ有り)

しぎ
恋愛
「ガブリエーレ・グラオ!前に出てこい!」 卒業パーティーでの王子の突然の暴挙。 集められる三人の令嬢と婚約破棄。 「えぇ、喜んで婚約破棄いたしますわ。」 「ずっとこの日を待っていました。」 そして、最後に一人の令嬢は・・・ 基本隔日更新予定です。

妹なんだから助けて? お断りします

たくわん
恋愛
美しく聡明な令嬢エリーゼ。だが、母の死後に迎えられた継母マルグリットによって、彼女の人生は一変する。実母が残した財産は継母に奪われ、華やかなドレスは義姉たちに着られ、エリーゼ自身は使用人同然の扱いを受ける。そんなある日――。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

ある朝、結婚式用に仕立ててもらったドレスが裂かれていました。~婚約破棄され家出したために命拾いしました~

四季
恋愛
ある朝、結婚式用に仕立ててもらったドレスが裂かれていました。

ルヴェを侮辱した義妹は宮廷を追放されました ― 王妃クシェは最高の名誉職です ―

鷹 綾
恋愛
モンフォール公爵家の嫡女アデルは、王宮で王妃クシェという名誉職を務めていた。 王妃の就寝の儀礼で寝間着を差し出す――ただそれだけの役目。 しかしそれは、王妃の私室に入ることを許された宮廷で最も名誉ある地位の一つだった。 かつてアデルは王太子の婚約者だったが、側室の娘である義妹カミーユが甘い言葉で王太子を誘惑。 婚約は奪われ、アデルは宮廷で静かにクシェの役目を続けることになる。 だがある日、義妹は新たに与えられた王妃の朝の儀礼――ルヴェを聞いて嘲笑した。 「王妃の着替え係?そんなのメイドの仕事でしょう」 その一言で宮廷は凍りつく。 ルヴェとクシェは、王や王妃の私室に入ることを許された最高の名誉職。 それを侮辱することは、王妃そのものを侮辱することと同じだった。 結果―― 義妹は婚約破棄。 王太子は儀礼軽視を理由に廃太子。 そして義妹は宮廷から追放される。 すべてを失った義妹は、やがて姉の地位を奪おうと画策するが――。 一方、王妃の最側近として静かに宮廷に立つアデル。 クシェという「王妃に最も近い名誉職」が、やがて王国の運命を動かしていく。 これは、宮廷儀礼を知らなかった者が転落し、 その意味を理解していた者が静かに勝つ物語。

こんな婚約者は貴女にあげる

如月圭
恋愛
アルカは十八才のローゼン伯爵家の長女として、この世に生を受ける。婚約者のステファン様は自分には興味がないらしい。妹のアメリアには、興味があるようだ。双子のはずなのにどうしてこんなに差があるのか、誰か教えて欲しい……。 初めての投稿なので温かい目で見てくださると幸いです。

処理中です...