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第一話
しおりを挟む「いったい、これはどういうことですか!?」
とある宮殿の一室。
私は、婚約者であるカール様を問い詰めていました。
事の始まりは昨夜のこと。
結婚式間近だというのに一向に家に帰ってこない彼を不審に思い、私はこの地方を治める彼の仕事場である役所の執務室に向かいました。
すると、なんということでしょう。執務室から、女性の艶めかしい声が聞こえてくるではありませんか。
私は唖然としながらも、ドアの隙間からカメラを差し入れ、中の様子を入念に撮りました。
その写真を、朝になって帰ってきたカール様に突きつけたのです。
「あぁ、メリヤちゃん来てたんだ。そりゃ、悪いことしたな」
カール様は、悪びれることもなくそう頭を掻きました。
「早いとこ、紹介しとけばよかったね。この子は、僕の幼馴染のソラ。僕ら、愛し合ってるんだ」
は?
この方は、いったい何を言っているのでしょうか。私の思考回路が悲鳴をあげます。
「ど、どういうことですか。貴方の婚約者は、私ですよね?」
「それはさぁ、家柄とか、いろいろあるじゃん?大丈夫大丈夫、子供はちゃんと産むから。跡継ぎ作らないと、お互い怒られちゃうもんね」
い、いや、そういう問題ではないのですが。そもそも苦しい思いをして子供を産むのは、私ですし。
確かに、私たちはお互いのことをあまりよく知らないままに、お見合いという形で結婚しました。でも決して私の家の方が格下ということはなく、見下されるいわれなど微塵もないはずです。
「......つまり、将来的には、そのソラという方が貴方の愛人になる、と」
「そういうこと」
この方はどうして、そんなことが許されるとお思いなのでしょうか?
私がいけないのでしょうか。私が下手に出たから、こんなにつけあがってしまったのでしょうか。
とにかく、こんなことは看過できません。
そのことをはっきり告げると、カール様は途端に不機嫌になりました。
「メリヤちゃんは、僕とソラの恋路を邪魔するのか?そんな妻は、いらないんだけど」
ああ、そうですか。
「いらないのなら、私はこれで。金輪際あなたの前には姿を現しませんので、どうぞソラさんとお幸せに!」
私は感情的にそう叫ぶと、勢いよく彼に背を向けました。
玄関で靴を履きながら、何か言ってくるかな、と思いましたが、彼は部屋からさえ出てきませんでした。
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