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第2章 A New Resident ,A New life.

第38話 字の意味と相部屋

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「おおおおお!! ここがルリルリの家!?」
「なんか、ええ雰囲気やなぁ」

 到着するや否や、リンとラピスはそれっぽい感想を述べた。

「なぁ、瑠璃。これなんて読むんだ?」

 ゴルドは駄菓子屋の屋号が書かれてる看板を指さしてそう言った。
 読めないってことは、まさか……。

「サンルート語と字が違う?」
「あぁ、そうみたいだな。で、なんて読むんだ?」
「『いかいや』って読むの。猪飼……叔母さんの店だから『いかいや』」
「なるほど……琥珀さんのお店か」

 ……ゴルドがニヤニヤしながら看板を見つめている。
 うん、きっと妄想に耽っているのだろう。

「瑠璃ちゃん……お店って……何を……売ってるの?」

 キセノンがゴルドに続いて質問をする。
 そっか、屋号だけじゃ何を売っているのかわからないよね。

「お菓子だよ、主に子ども向けの」
「子ども向けの……お菓子?」
「うん、10円……って言ってもわからないか、まぁ、小さいお金が買えるようなお菓子を売ってるんだよ」
「大体……わかった……かも……私……お菓子……好き……」

 へぇ、キセノンってお菓子が好きなのか。
 異世界のお菓子ってどういうのなんだろう? そんなことを考えながら、私は店の扉を開けた。

「ただいま! 叔母さん!」

 私が帰宅の合図を言うと、上から足音が近づいてきて、叔母さんが優しい表情で出迎えてきた。

「瑠璃ちゃん、それにお友達の皆、おかえりなさい」
「いえいえ、お世話になります、琥珀さん」

 ゴルドは紳士的に頭を下げた。
 叔母さんは……特に気にも留めなかった。

「ハクハク! 今日からバリよろしく!」
「しばらくの間、よろしゅうお願いします」
「よろしく……お願い……します……」
「よろしくね、えーっと、リンちゃんとラピスちゃんとキセノンちゃんは、ちょっと狭いかもしれないけど、瑠璃ちゃんの部屋に泊まってね」
「やったぁ! ルリルリと相部屋だぁ!」

 ……私と相部屋がそんなに嬉しいの? いや、私も異世界のこと知れそうだから嬉しいけど。

「ゴルドは……私の隣の部屋がちょうど空いてるから、使ってね」
「はい! ありがとうございます!」

 ゴルドは元気よく返事をした。
 心なしか、叔母さんの隣の部屋で嬉しそう。
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