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第10章 営・業・再・開

第247話 エルフの会見

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「リンはん? どないしたんや!?」
「離れて……目……悪くするよ」

 ラピスとキセノンがリンを宥め、テレビから離れさせた。
 リンは……驚愕の表情で静かに呟いた。

「これ……まさか……お姉様?」

 お、お姉様?

「ねぇリン、ここに映ってるのって、全員リンの氏族の人?」
「いや、違う……違う氏族の人もいる……これ、どういうこと?」

 違う氏族の人、リンのお姉さん……これは一体?
 その答えを記すように、同時通訳がナレーションで流れてきた。

『会見を行うにあたって、我々の歴史についてお話ししなければなりません、我々、エルフ族は、長きにわたり……氏族争いが、行われています……』

 同時通訳で、エルフ族の歴史について語られた。
 私は咄嗟にノートを取り出し、通訳の内容をメモに記した。

『我々……「自由ファンスウィン共和国臨時政府」は、そんな、氏族争いを無くそうと……複数の氏族の長の子孫が、結集し、作られた組織です、今回内戦を行った人々は……我々とは違う人々です、彼らの意見は我々とは違います、彼らの行動は我々の総意ではありません』

 同時翻訳の影響で、少々拙い部分が見えるが伝えたい内容はよくわかった。
 その後もエルフの歴史や自分たちの立場などを話し、情報バラエティ番組は終了の時間になるも、中継の影響で延長となる旨の内容を司会者が伝えた。
 そこからしばらく……ノートは数ページに渡り、もはや書くスペースがなくなるほどになった。
 そして最後に映像の中のエルフ……リンのお姉さんと思われる人物が〆の言葉を語った。

『……最後になりますが、我々、自由ファンスウィン共和国臨時政府は、現在、我々同胞が多くいる地域、アメリカ合衆国、メキシコ合衆国、カナダ、グアテマラ共和国、ホンジュラス共和国、エルサルバドル共和国など、地球の国家との合流、統合を望んでいます、繰り返しますが、今回の戦闘は、我々エルフ族の総意ではありません、卑劣な国粋主義者、民族主義者による一方的な戦闘です、我々エルフ族の子どもたち、弱者の人々に救いの手を、どうかお願いいたします、今回はお時間を頂きありがとうございました』

 会見を終え、映像の中の複数のエルフ族の人たちは、跪き、祈るように両手を重ねた。
 ……彼らなりのお辞儀のようなものだろうか?
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