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十話
化け狐の言葉
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「ちょっとだけ確認したい事があるんだ。壊したり俺のスマホとすり替えたりとかはしないから安心して」
「…何の確認だよ」
浮気チェックでもする気か。いや…俺とユウキは恋人じゃないから浮気も何もないんだが(むしろ浮気する側だ)。俺が不信感たっぷりに睨んでるとユウキは両手を上げてわしゃわしゃと動かしてくる。
「ほら~早くしないと擽って奪っちゃうぞーライの弱い所ぜーんぶ知ってるんだからね~痛い目見る前に渡した方がいいよ~~イテッ」
「バカ、外で変な事言うんじゃねえ。ったく…、グレイに借りてる奴なんだから変な事するなよ」
あまりにもしつこいユウキに折れてスマホを渡せば、
「ありがと♪」
にこっと笑って物凄い速さで指を動かしていくユウキ。何をしてるんだろうと思いつつビールを飲み進めていると一分もせずにスマホが返ってきた。
「…?もういいのか」
「うん。店長さんが用意したって事はソルジさんの手が入ってると思ったからさ、ささっと洗っときたくて」
「で、何かあったのか。てかマブダチとか言っといてゴリゴリに疑ってんのな」
「あはは、それはそれ、これはこれってね。で、結論から言うと、非常時の位置追跡はいいとして、余計なGPSアプリが入ってたから消しといたよ」
「マジか、なんかの手違いか?」
「かもね~で、消しちゃった分寂しいかなーと思って俺の連絡先登録しといたよ★」
「!!?」
慌てて確認すれば、連絡先にユウキの名前が追加されていた。ちゃっかりメッセージアプリにも追加されている。早業過ぎて怒りが浮かぶより先に流石十代…と関心してしまった。
「またいつでも電話してね★」
「お前なぁ…連絡先はまあ百歩譲っていいとして、逆にGPS仕込んでねえだろうな」
「えへへ、鋭いねえ。入れようと思ったらソルジさんの強固なブロックに邪魔されてできなかったよ。流石にデジタル関係はソルジさんの方が上手だね~ざんね~ん」
「ざんね~んじゃねえよ。結局どっちにGPS仕込まれるかって話じゃねえか」
もうこのスマホ持つの止めようかなと呆れてると
「ライ」
背後から感情の抜け落ちた声がして慌てて振り向く。
「!!…え、あ、フィン?!」
パトロール終わりのフィンが立っていた。祭りの法被を着ているが似合ってるのか似合ってないのか微妙なラインだ。俺的には珍しい組み合わせで好きだが。
「グレイからライを迎えに行ってほしいと連絡があって…寄ってみれば、狐ヶ崎ユウキ、またお前はライをストーカーしているのか」
「ストーカーとは失礼なー!巡回してたら偶然ライがいたんですー!」
「白々しい。騙すしか能のない化け狐の言葉など信じられん」
フィンが蔑むように見下ろすと、ユウキも負けじと挑発的な笑みで応戦した。
「酷いなあ。俺らだって精一杯生きてるんですー!騙したくて騙してるわけじゃないんですからね!そういう能力!生業!ってだけですから!」
「その台詞こそ偽りだろう。毎度嬉々として私達を騙してる癖に…お前の言葉はいつも嘘臭い」
「ええー辛辣~」
「二人共、ここは宴会会場だぞ…迷惑になるって」
会場の端とはいえ、フィン程の美形外人が立っていれば目立つし、その状態で言い合いなんかしたら…注目を浴びて当然だ。すみません…と頭を下げて一旦フィンを俺の向かいに座らせた。先程まで店主が座っていた位置だ。
「ライ…」
店に戻らないのかとフィンが不満げに見つめてくる。
「誘ってくれた店主に挨拶しねえまま帰るわけにもいかねえし、少しだけ待機しててくれ。結構前に行ってたからそろそろ戻ると思うから…フィンもどうせだし飲むか?」
「いや、いい」
フィンは短く否定しユウキを睨み付けた。
「奴がいる場で飲む気になどならん」
「…フィン」
「もーどうしてそんなに俺に敵意を向けるんですかー?俺はこんなに歓迎する気満々なのに。あなたも少しは歩み寄る気持ちをー」
「歩み寄る価値のある相手なら私も態度を改める。だがお前は何度も取り決めを破り、私の見えないところでライに接触しようとする。信用の欠片もない行動だ」
「結果論ではそうなっちゃってますし今日もこうしてライと二人で会っちゃってるから言い訳できませんけど、一応言っておくと、取り決めはちゃんと守ってますからね。色々ギリギリですけど踏み越えてはないですから」
「そういう抜け目がない所が余計気に入らんのだ」
バッサリと切り捨てられユウキは苦笑を浮かべる。それから助けを求めるように視線を送ってきた。
「ライーどうしよう、俺何言っても怒られるんだけど」
「…」
「ねえライ無視しないでよーライー?」
肩を揺さぶられてハッとする。
「悪い…ちょっと、トイレ行ってくるわ」
「え?!今??こんな地獄みたいなタイミングで??待って待って!この人と二人きりにしないで~~~!ここで漏らしていいから~~!」
「いいわけねえだろ」
「わかった!じゃあ俺も!俺もトイレ行く!介助する!」
「そこまで酔ってねえわ。それにお前の仕事はこの宴会を見張る事だろ。俺に釣られて持ち場を離れようとしてんじゃねえ。しっかりやれ」
「うう…」
自分が使った建前で縫い留められるとは思わず、ユウキは悔しそうに項垂れている。俺はそのまま向かい側にいたフィンに「すぐ戻るから」と言い残し会場から離れた。
(確か…こっちに向かったはず)
ユウキとフィンが言い合ってる間も俺は桐谷の方をチラチラと見ていた。そして気付いたのだ。桐谷が数人の連れを引き連れて、神社の周囲をぐるりと囲む森の部分へと入っていくのを。
(見るからに怪しい…!)
俺は桐谷達に気付かれぬよう距離を保ちながら奴らの後をつけた。
シャララン
森に入ってすぐ、どこからともなく鈴の音がした。
「…?」
鈴なんて神社の至る所に存在してるし不思議に思う必要もないのだが、なんとなく今聞こえた鈴の音は、周囲から鳴り響いてる鈴の音とは別物に感じて…俺は警戒するように足を止めた。暗い木々の奥では桐谷達が何かを話しながら指さしている。
(桐谷は何を話してるんだ…?)
宴会の賑やかさと鈴の音のせいで聞きとれない。
(ダメだ、もう少し近づくか…)
そう思って一歩踏み出した時だった。
シャララン
耳元のすぐ近くで鈴の鳴る音がした。
「…何の確認だよ」
浮気チェックでもする気か。いや…俺とユウキは恋人じゃないから浮気も何もないんだが(むしろ浮気する側だ)。俺が不信感たっぷりに睨んでるとユウキは両手を上げてわしゃわしゃと動かしてくる。
「ほら~早くしないと擽って奪っちゃうぞーライの弱い所ぜーんぶ知ってるんだからね~痛い目見る前に渡した方がいいよ~~イテッ」
「バカ、外で変な事言うんじゃねえ。ったく…、グレイに借りてる奴なんだから変な事するなよ」
あまりにもしつこいユウキに折れてスマホを渡せば、
「ありがと♪」
にこっと笑って物凄い速さで指を動かしていくユウキ。何をしてるんだろうと思いつつビールを飲み進めていると一分もせずにスマホが返ってきた。
「…?もういいのか」
「うん。店長さんが用意したって事はソルジさんの手が入ってると思ったからさ、ささっと洗っときたくて」
「で、何かあったのか。てかマブダチとか言っといてゴリゴリに疑ってんのな」
「あはは、それはそれ、これはこれってね。で、結論から言うと、非常時の位置追跡はいいとして、余計なGPSアプリが入ってたから消しといたよ」
「マジか、なんかの手違いか?」
「かもね~で、消しちゃった分寂しいかなーと思って俺の連絡先登録しといたよ★」
「!!?」
慌てて確認すれば、連絡先にユウキの名前が追加されていた。ちゃっかりメッセージアプリにも追加されている。早業過ぎて怒りが浮かぶより先に流石十代…と関心してしまった。
「またいつでも電話してね★」
「お前なぁ…連絡先はまあ百歩譲っていいとして、逆にGPS仕込んでねえだろうな」
「えへへ、鋭いねえ。入れようと思ったらソルジさんの強固なブロックに邪魔されてできなかったよ。流石にデジタル関係はソルジさんの方が上手だね~ざんね~ん」
「ざんね~んじゃねえよ。結局どっちにGPS仕込まれるかって話じゃねえか」
もうこのスマホ持つの止めようかなと呆れてると
「ライ」
背後から感情の抜け落ちた声がして慌てて振り向く。
「!!…え、あ、フィン?!」
パトロール終わりのフィンが立っていた。祭りの法被を着ているが似合ってるのか似合ってないのか微妙なラインだ。俺的には珍しい組み合わせで好きだが。
「グレイからライを迎えに行ってほしいと連絡があって…寄ってみれば、狐ヶ崎ユウキ、またお前はライをストーカーしているのか」
「ストーカーとは失礼なー!巡回してたら偶然ライがいたんですー!」
「白々しい。騙すしか能のない化け狐の言葉など信じられん」
フィンが蔑むように見下ろすと、ユウキも負けじと挑発的な笑みで応戦した。
「酷いなあ。俺らだって精一杯生きてるんですー!騙したくて騙してるわけじゃないんですからね!そういう能力!生業!ってだけですから!」
「その台詞こそ偽りだろう。毎度嬉々として私達を騙してる癖に…お前の言葉はいつも嘘臭い」
「ええー辛辣~」
「二人共、ここは宴会会場だぞ…迷惑になるって」
会場の端とはいえ、フィン程の美形外人が立っていれば目立つし、その状態で言い合いなんかしたら…注目を浴びて当然だ。すみません…と頭を下げて一旦フィンを俺の向かいに座らせた。先程まで店主が座っていた位置だ。
「ライ…」
店に戻らないのかとフィンが不満げに見つめてくる。
「誘ってくれた店主に挨拶しねえまま帰るわけにもいかねえし、少しだけ待機しててくれ。結構前に行ってたからそろそろ戻ると思うから…フィンもどうせだし飲むか?」
「いや、いい」
フィンは短く否定しユウキを睨み付けた。
「奴がいる場で飲む気になどならん」
「…フィン」
「もーどうしてそんなに俺に敵意を向けるんですかー?俺はこんなに歓迎する気満々なのに。あなたも少しは歩み寄る気持ちをー」
「歩み寄る価値のある相手なら私も態度を改める。だがお前は何度も取り決めを破り、私の見えないところでライに接触しようとする。信用の欠片もない行動だ」
「結果論ではそうなっちゃってますし今日もこうしてライと二人で会っちゃってるから言い訳できませんけど、一応言っておくと、取り決めはちゃんと守ってますからね。色々ギリギリですけど踏み越えてはないですから」
「そういう抜け目がない所が余計気に入らんのだ」
バッサリと切り捨てられユウキは苦笑を浮かべる。それから助けを求めるように視線を送ってきた。
「ライーどうしよう、俺何言っても怒られるんだけど」
「…」
「ねえライ無視しないでよーライー?」
肩を揺さぶられてハッとする。
「悪い…ちょっと、トイレ行ってくるわ」
「え?!今??こんな地獄みたいなタイミングで??待って待って!この人と二人きりにしないで~~~!ここで漏らしていいから~~!」
「いいわけねえだろ」
「わかった!じゃあ俺も!俺もトイレ行く!介助する!」
「そこまで酔ってねえわ。それにお前の仕事はこの宴会を見張る事だろ。俺に釣られて持ち場を離れようとしてんじゃねえ。しっかりやれ」
「うう…」
自分が使った建前で縫い留められるとは思わず、ユウキは悔しそうに項垂れている。俺はそのまま向かい側にいたフィンに「すぐ戻るから」と言い残し会場から離れた。
(確か…こっちに向かったはず)
ユウキとフィンが言い合ってる間も俺は桐谷の方をチラチラと見ていた。そして気付いたのだ。桐谷が数人の連れを引き連れて、神社の周囲をぐるりと囲む森の部分へと入っていくのを。
(見るからに怪しい…!)
俺は桐谷達に気付かれぬよう距離を保ちながら奴らの後をつけた。
シャララン
森に入ってすぐ、どこからともなく鈴の音がした。
「…?」
鈴なんて神社の至る所に存在してるし不思議に思う必要もないのだが、なんとなく今聞こえた鈴の音は、周囲から鳴り響いてる鈴の音とは別物に感じて…俺は警戒するように足を止めた。暗い木々の奥では桐谷達が何かを話しながら指さしている。
(桐谷は何を話してるんだ…?)
宴会の賑やかさと鈴の音のせいで聞きとれない。
(ダメだ、もう少し近づくか…)
そう思って一歩踏み出した時だった。
シャララン
耳元のすぐ近くで鈴の鳴る音がした。
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