112 / 159
十話
★生贄の祈祷
しおりを挟む
「反応がねえとつまらねえと思ったが…、もしかしたら起きれるか?」
中に入れた指を動かしながら桐谷は独り言のように問いかけてくる。
「ほら、気持ち悪いんだろ?起きてもっと嫌がる反応を見せてくれよ。タフな雷クンならできるだろ?」
煽るようにもう一本無理矢理入れてくる。ローションを纏っていてもその乱暴さはカバーできない。引き攣るような痛みと苦しさから体は強張り、穴を広げる為の行為なのにむしろ狭まっていく気がした。
「…っ、はぁ…、」
「にしても狭いな。てっきり恋人とヤリまくってガバガバかと思ったが処女レベルの狭さだな」
確かめるように指で内側の壁を撫で、指をもう一本増やした。これで三本目だ。
「んッ、…」
圧迫感が増し吐息が漏れる。それを見た桐谷は上機嫌に眉を上げ、後ろに入れた指はそのままにもう片方の手で頬を叩いてきた。
「そろそろいれるから、起きたらしっかり泣いてくれよ。…ここまで手を焼かせられたんだ、元は取らせてもらわねえとな」
ぐちゅんと荒々しく指を引き抜き、桐谷は自分のズボンの前を開けた。すでに勃ちあがったそれを手で擦って更に勃たせ、手慣れた手つきでゴムをつけていく。
(…そうだった)
昔から桐谷は必ずゴムをつけて行う。性病対策だろうが、その習慣は今も続けられているのかと、妙な事を思い出してしまう自分にげんなりとした。
(あれ?待て…今の俺、思考できてる??)
体は動かせないままだが頭の方は確実に冴えていた。さっきまで夢の中にいるみたいにふわふわしていたのに。俺はすぐに見える範囲で状況を確認した。覆い被さる桐谷。お経を唱える鳴海。本殿の扉は閉じた状態。白い布のすぐ近くに並べられているのは酒といくつかの作物…多分神への捧げ物なのだろうが、どれも武器にはなりそうにない。
ぐっ
「?!」
後ろに固いものがあてがわれ、一気に思考が引き戻される。ヤバい。体が強張るより先にそれがめり込んできた。
ぎちっ
「ウッ…あぁ…ッ!」
「はあ、ははっ、きっつ…」
強い衝撃が駆け抜け、背中が床から浮く。痛い。苦しい。気持ち悪い。快感からは程遠いレイプに体は震え生理的な涙が溢れてくる。桐谷は苦し気に喘ぐ俺の前髪を掴み、腹側が見えるように引っ張ってきた。
「ほら、誰のを咥えてんのかよーく見て味わえ」
残酷な台詞と共に腰を突き入れてくる。
「…ッ!!」
腹に収まっていくそれは確かに覚えがあって、体が桐谷を思い出すのと同時に過去のレイプされた記憶が蘇り、体中の血液が沸騰するように感じた。
「はッ、あっ…!き、りやぁッ…!」
「おお?起きたか。すげえな、祈祷中に起きてきたのはお前が初めてだぜ」
桐谷は笑いながらガツンと容赦なく奥を抉ってきた。中が広がってない状態で奥を抉られるのは痛みしか生まない。内臓を直接殴られてるみたいな衝撃に吐き気が込み上げる。
「ゲホッ、はッ、この…、ああ、っ、クズ野郎、が…ッ」
突かれる合間に罵倒するが、桐谷はそれすらも心地いいのか目を細め高笑いしていた。両手は背中に潰された状態、足も桐谷に封じられている。何より内臓を抉る凶器のせいでまともに体に力が入らない。
どくり
唐突に、腹に居座る桐谷のモノが膨れ、脈打つ。
「ああぁッ…!」
「はぁー、くくっ、雷クンの締め付けが良すぎて速攻イっちまったじゃねえか。ガキの時よりいいってどうなってんだお前の体…」
桐谷が萎えた自身を引き抜き、白濁の詰まったゴムを縛る。
「男共が追っかけ回すのも納得の名器だ。…これは生でやる価値がありそうだ」
「?!」
喪失感に呆然としつつも、今なんと、と信じられない気持ちで睨みつければ桐谷は再び勃ち始めた自身を後ろにあてがってきた。軽く擦りながら押し付けられるそれには…ゴムがつけられていない。
「なっ、や、やめろッ…!!!」
「暴れんなって、一回犯されてんだから二回目も変わらねえだろ。…まあ、生だから中に出すけどな」
「馬鹿い…ッ、ンむぐッ」
叫ぼうとした口を掌で覆われる。
(いれられる…!!)
コンコン
「!!」
木の壁をノックする音が響く。桐谷はそのリズムに眉をひそめ、すぐに体を引いた。
「チッ、…バセか、どうした」
バセ。桐谷が口にした名前に目を見開く。
「蓮、緊急事態だ。神社内で“獣”が出たらしい」
「獣だぁ?こんな都会で何が出るってんだ??誰がそんなふざけた通報しやがった!」
「厄介なのは通報内容じゃなく“消防”にも通報を入れられた事だ。盆踊りは中止、神社周辺も立ち入り禁止になる。蓮の号令が必要だ」
「ったく、働き者の消防サンは流石仕事が早いねえ…クソったれ!!」
怒鳴りつつ桐谷は手早く服を整え、正面の扉から出て行った。
ガタン
建付けの悪い扉が荒々しく閉められる。途端に本殿はシィンと静けさに包まれた。
(って呆けてる場合じゃねえ…!)
痺れが残っている体を無理矢理動かし、肘をついて体を起こし、剥ぎ取られた浴衣を手繰り寄せる。帯はどこだと視線を巡らせれば
「どうぞ」
「!」
鳴海が帯を膝に置いてくる。そのまま縄を解かれて、俺はすぐに浴衣を羽織り帯も軽くしめた。
「…すみません」
鳴海が頭を下げてくる。俺は鳴海から視線を外し、唸るように言った。
「鳴海、てっきりあんたは…俺と同じで桐谷に虐げられていると思ったのに…全部嘘だったのか」
「ちがいます…!!あの時ライさんに話した事情に嘘偽りはありません…!」
鳴海が取り乱した様子で首を振る。先程までの落ち着き払った鳴海じゃない。俺の知る鳴海だっいた。
「俺は…ずっと桐谷さんのパシリ、奴隷です。話せてないのはその後で…っ」
「その後…?」
「はい。桐谷さんが生贄の祈祷を知ってしまって、催眠中何してもバレないならと参加を申し出てきて…、もちろんそんな事できるわけがないと止めましたが…、その時に…せ、折檻されて、考えるのを止めてしまいました…」
折檻で挫けた鳴海は誰にも言えないまま共犯者にされ、罪を重ねていくしかなかった…と。もちろん鳴海がしている事は許せないが、鳴海自身も桐谷への恐怖で無理矢理従わされている。罪の在処がどこにあるのか、どれほどなのか…難しい問題だ。
「桐谷は今までどれぐらい参加したんだ?」
「生贄の祈祷は月に一度の頻度ですが、桐谷さんが参加されるのは気に入った“生贄”がいた時だけ、あっても数か月に一度程度でした。多分十回もないと思います」
「気に入った“生贄”ってのは桐谷が連れてくるのか?それとも外部からお願いしてるって人達から選ぶのか?」
「両方です。参拝者を襲って引き摺ってくる時もあります。俺とライさんが初めて会った日の悲鳴もそれでした」
「!」
鈴凪神社に初めて訪れた日を思いだす。鳴海と社務所で話していたら悲鳴が聞こえてきて、怪しい人影を森の中に見たが…あれは“生贄”を引き摺って本殿に連れ込む桐谷だったのか。
「でも待てよ。それじゃおかしい。月に一度の儀式なら、最近人が消えてたのは…地下牢にいる人達は一体…」
「全て、ライさんを誘い出す為です。二週間前、桐谷さんは動画でライさんを見つけるとすぐに“人隠しを起こせ”と命じてきました。神隠しの噂がたてば必ず食いついてくるからと、読み通りライさんは釣れましたが、予想外にそこからも手こずらされて…とうとう桐谷さんは人隠しで鬱憤を晴らすようになりました。とっくに私物化していた人隠しを…悪用し始めたんです」
「人隠しを悪用…」
そういえば俺の周りではほぼ毎日人が消えている事に気付いた。屋台バイト、昨日の宴会会場、迷子の両親。他にもいるし全員がそうだとは思わないが…大胆な犯行である事に間違いはない。
(今までの人隠しと違って生贄の祈祷という大義名分もない)
桐谷の私利私欲で行われた“人攫い”だ。
「じゃあ…昨日の宴会会場で聞こえた鈴の音って」
「人隠しの音です。桐谷さん達が好みの店主を森に連れ出して、そこで俺が鈴を鳴らそうとしたらライさんが巻き込まれたんです。桐谷さんはちょうどいいとライさんも一緒に運ぼうとしました。そこで現れたのが場瀬さんです」
「…!」
「“このタイミングだと店の奴らや狐ヶ崎が噛みついてきて厄介だから”と桐谷さんを説得して、最終的に店主だけ連れていく事になりましたが……場瀬さんが桐谷さんに意見するなんて、本当に、驚きました…」
まさか俺が寝ている間にそんな事が起きてたなんて。さっきの事もだが、場瀬には助けられてばかりだ。感謝すべきなのだろうが意図が読めない救いの手は…中学の時と同じで不気味さの方が勝る。
「ライさん、俺は、桐谷さんが怖いです。あの怒鳴り声も、煙草の火も…全部、怖いです。でも、でもそれ以上に、場瀬さんと一緒にいられなくなる方が怖いんです」
そう言って鳴海は自分の膝の上に作った拳をぎゅっと固くした。
「俺にとって場瀬さんは神様なんです。役立たずな俺に唯一許しを与えてくれる神様。だから俺は桐谷さんに従います。どれだけ桐谷さんが怖くても、“人隠し”の罪悪感が重くなっても…、桐谷さんといれば、場瀬さんという神様といられるから…俺はもうそれでいいんです」
「鳴海、」
ガタン
正面の扉の開かれる音に、俺と鳴海が飛び上がるようにして見ると、場瀬が立っていた。
「場瀬さん…!!」
鳴海が慌てて立ち上がる。
「鳴海、蓮が呼んでる。対応してくれ」
「はい!わかりました!!」
鳴海は場瀬の言葉に一つ返事で頷き、足早に外へと出ていった。パタパタと走り去る音を聞きながら俺と場瀬は、暗い本殿の中、睨み合った。
中に入れた指を動かしながら桐谷は独り言のように問いかけてくる。
「ほら、気持ち悪いんだろ?起きてもっと嫌がる反応を見せてくれよ。タフな雷クンならできるだろ?」
煽るようにもう一本無理矢理入れてくる。ローションを纏っていてもその乱暴さはカバーできない。引き攣るような痛みと苦しさから体は強張り、穴を広げる為の行為なのにむしろ狭まっていく気がした。
「…っ、はぁ…、」
「にしても狭いな。てっきり恋人とヤリまくってガバガバかと思ったが処女レベルの狭さだな」
確かめるように指で内側の壁を撫で、指をもう一本増やした。これで三本目だ。
「んッ、…」
圧迫感が増し吐息が漏れる。それを見た桐谷は上機嫌に眉を上げ、後ろに入れた指はそのままにもう片方の手で頬を叩いてきた。
「そろそろいれるから、起きたらしっかり泣いてくれよ。…ここまで手を焼かせられたんだ、元は取らせてもらわねえとな」
ぐちゅんと荒々しく指を引き抜き、桐谷は自分のズボンの前を開けた。すでに勃ちあがったそれを手で擦って更に勃たせ、手慣れた手つきでゴムをつけていく。
(…そうだった)
昔から桐谷は必ずゴムをつけて行う。性病対策だろうが、その習慣は今も続けられているのかと、妙な事を思い出してしまう自分にげんなりとした。
(あれ?待て…今の俺、思考できてる??)
体は動かせないままだが頭の方は確実に冴えていた。さっきまで夢の中にいるみたいにふわふわしていたのに。俺はすぐに見える範囲で状況を確認した。覆い被さる桐谷。お経を唱える鳴海。本殿の扉は閉じた状態。白い布のすぐ近くに並べられているのは酒といくつかの作物…多分神への捧げ物なのだろうが、どれも武器にはなりそうにない。
ぐっ
「?!」
後ろに固いものがあてがわれ、一気に思考が引き戻される。ヤバい。体が強張るより先にそれがめり込んできた。
ぎちっ
「ウッ…あぁ…ッ!」
「はあ、ははっ、きっつ…」
強い衝撃が駆け抜け、背中が床から浮く。痛い。苦しい。気持ち悪い。快感からは程遠いレイプに体は震え生理的な涙が溢れてくる。桐谷は苦し気に喘ぐ俺の前髪を掴み、腹側が見えるように引っ張ってきた。
「ほら、誰のを咥えてんのかよーく見て味わえ」
残酷な台詞と共に腰を突き入れてくる。
「…ッ!!」
腹に収まっていくそれは確かに覚えがあって、体が桐谷を思い出すのと同時に過去のレイプされた記憶が蘇り、体中の血液が沸騰するように感じた。
「はッ、あっ…!き、りやぁッ…!」
「おお?起きたか。すげえな、祈祷中に起きてきたのはお前が初めてだぜ」
桐谷は笑いながらガツンと容赦なく奥を抉ってきた。中が広がってない状態で奥を抉られるのは痛みしか生まない。内臓を直接殴られてるみたいな衝撃に吐き気が込み上げる。
「ゲホッ、はッ、この…、ああ、っ、クズ野郎、が…ッ」
突かれる合間に罵倒するが、桐谷はそれすらも心地いいのか目を細め高笑いしていた。両手は背中に潰された状態、足も桐谷に封じられている。何より内臓を抉る凶器のせいでまともに体に力が入らない。
どくり
唐突に、腹に居座る桐谷のモノが膨れ、脈打つ。
「ああぁッ…!」
「はぁー、くくっ、雷クンの締め付けが良すぎて速攻イっちまったじゃねえか。ガキの時よりいいってどうなってんだお前の体…」
桐谷が萎えた自身を引き抜き、白濁の詰まったゴムを縛る。
「男共が追っかけ回すのも納得の名器だ。…これは生でやる価値がありそうだ」
「?!」
喪失感に呆然としつつも、今なんと、と信じられない気持ちで睨みつければ桐谷は再び勃ち始めた自身を後ろにあてがってきた。軽く擦りながら押し付けられるそれには…ゴムがつけられていない。
「なっ、や、やめろッ…!!!」
「暴れんなって、一回犯されてんだから二回目も変わらねえだろ。…まあ、生だから中に出すけどな」
「馬鹿い…ッ、ンむぐッ」
叫ぼうとした口を掌で覆われる。
(いれられる…!!)
コンコン
「!!」
木の壁をノックする音が響く。桐谷はそのリズムに眉をひそめ、すぐに体を引いた。
「チッ、…バセか、どうした」
バセ。桐谷が口にした名前に目を見開く。
「蓮、緊急事態だ。神社内で“獣”が出たらしい」
「獣だぁ?こんな都会で何が出るってんだ??誰がそんなふざけた通報しやがった!」
「厄介なのは通報内容じゃなく“消防”にも通報を入れられた事だ。盆踊りは中止、神社周辺も立ち入り禁止になる。蓮の号令が必要だ」
「ったく、働き者の消防サンは流石仕事が早いねえ…クソったれ!!」
怒鳴りつつ桐谷は手早く服を整え、正面の扉から出て行った。
ガタン
建付けの悪い扉が荒々しく閉められる。途端に本殿はシィンと静けさに包まれた。
(って呆けてる場合じゃねえ…!)
痺れが残っている体を無理矢理動かし、肘をついて体を起こし、剥ぎ取られた浴衣を手繰り寄せる。帯はどこだと視線を巡らせれば
「どうぞ」
「!」
鳴海が帯を膝に置いてくる。そのまま縄を解かれて、俺はすぐに浴衣を羽織り帯も軽くしめた。
「…すみません」
鳴海が頭を下げてくる。俺は鳴海から視線を外し、唸るように言った。
「鳴海、てっきりあんたは…俺と同じで桐谷に虐げられていると思ったのに…全部嘘だったのか」
「ちがいます…!!あの時ライさんに話した事情に嘘偽りはありません…!」
鳴海が取り乱した様子で首を振る。先程までの落ち着き払った鳴海じゃない。俺の知る鳴海だっいた。
「俺は…ずっと桐谷さんのパシリ、奴隷です。話せてないのはその後で…っ」
「その後…?」
「はい。桐谷さんが生贄の祈祷を知ってしまって、催眠中何してもバレないならと参加を申し出てきて…、もちろんそんな事できるわけがないと止めましたが…、その時に…せ、折檻されて、考えるのを止めてしまいました…」
折檻で挫けた鳴海は誰にも言えないまま共犯者にされ、罪を重ねていくしかなかった…と。もちろん鳴海がしている事は許せないが、鳴海自身も桐谷への恐怖で無理矢理従わされている。罪の在処がどこにあるのか、どれほどなのか…難しい問題だ。
「桐谷は今までどれぐらい参加したんだ?」
「生贄の祈祷は月に一度の頻度ですが、桐谷さんが参加されるのは気に入った“生贄”がいた時だけ、あっても数か月に一度程度でした。多分十回もないと思います」
「気に入った“生贄”ってのは桐谷が連れてくるのか?それとも外部からお願いしてるって人達から選ぶのか?」
「両方です。参拝者を襲って引き摺ってくる時もあります。俺とライさんが初めて会った日の悲鳴もそれでした」
「!」
鈴凪神社に初めて訪れた日を思いだす。鳴海と社務所で話していたら悲鳴が聞こえてきて、怪しい人影を森の中に見たが…あれは“生贄”を引き摺って本殿に連れ込む桐谷だったのか。
「でも待てよ。それじゃおかしい。月に一度の儀式なら、最近人が消えてたのは…地下牢にいる人達は一体…」
「全て、ライさんを誘い出す為です。二週間前、桐谷さんは動画でライさんを見つけるとすぐに“人隠しを起こせ”と命じてきました。神隠しの噂がたてば必ず食いついてくるからと、読み通りライさんは釣れましたが、予想外にそこからも手こずらされて…とうとう桐谷さんは人隠しで鬱憤を晴らすようになりました。とっくに私物化していた人隠しを…悪用し始めたんです」
「人隠しを悪用…」
そういえば俺の周りではほぼ毎日人が消えている事に気付いた。屋台バイト、昨日の宴会会場、迷子の両親。他にもいるし全員がそうだとは思わないが…大胆な犯行である事に間違いはない。
(今までの人隠しと違って生贄の祈祷という大義名分もない)
桐谷の私利私欲で行われた“人攫い”だ。
「じゃあ…昨日の宴会会場で聞こえた鈴の音って」
「人隠しの音です。桐谷さん達が好みの店主を森に連れ出して、そこで俺が鈴を鳴らそうとしたらライさんが巻き込まれたんです。桐谷さんはちょうどいいとライさんも一緒に運ぼうとしました。そこで現れたのが場瀬さんです」
「…!」
「“このタイミングだと店の奴らや狐ヶ崎が噛みついてきて厄介だから”と桐谷さんを説得して、最終的に店主だけ連れていく事になりましたが……場瀬さんが桐谷さんに意見するなんて、本当に、驚きました…」
まさか俺が寝ている間にそんな事が起きてたなんて。さっきの事もだが、場瀬には助けられてばかりだ。感謝すべきなのだろうが意図が読めない救いの手は…中学の時と同じで不気味さの方が勝る。
「ライさん、俺は、桐谷さんが怖いです。あの怒鳴り声も、煙草の火も…全部、怖いです。でも、でもそれ以上に、場瀬さんと一緒にいられなくなる方が怖いんです」
そう言って鳴海は自分の膝の上に作った拳をぎゅっと固くした。
「俺にとって場瀬さんは神様なんです。役立たずな俺に唯一許しを与えてくれる神様。だから俺は桐谷さんに従います。どれだけ桐谷さんが怖くても、“人隠し”の罪悪感が重くなっても…、桐谷さんといれば、場瀬さんという神様といられるから…俺はもうそれでいいんです」
「鳴海、」
ガタン
正面の扉の開かれる音に、俺と鳴海が飛び上がるようにして見ると、場瀬が立っていた。
「場瀬さん…!!」
鳴海が慌てて立ち上がる。
「鳴海、蓮が呼んでる。対応してくれ」
「はい!わかりました!!」
鳴海は場瀬の言葉に一つ返事で頷き、足早に外へと出ていった。パタパタと走り去る音を聞きながら俺と場瀬は、暗い本殿の中、睨み合った。
0
あなたにおすすめの小説
陥落 ー おじさま達に病愛されて ー
ななな
BL
眉目秀麗、才ある青年が二人のおじさま達から変態的かつ病的に愛されるお話。全九話。
国一番の璃伴士(将棋士)であるリンユゥは、義父に温かい愛情を注がれ、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。
そんなある日、一人の紳士とリンユゥは対局することになり…。
人気俳優に拾われてペットにされた件
米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。
そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。
「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。
「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。
これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。
ヤリチン伯爵令息は年下わんこに囚われ首輪をつけられる
桃瀬さら
BL
「僕のモノになってください」
首輪を持った少年はレオンに首輪をつけた。
レオンは人に誇れるような人生を送ってはこなかった。だからといって、誰かに狙われるようないわれもない。
ストーカーに悩まされていたレある日、ローブを着た不審な人物に出会う。
逃げるローブの人物を追いかけていると、レオンは気絶させられ誘拐されてしまう。
マルセルと名乗った少年はレオンを閉じ込め、痛めつけるでもなくただ日々を過ごすだけ。
そんな毎日にいつしかレオンは安らぎを覚え、純粋なマルセルに毒されていく。
近づいては離れる猫のようなマルセル×囚われるレオン
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる