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3章 共同作戦

派閥

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「テレネシア公爵家の尻尾を掴めそうだ。」
 夕食前に、突然お父様が言いました。お母様は目を見開きます。

「それは…本当なの?」
「本当だ。」

「ど、どういう事ですか?」
 私は驚き聞きました。
「レイ、今日は特別授業だ。ハルティア王国の派閥について話す。」
 ゴクリと唾を飲み込みます。詳しい派閥関係は初めて聞きますね。お父様もかつてないほど真剣な眼差しをしています。


「まず、ここハルティア王国には2つの派閥がある。王室派と革命派だ。それぞれ、公爵家が筆頭を務めていて、エメリック家は革命派に属している。」
 革命派……お父様の国王陛下への評価を考えれば当然ですかね。

「王室派とは、表向きには王家に忠誠を誓った派閥だ。しかし本当の目的は、ディアナ嬢を王妃に即位させ筆頭のテレネシア家の勢力を拡大させ、王室を裏から操ることだ。」
「操る……!?」
 ディアナ様の婚約の裏には、派閥関係が絡んでいたのですね。あれだけ横暴をしていても取り巻きが減らないくらいですから、本当に力のある家なのは間違いないのでしょう。

「そう、王室を傀儡して自分たちの利益に繋げようとしている連中だ。しかしこれが上手くいっているから王室派の家門は減らない。」
「……で、では、革命派はどうなんですか!?」

「革命派とは、エメリック家を筆頭に政権革命を起こし、平民まで豊かに暮らせる国を目指している派閥だ。」
「なるほど。」
 これだけ聞くと、王室派より善良なのでは?

「最終目的は、王室の解体もしくは王国議会の設立だ。生まれた場所だけで人生が決まる国では駄目なんだ。」
「そう、ですね。」
 お父様の言葉が胸に響きます。私もオラルト伯爵家に生まれたばっかりに虐待を受けることになったのですから。

「しかし、革命派は王室派どころか王室そのものも敵に回す派閥だ。慎重に行動しなければならない。そして勢力が広がる王室派を止める必要がある。」
「あっ!だからテレネシア家の……!」
「その通り。テレネシア家は裏で不正を働いていると言う噂がある。だがテレネシア家が上手くやっているのか全く決定的証拠が掴めない。証拠がなければ家の言いがかりに過ぎないから、今まで尽力していたんだ。」

 あのディアナ様の家……中々闇が深そうな家なのが容易に想像できます。

「だが、仮にテレネシア家の勢力を落とせたとしても、1つ問題がある。」
「問題ですか?」
「王太子ルーク殿下の存在だ。」
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