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4章 攫われた二人
目覚め
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深い水の底に沈んでいた意識は突如引き上げられました。
「……様!レイ様!」
クレア様の必死の呼びかけによって。
「ク…レア…様?」
朦朧とした思考の中で何とか思考を整理します。
確かクレア様と王太子殿下の結婚式に出席していたのですよね。順調に式は進んで、最後のキスを残すのみとなったタイミングで会場が暗転して……急に意識が無くなったのです。そして、先程気づいたらここにいました。
「クレア様…ここはどこでしょう?」
「分かりません。私もついさっき目覚めたばかりで…」
状況からみると、これは完全なる誘拐です。そうすると、もしかしたら現在地はグレシアナ王国を離れているかもしれません。移動している感覚は無いのでここに監禁されていると考えて良さそうです。
周囲を見回しますが、窓も無く暗いためにあまり手がかりが掴めそうにありません。どうやらどこかの部屋の中のようですが。
「痛っ…!」
室内をうろついていると、何か大きなものにぶつかりました。金属だったのか額がジンジンと痛みます。
「大丈夫ですか…?」
「はい、一応。これは…」
ようやく慣れてきた目を凝らして見ると、それは甲冑でした。その横にも同じものが所狭しと並んでいます。その様子は人が入っていなくとも圧迫感を感じます。見る限り旧式の型なので重量があるのでしょう。最新式のものは防御魔力が付与されて軽量化していますから。
「何故ここに甲冑が…」
「レイ様!ここは恐らく旧聖堂です!」
並べられた甲冑を見て考え込んでいると、クレア様が急に叫びました。驚き少し声を上げます。
「あ、も、申し訳ありません。」
「い、いえ。クレア様、旧聖堂とはなんでしょうか?それが何故ここだと思われるのですか?」
旧聖堂という場所は聞いたことがありません。となるとハルティア王国では無さそうです。
「旧聖堂は六年ほど前までシアン教の中心地だった場所です。ほとんどの儀式はここで行われていました。建立から随分年月が経って老朽化してしまったので今は関係者以外立ち入り禁止になっていて、儀式も中央教会で執り行われるようになったんです。」
「なるほど。ではグレシアナ王国内なのですね?」
「はい。決め手はこの甲冑です。」
クレア様は甲冑の腕部分を指さしました。よく見ると文字が彫られているようですが、見たことの無い言語でした。
「……様!レイ様!」
クレア様の必死の呼びかけによって。
「ク…レア…様?」
朦朧とした思考の中で何とか思考を整理します。
確かクレア様と王太子殿下の結婚式に出席していたのですよね。順調に式は進んで、最後のキスを残すのみとなったタイミングで会場が暗転して……急に意識が無くなったのです。そして、先程気づいたらここにいました。
「クレア様…ここはどこでしょう?」
「分かりません。私もついさっき目覚めたばかりで…」
状況からみると、これは完全なる誘拐です。そうすると、もしかしたら現在地はグレシアナ王国を離れているかもしれません。移動している感覚は無いのでここに監禁されていると考えて良さそうです。
周囲を見回しますが、窓も無く暗いためにあまり手がかりが掴めそうにありません。どうやらどこかの部屋の中のようですが。
「痛っ…!」
室内をうろついていると、何か大きなものにぶつかりました。金属だったのか額がジンジンと痛みます。
「大丈夫ですか…?」
「はい、一応。これは…」
ようやく慣れてきた目を凝らして見ると、それは甲冑でした。その横にも同じものが所狭しと並んでいます。その様子は人が入っていなくとも圧迫感を感じます。見る限り旧式の型なので重量があるのでしょう。最新式のものは防御魔力が付与されて軽量化していますから。
「何故ここに甲冑が…」
「レイ様!ここは恐らく旧聖堂です!」
並べられた甲冑を見て考え込んでいると、クレア様が急に叫びました。驚き少し声を上げます。
「あ、も、申し訳ありません。」
「い、いえ。クレア様、旧聖堂とはなんでしょうか?それが何故ここだと思われるのですか?」
旧聖堂という場所は聞いたことがありません。となるとハルティア王国では無さそうです。
「旧聖堂は六年ほど前までシアン教の中心地だった場所です。ほとんどの儀式はここで行われていました。建立から随分年月が経って老朽化してしまったので今は関係者以外立ち入り禁止になっていて、儀式も中央教会で執り行われるようになったんです。」
「なるほど。ではグレシアナ王国内なのですね?」
「はい。決め手はこの甲冑です。」
クレア様は甲冑の腕部分を指さしました。よく見ると文字が彫られているようですが、見たことの無い言語でした。
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