電車で苦くて甘いヒミツの関係

水瀬かずか

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電車で苦くて甘いヒミツの関係

3.5

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「あれ? 三井さん?」

 もうそろそろ会社に着くという頃、声をかけられて振り向くと、課長がいつもの笑顔でそこにいた。
 会社に着く前に会えるなんて。もしかして、このまま会社まで一緒に歩いていけるかな。
 思いがけない幸運に心を弾ませながら課長に駆け寄って挨拶をした。

「おはようございます。課長、いつもより遅いですね」
「ああ、いつも乗る電車に乗り損ねてね」

 課長が私のとなりに並んで、ごく自然に私と歩調を合わせて歩き出してくれる。

 わぁっ……。

 並んで歩くという嬉しいハプニングに、胸が高鳴る。
 嬉しい、でも緊張する。課長、背が高い。隣に並ぶと目線はこんな位置になるんだ。
 笑っているのかこわばっているのか分からない自分の顔の状態は、課長の目にどう見えているのかな、なんて気にしながら、話しかけたりなんかして。
 いつもと代わり映えのない会話なのに並んで歩いているって言うだけで、いつもよりドキドキして、いつもより嬉しくて、いつもより緊張してしまう。
 会社までの短い距離だけれど、二人っきりの時間、まるでデートでもしているような気持ちをほんのわずかに味わって。
 他愛もない話をしながら、二人で会社へと入った。


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