電車で苦くて甘いヒミツの関係

水瀬かずか

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電車で苦くて甘いヒミツの関係

7-8

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 後ろから抱きしめてくれている課長に甘えるようにすり寄ると、ぬるんと課長が抜けてしまう。

「やぁんっ」

 抜けないようにしてたのに。寂しくて物足りなくて、悲しくなる。

「香奈」

 名前を呼ばれて振り返ると軽くキスをされて、それから体を向かい合わせになるようにくるりと回されて。
 それから――、

「は、ぁんっ」

 片足を抱え上げられるなり、また膣内(なか)に課長が入ってきて。

 きもちいい。

 繋がってるということにほっと安心感を覚える。
 恥じらいとかそんなモノはすっかり忘れて、ぴったりと二人繋がっている一緒になれた気持ちよさに、恍惚とする。

「かわいい」

 キスをしながら課長が私を突き上げる。私は課長の首に手を回して縋り付くと、動きに合わせて腰をゆすった。
 ぐちゅぐちゅと音がして。私が腰を落とすのと課長が突き上げるタイミングが合う度に、奥に当たって頭がしびれるような快感が襲う。
 ずちゅずちゅと音を立てて、課長が私を何度も何度も突き上げる。
 こすりあげられて、奥を突き上げられて、それに合わせて腰を振って。貪り合うみたいに、何度も何度も単純な動きをあきもせずに続ける。課長も私も熱くて浅い息を吐きながら、ひたすら気持ちいい行為に没頭する。


 そんなとき扉の向こうでガチャンと音が聞こえた。
 そして聞こえる人の話し声。

 また人が……。

 びくりと震える私に気付いて、課長が人の悪そうな笑顔を浮かべた。

「……ひっ」

 とたんに今までにない突き上げ方をされる。奥にずんと響くような。

「しぃっ」

 わざと声が出るような事をしておいて、優しげな笑顔でたしなめてくる。

「いじ、わる……」
「なんとでも」

 すくすくと笑う課長の笑顔は楽しげで優しそうなのに、今は悪魔に見える。
 片手が私の胸の先端に伸びてきた。さっきまで両手で抱きしめられるように支えられていた私は、片足を膝裏から課長に抱え上げられ、もう片方の手で乳首を触られている。背中を壁にもたせかけた状態で必死に課長の首にしがみついて耐えている私を、課長が突き上げる。
 さっきまでより安定感がなくなって膣内を抽挿する動きは緩くなっている。ヒールの高さがその安定感のなさを更にひどくする。
 もどかしい。
 でも胸の先端をぐりぐりと痛くないぐらいにいじられれば、気持ちよさともどかしさは倍増されてしまう。

「やだ、隼人さ……もっと奥ぅ……」

 首にかじりつくようにして、叫びそうなのをこらえながら、囁くような声を必死で絞り出す。
 はぁ、はぁ、とこぼれる自分の荒い息づかいは、もうそれだけで外に聞こえているんじゃないかと思える。

「おねが……っ、いぅん!!」

 最後の声は悲鳴になった。突然えぐるように奥を突かれたのだ。

「ちゃんと声を抑えられるね?」

 浅い息の合間に囁く課長の声が、熱く耳をくすぐる。
 唇を噛み締めて、何度も頷きながら課長に縋った。

 ドアの向こうで話し声が聞こえる。
 こんなところで抱き合ってる自分たちの滑稽さを頭のどこかで自覚しながら、それさえも私を熱くするスパイスでしか無くって。

 胸をいじっていた課長の手は壁に押しつけるように当てられて、片足を膝裏から持ち上げられたまま、ずんと奥を突き上げられる。

「……っ、……っ」
「こ、れ……っ」

 これが欲しかったの。ずっと、課長にこうして欲しかったの。

 今にもあがりそうな悲鳴を抑えながら、何度も何度も奥に強く叩きつけられる快感を受け止める。

「香奈、俺で、気持ちよくなって……っ」

 囁くような声は、電車での「彼」そのもの。熱くて、吐息のような囁きが私を快感へと押し上げる。
 扉の向こうの話し声が遠ざかってゆく。
 何度も突き上げられて、その動きが激しくて、再び私を大きな快感の波が襲おうとしていた。そしてその激しさと私を圧迫する太さに課長もまた絶頂が近いことを感じる。
 突き上げてくるその表情が苦しそうにゆがめられ、眉間に皺を刻んだまま、時折熱い吐息を吐いている。

「も、だめっ」

 一緒にイきたくて何とかこらえていたけれど、あまりにもの気持ちよさに、快感が決壊する。こらえにこらえていた快感が、はじけ飛ぶ。

「ひ、いぁっ」

 目の前が真っ白になった。一瞬意識が飛んだような空白があって。
 ビクビクと震える自分の体と、課長を咥えたまま痙攣する膣内。
 直後、課長が呻くのを聞く。
 私を蹂躙する大きな身体が、奥にずんと突き上げたままぐっと更に入れるようにして、それから停止する。
 痙攣する私の膣内(なか)で、課長自身もまたドクドクと熱を吐き出す。

「……はやと、さん……」

 私の中で震える彼が愛おしい。
 時間が止まったみたいに、二人で快感の残滓までも味わい尽くしているような感覚。何一つ取りこぼさないように。二人でたどり着いた快感の全てを感じ取ろうとするように。
 しばらくの静寂の後、こわばっていた私の体から力が抜ける。
 へにゃっと座り込みそうになった私を、課長が抱き寄せるように受け止めて。
 直後、ずるりと課長が抜けて。




「や……」

 まだ離れたくなかった私は思わずだだをこねるように非難の声を上げてしまう。
 それを見てくすりと笑う課長に気付いて、私ははっと我に返った。

 恥ずかしい……!!

 目を逸らした私に課長が顔を近づけてきた。

「心配しなくても、これで終わりじゃないからね」

 にっこりと笑って耳元で囁かれて、私の体はぴしっと固まった。
 抜けてしまう寂しさに思わず反応したものの、もう一度すると言われても、もう足ががくがくで無理だったからだ。
 引きつった顔で課長を見上げると、にこやかな笑顔のまま、課長がふっと屈んで、そしてそのまま私を抱き上げた。

 お姫様抱っこ……!!

 顔に血が登る。頬が熱い。

「おも、おも、重いから、だ、だ、駄目で、す……!!!」

 動揺しすぎて声が震える。
 けれど私を抱き上げている課長は余裕の表情でなんの危なっかしさもない。

「軽いよ」

 嘘です、絶対に嘘です。人間一人を持ち上げて軽いはずがないです。
 でも、確かに課長は軽々と私を抱き上げていて、無理をしている様子はなくて。
 でもこの不安定な状態は慣れない。
 思わず首にしがみつくと、課長が笑みを深くして頬にキスをしてきた。

「じゃあ、行こうか」
「ど、どこへ……?」

 先ほどまでの情事の色など感じさせない穏やかな笑い声が耳をくすぐる。

「今度は、香奈の望み通り、ベッドでしようか?」

 さらっと言われた内容に衝撃を受けて「もう、無理……っ」と、思わず涙声になってしまう。爽やかに言い切ったけれども、内容はものすごい気がする。
 でも、課長は一回しかイってないわけだけれども。でも私は、もう足ががくがくになっているし。

 涙目で課長を見上げた。
 なのに課長はそんな私の様子さえ楽しんでいるようだった。

「そうだね、ちょっと一休みしようか。食事もまだだっただろう。ルームサービスでも頼んで、待っている間にシャワーでも浴びると良いね」

 そう言われて私はお腹が空いていることに気付く。
 そういえばと、改めて今夜の始まりを思い出す。あまりにも信じられない事がありすぎて空腹であることにさえ気付かないほどの状態だったようだ。

 待ち合わせまでは思い悩みすぎて胸がいっぱいだったけれど、落ち着いてみれば、普段の夕食の時間をとっくに過ぎている。

「ひとまず休ませてあげる……夜はこれから、だしね?」

 にこやかないつもの課長の笑顔なのに、内容もさることながら、その表情の裏も、少しだけ読めるようになっていた私はぐっと言葉を詰まらせる。
 思わず隼人さんにしがみつく腕に力が入って顔をその肩に埋めて、どうなるのだろうとドキドキする。怖さ半分、期待半分、とても複雑だった。




 その後、結局ルームサービスを頼んで、シャワーを浴びていると隼人さんが入ってきて、狭いシャワールームでいろんな事をされてしまい、とてもじゃないけれどゆっくり出来ず、汗も流せなかった……という事態に陥った。

 ルームサービスが届く頃には、私はぐったりとベッドの上で寝転がっているほど疲れていた。ホテルにしては広く、かわいいバスルームではあった物の、それでも決して広い場所ではない。というより、二人で入ると十分に狭い。狭いといろいろと無理な体勢になるのだと痛感していた。
 それでも何とか食事を取ってみれば、その後は課長が宣言した通り、ベッドでのエッチになった。

 でも、ベッドで抱き合う課長は、それまでの意地悪な課長じゃなくて、会社での優しい課長のイメージのままの、優しい抱き方だった。
 愛おしむように優しく触れられて、いっぱい抱きしめてくれて、たくさんキスをした。
「愛してるよ」「かわいい」とたくさん囁いてくれて。「私も」「好き」と、何度も返した。
 眠ったのは夜中と言うより、明け方に近かったかもしれない。
 意識を失うように眠ったのだろう。「おやすみなさい」と言ってからの記憶がない。


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