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18.決定的な過失
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「エラルドはどうして三人を愛人にしようと思ったんだ?」
「だって、僕は側近をもったらいけないっていうし、
どうしたらこの三人をカファロ領に連れて行けるか考えて。
ディアナの代わりにこの三人が子どもを産めばいいかなって」
「どうしてディアナの代わりに?」
「ディアナは領主の仕事が忙しいから、僕と一緒にいる暇なんてないだろうし、
子どもを産んで育てるのも難しいと思って。
この三人が代わりに産めば、ディアナは仕事を休まなくて済むだろう?」
「それがディアナのためになると思って?」
「そうだよ」
エルネスト様に否定するなって言われなかったら叫んでいたかもしれない。
いつ、私がそんな馬鹿なことをお願いしたのよって。
「だけどさぁ、エラルドはもう令嬢と一緒にいないようにって、
ディアナから警告されたはずだろう?忘れたのか?」
「忘れてないよ。
ディアナがこの三人が気に入らないのはわかってたけど、
ちゃんと話し合えば納得してくれると思って」
「愛人にするって言えば納得すると?」
エルネスト様も理解できないのか、怪訝そうな顔のままだ。
なのに、エラルドは得意げに説明を続ける。
「僕にはどうしても三人が必要なんだ。
だから、責任を取らなきゃいけない状況になれば、
ディアナも仕方ないって言ってくれると思って」
「責任を取る?」
「うん。ジャンナに子どもができたかもしれないんだ」
「「はぁ?」」
「まだちゃんと医師に見せたわけじゃないけどね。
それにエルマとラーラもそのうちできると思うんだ」
ジャンナ様を見ると、うっとりとした顔でお腹を撫でている。
……子どもがいるかもしれないって。それって。
「三人とそういう行為をしたということ?」
「うん。閨教育、頑張ったんだ。
三人に教えてもらって。
だから、ディアナともできると思うし、
ディアナが産まないっていうなら、三人が頑張って産むよ!」
「「………」」
何も言えなくなって、エルネスト様と視線を合わせる。
うなずいた後、エルネスト様が口を開いた。
「エラルドの要望は、三人を愛人としてカファロ領に連れていきたい。
そして、もうすでに子どもがいる可能性がある。
三人ともそういう行為をする仲になっている。
これで間違いないか?」
「うん、間違ってないよ」
「わかった。
それじゃあ、あとはディアナ嬢と宰相の話し合いが必要になるな」
「父上との話し合い?どうして?
ディアナがいいって言えばそれでいいんじゃないの?」
宰相に言われるのは困るのか、四人の顔が少し曇る。
まさかこんな大事なことを私が許可すればいいと思っていた?
だからエルネスト様がいるのを嫌がっていたの?
「ディアナ嬢は当主代理の権限を持っているが、エラルドにはないだろう。
婚約や婚姻は家としての契約だ。
その内容を変更する時には当主同士の話し合いが必要になる」
「ディアナがいいって言っただけじゃダメなのか。
じゃあ、ディアナが父上を説得してよ」
「私が説得?」
「そう。これからは僕だけじゃなく三人もディアナの家族になるんだよ。
ジャンナのお腹の子はカファロ家の後継ぎになるんだ。
ディアナが父上を説得してくれたら全部うまくいく」
「……」
もう何も言う気になれない。
ただ、ここで怒鳴ってしまったら考えを変えるかもしれない。
婚約解消するまで、このままでいてもらわなくては困る。
だけど、私がそれを受け入れたと思われても困る。
「話し合いはここまでだな。
エラルドに対してディアナ嬢が返事をすることはできないよ。
だって、エラルドにはその権限がないからね」
「え?」
「お前たちの要望はわかった。
あとは当主同士での話し合いで決まるだろう。
用事が終わったら帰ってくれ。
これから学生会の仕事があるんだ」
「わ、わかったよ。じゃあ、ディアナ。あとはよろしくね?」
返事はしなかった。
無言で見送ると、エルネスト様が四人を追い出してくれた。
ドアが閉まると、長い長いため息をつく。
「……お疲れ。まぁ、なんというか、良かったじゃないか。
これで宰相だって文句は言えないだろう」
「……まぁ、そうですね」
あれだけはっきりと不貞行為をしていると言ったのだから、
婚約解消するには十分すぎる過失だ。
ぐったりしていたら、奥からアルフレード様が震えながら出てくる。
「アル、どうした?」
「な……なんなんだ!あいつらは!」
「言いたい気持ちはわかるが落ち着けよ」
「何を考えたら側近じゃなくて愛人だなんて発想が出てくるんだ!」
「俺だってわかんねーよ。ディアナ嬢だってわかんないだろうよ」
「ええ、わかりません」
「学園の教育をなんとかしたほうがいいって宰相に言うべきなんじゃないか……?」
「それ以前の問題だろう」
「ですね……」
どっと疲れたけれど、これで婚約解消を申し出ることができる。
お祖父様にお願いして、ブリアヌ侯爵家に訪問の約束を取り付けてもらう。
卒業前にどうしても話し合いがしたい。
そう手紙を送ったからか、一週間後に話をすることになった。
場所はブリアヌ侯爵家。
こちらはお祖父様を連れていく。
「なぁ、宰相との話し合いって日程決まったのか?」
「ええ。来週、ブリアヌ家に話をしに行ってきます」
「俺たちも話し合いについていこうか?」
「アルフレード様とエルネスト様を連れて行ったら大変なことになります。
大丈夫ですよ。お祖父様と一緒に行きますから」
「そっか……じゃあ、これを使ってくれ」
渡されたのは二通の手紙。
アルフレード様とエルネスト様が書いたものらしい。
「ブリアヌ侯爵への手紙ですか?」
「ああ。あの時俺たちが聞いていた内容をまとめてある。
何かあれば公の場で証言するとも」
「……ありがとうございます」
これは内々で無かったことにはさせないぞという脅しになる。
王族と公爵家のものが証言するとなればもみ消すことができない。
すごく心強くてありがたい。
「これで間違いなく婚約解消できるだろう。
ディアナ嬢は婚約解消したら、次の婚約者はどうするつもりなんだ?」
「しばらくは考えないことにします。
領主として仕事を覚えて、それから考えます。
もし、私が結婚せずに子どもができなかった場合、
分家の子爵家のジョイとルーイの子どもを引き取ることになっていますから。
そこまであせらなくてもいいんです」
「……そっか」
聞いたのはエルネスト様だったけれど、アルフレード様に見つめられる。
だけど、アルフレード様を見つめ返すことはできない。
あなたを選ぶことはできない。
あなたに選ばれることもできない。
それなら誰とも結婚せずにいたほうがいい。
いつか、アルフレード様が他の誰かと結婚すると知ったら泣くだろうけど。
「だって、僕は側近をもったらいけないっていうし、
どうしたらこの三人をカファロ領に連れて行けるか考えて。
ディアナの代わりにこの三人が子どもを産めばいいかなって」
「どうしてディアナの代わりに?」
「ディアナは領主の仕事が忙しいから、僕と一緒にいる暇なんてないだろうし、
子どもを産んで育てるのも難しいと思って。
この三人が代わりに産めば、ディアナは仕事を休まなくて済むだろう?」
「それがディアナのためになると思って?」
「そうだよ」
エルネスト様に否定するなって言われなかったら叫んでいたかもしれない。
いつ、私がそんな馬鹿なことをお願いしたのよって。
「だけどさぁ、エラルドはもう令嬢と一緒にいないようにって、
ディアナから警告されたはずだろう?忘れたのか?」
「忘れてないよ。
ディアナがこの三人が気に入らないのはわかってたけど、
ちゃんと話し合えば納得してくれると思って」
「愛人にするって言えば納得すると?」
エルネスト様も理解できないのか、怪訝そうな顔のままだ。
なのに、エラルドは得意げに説明を続ける。
「僕にはどうしても三人が必要なんだ。
だから、責任を取らなきゃいけない状況になれば、
ディアナも仕方ないって言ってくれると思って」
「責任を取る?」
「うん。ジャンナに子どもができたかもしれないんだ」
「「はぁ?」」
「まだちゃんと医師に見せたわけじゃないけどね。
それにエルマとラーラもそのうちできると思うんだ」
ジャンナ様を見ると、うっとりとした顔でお腹を撫でている。
……子どもがいるかもしれないって。それって。
「三人とそういう行為をしたということ?」
「うん。閨教育、頑張ったんだ。
三人に教えてもらって。
だから、ディアナともできると思うし、
ディアナが産まないっていうなら、三人が頑張って産むよ!」
「「………」」
何も言えなくなって、エルネスト様と視線を合わせる。
うなずいた後、エルネスト様が口を開いた。
「エラルドの要望は、三人を愛人としてカファロ領に連れていきたい。
そして、もうすでに子どもがいる可能性がある。
三人ともそういう行為をする仲になっている。
これで間違いないか?」
「うん、間違ってないよ」
「わかった。
それじゃあ、あとはディアナ嬢と宰相の話し合いが必要になるな」
「父上との話し合い?どうして?
ディアナがいいって言えばそれでいいんじゃないの?」
宰相に言われるのは困るのか、四人の顔が少し曇る。
まさかこんな大事なことを私が許可すればいいと思っていた?
だからエルネスト様がいるのを嫌がっていたの?
「ディアナ嬢は当主代理の権限を持っているが、エラルドにはないだろう。
婚約や婚姻は家としての契約だ。
その内容を変更する時には当主同士の話し合いが必要になる」
「ディアナがいいって言っただけじゃダメなのか。
じゃあ、ディアナが父上を説得してよ」
「私が説得?」
「そう。これからは僕だけじゃなく三人もディアナの家族になるんだよ。
ジャンナのお腹の子はカファロ家の後継ぎになるんだ。
ディアナが父上を説得してくれたら全部うまくいく」
「……」
もう何も言う気になれない。
ただ、ここで怒鳴ってしまったら考えを変えるかもしれない。
婚約解消するまで、このままでいてもらわなくては困る。
だけど、私がそれを受け入れたと思われても困る。
「話し合いはここまでだな。
エラルドに対してディアナ嬢が返事をすることはできないよ。
だって、エラルドにはその権限がないからね」
「え?」
「お前たちの要望はわかった。
あとは当主同士での話し合いで決まるだろう。
用事が終わったら帰ってくれ。
これから学生会の仕事があるんだ」
「わ、わかったよ。じゃあ、ディアナ。あとはよろしくね?」
返事はしなかった。
無言で見送ると、エルネスト様が四人を追い出してくれた。
ドアが閉まると、長い長いため息をつく。
「……お疲れ。まぁ、なんというか、良かったじゃないか。
これで宰相だって文句は言えないだろう」
「……まぁ、そうですね」
あれだけはっきりと不貞行為をしていると言ったのだから、
婚約解消するには十分すぎる過失だ。
ぐったりしていたら、奥からアルフレード様が震えながら出てくる。
「アル、どうした?」
「な……なんなんだ!あいつらは!」
「言いたい気持ちはわかるが落ち着けよ」
「何を考えたら側近じゃなくて愛人だなんて発想が出てくるんだ!」
「俺だってわかんねーよ。ディアナ嬢だってわかんないだろうよ」
「ええ、わかりません」
「学園の教育をなんとかしたほうがいいって宰相に言うべきなんじゃないか……?」
「それ以前の問題だろう」
「ですね……」
どっと疲れたけれど、これで婚約解消を申し出ることができる。
お祖父様にお願いして、ブリアヌ侯爵家に訪問の約束を取り付けてもらう。
卒業前にどうしても話し合いがしたい。
そう手紙を送ったからか、一週間後に話をすることになった。
場所はブリアヌ侯爵家。
こちらはお祖父様を連れていく。
「なぁ、宰相との話し合いって日程決まったのか?」
「ええ。来週、ブリアヌ家に話をしに行ってきます」
「俺たちも話し合いについていこうか?」
「アルフレード様とエルネスト様を連れて行ったら大変なことになります。
大丈夫ですよ。お祖父様と一緒に行きますから」
「そっか……じゃあ、これを使ってくれ」
渡されたのは二通の手紙。
アルフレード様とエルネスト様が書いたものらしい。
「ブリアヌ侯爵への手紙ですか?」
「ああ。あの時俺たちが聞いていた内容をまとめてある。
何かあれば公の場で証言するとも」
「……ありがとうございます」
これは内々で無かったことにはさせないぞという脅しになる。
王族と公爵家のものが証言するとなればもみ消すことができない。
すごく心強くてありがたい。
「これで間違いなく婚約解消できるだろう。
ディアナ嬢は婚約解消したら、次の婚約者はどうするつもりなんだ?」
「しばらくは考えないことにします。
領主として仕事を覚えて、それから考えます。
もし、私が結婚せずに子どもができなかった場合、
分家の子爵家のジョイとルーイの子どもを引き取ることになっていますから。
そこまであせらなくてもいいんです」
「……そっか」
聞いたのはエルネスト様だったけれど、アルフレード様に見つめられる。
だけど、アルフレード様を見つめ返すことはできない。
あなたを選ぶことはできない。
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