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27.回想 一週間

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「第一王子たちが俺を探している?」

「はい。今日の昼休みにあの令嬢と一緒に教室までこられて。
 側近候補の令息たちも一緒でしたよ。
 レオンハルト様の名前を呼んでいたのですが、
 私が相手をするのはまずいと思って、すぐに隠れました。
 その後、他の者に声をかけ聞いていたので間違いないです。」

「魅了の令嬢と一緒にか…。
 王太子の立位式の準備とか、そういうのはあるだろうけど、
 そういう理由じゃないだろうな。
 兄貴が直接探しに来る必要など無いだろうし…。」

「明日以降、どうしますか?」

「シーナも学園に行かない方が良さそうだな。
 王宮に連れていかれて、人質のような状態になっても困る。」



私の修行が始まって1週間が過ぎていた。
魔女の魔力を受け止めても、
自分の足で歩いてマジックハウスに戻れるようになっていた。
体力が根こそぎ持って行かれるのは変わらないが…。
身体の中の魔力を体力に変換できるようになっているらしい。
なんだかよくわからないけど、適応能力ってすごい。

「魔女が言うには、魔力量はもう十分らしいの。
 明日からは違う修行になるそうだし、あと少しだと思う。
 シーナが危険な目にあうのは嫌だわ。
 レオを探してどうするつもりなのかは気になるけど、学園は休んで?」

「わかりました。明日からは姫様の修業にお供しますね。」

あら、なんだかうれしそう。
やっぱり学園に一人で通うのは大変だったのかな。
あれから婚約破棄が増えて、学園内の雰囲気は最悪らしいし。
令嬢の魅了を封じた後、いろいろと元に戻れるのか心配…。

私とレオの結婚式は2か月後に予定されている。
この件が無事に終わって、女王の体調が持ちこたえてくれることが条件だけど。
もし女王の体調が悪化するようなら、結婚式は延期になる。
延期になるようなことがあれば、その隙に邪魔が入るかもしれない。

最悪の場合、魔術師になって二人で逃げる。
その約束があるからか、今はあまり心配していない。


「ねぇ、魔女の森に探しにきたり、しないわよね?」

「魔術師じゃないと入れないし、
 魔女が許可しない限り、追い出されると思うよ。
 何か心配なの?」

「うん。その令嬢の魔力量を考えると、
 魔術師としても才能あるんじゃないかと思って。
 入ってこれないならいいけど、ちょっと心配で。」

「心配なら、明日修行の時に言ってみたら?
 他の人を入ってこれないようにしてほしいって。
 封じるために修行しているんだし、その前に令嬢に来られたら困るでしょ?」

「うん、お願いしてみる。」

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