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2章 次代へ
29.子どもたちへの願い
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「いよいよ明日ですね。」
「ああ、ようやく重い荷物を降ろせるな。
レオナルドとマーガレットにもかなり無茶をさせた気がするよ。
あいつらも、これで少しはゆっくりできるだろう。」
「兄様もゆっくりできますね?」
近くに寄って、眉間のしわを指でほぐすようになぞる。
ここ十数年はずっと働きずくめで、その責任の重さに負けないように生きてきた。
いつの間にか子どもたちも相手を見つけ、半年前にロゼの結婚式も終わった。
明日は、ジョルノの国王への立位式だ。
同時にフランが宰相につくことになっている。
「ミレーヌ、これからはようやく二人きりですごせる。
出会ってから、ずっといろんなものに邪魔されてきたからな。
やっと邪魔が入らない時間がもてる。」
いつものようにひざに乗せられ、抱きしめられる。
子どもたちが産まれても、
兄様の態度はずっと変わらないままだ。
普段は宰相と宰相補佐として、公爵家として忙しい日々だったが、
こうして膝の上で甘えていると、まだ結婚前と変わらないような気持になる。
「兄様、覚えてますか?妖精の湖の予言。」
「ああ。運命の子に出会う、
国を憂う、争いを嫌うものをかくまう、だったか。」
「あれは、一人が一つの予言ではなかったかもしれませんね。
少なくとも、三人とも運命の相手を見つけてますから。」
「そうだな。心配はしたが、それぞれに幸せになってくれて、安心した。」
普段は厳しい顔しか見せていないが、兄様は子煩悩だ。
心配したからこそ、厳しく育てたのかもしれない。
おかげでたくましい子たちに育ってくれて、母親としては出番が少なかった。
「もう少し心配かけてくれても良かったのですけどね。」
「ダメだよ、ミレーヌは俺の心配していればいいんだから。」
「もう。兄様の心配はいつでもしてます。」
子どもを3人産んで育てて、私もいい年齢になったというのに、
兄様の甘やかしは変わらずに続いている。
もしかしたら、昔より甘いかもしれないくらいだ。
「兄様はいつまで私を甘やかすのですか?」
「そりゃ、生きてる限りかな。俺はきっと先に死ぬだろう?
だけど、いばらの誓いをしているから、
俺がいなくなったらミレーヌはずっと一人だ。
だから、今のうちに、一緒にいられるうちは甘やかしたいんだ。」
「…兄様。」
「俺の我がままでごめんな。でも、ずっと俺のものでいてくれ。」
「もちろん、ずっと兄様のものですよ。
それを言うなら兄様はわたしのものなんですから。
生きてる間はずっと独り占めさせてくださいね。
もちろん、死んだとしても、私のものですよ?」
お互いに目を合わせて笑う。
考えてることは口にしなくてもほとんどは伝わってる。
それでも口に出すのは甘えたいし、甘やかされたいからだ。
もう何度となく繰り返される会話に、自分でも呆れてしまう。
「私たちみたいに、あの子たちも幸せでいてほしいです。」
「ああ、そうだな。きっと大丈夫だよ。」
晴天の中、国王に立位したジョルノ・ルールニーは後に魔術王と呼ばれる。
ルールニー王国内に魔力の結界を作り出すことに成功しただけでなく、
レガール国の結界が効力を無くした際に再生に成功し、
そのことがきっかけで二国の結界をつなげることになった。
ジョルノ王が亡くなってから数十年後、
レガール国の第一王子とルールニー王国の第一王女の婚姻により、
二国は一つの王国へと変わることになる。ミルフェン王国の誕生だった。
新しい王国誕生のきっかけとして語られたのは、
ジョルノ王の両親である、ケヴィン王弟殿下とミレーヌ公爵令嬢の恋物語であった。
民衆は二人の恋物語を歌にし、ミルフェン王国の平和を願い、
長く語り継いでいくことになる。
「ああ、ようやく重い荷物を降ろせるな。
レオナルドとマーガレットにもかなり無茶をさせた気がするよ。
あいつらも、これで少しはゆっくりできるだろう。」
「兄様もゆっくりできますね?」
近くに寄って、眉間のしわを指でほぐすようになぞる。
ここ十数年はずっと働きずくめで、その責任の重さに負けないように生きてきた。
いつの間にか子どもたちも相手を見つけ、半年前にロゼの結婚式も終わった。
明日は、ジョルノの国王への立位式だ。
同時にフランが宰相につくことになっている。
「ミレーヌ、これからはようやく二人きりですごせる。
出会ってから、ずっといろんなものに邪魔されてきたからな。
やっと邪魔が入らない時間がもてる。」
いつものようにひざに乗せられ、抱きしめられる。
子どもたちが産まれても、
兄様の態度はずっと変わらないままだ。
普段は宰相と宰相補佐として、公爵家として忙しい日々だったが、
こうして膝の上で甘えていると、まだ結婚前と変わらないような気持になる。
「兄様、覚えてますか?妖精の湖の予言。」
「ああ。運命の子に出会う、
国を憂う、争いを嫌うものをかくまう、だったか。」
「あれは、一人が一つの予言ではなかったかもしれませんね。
少なくとも、三人とも運命の相手を見つけてますから。」
「そうだな。心配はしたが、それぞれに幸せになってくれて、安心した。」
普段は厳しい顔しか見せていないが、兄様は子煩悩だ。
心配したからこそ、厳しく育てたのかもしれない。
おかげでたくましい子たちに育ってくれて、母親としては出番が少なかった。
「もう少し心配かけてくれても良かったのですけどね。」
「ダメだよ、ミレーヌは俺の心配していればいいんだから。」
「もう。兄様の心配はいつでもしてます。」
子どもを3人産んで育てて、私もいい年齢になったというのに、
兄様の甘やかしは変わらずに続いている。
もしかしたら、昔より甘いかもしれないくらいだ。
「兄様はいつまで私を甘やかすのですか?」
「そりゃ、生きてる限りかな。俺はきっと先に死ぬだろう?
だけど、いばらの誓いをしているから、
俺がいなくなったらミレーヌはずっと一人だ。
だから、今のうちに、一緒にいられるうちは甘やかしたいんだ。」
「…兄様。」
「俺の我がままでごめんな。でも、ずっと俺のものでいてくれ。」
「もちろん、ずっと兄様のものですよ。
それを言うなら兄様はわたしのものなんですから。
生きてる間はずっと独り占めさせてくださいね。
もちろん、死んだとしても、私のものですよ?」
お互いに目を合わせて笑う。
考えてることは口にしなくてもほとんどは伝わってる。
それでも口に出すのは甘えたいし、甘やかされたいからだ。
もう何度となく繰り返される会話に、自分でも呆れてしまう。
「私たちみたいに、あの子たちも幸せでいてほしいです。」
「ああ、そうだな。きっと大丈夫だよ。」
晴天の中、国王に立位したジョルノ・ルールニーは後に魔術王と呼ばれる。
ルールニー王国内に魔力の結界を作り出すことに成功しただけでなく、
レガール国の結界が効力を無くした際に再生に成功し、
そのことがきっかけで二国の結界をつなげることになった。
ジョルノ王が亡くなってから数十年後、
レガール国の第一王子とルールニー王国の第一王女の婚姻により、
二国は一つの王国へと変わることになる。ミルフェン王国の誕生だった。
新しい王国誕生のきっかけとして語られたのは、
ジョルノ王の両親である、ケヴィン王弟殿下とミレーヌ公爵令嬢の恋物語であった。
民衆は二人の恋物語を歌にし、ミルフェン王国の平和を願い、
長く語り継いでいくことになる。
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