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29.失礼な話

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あまりの会話のずれに、思わず後ろを振り返ってミラさんに助けを求める。
寵妃さまが何を言ってるのか、まったく理解できないんですけど~?
そのことに気が付いたのか、ミラさんがテーブルの近くまで来て、
寵妃さまに話しかけてくれた。

「レミーラ様、お話し中に申し訳ございません。
 ですが、ルーラ様と会話がかみ合っていないように思います。
 確認してもよろしいでしょうか?」

「ミラ…いいわ。何が違うのかしら?
 ルーラは陛下が見初めて連れてきたのでしょう?」

う…それを言われると困る。
ミラさーん、お願い。私じゃ、寵妃さまが納得するような答えが出ません!
目で訴えているのがわかったのか、ミラさんが説明してくれる。

「まず、陛下がルーラ様を王城に連れてきたのは魔力酔いのせいです。」

「魔力酔い?」

「はい。陛下は魔力への耐性を持っていません。
 そのため、魔女の力を持つルーラ様の魔力に酔い、
 惹かれていると誤解してしまったのです。
 王城に着いた後は、ユキ様が処方された薬で正常に戻っています。
 その後、陛下とルーラ様が顔を合わせたのは一度だけ。
 謁見室で伯爵位を認められた時のみでございます。」

「え?そうなの?だって、ルーラは平民育ちでしょう?
 側妃にするために、伯爵家の養女にしたのでは?」

「平民育ちではありますが、ご両親とも貴族です。」

「塔にこもっているのは側妃になるため、
 礼儀作法を学んでいるから、こんなに所作が綺麗なのでしょう?」

「ルーラ様の所作は最初からお綺麗でした。
 お母様が他国の侯爵家のご出身だそうです。」

「じゃあ、王宮薬師見習いって肩書は…」

「それは本当です。
 正確に言えば、フォンディ家当主として王宮薬師長になるための修業中です。」

「え?フォンディ家当主?本当に?」

そういえば、ユキ様がそんなことをあの貴族たちに言っていたような…。
それ本当だったんですか?

「ルーラ様はフォンディ家当主だったミカエル様のたった一人のお子さまです。
 そのため、陛下もルーラ様が当主だとお認めになられました。
 現在、ルーラ様がフォンディ家の当主です。
 当主のままで側妃にはなれません。ましてや愛妾だなど。
 ルーラ様に失礼ですよ。」

「…ごめんなさい。陛下が綺麗な子を担いで連れてきたって聞いたら、
 側妃でいる自信がなくなってしまって…。
 あせって、呼び出してしまったの。ルーラ様、失礼いたしました。」

「え!あの、寵妃さまが謝る必要はありません。
 すべては魔力をあふれさせていた私が原因なのですから…。
 いろいろとご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。」

誤解がとけてしまえば、原因はすべて私にあるわけだし、謝るしかない。
寵妃さまは陛下のことがお好きなのだろう。
こんなことで心配させてしまっていて、本当に申し訳なかった。






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