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1章 貧乏が嫌なので冷酷竜人陛下に嫁ぎます
2,借金の取り立て
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エルトンから婚約破棄された翌日、待ってましたとばかりに叔父夫婦がラビット家に押しかけてきた。
せかせかと玄関を通り抜け居間に進み、ソファーに座った瞬間、叔父様は声を荒げる。
「おい兄貴。
キャンディがエルトン公爵令息に婚約破棄されたそうじゃないか。
そうなると我が家への借金はどうやって返済するつもりなんだ!
ちゃんとあてはあるのか?
兄弟と言えど、金の貸し借りに情はきかないぞ」
ゲジゲジ眉をつり上げる叔父さんの名前はグレーという。
お父様の一つ下の弟だけど、兄弟はまるで似てなかった。
スノーという名前通り、色白で優男のお父様。
一方グレー叔父様は浅黒く、身体はお父様よりもうんと大きい。
性格はお父様は温厚で、叔父様は負けず嫌いで激しい。
そのせいか兄弟は幼い頃から「グレーの方が兄さんみたい」と周囲から言われていたという。
叔父様はクジャク国のキラメック公爵家に婿入りをしていて、現在はグレーキラメックと名のっている。
「貴方ったら。
お義兄様をそんな風に責めるものじゃないわ。
期限までに借金を返してもらえなかったら、契約どおりここの土地と邸を頂いたら済む事なのだから。
ねえ。そうでしょ。
スノーお義兄様にパールお義姉様。
きちんと約束は守っていいただけると信じていますわ」
スカーレット叔母様は手にした派手な扇を広げると、ねっとりとした視線をお父様とお母様にむける。
キラメック公爵家の跡取り娘である叔母様は、あるパーティーで出会ったグレー叔父様と恋に落ちたと聞いていた。
クジャク族らしくスラリとした肢体に長い首。
ピーコック色の髪に整った小さな顔。
叔母様は確かに典型的なクジャク族の美人だ。
だけどお腹の中では何を考えているかわからない不気味さがあって、正直私は苦手だった。
「それもそうだな。
その時は兄貴の書斎に飾ってあるウサギも俺の物になるわけだ」
太い腕に金の腕輪をした叔父さんは豪快に笑う。
「いい年をして、ウサギのぬいぐるみを欲しがるなんて変なの」
少しだけ居間の扉を開いて、廊下から様子をうかがっていた私が顔をしかめた時だった。
「立ち聞きするなんて、マナーがなってないわ。
それに私のお父様を悪く言うのはやめなさい。
一番悪いのは借りたお金を返さないキャンディのお父様でしょ!」
背中の方からキンキンした声が聞こえてきたのは。
「失礼ね。お父様は返さないと言ってないわよ。それとスエレン。いつからここにいたの?」
「ちょっと前よ。
さっきまでエルトンとグレン邸にいたんだけど、エルトンにキャンディの悪口ばかり聞かされたわ。
たとえばね。貴方が日増しにダサくなっていくから気持ちがさめた。とかね」
まるでコピーしたようにスカーレット叔母様そっくりのスエレンが口角をキュッと上げて意地悪く微笑む。
「やめて! 今さら彼の話なんて聞きたくないわ。私は婚約破棄されたのよ。もうエルトンとは関係ないの」
私は両手で自分の耳をおおって、激しく首を左右にふる。
「あら。だめよ。
ちゃんと聞いておかないと、また次も同じ失敗をするでしょ。
キャンディ。エルトンはね。
急に眼鏡猿になった貴方に凄く驚いたんだって。
それにエルトンがどんなに頼んでも、眼鏡をはずさなかったらしいわね。
なんて馬鹿なの。
キャンディは勉強ができても、男心がまるでわかってないのね。
あー。可哀そうなキャンディ。きっとこれからもふられ続ける運命が待ってるんだわ」
スエレンは私の耳元でがなりたてた。
クジャク族とウサギ族のハーフになるスエレンは、大人っぽく綺麗であか抜けている。
でも、頭の中はお粗末なのか学園の成績は常に最下位。
逆に私は地味だけど、勉強はなぜか得意ときている。
従妹同士、何かと比べられる事も多い。
それでスエレンは私に激しいライバル心を燃やしていた。(私は家の状況が心配でスエレンどころじゃなかった)
エルトンのことも、私を悲しませる為に誘惑したんじゃないかな。
そんな疑念を抱いて、チラリとスエレンに視線をむける。
「何よ。その目は。
どうせ私が先にエルトンを誘ったって考えているんでしょ。
けど違うの。残念でした。
クジャク国では公爵家以上が参加できる舞踏会が度々あってね。
エルトンはそこで私に一目惚したの。
私だって、従妹の婚約者と付き合う気はなかったのよ。
でも、すぐに断るのも悪いと思って、友達として会っていたらいつのまにかこうなってしまったの。
これって私が悪いのかしら?」
胸の前で両手をくんだスエレンがぐいっと胸をはる。
それは「恋人をとられるキャンディの方が悪いのよ」と全身で嘲笑っているようだった。
波長のあわなかったエルトンに未練はない。
でも、スエレンの態度にはイライラした。
「それでも……」
って口を開きかけた時、
「何だ。その目は。
金を返せない兄貴が悪いんだろ」
と居間の方から叔父様の怒声が聞こえてきた。
「「お父様」」
それを聞いた私とスエレンは同時に居間の方へ駆けてゆく。
けど父娘そろって見下されているなんて、惨めすぎる。
「落ち着け。グレー。
私が不思議に思ってるのは、あまりにお前が書斎のウサギに固執することだ。
お前。ひょっとして何か知っているのか?」
「まあな。
幼い時、小耳にはさんだ程度だがな。
あれはタダの古ぼけたぬいぐるみじゃないんだろ。
え! 兄貴。
長男だからって、なんでも独り占めしようとするなよ」
大人の男がたかがぬいぐるみの事で口論をしている。
独り占めするなって……。
叔父様はそんなにウサギの人形が欲しかったの?
そんなはずないわ。
叔父様が好きなのはお酒と女の人とお金だもの。
ならどうして?
私はゴクリとツバを飲み込んで、二人の会話に耳を傾けた。
せかせかと玄関を通り抜け居間に進み、ソファーに座った瞬間、叔父様は声を荒げる。
「おい兄貴。
キャンディがエルトン公爵令息に婚約破棄されたそうじゃないか。
そうなると我が家への借金はどうやって返済するつもりなんだ!
ちゃんとあてはあるのか?
兄弟と言えど、金の貸し借りに情はきかないぞ」
ゲジゲジ眉をつり上げる叔父さんの名前はグレーという。
お父様の一つ下の弟だけど、兄弟はまるで似てなかった。
スノーという名前通り、色白で優男のお父様。
一方グレー叔父様は浅黒く、身体はお父様よりもうんと大きい。
性格はお父様は温厚で、叔父様は負けず嫌いで激しい。
そのせいか兄弟は幼い頃から「グレーの方が兄さんみたい」と周囲から言われていたという。
叔父様はクジャク国のキラメック公爵家に婿入りをしていて、現在はグレーキラメックと名のっている。
「貴方ったら。
お義兄様をそんな風に責めるものじゃないわ。
期限までに借金を返してもらえなかったら、契約どおりここの土地と邸を頂いたら済む事なのだから。
ねえ。そうでしょ。
スノーお義兄様にパールお義姉様。
きちんと約束は守っていいただけると信じていますわ」
スカーレット叔母様は手にした派手な扇を広げると、ねっとりとした視線をお父様とお母様にむける。
キラメック公爵家の跡取り娘である叔母様は、あるパーティーで出会ったグレー叔父様と恋に落ちたと聞いていた。
クジャク族らしくスラリとした肢体に長い首。
ピーコック色の髪に整った小さな顔。
叔母様は確かに典型的なクジャク族の美人だ。
だけどお腹の中では何を考えているかわからない不気味さがあって、正直私は苦手だった。
「それもそうだな。
その時は兄貴の書斎に飾ってあるウサギも俺の物になるわけだ」
太い腕に金の腕輪をした叔父さんは豪快に笑う。
「いい年をして、ウサギのぬいぐるみを欲しがるなんて変なの」
少しだけ居間の扉を開いて、廊下から様子をうかがっていた私が顔をしかめた時だった。
「立ち聞きするなんて、マナーがなってないわ。
それに私のお父様を悪く言うのはやめなさい。
一番悪いのは借りたお金を返さないキャンディのお父様でしょ!」
背中の方からキンキンした声が聞こえてきたのは。
「失礼ね。お父様は返さないと言ってないわよ。それとスエレン。いつからここにいたの?」
「ちょっと前よ。
さっきまでエルトンとグレン邸にいたんだけど、エルトンにキャンディの悪口ばかり聞かされたわ。
たとえばね。貴方が日増しにダサくなっていくから気持ちがさめた。とかね」
まるでコピーしたようにスカーレット叔母様そっくりのスエレンが口角をキュッと上げて意地悪く微笑む。
「やめて! 今さら彼の話なんて聞きたくないわ。私は婚約破棄されたのよ。もうエルトンとは関係ないの」
私は両手で自分の耳をおおって、激しく首を左右にふる。
「あら。だめよ。
ちゃんと聞いておかないと、また次も同じ失敗をするでしょ。
キャンディ。エルトンはね。
急に眼鏡猿になった貴方に凄く驚いたんだって。
それにエルトンがどんなに頼んでも、眼鏡をはずさなかったらしいわね。
なんて馬鹿なの。
キャンディは勉強ができても、男心がまるでわかってないのね。
あー。可哀そうなキャンディ。きっとこれからもふられ続ける運命が待ってるんだわ」
スエレンは私の耳元でがなりたてた。
クジャク族とウサギ族のハーフになるスエレンは、大人っぽく綺麗であか抜けている。
でも、頭の中はお粗末なのか学園の成績は常に最下位。
逆に私は地味だけど、勉強はなぜか得意ときている。
従妹同士、何かと比べられる事も多い。
それでスエレンは私に激しいライバル心を燃やしていた。(私は家の状況が心配でスエレンどころじゃなかった)
エルトンのことも、私を悲しませる為に誘惑したんじゃないかな。
そんな疑念を抱いて、チラリとスエレンに視線をむける。
「何よ。その目は。
どうせ私が先にエルトンを誘ったって考えているんでしょ。
けど違うの。残念でした。
クジャク国では公爵家以上が参加できる舞踏会が度々あってね。
エルトンはそこで私に一目惚したの。
私だって、従妹の婚約者と付き合う気はなかったのよ。
でも、すぐに断るのも悪いと思って、友達として会っていたらいつのまにかこうなってしまったの。
これって私が悪いのかしら?」
胸の前で両手をくんだスエレンがぐいっと胸をはる。
それは「恋人をとられるキャンディの方が悪いのよ」と全身で嘲笑っているようだった。
波長のあわなかったエルトンに未練はない。
でも、スエレンの態度にはイライラした。
「それでも……」
って口を開きかけた時、
「何だ。その目は。
金を返せない兄貴が悪いんだろ」
と居間の方から叔父様の怒声が聞こえてきた。
「「お父様」」
それを聞いた私とスエレンは同時に居間の方へ駆けてゆく。
けど父娘そろって見下されているなんて、惨めすぎる。
「落ち着け。グレー。
私が不思議に思ってるのは、あまりにお前が書斎のウサギに固執することだ。
お前。ひょっとして何か知っているのか?」
「まあな。
幼い時、小耳にはさんだ程度だがな。
あれはタダの古ぼけたぬいぐるみじゃないんだろ。
え! 兄貴。
長男だからって、なんでも独り占めしようとするなよ」
大人の男がたかがぬいぐるみの事で口論をしている。
独り占めするなって……。
叔父様はそんなにウサギの人形が欲しかったの?
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