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1章 貧乏が嫌なので冷酷竜人陛下に嫁ぎます
3,秘密の聖獣
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スノー視点
ラビット伯爵家は代々長男が跡を継ぐ事になっていた。
なので私は幼い頃から当主としての教育を受けてきている。
「私の代でラビット家をおわらせたくない。
領民には豊かな暮らしをおくらせたい」
常にそう考えて行動してきたつもりなのに、いつしか私は大きな借金をかかえる事になっていた。
ことのおこりは領地の主な収入源だった魔石鉱山の大爆発だ。
「兄貴。そんなに落ち込むなよ。
実はいい投資話があるんだ。今度新しくできるクジャク国の鉄道会社の株なんだが、今買っておくと
数年後には十倍にはなるぞ。鉄道会社の社長は妻の遠縁で王族との太いパイプをもっている男だ。事業は成功して当然だろ。
心配するな。元手は俺が貸してやるから、この話にのってみないか」
こわくて投資をしてこなかった私と違いグレーは今までも株で大儲けしていた。
だから、つい弟の話にのってしまったのだ。
まさか鉄道会社が倒産する事になるとは思わずに。
あとひっかかる事がある。
それはあれほど推奨していたくせにグレーはその株を一株も買っていなかった事だ。
まさか最初から私をはめるつもりだったのか?
いや、弟を疑うのはいけない。投資は自己責任だ。全て身から出た錆びなのだ。
けれどグレーはどうしてあんなにウサギのぬいぐるみに固執するなだろう。
ひょっとしたらあの中に聖獣が隠れている事に気がついているのだろうか。
かつてラビット家は何人もの聖女を輩出したと伝えられている。
中には清楚な容姿と強い魔力をもった教会のアイドル的な聖女もいたそうだ。
だが一人の聖女は闇落ちし、家名をおとしめた。
彼女は自分の愛した男を帝王につけるため、魔法を悪用してバルバラ帝国を崩壊寸前に陥らせたという。
そしてそんな彼女に愛想をつかせて、魔法の源であった聖獣が姿を消してしまったのだ。
邸の言い伝えによれば、聖獣はウサギのぬいぐるみの中に隠れているという。
残念ながら私にはただの人形にしか見えないが、
「いつか聖獣と契約を交わす事のできる者が現れれば、ラビット家は再び光を取り戻せる」
という父親の言葉は信じている。
聖獣の事は当主しか知らない秘密だ。
だけどグレー。お前はそれを知ってしまったのか?
だからなんとしてでも、ウサギを手に入れ聖獣と契約を結ぼうとしているのか?
グレー。
悪いが聖獣は人を選ぶ。
お前は決して受け入れられないはずだ。
グレー視点
「あらあ。また男の子なの。今度は可愛い女の子が良かったのに」
母親は生まれたばかりの俺を見て、心底ガッカリしたという。
これは母親本人から聞いた。
「貴方、また学園で問題をおこしたのね。
少しは穏やかなお兄様を見習いなさい。
きっと女の子ならこうはならなかったはずだわ」
俺が成長するにつれて、母親はこんな愚痴を頻繁にこぼすようになっていた。
帝国の法律で爵位は長男が継ぐ事に決められている。
長男のスペアでしかない俺は兄貴に格差をつけられて育った。
それが悔しくて、兄貴より俺の方が上だとしらしめようと熱心に学業にとりくんだ時もあったが、俺がどんなにいい成績をとろうと両親は無関心。
「生まれた順番が一番大事なのか! 馬鹿馬鹿しい」
といつしか俺はすさんでいって、学園でも不良と呼ばれていた。
そんなある日のことだ。
「ホワイト。
ラビット家のことで大事な話があるから、今から私の書斎に来るように」
邸の廊下を歩いていると、父親が兄貴に囁く声が耳にとびこんできた。
ウサギ族の中でも俺の聴力は抜群で、どんな小さな音でもひろえてしまうのだ。
「我が家の大事な話だって?
一体どんな事なんだろう。俺だって家族の一員だ。
聞いたって罰はあたらないだろよ」
つもりつもった兄貴への嫉妬や両親への不満で胸がはりさけそうになった俺は、こっそり兄貴の後をついていった。
そして兄貴が書斎に入ったのを確認して、扉の前に耳を押し当ててのだ。
「私の机に置かれているウサギのぬいぐるみはただの人形じゃないんだ。
実はな。ホワイト。
かつて闇落ちした聖女に幻滅した聖獣がここにひそんでいるんだ。
聖獣はラビット家の守り神だ。
いつか聖獣はこの中から飛び出し、ラビット家の誰かと再び契約を結んでくれる。と信じている」
「そうしたら、また私達は力を取り戻せますよね。お父様」
「ああ。
だが。聖獣が第三者の手に渡り、悪用される危険性もある。
だからこの話はけっして、他言してはいけない。代々のラビット家当主だけの秘密なのだ。
ホワイト。いつかお前も当主になる。
その時は頼んだぞ」
「もちろんです。お父様」
兄貴が興奮した声を上げたと同時に、俺は心に誓った。
なんとしてでもその聖獣を奪い、俺を無視した奴らを見返してやると。
だから兄貴にやばい投資話をもちかけ、窮地に追い込んでやったのだ。
ラビット伯爵家は代々長男が跡を継ぐ事になっていた。
なので私は幼い頃から当主としての教育を受けてきている。
「私の代でラビット家をおわらせたくない。
領民には豊かな暮らしをおくらせたい」
常にそう考えて行動してきたつもりなのに、いつしか私は大きな借金をかかえる事になっていた。
ことのおこりは領地の主な収入源だった魔石鉱山の大爆発だ。
「兄貴。そんなに落ち込むなよ。
実はいい投資話があるんだ。今度新しくできるクジャク国の鉄道会社の株なんだが、今買っておくと
数年後には十倍にはなるぞ。鉄道会社の社長は妻の遠縁で王族との太いパイプをもっている男だ。事業は成功して当然だろ。
心配するな。元手は俺が貸してやるから、この話にのってみないか」
こわくて投資をしてこなかった私と違いグレーは今までも株で大儲けしていた。
だから、つい弟の話にのってしまったのだ。
まさか鉄道会社が倒産する事になるとは思わずに。
あとひっかかる事がある。
それはあれほど推奨していたくせにグレーはその株を一株も買っていなかった事だ。
まさか最初から私をはめるつもりだったのか?
いや、弟を疑うのはいけない。投資は自己責任だ。全て身から出た錆びなのだ。
けれどグレーはどうしてあんなにウサギのぬいぐるみに固執するなだろう。
ひょっとしたらあの中に聖獣が隠れている事に気がついているのだろうか。
かつてラビット家は何人もの聖女を輩出したと伝えられている。
中には清楚な容姿と強い魔力をもった教会のアイドル的な聖女もいたそうだ。
だが一人の聖女は闇落ちし、家名をおとしめた。
彼女は自分の愛した男を帝王につけるため、魔法を悪用してバルバラ帝国を崩壊寸前に陥らせたという。
そしてそんな彼女に愛想をつかせて、魔法の源であった聖獣が姿を消してしまったのだ。
邸の言い伝えによれば、聖獣はウサギのぬいぐるみの中に隠れているという。
残念ながら私にはただの人形にしか見えないが、
「いつか聖獣と契約を交わす事のできる者が現れれば、ラビット家は再び光を取り戻せる」
という父親の言葉は信じている。
聖獣の事は当主しか知らない秘密だ。
だけどグレー。お前はそれを知ってしまったのか?
だからなんとしてでも、ウサギを手に入れ聖獣と契約を結ぼうとしているのか?
グレー。
悪いが聖獣は人を選ぶ。
お前は決して受け入れられないはずだ。
グレー視点
「あらあ。また男の子なの。今度は可愛い女の子が良かったのに」
母親は生まれたばかりの俺を見て、心底ガッカリしたという。
これは母親本人から聞いた。
「貴方、また学園で問題をおこしたのね。
少しは穏やかなお兄様を見習いなさい。
きっと女の子ならこうはならなかったはずだわ」
俺が成長するにつれて、母親はこんな愚痴を頻繁にこぼすようになっていた。
帝国の法律で爵位は長男が継ぐ事に決められている。
長男のスペアでしかない俺は兄貴に格差をつけられて育った。
それが悔しくて、兄貴より俺の方が上だとしらしめようと熱心に学業にとりくんだ時もあったが、俺がどんなにいい成績をとろうと両親は無関心。
「生まれた順番が一番大事なのか! 馬鹿馬鹿しい」
といつしか俺はすさんでいって、学園でも不良と呼ばれていた。
そんなある日のことだ。
「ホワイト。
ラビット家のことで大事な話があるから、今から私の書斎に来るように」
邸の廊下を歩いていると、父親が兄貴に囁く声が耳にとびこんできた。
ウサギ族の中でも俺の聴力は抜群で、どんな小さな音でもひろえてしまうのだ。
「我が家の大事な話だって?
一体どんな事なんだろう。俺だって家族の一員だ。
聞いたって罰はあたらないだろよ」
つもりつもった兄貴への嫉妬や両親への不満で胸がはりさけそうになった俺は、こっそり兄貴の後をついていった。
そして兄貴が書斎に入ったのを確認して、扉の前に耳を押し当ててのだ。
「私の机に置かれているウサギのぬいぐるみはただの人形じゃないんだ。
実はな。ホワイト。
かつて闇落ちした聖女に幻滅した聖獣がここにひそんでいるんだ。
聖獣はラビット家の守り神だ。
いつか聖獣はこの中から飛び出し、ラビット家の誰かと再び契約を結んでくれる。と信じている」
「そうしたら、また私達は力を取り戻せますよね。お父様」
「ああ。
だが。聖獣が第三者の手に渡り、悪用される危険性もある。
だからこの話はけっして、他言してはいけない。代々のラビット家当主だけの秘密なのだ。
ホワイト。いつかお前も当主になる。
その時は頼んだぞ」
「もちろんです。お父様」
兄貴が興奮した声を上げたと同時に、俺は心に誓った。
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