【完結】冷酷陛下はぬいぐるみ皇妃を手放せない~溺愛のツボはウサギの姿?それとも人間(中身)の私?~

りんりん

文字の大きさ
23 / 38
3章 ポショットにはぬいぐるみ。陛下! 大丈夫ですか

7、セクシーなルーカス様

しおりを挟む
「知ってるか? レイン様が宮廷衣装院にぬいぐるみのドレスをつくらせた事を」
「ああ。新聞で読んだ。血の雨と異名をとるレイン様がおままごと遊びに夢中とは信じられん」
「もはや。皇帝陛下は以前の皇帝陛下じゃないってことさ。
このままじゃ、また戦になったときバルバド帝国は滅びてしまうな」
「「「「「そうだ。悪いのはすべてキャンディ皇妃だ。
邪悪な魔法でレイン皇帝陛下を操つているに違いない」」」」
レイン様が衣装院を訪れた翌日にはぬいぐるみのドレスの件がタブロイド紙で報道された。
「一体どこから情報が洩れているのかしら。こわいわ」
衣装院から贈られた手のこんだドレスを着た私は眉を下げる。
「前から言ってるだろう。ここはこわい所だって。
いちいち気にしていると神経がもたんぞ。
それよりもガオー王国でだされるご馳走の事でも考えていろ。
例えばガオー名産マンゴリア。オレンジ色の果実はたとえようもないほど旨いぞ」
「はあ。レインのその鋼の心臓はうらやましいわ」
テーブルの脇にチョコンと座って足をぶらぶらさせながら、長いため息をついた。
「その俺にいつも噛みつこうとするウサ公はもっと強いはずだ」
「もうー。レインたら」
立ち上がって胸の前で両手を組み頬を膨らませた瞬間、レイン様の大きな手で身体ごとすくわれた。
「やめてよ。強引なんだから」
「俺の思った通りだ。誰よりも衣装が似合っているぞ」
不満顔で掌に立つ私に視線を落とすとレイン様は満足そうに微笑んだ。
「そう? この衣装ちょっと変わっているから似合っているか心配してたのよ」
おだてに弱い私はすっかりご機嫌になる。
「ああ。お前を一目みたら、たとえシザー王でもむやみに手をだせないはずだ」
広大な砂漠の中心に位置するガオー王国へはラクダにのって行くしかない。
なので私もキャラバンの一員としてガオー王国へ向かうのだ。
移動の為に衣装院がつくった衣装は動きやすい工夫がされていた。
丈が長くゆったりとしたベージュのチュニックと同じ色のアラジンパンツ。
ターコイズ色のターバンにはキラキラ光る特殊な糸で皇室の紋章が刺繍されている。そして刺繍の真ん中には大きな宝石が縫い付けられていた。
目元以外を隠すクールタオル。
そのどれもが機能性と優雅さを兼ね備えている。
「本当の本当に似合っている? 正直に答えてちょうだい」
「本当の本当だ。俺はこんな高貴なウサギは見たことがない」
そう言うとレイン様は私の額にチュッととキスを落とす。
と同時に思わず「きゃあ!」と大きな二つの悲鳴が上がる。
もちろん一つは私のだ。
そして残りはダン騎士団長の声だった。
「支度ができたか確認にきたら、またお人形ごっこかよ。
ウサ公の頬にチュなんて、血の雨の名前が泣くぞ。
いいか。レイン。これから砂漠を横断するが、お人形ごっこは皆の前ではつつしんでくれ」
声の方に視線を移せば、ダン騎士団長が扉の取っ手に手をかけて倒れそうになっていた。
「大丈夫よ。ダン。
ガオー王国にいる間に私が陛下に本物の女の良さを教えてあげるから。
そうすれば馬鹿馬鹿しくてお人形遊びなんてやらないはずよ」
自信たっぷりの声をだしてダンの後に立っていたのはルーカス様だった。
ルーカス様が現れるとあたりがパッと華やかになる。
同じような衣装を身に着けているのに、ルーカス様の方が断然セクシーだ。
「今は私はぬいぐるみだから負けているけど、人間に戻ればそうはいかないわ」
なんて言ってもしょせん負け惜しみ。
わかっているけど、ラクダに揺られている間ずーとイライラしていたの。
だってレイン様だって男だもの。
曲線美あふれるルーカス様に目も心も奪われる
かもしれない。そう思うだけで胸が張り裂けそうになるの。
薄暗い気持ちを抱いて砂漠の国へ旅立った。












しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

辺境の侯爵令嬢、婚約破棄された夜に最強薬師スキルでざまぁします。

コテット
恋愛
侯爵令嬢リーナは、王子からの婚約破棄と義妹の策略により、社交界での地位も誇りも奪われた。 だが、彼女には誰も知らない“前世の記憶”がある。現代薬剤師として培った知識と、辺境で拾った“魔草”の力。 それらを駆使して、貴族社会の裏を暴き、裏切った者たちに“真実の薬”を処方する。 ざまぁの宴の先に待つのは、異国の王子との出会い、平穏な薬草庵の日々、そして新たな愛。 これは、捨てられた令嬢が世界を変える、痛快で甘くてスカッとする逆転恋愛譚。

半世紀の契約

篠原皐月
恋愛
 それぞれ個性的な妹達に振り回されつつ、五人姉妹の長女としての役割を自分なりに理解し、母親に代わって藤宮家を纏めている美子(よしこ)。一見、他人からは凡庸に見られがちな彼女は、自分の人生においての生きがいを、未だにはっきりと見い出せないまま日々を過ごしていたが、とある見合いの席で鼻持ちならない相手を袖にした結果、その男が彼女の家族とその後の人生に、大きく関わってくる事になる。  一見常識人でも、とてつもなく非凡な美子と、傲岸不遜で得体の知れない秀明の、二人の出会いから始まる物語です。

裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。

夏生 羽都
恋愛
王太子の婚約者で公爵令嬢でもあったローゼリアは敵対派閥の策略によって生家が没落してしまい、婚約も破棄されてしまう。家は子爵にまで落とされてしまうが、それは名ばかりの爵位で、実際には平民と変わらない生活を強いられていた。 辛い生活の中で母親のナタリーは体調を崩してしまい、ナタリーの実家がある隣国のエルランドへ行き、一家で亡命をしようと考えるのだが、安全に国を出るには貴族の身分を捨てなければいけない。しかし、ローゼリアを王太子の側妃にしたい国王が爵位を返す事を許さなかった。 側妃にはなりたくないが、自分がいては家族が国を出る事が出来ないと思ったローゼリアは、家族を出国させる為に30歳も年上である伯爵の元へ後妻として一人で嫁ぐ事を自分の意思で決めるのだった。 ※作者独自の世界観によって創作された物語です。細かな設定やストーリー展開等が気になってしまうという方はブラウザバッグをお願い致します。

編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?

灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。 しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?

完結·婚約破棄された氷の令嬢は、嫁がされた枯れおじのもとで花開く

恋愛
ティリアは辺境にある伯爵の娘であり、第三王子ガフタの婚約者であった。 だが、この婚約が気に入らないガフタは学園生活でティリアを冷遇し、卒業パーティーで婚約破棄をする。 しかも、このまま実家に帰ろうとするティリアにガフタは一回り以上年上の冴えないおっさん男爵のところへ嫁ぐように命令する。 こうしてティリアは男爵の屋敷へと向かうのだが、そこにいたのは…… ※完結まで毎日投稿します ※小説家になろう、Nolaノベルにも投稿中

天才すぎて追放された薬師令嬢は、番のお薬を作っちゃったようです――運命、上書きしちゃいましょ!

灯息めてら
恋愛
令嬢ミーニェの趣味は魔法薬調合。しかし、その才能に嫉妬した妹に魔法薬が危険だと摘発され、国外追放されてしまう。行き場を失ったミーニェは隣国騎士団長シュレツと出会う。妹の運命の番になることを拒否したいと言う彼に、ミーニェは告げる。――『番』上書きのお薬ですか? 作れますよ? 天才薬師ミーニェは、騎士団長シュレツと番になる薬を用意し、妹との運命を上書きする。シュレツは彼女の才能に惚れ込み、薬師かつ番として、彼女を連れ帰るのだが――待っていたのは波乱万丈、破天荒な日々!?

【完結】溺愛される意味が分かりません!?

もわゆぬ
恋愛
正義感強め、口調も強め、見た目はクールな侯爵令嬢 ルルーシュア=メライーブス 王太子の婚約者でありながら、何故か何年も王太子には会えていない。 学園に通い、それが終われば王妃教育という淡々とした毎日。 趣味はといえば可愛らしい淑女を観察する事位だ。 有るきっかけと共に王太子が再び私の前に現れ、彼は私を「愛しいルルーシュア」と言う。 正直、意味が分からない。 さっぱり系令嬢と腹黒王太子は無事に結ばれる事が出来るのか? ☆カダール王国シリーズ 短編☆

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

処理中です...