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4章 深まる2人の絆
3, キリン村と魔獣
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ガタガタガタガタ。
四頭の黒馬に引かれた満身創痍の馬車はあわただしい音をたてて、キリン村を目指して走る。
戦闘用の馬車の中にいるのはレイン様と私。
そして机をはさんだ向こうにはダン騎士団長とルーカス様が座っている。
「おい。ルーカス。新入りのくせにどうして危険な魔獣退治についてきたんだ。俺は許可した覚えはないぞ。
今からでもいい。トットと帰りやがれ」
「いやよ。ダン。私は貴方が魔獣の餌にならない為に急きょ騎士団に入団したのよ。
皇城にとどまってたら意味ないでしょ」
「お前は馬鹿か。俺は騎士団長だぞ。
そっせんして敵に向かっていくのが務めだ」
ダン騎士団長はそう言うと、ギュッと唇を引き結んだ。
「わかってるわ。ダンのそういう所が好きなんだもの。
けど、これからは少しは私の事も考えなさい。
私を失いたくなければね」
相変わらず上から目線のルーカス様だ。
けど、いつもと違って表情に照れがみえる。
「なんだその口の利き方は?
騎士団員になったからには、俺はお前の上司なんだぞ」
そうよ。ダン騎士団長。よく言った。
ポショットの中から少し顔をのぞかせて、2人の様子を見ていた私は心の中でパチパチと拍手をする。
なのになぜよ。
ダン騎士団長は眩しそうにルーカス様に目を細める。
そして、
「まさかこんなツッパリ女に惚れてしまうとはな。俺もヤキがまわったもんだぜ」
とルーカス様の肩を抱くと自分の方に抱き寄せた。
うわ。なによ。コレ。
いつのまにこうなっていたのよ。
それにさ。
女性にしては背の高いルーカス様が武装すると美青年にしか見えない。
なのでまるでボーイズラブのワンシーンのようだ。
「コホン」
レイン様が軽く咳払いをする。
そして人差し指を額にあてて、
「確かに俺は『自分の気持ちに正直になれ』と言ったが……」
と戸惑っていたが、その途中で馬車がピタリと静止した。
「キリン村に到着したようだな。俺の帝国にちょっかいをだすとは命知らずの魔獣だ。
今から叩ききってやる!」
馬車から軽々と飛び降りたレイン様はキリン村めがけて一直線に駆けてゆく。
「なんだかワクワクしてきたぜ!」
レイン様のすぐ後を追うのはダン騎士団長で、その後を他の馬車や馬でやってきた
兵士達がワナワナと追いかける。
ーウオオオオオオ。ウオオオオオオー
地鳴りのような雄叫びが響きわたる。
「みんな、頑張って!」
ポショットの中から兵士達に声援をおくっているうちに、ふと目にとまった一人の兵士に首を傾けた。
「ずいぶん華奢に見えるけど大丈夫かしら」
彼のプレートの下から見える手足はまるで小枝のように細い。
もしかしたら女性なの?と疑ってしまうほどに。
でも帝国騎士団に女性の入隊は許されていない。
ルーカス様は権力を使ってそのルールを捻じ曲げたのだろうけど、そんな事ができる人はそうそういないはずだ。
「なんとなく気になるのよね」
ブツブツと独り言を呟いているうちにキリン村に辿りつく。
と同時に目の前にひろがる地獄のような光景に一瞬息がとまりそうになる。
頭に巨大な一本の角。
村人の家を次々に踏みつぶしてゆく、鋭いヒズメを持つ節くれだった足。
口から粘々した液体をとばす魔獣はキリン型魔獣に違いない。
一般的に大人しい魔獣と考えられていた彼らが村を襲撃するなんて信じられなかった。
帝国が推し進める近代化の影響で、キリン村も開発化がすすみ近隣のジャングルが急激に縮小しているらしい。
そのせいで魔獣の食料が枯渇し、村を襲うようになった可能性は高い。
そう考えると可哀そう。けれど今はそんな事を言っている場合じゃない。
「ダン。頭の角を狙うんだ」
魔獣達と果敢に剣で戦っていたレイン様が大声をはり上げる。
「よっしゃ!」
レインの近くで魔獣に対峙したダン騎士団長が「角を切れ!」と兵士達に指示をだした時だ。
しなやかに長剣をふりかざしていたルーカス様がなにかにつまずいて地面に倒れてしまったのは。
「グオオオオ」
そのとたん落雷のような叫び声を上げながら、一匹の魔獣がルーカス様に飛びかかろうとした。
「くそう!」
魔獣達に囲まれて身動きができないダン騎士団長が怒声をあげた。
「たいへん。なんとかしないと。
お願いラビ。私に力をかしてちょうだい」
祈りを捧げていると、どこからか幼い子供が飛び出してきてルーカス様の前に両手を広げて立ちはだかる。
「やめろ。この卑怯者めが!」
幼い声で一生懸命叫んでいるのは男の子だった。
顔や身体は泥でドロドロだ。
逃げ回っているうちに転んで、親とはぐれてしまったのかな?
見たところ妹のパンちゃんと同じ年かもしれない。
絶対助けてあげたい。
おろおろしていると男の子めがけて一人の兵士が突進してきた。
そしてその兵士は私が女性と見間違えた兵士だったのだ。
兵士があわてて男の子を抱き上げたとき、被っていた兜がポロリと地面に落ちて顔があらわになる。
「あれはアリーナだわ!」
私は目を丸くした。
「アリ。危ないでしょ!」
アリーナは男の子をかかえて逃げようとするが、もうそこまで魔獣がせまっている。
「アリーナ。貴方こそ危ないでしょ。どうして兵士に化けたりしたのよ」
心配でイライラした声を上げてから、ハッとした。
「たしかアリーナはキリン村出身でパンちゃんぐらいの弟がいるはずよ」
きっとあの男の子は弟に違いない。
「家族が大好きな所は私とそっくりね」
自分は皇城にいれば安全なのに家族がたまらなく心配で、居ても立っても居られなかったのだろう。
生真面目なアリーナが兵士を装って、騎士団に紛れ込むなんてよっぽどのことだもの。
「約束するわ。私は絶対貴方達を守る。
天の神様。聖獣ラビ。どうか私に力をかして下さい」
心を一段と強くして祈ると身体の奥から不思議な力がみなぎってきた。
「結界、発動」
私は人差し指で空中に半円を描く。
すると村全体が虹色の膜で覆われた。
魔獣はどんなにもがいても膜を突破できず、慟哭しながら村を後にする。
「キャンディ。まだやることがあるはずじゃ」
「わかっているわ。ラビ。
赤い木よ。永遠なれ」
私はジャングルに彼らの食料である赤い実がなる木々を魔法で植えた。絶対に枯れないように魔法をかけて。
これで二度と魔獣が飢える事もないだろう。
「キリン村はもう大丈夫よ」
とホッとしたのも束の間。
兵士達がレイン様とダン騎士団長をとり囲んでいたのだ。
四頭の黒馬に引かれた満身創痍の馬車はあわただしい音をたてて、キリン村を目指して走る。
戦闘用の馬車の中にいるのはレイン様と私。
そして机をはさんだ向こうにはダン騎士団長とルーカス様が座っている。
「おい。ルーカス。新入りのくせにどうして危険な魔獣退治についてきたんだ。俺は許可した覚えはないぞ。
今からでもいい。トットと帰りやがれ」
「いやよ。ダン。私は貴方が魔獣の餌にならない為に急きょ騎士団に入団したのよ。
皇城にとどまってたら意味ないでしょ」
「お前は馬鹿か。俺は騎士団長だぞ。
そっせんして敵に向かっていくのが務めだ」
ダン騎士団長はそう言うと、ギュッと唇を引き結んだ。
「わかってるわ。ダンのそういう所が好きなんだもの。
けど、これからは少しは私の事も考えなさい。
私を失いたくなければね」
相変わらず上から目線のルーカス様だ。
けど、いつもと違って表情に照れがみえる。
「なんだその口の利き方は?
騎士団員になったからには、俺はお前の上司なんだぞ」
そうよ。ダン騎士団長。よく言った。
ポショットの中から少し顔をのぞかせて、2人の様子を見ていた私は心の中でパチパチと拍手をする。
なのになぜよ。
ダン騎士団長は眩しそうにルーカス様に目を細める。
そして、
「まさかこんなツッパリ女に惚れてしまうとはな。俺もヤキがまわったもんだぜ」
とルーカス様の肩を抱くと自分の方に抱き寄せた。
うわ。なによ。コレ。
いつのまにこうなっていたのよ。
それにさ。
女性にしては背の高いルーカス様が武装すると美青年にしか見えない。
なのでまるでボーイズラブのワンシーンのようだ。
「コホン」
レイン様が軽く咳払いをする。
そして人差し指を額にあてて、
「確かに俺は『自分の気持ちに正直になれ』と言ったが……」
と戸惑っていたが、その途中で馬車がピタリと静止した。
「キリン村に到着したようだな。俺の帝国にちょっかいをだすとは命知らずの魔獣だ。
今から叩ききってやる!」
馬車から軽々と飛び降りたレイン様はキリン村めがけて一直線に駆けてゆく。
「なんだかワクワクしてきたぜ!」
レイン様のすぐ後を追うのはダン騎士団長で、その後を他の馬車や馬でやってきた
兵士達がワナワナと追いかける。
ーウオオオオオオ。ウオオオオオオー
地鳴りのような雄叫びが響きわたる。
「みんな、頑張って!」
ポショットの中から兵士達に声援をおくっているうちに、ふと目にとまった一人の兵士に首を傾けた。
「ずいぶん華奢に見えるけど大丈夫かしら」
彼のプレートの下から見える手足はまるで小枝のように細い。
もしかしたら女性なの?と疑ってしまうほどに。
でも帝国騎士団に女性の入隊は許されていない。
ルーカス様は権力を使ってそのルールを捻じ曲げたのだろうけど、そんな事ができる人はそうそういないはずだ。
「なんとなく気になるのよね」
ブツブツと独り言を呟いているうちにキリン村に辿りつく。
と同時に目の前にひろがる地獄のような光景に一瞬息がとまりそうになる。
頭に巨大な一本の角。
村人の家を次々に踏みつぶしてゆく、鋭いヒズメを持つ節くれだった足。
口から粘々した液体をとばす魔獣はキリン型魔獣に違いない。
一般的に大人しい魔獣と考えられていた彼らが村を襲撃するなんて信じられなかった。
帝国が推し進める近代化の影響で、キリン村も開発化がすすみ近隣のジャングルが急激に縮小しているらしい。
そのせいで魔獣の食料が枯渇し、村を襲うようになった可能性は高い。
そう考えると可哀そう。けれど今はそんな事を言っている場合じゃない。
「ダン。頭の角を狙うんだ」
魔獣達と果敢に剣で戦っていたレイン様が大声をはり上げる。
「よっしゃ!」
レインの近くで魔獣に対峙したダン騎士団長が「角を切れ!」と兵士達に指示をだした時だ。
しなやかに長剣をふりかざしていたルーカス様がなにかにつまずいて地面に倒れてしまったのは。
「グオオオオ」
そのとたん落雷のような叫び声を上げながら、一匹の魔獣がルーカス様に飛びかかろうとした。
「くそう!」
魔獣達に囲まれて身動きができないダン騎士団長が怒声をあげた。
「たいへん。なんとかしないと。
お願いラビ。私に力をかしてちょうだい」
祈りを捧げていると、どこからか幼い子供が飛び出してきてルーカス様の前に両手を広げて立ちはだかる。
「やめろ。この卑怯者めが!」
幼い声で一生懸命叫んでいるのは男の子だった。
顔や身体は泥でドロドロだ。
逃げ回っているうちに転んで、親とはぐれてしまったのかな?
見たところ妹のパンちゃんと同じ年かもしれない。
絶対助けてあげたい。
おろおろしていると男の子めがけて一人の兵士が突進してきた。
そしてその兵士は私が女性と見間違えた兵士だったのだ。
兵士があわてて男の子を抱き上げたとき、被っていた兜がポロリと地面に落ちて顔があらわになる。
「あれはアリーナだわ!」
私は目を丸くした。
「アリ。危ないでしょ!」
アリーナは男の子をかかえて逃げようとするが、もうそこまで魔獣がせまっている。
「アリーナ。貴方こそ危ないでしょ。どうして兵士に化けたりしたのよ」
心配でイライラした声を上げてから、ハッとした。
「たしかアリーナはキリン村出身でパンちゃんぐらいの弟がいるはずよ」
きっとあの男の子は弟に違いない。
「家族が大好きな所は私とそっくりね」
自分は皇城にいれば安全なのに家族がたまらなく心配で、居ても立っても居られなかったのだろう。
生真面目なアリーナが兵士を装って、騎士団に紛れ込むなんてよっぽどのことだもの。
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「結界、発動」
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すると村全体が虹色の膜で覆われた。
魔獣はどんなにもがいても膜を突破できず、慟哭しながら村を後にする。
「キャンディ。まだやることがあるはずじゃ」
「わかっているわ。ラビ。
赤い木よ。永遠なれ」
私はジャングルに彼らの食料である赤い実がなる木々を魔法で植えた。絶対に枯れないように魔法をかけて。
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