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4章 深まる2人の絆
5, 発動! 浄化魔法
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「落ち着け。キャンディ。ワシの見たところアイツは気を失っているだけじゃ」
ソワソワしているとラビの声がする。
「本当?ならラビ。お願い。力をかしてちょうだい」
涙を腕でぬぐい唇をひき結んだ。
「ひたすら祈るのじゃ。
キャンディの心からの願いが神に届いた時ワシらの契約は発動される」
「わかったわ」
そう言うと私は胸の前で両手をあわせる。そしてギュッと目を閉じると、頭の中に
アリーナ、パーカス副騎士団長、キリン村の人々の顔を浮かべた。
「お願いします。
どうか皆をお助け下さい。お願いします。お願いします」
この世のどこかに存在する神に必死で祈りを捧げていたら、急に周囲から歓声が上がる。
驚いて目をあけると、空から虹色に輝く雪が舞いおりていた。
「あんは綺麗な雪は初めて見るわ。ねえ、ラビ。あれは本当に雪なの?」
「雪じゃよ。
ただし普通の雪じゃない。聖女キャンディが降らせた魔法の雪じゃ」
「魔法の雪?」
そんな雪は今まで見た事も聞いた事もない。
「ほら。回りの様子を見るのじゃ」
不思議そうに首をひねっていたが、ラビに言われて周囲にゆっくりと視線を移す。
とたんに感動と感謝で胸が一杯になった。
「神様。ありがとうございました」
何度も何度も頭を下げる。
「魔法の雪って奇跡をおこすのね」
怪我をした村人や血だらけで倒れていた負傷兵が雪を浴びたととん、みるみる元気に
なっていく光景に目を丸くした。
するとアリーナが一段と大きな声を発する。
「きゃあああ。パーカスが! パーカスが目を覚ましたわ!」
「神に感謝する」
パーカス副騎士団長はそう言うと、アリーナの細い肩を太い腕でしっかりと抱きしめた。
「キャンディ。これは貴方の力に違いない。ありがとう。感謝する」
喜しさで我を忘れてボッーとしていると、頭の上からレイン様の声がふってくる。
「え? どうしてわかったの? ウサギ族は魔法が使えるから?」
「キャンディの祈りの声は俺の耳まで届いていた」
「そうだったのね」
あたたかな声の方を見上げると、私を見下ろすレイン様と視線がぶつかった。
慈愛にあふれた琥珀色の瞳。柔らかな眼差し。
胸が張り裂けそうなほど高鳴った。
「皆、よく聞いてくれ。奇跡をおこしたのはこのぬいぐるみだ。
パーカス副騎士団長。これでわかってくれたか。
このぬいぐるみにこめられたのは呪詛ではない。
皇妃の愛である事がだ」
ドギマギしている私をレイン様は瞬時につかんで宙にかかげる。
レイン様の言葉がおわるやいなや、周囲から嵐のような拍手がわきおこった。
「皇帝陛下のおっしゃる通りでした。誤解して申し訳ございません」
パーカス副騎士団長がスクッと立ち上がりレイン様に深々と頭を下げる。
すると他の兵士達も副騎士団長にならう。
「村人達もすっかり浄化されたようだ。
もうキリン村を焼き払う必要はないだろ?」
「は! おっしゃる通りです」
キラキラ光る雪を浴びたパーカス副騎士団長が最敬礼をとる。
「私もちょっとは役にたてたみたいね。良かったわ」
帰路につく馬車の中でホッと胸をなでおろした。
「ねえ。ダン。
さっきぬいぐるみが『ハアー』とため息をついたわ。
まるで生きているみたいに。不思議だわ」
中心に置かれたテーブルを挟んでレイン様と真向かいに座っているルーカス様が
私に顔を近寄せる。
「そんなに驚くことかよ。このウサ公は奇跡をよぶんだぞ。
なんだってできるんだ」
「ルーカス様。その子をぬいぐるみ扱いしないで下さい! その子は皇妃様同然なんですから」
ダン騎士団長の声にアリーナの声が重なった。
アリーナがここにいるのは、私が私と一緒の馬車に乗せて欲しいとレイン様にお願いしたからだ。
ここは皇城じゃない。馬車の中だ。
だからアリーナも、気兼ねなく席に着けばいいのに律儀な彼女はずーと片隅に立ったいる。
「ダンもアリーナも単純ね。けどこのルーカスは騙されないわよ。
ぬいぐるみにはなにか仕掛けがあるに違いないわ」
ルーカス様は勝気そうな顔をレイン様に向けた。
「悪いが仕掛けは一切ない」
胸の前で両手をくんだレイン様がぶっきらぼうな声をだす。
「嘘だわ。じゃあ。なぜぬいぐるみが動くのよ。
考えられないわ」
ルーカス様は疑惑に満ちた目で私をなめまわすように眺めた。
私としてはここはどうしても動くわけにはいかない。
普通のぬいぐるみのようにテーブルの上でジーとしていないとダメよね。
わかっているけどルーカス様の圧が凄すぎて、じわりと額に汗をかく。
「教えてくれないならけっこうよ。自分で探すわ」
しつこいわね。そんな事じゃ、そのうちダン騎士団長にも嫌われるわよ。
心の中で憎まれ口を叩く私の身体のあちこちをルーカス様は指でつついたり、つまんだりする。
やめて!くすぐったいでしょ。
ああ。もう我慢できない。
「キャハハハハ! キャキャキャ」
こらえきれずにとうとう笑い声を上げてしまった。
「「「ええええ!!!」」」
身体を丸くして笑う私を見て三人が同時に目を丸くする。
「落ち着いてくれ。
実はキャンディの魂がこのぬいぐるみの中にのり移っているのだ」
固まる三人にレイン様があわてて説明をした。
けれどそのせいでますます三人は表情を凍らせる。
「理由は俺にもわからん。
が、まあ、そういうことだ。それとこれはここだけの秘密にして欲しい」
「了解だ。死んでも他言するもんか」
「このアリーナ。命にかえても秘密は死守いたします」
ダン騎士団長とアリーナが力強く誓った時、馬車は皇城に到着した。
それでこの話は自然に終了する。
ルーカス様は約束を守るとは言ってくれなかったけど、大丈夫かな?
私はちょっとひっかかった。
ソワソワしているとラビの声がする。
「本当?ならラビ。お願い。力をかしてちょうだい」
涙を腕でぬぐい唇をひき結んだ。
「ひたすら祈るのじゃ。
キャンディの心からの願いが神に届いた時ワシらの契約は発動される」
「わかったわ」
そう言うと私は胸の前で両手をあわせる。そしてギュッと目を閉じると、頭の中に
アリーナ、パーカス副騎士団長、キリン村の人々の顔を浮かべた。
「お願いします。
どうか皆をお助け下さい。お願いします。お願いします」
この世のどこかに存在する神に必死で祈りを捧げていたら、急に周囲から歓声が上がる。
驚いて目をあけると、空から虹色に輝く雪が舞いおりていた。
「あんは綺麗な雪は初めて見るわ。ねえ、ラビ。あれは本当に雪なの?」
「雪じゃよ。
ただし普通の雪じゃない。聖女キャンディが降らせた魔法の雪じゃ」
「魔法の雪?」
そんな雪は今まで見た事も聞いた事もない。
「ほら。回りの様子を見るのじゃ」
不思議そうに首をひねっていたが、ラビに言われて周囲にゆっくりと視線を移す。
とたんに感動と感謝で胸が一杯になった。
「神様。ありがとうございました」
何度も何度も頭を下げる。
「魔法の雪って奇跡をおこすのね」
怪我をした村人や血だらけで倒れていた負傷兵が雪を浴びたととん、みるみる元気に
なっていく光景に目を丸くした。
するとアリーナが一段と大きな声を発する。
「きゃあああ。パーカスが! パーカスが目を覚ましたわ!」
「神に感謝する」
パーカス副騎士団長はそう言うと、アリーナの細い肩を太い腕でしっかりと抱きしめた。
「キャンディ。これは貴方の力に違いない。ありがとう。感謝する」
喜しさで我を忘れてボッーとしていると、頭の上からレイン様の声がふってくる。
「え? どうしてわかったの? ウサギ族は魔法が使えるから?」
「キャンディの祈りの声は俺の耳まで届いていた」
「そうだったのね」
あたたかな声の方を見上げると、私を見下ろすレイン様と視線がぶつかった。
慈愛にあふれた琥珀色の瞳。柔らかな眼差し。
胸が張り裂けそうなほど高鳴った。
「皆、よく聞いてくれ。奇跡をおこしたのはこのぬいぐるみだ。
パーカス副騎士団長。これでわかってくれたか。
このぬいぐるみにこめられたのは呪詛ではない。
皇妃の愛である事がだ」
ドギマギしている私をレイン様は瞬時につかんで宙にかかげる。
レイン様の言葉がおわるやいなや、周囲から嵐のような拍手がわきおこった。
「皇帝陛下のおっしゃる通りでした。誤解して申し訳ございません」
パーカス副騎士団長がスクッと立ち上がりレイン様に深々と頭を下げる。
すると他の兵士達も副騎士団長にならう。
「村人達もすっかり浄化されたようだ。
もうキリン村を焼き払う必要はないだろ?」
「は! おっしゃる通りです」
キラキラ光る雪を浴びたパーカス副騎士団長が最敬礼をとる。
「私もちょっとは役にたてたみたいね。良かったわ」
帰路につく馬車の中でホッと胸をなでおろした。
「ねえ。ダン。
さっきぬいぐるみが『ハアー』とため息をついたわ。
まるで生きているみたいに。不思議だわ」
中心に置かれたテーブルを挟んでレイン様と真向かいに座っているルーカス様が
私に顔を近寄せる。
「そんなに驚くことかよ。このウサ公は奇跡をよぶんだぞ。
なんだってできるんだ」
「ルーカス様。その子をぬいぐるみ扱いしないで下さい! その子は皇妃様同然なんですから」
ダン騎士団長の声にアリーナの声が重なった。
アリーナがここにいるのは、私が私と一緒の馬車に乗せて欲しいとレイン様にお願いしたからだ。
ここは皇城じゃない。馬車の中だ。
だからアリーナも、気兼ねなく席に着けばいいのに律儀な彼女はずーと片隅に立ったいる。
「ダンもアリーナも単純ね。けどこのルーカスは騙されないわよ。
ぬいぐるみにはなにか仕掛けがあるに違いないわ」
ルーカス様は勝気そうな顔をレイン様に向けた。
「悪いが仕掛けは一切ない」
胸の前で両手をくんだレイン様がぶっきらぼうな声をだす。
「嘘だわ。じゃあ。なぜぬいぐるみが動くのよ。
考えられないわ」
ルーカス様は疑惑に満ちた目で私をなめまわすように眺めた。
私としてはここはどうしても動くわけにはいかない。
普通のぬいぐるみのようにテーブルの上でジーとしていないとダメよね。
わかっているけどルーカス様の圧が凄すぎて、じわりと額に汗をかく。
「教えてくれないならけっこうよ。自分で探すわ」
しつこいわね。そんな事じゃ、そのうちダン騎士団長にも嫌われるわよ。
心の中で憎まれ口を叩く私の身体のあちこちをルーカス様は指でつついたり、つまんだりする。
やめて!くすぐったいでしょ。
ああ。もう我慢できない。
「キャハハハハ! キャキャキャ」
こらえきれずにとうとう笑い声を上げてしまった。
「「「ええええ!!!」」」
身体を丸くして笑う私を見て三人が同時に目を丸くする。
「落ち着いてくれ。
実はキャンディの魂がこのぬいぐるみの中にのり移っているのだ」
固まる三人にレイン様があわてて説明をした。
けれどそのせいでますます三人は表情を凍らせる。
「理由は俺にもわからん。
が、まあ、そういうことだ。それとこれはここだけの秘密にして欲しい」
「了解だ。死んでも他言するもんか」
「このアリーナ。命にかえても秘密は死守いたします」
ダン騎士団長とアリーナが力強く誓った時、馬車は皇城に到着した。
それでこの話は自然に終了する。
ルーカス様は約束を守るとは言ってくれなかったけど、大丈夫かな?
私はちょっとひっかかった。
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