らりぱっぱっぱっぱ

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黄野稀路×2

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 身体が快感に震えないよう、全身に力を入れて歩いた。呼吸すら忘れて数メートル歩き、苦しくなっては少し立ち止まる。
 頭がおかしくなりそうだった。気を抜けば地面に這い蹲り、果てるまで腰を振ってしまうかもしれない。本当は一歩歩くことさえ辛く、その場に崩れ落ちそうだった。
 兄貴に電話する事も考えたが、携帯の番号なんて覚えていなかった。それに兄貴に縋ったところで、鍵は外れないかもしれない。
 怒りと焦燥と耐え難い快感に頭が割れそうに痛い。それでも歯を食いしばってもう一歩踏み出す。
 普段なら徒歩5分の距離を20分もかけて駅に着く。夕方のラッシュにかち合ったのか、電車は隣を押し合うくらいには混雑していた。
 快速電車に乗って6駅先の目的地までドアは開かない。車両の真ん中あたりで身動きできず、息苦しさを覚えた。
 けれどそれだけじゃなかった。周りの人間と肩が触れ合うだけ、鞄が当たるだけでも全身を電気が走るような快感に襲われた。
「ん……」
 口に手を当てて声を殺す。おかしくなりそう。でもしゃがみこんで注目を集めてしまったら、スウェットの中の違和感に気付かれてしまうかもしれない。
「はっ……っあ……」
 その時、するりと尻を撫でる手があった。一瞬触れただけだから、電車の揺れでたまたまぶつかっただけかもしれない。
 けれど、その手は再び尻に触れた。
「ふうっ……」
 急に尻肉を鷲掴みにされ、堪えきれずに声が漏れた。オレは仰け反りビクビクと震える。射精こそできないが、尻を掴まれただけでイった。
 その余韻と、ひしめき合う車内の薄い空気で軽い酸欠状態になっていた。頭はぼんやりとしている。
「おっ……っ」
 咄嗟によく、少し呻いただけで済んだと思う。スウェット越しに性器を掴まれて、腰が抜けて膝から落ちかけた。
 後ろに立つ人がオレの身体を支える。再び射精しないでイったオレは、後ろの人の腕に抱かれながらビクビク震えた。
「またイった?」
 その男の声はそう囁くと、スウェットの中に手を入れて、拘束された性器を握りしめる。
「っあ……あ……」
 尿道を貫く金属が擦れて痛い。痛いのに気持ちいい。壊れそう。もっと強く握って欲しい。おかしくなる。
「こんな電車の中で何回イくつもり?」
「あひいっ……」
 玉を握られ、奇声が車内に響いた。前後にいる人は声の出所に気づいているかもしれない。振り向いたところで、俯くオレの姿しか見えないだろうが。
「ちゃんと意識保っとけよ」
「く、う、う……」
 容赦なく揉みしだかれる。
 ただの痴漢じゃない。性器の戒めを最初から知っている手付き。
 緑島の手配した人間だろう。あいつの悪趣味な性癖に反吐が出る。
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