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第十五章 城にて
1 心外
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1 心外
君は僕を愛してはいないんだねって言われて、僕は驚いた。
「君は領主としての僕が好きなだけで……」
ええええ?! ケイトったら何を言ってるんだ。
ケイトが領主じゃなかったらいいのにって、僕は何度思ったことか。そもそも僕は、あなたがメイドのふりをしてる時からずっと恋してたっていうのに!
ケイトはうなだれている。僕はケイトにぎゅっと縋りついた。どんなにあなたが好きか。どうしたら分かってくれるの。
「好きだよ」
僕に言えるのはこれが精一杯だった。本当の気持ちを信じてもらえないのは辛かった。「シンガイだ」って、さっき領主様が言ったのは、こういう気持ちだったんだな。
「世界で一番あなたが好き」
幼稚な言葉。嫌になる。君の瞳がなんとかって、領主様みたいに言えたらいいのに。
すると、ケイトが僕の頭を撫でた。
「その言葉だけで、僕は十分に報われてしまったんだけど……」
顔を上げると、ケイトは悪戯っぽい目で僕を見ていた。
「妖精の呪い疑惑は解けましたか?」
ケイトはそう言って、微笑んだ。僕はきょとんとする。
呪いで恋に落ちた男は報われないことになっている。でもケイトは、僕の愛ですでに報われてる。だから呪いの対象は自分じゃないってケイトは言いたいんだ。そのために、あんなため息をついて小芝居を打ったんだ。ケイトのドヤ顔に、僕は思わず笑ってしまった。
ほんとに……そんなふうに理路整然と、愛を証明できたらいいのに。
ケイトは僕を抱きしめてキスをした。二人でぴったりくっつくと、これ以上の幸せなんてないって気がする。
だけど、僕たちの愛が報われるのは今だけなんだ。それは、賢いケイトも知らないこと。
僕はザクロさんに頼んで、ケイトから僕の記憶を消してもらうつもりだった。それがみんなのため、ケイトのためだから。
なのに、ケイトの幸せそうな笑顔を見ていると、決意がゆらぐ。胸が痛かった。
ケイトは僕を抱きしめてソファに押し倒した。耳元で優しく名前を囁かれる。これからなにかするんだって分かった。
僕はもう溶けてしまって、されるがままになっていた。ケイトの身体も吐息も、燃えるように熱い。
「あれ?」
ケイトの額に手をやる。
「ケイト、熱い」
「オトのせいだよ」
「いや……違くて……」
ケイトは、本当に熱があった。
***************
可哀想に、フラフラだったはずだ。なんで今まで気付かなかったんだろう。
認めようとしないケイトをなだめて、ようやくベッドに寝かしつけた。
「お医者様を呼んでくるよ。執事さんにも知らせなきゃ」
「うぅ……オト、頼むからそれだけはやめよう?」
ケイトは目をうるうるさせてる。これも熱のせいだろう。
君は僕を愛してはいないんだねって言われて、僕は驚いた。
「君は領主としての僕が好きなだけで……」
ええええ?! ケイトったら何を言ってるんだ。
ケイトが領主じゃなかったらいいのにって、僕は何度思ったことか。そもそも僕は、あなたがメイドのふりをしてる時からずっと恋してたっていうのに!
ケイトはうなだれている。僕はケイトにぎゅっと縋りついた。どんなにあなたが好きか。どうしたら分かってくれるの。
「好きだよ」
僕に言えるのはこれが精一杯だった。本当の気持ちを信じてもらえないのは辛かった。「シンガイだ」って、さっき領主様が言ったのは、こういう気持ちだったんだな。
「世界で一番あなたが好き」
幼稚な言葉。嫌になる。君の瞳がなんとかって、領主様みたいに言えたらいいのに。
すると、ケイトが僕の頭を撫でた。
「その言葉だけで、僕は十分に報われてしまったんだけど……」
顔を上げると、ケイトは悪戯っぽい目で僕を見ていた。
「妖精の呪い疑惑は解けましたか?」
ケイトはそう言って、微笑んだ。僕はきょとんとする。
呪いで恋に落ちた男は報われないことになっている。でもケイトは、僕の愛ですでに報われてる。だから呪いの対象は自分じゃないってケイトは言いたいんだ。そのために、あんなため息をついて小芝居を打ったんだ。ケイトのドヤ顔に、僕は思わず笑ってしまった。
ほんとに……そんなふうに理路整然と、愛を証明できたらいいのに。
ケイトは僕を抱きしめてキスをした。二人でぴったりくっつくと、これ以上の幸せなんてないって気がする。
だけど、僕たちの愛が報われるのは今だけなんだ。それは、賢いケイトも知らないこと。
僕はザクロさんに頼んで、ケイトから僕の記憶を消してもらうつもりだった。それがみんなのため、ケイトのためだから。
なのに、ケイトの幸せそうな笑顔を見ていると、決意がゆらぐ。胸が痛かった。
ケイトは僕を抱きしめてソファに押し倒した。耳元で優しく名前を囁かれる。これからなにかするんだって分かった。
僕はもう溶けてしまって、されるがままになっていた。ケイトの身体も吐息も、燃えるように熱い。
「あれ?」
ケイトの額に手をやる。
「ケイト、熱い」
「オトのせいだよ」
「いや……違くて……」
ケイトは、本当に熱があった。
***************
可哀想に、フラフラだったはずだ。なんで今まで気付かなかったんだろう。
認めようとしないケイトをなだめて、ようやくベッドに寝かしつけた。
「お医者様を呼んでくるよ。執事さんにも知らせなきゃ」
「うぅ……オト、頼むからそれだけはやめよう?」
ケイトは目をうるうるさせてる。これも熱のせいだろう。
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