33 / 159
7章 それは、偽りの存在(3)
しおりを挟む
第三のセキュリティー・エリアは夜の世界が広がり、フクギ並木の一本道がしばらく続いた。そこは花も植えられていない、芝生が敷かれただけの公園の一角で、カーブを描いた道の先を抜けると三車線の大通りに抜けた。
通りの左右には、隙間なくビルやアパートや飲食店が立ち並んでいた。一見すると巨大な壁が、道の左右を立ち塞いでいるような光景だった。一直線に伸びる車道は街並を縦断し、平坦な土地の中を少数の人影が流れている。
道路の左右に敷きつめられた建物には統一性がなく、古びた細いアパート、商業ビル、二階建ての飲食店など大小様々で、道路に面した建物の奥には、背の高いビル群がびっしりと聳え建って黒い影を落としていた。
通行人の他に、車の走行もあった。四、五台の車が、ゆとりある車間をもって道路を行き交っている。道路や歩道は、建物から発せられる電光で照らし出され、歩く人影が光りの中に影を落としていた。
上空には星光りも見てとれたが、地上の方が明るい為に、小さな星の輝きは霞んでしまっていた。
「空間内は縦の一本道か……狭いようだね」
スウェンが探査機のブラウザを確認し、感想を述べた。ブラウザには真っ黒な地形が浮かび上がっていたが、それはまるで、地下駐車場を盾に引き伸ばしたかのような、単純な形をしていた。太く伸びた黒が、長く続いている。
支柱の地点については、まだ探査機に反映していなかった。スウェンは、辺りをしばらく見て一同にこう告げた。
「とりあえず少し休もう。この先に待っている舞台が、僕らに手荒な歓迎をしないという保証は、どこにもないからね」
スウェンを先頭に、エル達は通行人に邪魔にならない程度に連なり歩いた。いかにも会社帰りといった通行人達は、それぞれ長袖を着用しており、自分の足ばかりに目を落とし黙々と歩いていた。
クロエがボストンバックから顔を出し、辺りを眺めた。エルは彼女の頭を撫でつつ、気持ちの沈むような夜の街を進んだ。先程の公園の他に、車道には一つの樹木も花壇も見られなかった。
建物の多くは、賑やかな光りに溢れていた。居酒屋からは人の声も漏れていたが、不思議と食べ物の匂いはしなかった。途中、酔っぱらったサラリーマン風の男達が、騒ぎながら道端に躍り出て、タクシーを掴まえると早々に乗り込んで行ってしまった。
「……これって、この世界になってしまった人が、一番馴染んでいた景色なのかなぁ」
エルが呟くと、近くにいたセイジが神妙な顔をして肩をすぼめた。
「そうかもしれない。この時間帯の、こういった景色の中を毎日歩いて、どこかへ向かっていたのだろう」
「なんだか、歩いている人は社会人ばかりだね」
「ああ、疲れ切った顔をした人達ばかりだな」
足を引きずるように歩くスーツ姿の中年女性を、擦れ違いざま、セイジは悲しげな顔で見送った。
スウェンとログは、辺りのビルへ目をやりながら時々短い言葉を交わしていた。歩道の幅はそれほど大きくはなく、擦れ違うエキストラは全て東洋人の為、二人が並ぶと歩道が少しばかり通り辛くなってしまうが、誰も彼らに目をくれる様子はなかった。
エルとセイジは、クロエの座るボストンバンックを挟んで、先頭を歩く二人の大きな背中を眺めつつ並び歩いた。
セイジは大きな肩を揺らし、ゆっくり地面を踏みしめて歩きながら、時折ちらりとエルを盗み見た。エルは、その様子を横目で見て可笑しく思ったが、セイジ自身が気付かれないよう装っているようだったので、指摘はしなかった。
「さっきの世界とは違って、ちょっとだけ肌寒いような気がするなぁ」
「秋先、ぐらいだろうか」
「そうかもしれない」
エルは、オジサンと過ごした、十五回の秋の様子を思い返した。縁側には大きな桜の木があって、石垣を超えてすぐの場所には、樹齢の長いガジュマルの木があった。庭の雑草は定期的に刈るだけの手入れだったが、季節の虫がよく居付いた素敵な庭だったと思う。
タンポポが揺れて、いつか種を付けたそれを、空に飛ばすのが好きだった。秋を告げる虫達が鳴き始めたススキ畑を、夕暮れ時に駆け回ったりした。あの頃は、雑種犬のポタロウがまだ生きていて、二人と二匹で、畑道を散歩するのが日課だった。
夏の暑さが和らいだ涼しい夜に、オジサンとやった線香花火の灯りも思い出した。
あの頃は、大きな町明かりなんて知らなかった。百人も住んでいない小さな部落の中で、エルは、十五年をオジサンと過ごした。
ポタロウは、冬が来る前に死んでしまった。専門の葬儀屋に預けた日は雨だったが、その日の夜は、見事に晴れ上がった。エルはオジサンに手を引かれ、月夜の畑道を歩いた。濡れた頬にあたる秋風が、ひどく沁みた記憶が脳裏に蘇った。
あの後ポタロウと、生まれてくる力のなかったポタロウの子供たちの為に、二人で小さなお墓を作ったのだ。
オジサンが親族の墓に入る事が決まった時、――親族の大半は反対していたが、彼の妻が遺言を残してくれていたらしい――エルは、オジサンの横たわる棺の中に、ポタロウ達の位牌も一緒に入れてやった。
縁側にあった大きな桜も、手作りの小さなお墓も、オジサンの妻の遠い親戚たちが全て取り壊してしまったのだ。
「秋、か……寂しい風だね」
「そうか。過ごし易いと思うのだが」
セイジが不思議そうに首を傾げた。エルは、力なく笑って「そうだね」とはぐらかした。
通りをしばらく歩きながら、スウェンが建物の中に入っては、出て来る事を繰り返した。ほとんどの宿泊施設が本日の受付が終了しているか、満室となっていたが、ようやく一同は一つの建物に足を踏み入れた。
それは、両サイドを高層ビルに挟まれた、十二階建ての細長い宿泊施設だった。正面から見る限り、小さな窓が各階に二つずつあるばかりの鉄筋コンクリートの建物だった。
建物の入口を入ってすぐに狭いフロントがあり、受付の女性店員が一人いた。受付の脇には、狭いフロアに押し込められたようにエレベーターが一つある。
四人が受付の前に立った時、スーツ姿の中年男が、ドレス姿の女とエレベーターの中に消えていった。
他になかったのだから仕方がない、とスウェンが吐息混じりに呟き、泊まる手続きを行った。受付で四人分の料金を払う際、女性店員が四人をそれぞれ見て、ちょっと変な顔をした。ちらりとエルを盗み見た彼女の眼差しには、同情も垣間見えた。
エルは違和感を覚えたが、セイジに促されて、小さなエレベーターに四人で詰めて乗り込んだ。
エレベーターの扉が閉まったところで、スウェンが、深々と大きな溜息をついた。
「……僕だってさ、まともな場所があったら、こんなところには来ようと思わなかったよ」
セイジが肩身を狭めつつ、「まぁ仕方がない。道路で寝るよりはましだろう」と遠慮がちにフォローした。彼の後ろで、ログが眠たそうに欠伸をもらした。
通りの左右には、隙間なくビルやアパートや飲食店が立ち並んでいた。一見すると巨大な壁が、道の左右を立ち塞いでいるような光景だった。一直線に伸びる車道は街並を縦断し、平坦な土地の中を少数の人影が流れている。
道路の左右に敷きつめられた建物には統一性がなく、古びた細いアパート、商業ビル、二階建ての飲食店など大小様々で、道路に面した建物の奥には、背の高いビル群がびっしりと聳え建って黒い影を落としていた。
通行人の他に、車の走行もあった。四、五台の車が、ゆとりある車間をもって道路を行き交っている。道路や歩道は、建物から発せられる電光で照らし出され、歩く人影が光りの中に影を落としていた。
上空には星光りも見てとれたが、地上の方が明るい為に、小さな星の輝きは霞んでしまっていた。
「空間内は縦の一本道か……狭いようだね」
スウェンが探査機のブラウザを確認し、感想を述べた。ブラウザには真っ黒な地形が浮かび上がっていたが、それはまるで、地下駐車場を盾に引き伸ばしたかのような、単純な形をしていた。太く伸びた黒が、長く続いている。
支柱の地点については、まだ探査機に反映していなかった。スウェンは、辺りをしばらく見て一同にこう告げた。
「とりあえず少し休もう。この先に待っている舞台が、僕らに手荒な歓迎をしないという保証は、どこにもないからね」
スウェンを先頭に、エル達は通行人に邪魔にならない程度に連なり歩いた。いかにも会社帰りといった通行人達は、それぞれ長袖を着用しており、自分の足ばかりに目を落とし黙々と歩いていた。
クロエがボストンバックから顔を出し、辺りを眺めた。エルは彼女の頭を撫でつつ、気持ちの沈むような夜の街を進んだ。先程の公園の他に、車道には一つの樹木も花壇も見られなかった。
建物の多くは、賑やかな光りに溢れていた。居酒屋からは人の声も漏れていたが、不思議と食べ物の匂いはしなかった。途中、酔っぱらったサラリーマン風の男達が、騒ぎながら道端に躍り出て、タクシーを掴まえると早々に乗り込んで行ってしまった。
「……これって、この世界になってしまった人が、一番馴染んでいた景色なのかなぁ」
エルが呟くと、近くにいたセイジが神妙な顔をして肩をすぼめた。
「そうかもしれない。この時間帯の、こういった景色の中を毎日歩いて、どこかへ向かっていたのだろう」
「なんだか、歩いている人は社会人ばかりだね」
「ああ、疲れ切った顔をした人達ばかりだな」
足を引きずるように歩くスーツ姿の中年女性を、擦れ違いざま、セイジは悲しげな顔で見送った。
スウェンとログは、辺りのビルへ目をやりながら時々短い言葉を交わしていた。歩道の幅はそれほど大きくはなく、擦れ違うエキストラは全て東洋人の為、二人が並ぶと歩道が少しばかり通り辛くなってしまうが、誰も彼らに目をくれる様子はなかった。
エルとセイジは、クロエの座るボストンバンックを挟んで、先頭を歩く二人の大きな背中を眺めつつ並び歩いた。
セイジは大きな肩を揺らし、ゆっくり地面を踏みしめて歩きながら、時折ちらりとエルを盗み見た。エルは、その様子を横目で見て可笑しく思ったが、セイジ自身が気付かれないよう装っているようだったので、指摘はしなかった。
「さっきの世界とは違って、ちょっとだけ肌寒いような気がするなぁ」
「秋先、ぐらいだろうか」
「そうかもしれない」
エルは、オジサンと過ごした、十五回の秋の様子を思い返した。縁側には大きな桜の木があって、石垣を超えてすぐの場所には、樹齢の長いガジュマルの木があった。庭の雑草は定期的に刈るだけの手入れだったが、季節の虫がよく居付いた素敵な庭だったと思う。
タンポポが揺れて、いつか種を付けたそれを、空に飛ばすのが好きだった。秋を告げる虫達が鳴き始めたススキ畑を、夕暮れ時に駆け回ったりした。あの頃は、雑種犬のポタロウがまだ生きていて、二人と二匹で、畑道を散歩するのが日課だった。
夏の暑さが和らいだ涼しい夜に、オジサンとやった線香花火の灯りも思い出した。
あの頃は、大きな町明かりなんて知らなかった。百人も住んでいない小さな部落の中で、エルは、十五年をオジサンと過ごした。
ポタロウは、冬が来る前に死んでしまった。専門の葬儀屋に預けた日は雨だったが、その日の夜は、見事に晴れ上がった。エルはオジサンに手を引かれ、月夜の畑道を歩いた。濡れた頬にあたる秋風が、ひどく沁みた記憶が脳裏に蘇った。
あの後ポタロウと、生まれてくる力のなかったポタロウの子供たちの為に、二人で小さなお墓を作ったのだ。
オジサンが親族の墓に入る事が決まった時、――親族の大半は反対していたが、彼の妻が遺言を残してくれていたらしい――エルは、オジサンの横たわる棺の中に、ポタロウ達の位牌も一緒に入れてやった。
縁側にあった大きな桜も、手作りの小さなお墓も、オジサンの妻の遠い親戚たちが全て取り壊してしまったのだ。
「秋、か……寂しい風だね」
「そうか。過ごし易いと思うのだが」
セイジが不思議そうに首を傾げた。エルは、力なく笑って「そうだね」とはぐらかした。
通りをしばらく歩きながら、スウェンが建物の中に入っては、出て来る事を繰り返した。ほとんどの宿泊施設が本日の受付が終了しているか、満室となっていたが、ようやく一同は一つの建物に足を踏み入れた。
それは、両サイドを高層ビルに挟まれた、十二階建ての細長い宿泊施設だった。正面から見る限り、小さな窓が各階に二つずつあるばかりの鉄筋コンクリートの建物だった。
建物の入口を入ってすぐに狭いフロントがあり、受付の女性店員が一人いた。受付の脇には、狭いフロアに押し込められたようにエレベーターが一つある。
四人が受付の前に立った時、スーツ姿の中年男が、ドレス姿の女とエレベーターの中に消えていった。
他になかったのだから仕方がない、とスウェンが吐息混じりに呟き、泊まる手続きを行った。受付で四人分の料金を払う際、女性店員が四人をそれぞれ見て、ちょっと変な顔をした。ちらりとエルを盗み見た彼女の眼差しには、同情も垣間見えた。
エルは違和感を覚えたが、セイジに促されて、小さなエレベーターに四人で詰めて乗り込んだ。
エレベーターの扉が閉まったところで、スウェンが、深々と大きな溜息をついた。
「……僕だってさ、まともな場所があったら、こんなところには来ようと思わなかったよ」
セイジが肩身を狭めつつ、「まぁ仕方がない。道路で寝るよりはましだろう」と遠慮がちにフォローした。彼の後ろで、ログが眠たそうに欠伸をもらした。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる