ひまわりと老人~たとえそれが、彼女の頭の中の世界だとしても~

百門一新

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 ゼンさんの体調は、二日掛けて天気が良くなったタイミングで回復した。朝に部屋へ立ち寄ったカワさんは、「一緒に降りるか」と言われるなり、食堂で一緒に朝食が取れることを喜んだ。しかし、そこにはやはりミトさんの姿だけがなかった。

「ミトさん、風邪でも引いたのかな?」

 カワさんが、食堂内をチラリと見渡してもごもごと言った。ゼンさんは「さぁな」とぶっきらぼうに答えて、サラダを口に放り込んだ。

 ドレッシングがほとんど掛かっていないサラダは、レタス独特の味だった。甘みのあるフルーツと苺ジャムの乗ったヨーグルトが、とても美味く感じるほどだ。

 一階は落ち着きを取り戻しつつあり、カワさんがゼンさんに伝えていた『戦争状態』は解消されていたようだった。けれど、立ち話をする余裕はあるものの、早朝から来客が絶えないせいで、相変わらず職員たちは忙しなく歩き回っていた。
 
「まぁ、しばらくは天気も落ち着くし、なるようになるんじゃないか?」

 まばらに老人たちが車椅子を寄せる広い食堂で、ゼンさんは元気づけるように、ミトさんに会えないと落ち込むカワさんの項垂れた背中を叩いた。

 体力は半分戻っていたが、それはカワさんの柔らかな脂肪を弾くほどではなかった。気付いたカワさんがこちらを見て「体力を戻さなくちゃね」と苦笑した。精いっぱいの空元気な表情だった。彼はミトさんのことを気に掛け、ゼンさんの体調も同じくらい心配していたからだ。

「昨日はどきどきして、なかなか眠れなかったよ」 

 連夜続けて叫び声や罵声や怒号が飛び交っていたことを思い返して、カワさんがそう正直な感想をもらした。「俺もだよ」と答えるゼンさんのげっそりした顔には、褐色の肌に隠れるようにして隈が出来ている。

 雨期に入ってからというもの、愛之丘老人施設は日中問わず慌ただしい。夜は廊下を行き来する足音が絶えず、老人たちの叫び声やすすり泣きに加えて、職員たちの大声がゼンさんの睡眠を妨げていた。

 昨晩は赤子のような泣き声が廊下を切り裂き、それにつられて泣き出す老人が何人も出ていた。そこには相変わらず、身体の具合を訴える者も多くいあった。彼らは、締め切られた一人の静かな部屋が寂しいのだ。

 とはいえ、カワさんやゼンさんが眠れない本当の理由は、向かい側の部屋にあった。夜に起こる老人たちの叫びの中に、ミトさんの声が聞こえやしないかとハラハラしていたのだ。
 ここ十日ほど、ミトさんの姿を見ていなければ、声さえ聞いていなかった。それが更に彼らの不安を煽っていた。

「女性の部屋にお邪魔するのも、何せいかんからなぁ」
「うん……、オカメさんに聞いてみようか?」

 すっかりオカメで定着した例の看護師は、雷声を掠れさせたような自分なりの『猫撫で声』で来客者たちの相手をし、時には自分の仕事ぶりを発揮するかのように老人たちに声を掛け、同僚に仕事の指示を出し、男性医師の前で身体をくねくねさせながら業務を行っていた。

 来客予定がある日は、彼女もいくぶんか化粧も色が控えめだった。それでも、やはり濃いことには変わりないので、来客はマシンガンのように喋り続ける彼女に圧倒されつつ、その顔を凝視しているのだ。

 顔は白粉のように真っ白で、首から下は開いた毛穴が見える小麦色の肌。一番力を入れられて化粧がされているのは細い小さな目で、分厚い唇には脂ぎった赤が乗る。
 そんな『オカメ』の決め手は、真っ白く膨らんだ厚みのある頬に色つけされた、濃い桃色のチークである。それがゼンさんたちが付けた呼び名の由来だった。

「オカメに尋ねたところで、どうせ『体調不良です』って言われて終わりだろう。ミトさんが回復して、出られるようになるまで待つしかない」

 ゼンさんは、最後に取っておいた種なし葡萄を口に入れた。好きな物を最後に食べるのが彼のポリシーである。ついでに看護師たちの目を盗み、それをカワさんにお裾分けするのだ。フルーツならば、肥満にも問題はあるまい。

 カワさんはテーブルの下で、ゼンさんから葡萄を一つまみ受け取り「ありがとう」と嬉しそうに囁いてそれを口にした。ゼンさんは元々食が細いので特に問題はないが、大食いのカワさんには、カロリー計算された食事は少な過ぎた。


 職員たちが忙しそうだったので、カワさんは食後に、そのままゼンさんの部屋に入った。
 椅子に腰かけ、時間を計りながら薬を飲むゼンさんの後ろで、カワさんはベッドの端に座って、しばし本棚に並んだ十数冊の古本を眺めた。


「ゼンさん、これ、全部読んだ?」
「半分だ」
「僕も半分読んだよ」
「じゃあ、交換するか」

 薬を飲んだゼンさんは、そう言って一つ頷いた。

 二人は最近、ミトさんから借りた本を時間潰しに読んでいた。お互いが読んだ本を交換しようかという提案が出たのは、読書習慣が皆無だったゼンさんがはまりだしてからである。
 カワさんは以前自分の書斎で、知人友人からすすめられた書籍は読んでいたという。大半は著者本人から送られた本だったと聞いた時、ゼンさんは思わず「この金持ちのぼんぼんが」と言ったものだ。

 そう悪態をついてしまうのは、本は勉強家か金持ちの道楽であるという認識が強かったからだ。そんなゼンさんの視点は、ミトさんが本を貸してくれたことにより、百八十度――とまではいかないが、やや六十五度くらいは広くなった。

 最近は、時間も忘れて読書に耽ることが多くなっている。体調悪化でのベッド生活の時、両腕をぷるぷるとさせながら、仰向けのまま休憩を挟みつつ読書を行っていたくらいである。

「いい筋トレになったぜ。衰えるばかりの身体には、もってこいだろ」
「変な言い訳だねぇ。ゼンさんって意外に、ミトさん並みの読書家になったりして」
「うるせぇ、富裕層が」

 ゼンさんは、顰め面で照れ隠しをした。彼はお世辞にも余裕のある青春時代は送っておらず、きちんとした教養は持っていなかったのである。生きるために必死で働きながら、必要なことを学んでいったといっても過言ではない。

 彼が生まれる前に父が戦争の犠牲者となり、母の親族が空襲で行方が分からなくなった。だからゼンさんは、母とたった二人で激動の時代を生き抜いたのだ。

「読書なんて、本当に初めてさ」
 ミトさんにそれを勧められた時、ゼンさんは率直な想いを口にした。目が疲れるし、字がびっしり詰まっているのを見るだけで、眩暈を起こしそうになった。けれど今では、文面を読み進めながら物語が見えるとばかりに目を輝かせている。

 彼は「暇潰しにはいいかもな」とぶっきらぼうに言いつつも、ミトさんに「『猫のホームズ』のシリーズを調達する予定はないかね?」と先月にも尋ねていた。

「それにしても、僕はミトさんが心配だな、彼女は大丈夫だろうか……外出許可を取ろうとして、一人で頑張ったりしたのかな?」
「知恵熱でも出したかねぇ」

 ゼンさんが最後の薬を飲み終わったあと、自身の体重でベッドを大きく沈ませているカワさんが、そう切り出した。

 椅子に腰かけたゼンさんは、足を組んで難しい顔で顎下をさすった。

「もし彼女が、無理をしてまで外出許可について調べるために動いていたのだとしたら、男である俺たちが動くべきだっただろうな」
「ゼンさんが体調を崩した日は、食堂へ降りてきたんだよ。もう一度調べ直して、三人で集まったときに話せるようにしておくと言われた」
「うむ。そうであれば、きっと無理をしたんだろう。申し訳ないことをした」

 罰が悪そうに視線をそらすゼンさんを見て、カワさんも謝るような表情を浮かべた。

「そうだね……ミトさんが部屋を出られるようになったら、僕たちも何か役割を担えないか尋ねてみようか?」
「難しいことは苦手なんだが、努力しよう。俺も、外に出てのびのびとしたい」
「あ、煙草は駄目だよ」

 カワさんは、ここぞとばかりに言って背筋を伸ばした。相手の顔色を窺う様子は微塵たりともなく、ゼンさんは内心驚きながらも眉根を寄せて「どうして」と下唇を突き上げた。

「だって、ミトさんがいるからね。彼女は、お酒も煙草もやらないから、きっと煙が辛いと思うんだ」
「なるほど、確かにそうだな。――おや、そうするとカワさん個人としては、俺の喫煙をなんとも思わないってことなのかい?」
「良くはないと思うけど……その、ミトさんも言っていたんだけどさ、煙草を吸うゼンさんも、すごくかっこいいだろうなぁと思って、見てみたい気もする」
「なんだそりゃ」

 ゼンさんは、小さくなった黄ばんだ歯を覗かせて、渇いた笑みを浮かべた。カワさんは途端に小さくなり、身体をもじもじさせて顔を伏せると「だって、ゼンさんは生き様もかっこいいんだもの」と口をすぼめた。


 その時、扉のノック音が響き、ゼンさんとカワさんは飛び上がった。ゼンさんの椅子がガタっと音を立て、カワさんの下でベッドが軋みを上げる。


 その直後に「失礼します」と形上だけの挨拶を述べて、問答無用で開けるよと言わんばかりに扉を開けて入ってきたのは、むっつりと下唇を突き出した、あのオカメ看護師だった。
 ゼンさんの部屋で、三人が初めて顔を合わせた。何も言わないオカメ看護師が二人を見つめる中、ゼンさんはややあって普段の仏頂面に戻したが、ベッドに腰かけていたカワさんは慌てた表情のまま口を動かした。

「あ、あの、オカ――……っじゃなくて看護師さん、これは、その」

 カワさんの車椅子は、彼の部屋の前だ。それについて指摘を受けるだろうかと推測したものの、ゼンさんは椅子の上で足を組んだまま、肘掛けに肘を置いて踏ん反り返るように構えた。

 オカメ看護師は、そっと扉を閉めると、カワさんの言葉を無視してぶっきらぼうに「体調はどうですか?」とゼンさんに尋ねた。

「すこぶる良好だ」
「薬は? 食事はどうでした?」
「薬はきちんと飲んだぜ。味のないサラダも中々面白味があって良かったが、フルーツとヨーグルトはいいな。便通も良くなるし、腹の調子が悪くならない」
「……ジャムは、職員の手作りですからね。お口に合ったようで何よりです」

 オカメ看護師は少し間を置き、それから淡々とした調子で告げると、背中に回していた手をゼンさんに突き出した。

 身構えたカワさんが、その動きを見て反射的にビクリと怯えた。しかし、三人の間に数秒ほど沈黙が流れた後「あれ?」と、拍子抜けした声を上げて肩から力を抜く。
 ゼンさんとオカメ看護師は、ほぼ同じタイミングで陰険な眉間の皺を深くした。オカメ看護師の太く短い手に握られていたのは、二人が見慣れたものだったのだ。

「『猫のホームズ』ですけど、こういうのは読みます?」

 問われた言葉の意味が一瞬理解出来ず、ゼンさんは彼女に対して「はぁ」と間の抜けた返事をした。オカメが差し出して見せたのは一冊の本で、年期の入ったその本表紙は、古本独特の匂いと質感を放っていた。

「息子の要らなくなった本を、先日コミュニティ広場に持っていったんです。これは児童書寄りですけれど、それでも文字は小さいですし読む人がいないものですから、結局のところ全て事務所やうちの控室に行くんですよ。そこにもほとんど読まれた本があって――」

 読むのは夜勤組の人が大半なのですけれど、と彼女は続ける。

「まぁ、きちんと分類していないので分かりませんが、今はとりあえず、ダンボール三つ分の不必要な書籍があることは把握しています。もし、ゼンキチさんたちが読まれるのでしたら、興味のある本を引き抜いていただきたいのです。残りは規則に従って処分しますから」

 オカメ看護師は、落ち着いた声色で淡々と話した。ゼンさんとカワさんが茫然としていると、途端に化粧で目力が強くなっている目をギロリと細める。

「要るんですか、要らないんですか?」
「あっ、要ります!」
「読みますから処分はしないでっ」

 強い口調で問われ、ゼンさんとカワさんはほぼ反射的に声を上げていた。すると、オカメ看護師は憮然とした態度のまま、無愛想にこう告げた。

「そうですか、じゃあ時間を見計らって私が一つずつダンバール箱を持ってきますから、読む分の本を引き抜いておいてくださいね」

 そう言って彼女が踵を返した時、カワさんが「あの!」と声をかけた。自分がここにいることを咎められるのではないかと思って、実は車椅子なしでも結構動けるんですとバレるような状況に対して、今まで必死に言い訳を考えていたのだ。

 扉を開けたオカメ看護師が振り返り、何よ、文句ある、という顔で彼を一瞥して顔を顰めた。

「慌てて変な人ですね。そもそも普段からあなた方がココに集まっているのは知っていますから、余計な説明は今更要りません」
「へ? 知ってるの……?」
「他の職員が、それを把握しているのかは知りませんがね。――ひとまずゼンキチさんの部屋には、もう一つ大きめの椅子が必要そうですね」

 淡々と言葉が告げられ、彼女はこちらの返事も聞かず出て行ってしまった。

 ゼンさんは、思わず受け取ってしまった児童文学の古本を手に持ったまま、ゆっくりとカワさんへ顔を向けた。

「彼女は何か企んでいるんだろうか。もしかして、俺たちが外に出たいことをどこからか聞きつけたのか、と不安でならないんだが……――というか、カワさん。あんた本人に向かって『オカメ』って堂々と言おうとしたな?」

 指摘すると、警戒心のない天然気質のカワさんが「うっ」と言葉を詰まらせた。

「反射的についうっかり……でも言い掛けただけで、僕は全部言わなかったからいいでしょう……? それにしても、本当にびっくりしたなぁ。本をくれるのならミトさんが喜ぶし、勿論僕だって嬉しいけど、一体どういうことなんだろう?」

 確かに、気になるところではある。

 ゼンさんは気に食わないと言わんばかりに怪訝面をしたが、その古本については丁寧に膝の上に置いてから「ふむ」と腕を組んだ。

「オカメは、俺たちがこうして、よく三人で集まっていることを知っていたらしいが……釈然とせんな。何故ご機嫌取りをする? 俺たちの中の形上の保護者が、再度多めに賄賂を渡したのか?」
「ゼンさんって、とことんココを信用していない感じが、ひしひしと伝わってくるなぁ。月に数回は視察団体が来るのに、そんなサスペンスドラマみたいなことはないと思うけれど」
「フィクションじゃなくて、現実にもあるに違いないのさ。外の目なんて、いくらでも誤魔化す方法はあるだろう。それが、お偉いさん方の抜け道ってもんだ」

 ゼンさんの富裕層に対するレッテルは強い。そもそも彼は、組織や会社を信用していない人間だった。

「でも、僕は正直この提案は嬉しいな。ミトさんみたいに頼りになる孫もいないから、彼女にお返し出来るように本を調達できないかなって、ずっと考えていたところだったんだ」

 空気を変えるようにカワさんがにっこりと笑ったので、ゼンさんもそちらに関しては、素直に「そうだな」と良き提案であることを認めて、肩をすくめて見せた。

「俺としては警戒も覚えるが、まぁ本を回してくれるって言うんなら、それは有り難く頂こう。本にはなんの罪もないからな」
「うふふふ、本当はゼンさんだって、とっても嬉しいんでしょう?」
「黙れ富裕層が」

 文字ばかりの本が、ビールや煙草よりも刺激的で楽しいなんて、ゼンさんはミトさんに勧められて初めて知ったのだ。欠かさず読む新聞以上に、字がつまった本はゼンさんにとってとても魅力的になっていた。


 そうやってしばらく話していると、少しもしないうちに、三つのダンボール箱が部屋の前に届けられた。一つずつ寄越すと『オカメ』は言っていたはずだが、どうやらせっかちな性格のもと、他の若い職員にでも協力させて運ばせたのかもしれない。


 ゼンさんとカワさんは、廊下から室内へとそれを押して移動した後、一緒になってダンボール箱の中の古本の仕分け作業に取り掛かった。

 大人向けの児童文学、海外や国内の名著シリーズ。純文学、大衆文学、推理小説、恋愛小説、哲学、随筆、――明らかに三人のうち誰も読まない本を除いても、合計八十四冊はあった。

「あと一冊あったら、ゼンさんの歳とぴったりだったのにね」
「じゃあ、ここから六冊抜けばいい」
「僕の歳かい? それはそれで勿体ない……」
「冗談だ。真に受けるな」
「ゼンさんの場合、顔と口調が冗談に見えし聞こえないんだよ」
「俺はこれでも繊細なんだ」

 手元に残す古本を三人分に分けながら、ゼンさんはそう言って、上機嫌に「ふんっ」と鼻を鳴らした。
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