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いっぱいたべるきみがすき/スト重視、変な性癖

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「ンっ、ぁ、たくまッ! やめ、ろってッ!」
「……ふぅ、……ン、おいしい、食べてもいいよね、忍?」
「えっ、ちょ、ッ! ぁあっ、ん、……吸っちゃ、だめぇ、ッ、……ひぃぁっ、ぁぁ、ンン!」

 思ってもみずかなり敏感だった乳首をちろちろと舐められて、忍の口から甘い嬌声が溢れた。
 その反応に応えるように舐めるだけだった拓真の舌先が一度離れ、ねっとりと口内に乳首を含むと強く吸い付き先端を舌先をコリコリと擦る。腰が浮くような快感を感じて、忍はいやいやと唯一自由な首を振るも拓真は一向に辞めてくれない。

 空いていた片方の乳首も細い人差し指と親指に挟まれ、容赦なく捏ね繰り回されてしまえば忍の肉棒に熱がぎゅーっと集まりせり上がってくる。動かせない腰を一生懸命くねくねとくねらす忍を見て、追い立てるように拓真が攻める舌と指を更に早めた。

「あ、ッ、も、だめ……ンッ! イく、でる、ぅ、ッ……ぁ、あ、ああ、ーーーッ!!」

 堪らず白濁を吐き出してしまった忍は、こんな風に拓真としたくなかったのに、とその瞳に涙を滲ませた。大好きな人との愛のない行為程、苦痛なものはない。俯きぐったりとする忍を見て、拓真は再び手を伸ばそうとするが静止するように荒げた忍の声を聞いてぴたりと動きをと止めた。

「俺のこと、好きじゃないくせに、ッ! こんなこと、すんなよぉ!」
「……忍、」

 一度吐き出した気持ちは堰を切ったように止まらず、困惑する拓真を余所に忍は自分の気持ちを吐露し続ける。


「俺じゃなくても誰でもいいくせに」
「好きなのは食べるとこで人が好きなんじゃないくせに」
「好きでもない奴とこんなことすんのかよ!」
「最低だ、ッ! こんな、こんなの……ッ、」




「……俺は、お前のことが好きなのに、ッ!」

 絞り出すように掠れた声で呟かれたその言葉に、今度は拓真の目が見開かれた。みるみる内に拓真の顔が林檎のように赤く染まっていっているのだが、俯く忍は気付かずに静かに涙を流している。
 先ほどまでの手慣れた手付きはどこへ行ったのやら、カクカクとぎこちなく指を動かす拓真は忍を縛っていたロープを解くと優しく両腕で抱きしめた。
 拓真の異変に気付かない忍は身を捩って抵抗するも、強く解かれることのない拓真の抱擁に諦めて力を抜いてなされるがまましばらく温もりを感じながら目を瞑った。

 どれほど経っただろうか――?
 漸く忍を己から解放した拓真。動揺し瞳を揺らす拓真の様子に忍は首を傾げた。すると意を決したように拓真がゆっくりと口を開いた。

「ごめん、嘘ついてた。料理作りたいから忍と付き合ったんじゃないんだ」
「わかってる……その、食べるの、フェチなんだろ……?」

 忍の言葉を聞いて、拓真は大きく首を横に振り、慌てて否定した。

「ちがっ……いや、違わなくないけど……でもそれは」
「それは、なんだよ」

 不審顔を隠さず言う忍に、口篭もりながらも拓真が言う。

「……の、……べるとこが、ぇ、いから」
「え? ごめん聞こえな――」
「忍の食べる姿がエロいから!」
「は、はぁ!? な、なに言って、ッ」

 叫ぶように言った拓真の一言に忍は顔を真っ赤にして耳を疑った。
 自棄になったのか、拓真はそのまま大声で暴露を続ける。

「はじめて学食で見た時に、エロ過ぎて衝撃を受けた! 忍に沢山食べさせてずっと見てたいって、思うようになって……想像してオナニーしてたけど、もうそれだけじゃ物足りなくなって……ッ!」
「ちょ、ちょっ、ちょっと待て! いっぱいツッコミたいとこはあるけど、でも拓真お前もしかして……俺のこと、」
「うん、好きだよ。入学してすぐの頃、学食で幸せそうに食べる君を見かけてから、ずっと好き。大好き」

 拓真の口から語られた思ってもみなかった衝撃の事実に、忍は顔を真っ赤にしながら口をぱくぱくと開閉させた。途端、先ほどまで料理に嫉妬して泣いてしまったのがとてつもなく恥ずかしくなってしまう。
――それに、さっきのあれは、食べる俺に欲情したからってこと?
 浮かんだ考えもそれがほとんど間違いないということも羞恥心を煽ってきて、忍はどうにかなってしまいそうだった。
 そんな忍に気付いていないのか、拓真は更に語りを進めていく。

「この一ヵ月幸せ過ぎた。でもこんなに近くであんなエロい忍を見てたらもう見るだけじゃ我慢できなくなったんだ……ごめん、忍が欲しい、君に触れたい」

 忍の手を握って真摯な眼差しを向ける拓真。羞恥が収まり冷静になった忍はじわじわと追いついてきた感情のせいで、再び目頭が熱くなってしまう。はらりと零れ落ちた雫を壊れ物を扱うように優しく拭った拓真を、忍は潤んだ瞳で見つめ、そしてそっと目蓋を下ろした。
 
 答え合わせをするように触れ合った唇は、数秒の間をじっくりと味わい、そして離れた。
 さっきまでの強引さは鳴りを潜めてじれったいくらい紳士的な拓真の下唇を、忍が我慢できずに柔く食むと、今度は強くそれを押し付けられ僅かに開いた隙間から舌が遠慮なく入り込んで来る。

「んっ、ふ、ぅ……ンン、ッ、ぁ、ふ、ぁ、あ、っ、」

 本当に好き合った人とのキスでもうすっかり蕩け顔になってしまった忍の頬に手を添えて、拓真が愛の言葉を紡ぐ。忍の熱に蕩けた瞳が、更に甘く溶けてしまいそうに揺らめいた。

「好きだよ、忍。正真正銘、本物の恋人になってくれる?」
「うん……俺も大好きだよ」

 大好きな恋人と、大好きな食事に囲まれて、忍は身体を重ね合わせると、幸せの愛の海に溺れていった
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