異世界転生したら女に生まれ変わってて王太子に激愛されてる件

高見桂羅

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42.これぐらいが良いんです

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「…………っ……う……ん」

重い瞼をゆっくり開けて視界に飛び込んできたのは見たことない白い天井だった。
身動ぎすると、近くからカタリと音が鳴って、シアが俺の顔を覗き混んできた。

「アンジェ!目が覚めたのですね!よかったですわぁ~!」

ぎゅっと抱き締められて、わー良い匂いだなぁなんて思っていたが、何で俺はベッドで寝てるんですかね?

「……あの……シア?ここは?」
「保健室ですわ。先生を呼んで参りますね」

そう言って離れて仕切りのカーテンから向こうへ出ていった。
あ、マジ保健室ですわ。良く学校で見た保健室の豪華版ですわ。
保健室のベッドってもっと固かった筈なのにスッゴクふかふかですよ。いくらでも寝れちゃうね!
保健室のというよりはちょっと豪華でお洒落な病院チックの方が近いかな?

とりあえず、体は重いし頭も痛いから、ジッと寝てたら、シアが保険医の先生を連れて戻ってきた。


「少し熱がありますね。喉は腫れてる感じはないので感情の高ぶったり心労から来る発熱でしょう。コンラード家に迎えに来ていただけるように早馬を出してまいりますので、迎えが来るまでは此方で安静になさってください」


そう言って俺達を残し先生は連絡をつけるために保健室から出ていった。

…………つまりは知恵熱ってことですね。

「大丈夫ですか?辛くないですか?」
「心配かけてごめんなさい。大丈夫です。そう言えば、ここには誰が運んでくれたんですか?」

少し気になって聞いてみると、意外な答えが帰って来た。

「イーノスですわ。力なんて無さそうに見えますのに意外と力がありましたのね……」
「イーノス……ですか」

あの口を開いたら嫌味しか言わないイーノスがねぇ……とりあえず次あったらお礼は言わないとな。
シアを見ると少し考え込んでいた。なんなんだ?少し頬が赤い気がする。

「シア、万が一風邪の場合もありますし、そしたら、うつってしまうかもしれません。授業もう始まってますよね?私は一人で大丈夫ですから戻ってください」
「いいえ、お迎えが来るまではここにいますわ。それに……お説教しなくては!」
「おせっきょう……?」

誰に?と思っていたら走ってる足音が聞こえて徐々に近づいてくると思ったらバタンと大きな音が鳴って体がビクッと跳ねた。

「アンジェ!!!倒れたと聞いたが大丈夫なのか!?」

カーテンが勢い良く開いたと思ったらジョセフが入ってきた。
今は会いたくない!と布団に潜り込んだ。
しかしジョセフは近寄ってくる気配はない。
不思議に思って顔を出したら、立ち塞がるようにシアがジョセフの前に立っていた。

俺からは顔は見えない……見えないが……オーラが……オーラが怖いですシアさん!
どす黒いオーラが見えます!先程までの優しいシアさんは何処に!!?

「シア……?」
「殿下……私は言いましたわね?あんまり困らせるなと……何度も……何度も……アンジェが倒れたのはジョセフィードお兄様の所為ですわ!!!アンジェは過度な触れあいは得意ではないと何度も申し上げましたわよね!?アンジェが苦しんでることに何故気付かないのです!?それでも婚約者ですか!?」

ふん!と令嬢にあるまじき鼻息荒くしながら捲し立てるシアに俺もジョセフも、そしてジョセフの後ろにいたお兄様も固まってしまった。

「アンジェは初なのですよ!なのに過剰なスキンシップを繰り返せば許容範囲が越えることなどすぐに分かりますでしょう!」
「……すまなかった」
「私ではなくアンジェにお謝りくださいませ!」
「は、はい!」

シアが説教すると言ったのはジョセフにだったのか……シアの母親に王様が敵わないと聞くしジョセフもシアには頭が上がりにくいんだろうか?
そんな事を考えてる間にジョセフは俺の横まで来て憂い顔で頭を下げた。

「アンジェ……すまなかった」
「……もういいですよ……反省してるなら……これからは控えてくださいね?」
「ああ……気を付けるよ。無理強いはしない」
「じゃあ、いいです…………触られるのは……ヤじゃない……んで……」
「……っ!アンジェ……」

最後はモソモソと呟くようになってしまった。
あまりの恥ずかしさに顔は熱で赤くなっていたのにさらに赤くなって、俺は顔を隠すために布団に潜り込んだ。
俺は見えちゃいないがジョセフは少し涙ぐんでいた。

そんな俺たちを見ながらシアは、ため息を着いて「フォローも大変ですわねー」と呟いて、お兄様がそれに苦笑いを溢した。

もう少し初心者に優しくしてくれるなら文句は言いません。周りの雑音なんて流してやるさ。
俺にも意地はある。覚悟は決めるから……
そっと、ジョセフの手に触れると少しびくりと肩を震わせたが、戸惑いながらも握り返してくれた。
その手から伝わる温もりで心が落ち着いた。
今の俺にはこれぐらいがホッとするんだ。





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