少年と神獣と悪魔

くもがくれ

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過去

ぼくのこと

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生まれた頃から孤独であった

家族は皆、美しいサファイアのような青目なのに自分だけ血のような赤目であった

「この悪魔っ!!赤目など汚らわしい!」
母上は毎日癇癪を起こして僕に当たった
蹴られ、ものを投げられ、淹れたての紅茶でさえも僕に投げた

でも僕が悪いから仕方がない。だって赤目で生まれてきてしまったから

父上はひたすらに無関心であった
まるで僕だけ世界から消しているように
でも5歳の時、初めて謁見の間に呼ばれた。

初めて袖を通す立派な衣装を身にまとって初めてそこに足を踏み入れた

そこにはたくさんの人がいた。ほとんどが白銀の髪に青目だった

「……ユートピアルよお前に役目を与える。…青藍の森に行き、青薔薇の守り人となれ」

「まぁ!なんと名誉なことなんでしょう!悪魔の目をもつあなたでも役に立てることがあるじゃありませんか!素晴らしい、素晴らしい!!」

今でも頭にこびりついている。あの作られた笑顔と割れんばかりの拍手に囲まれたあの時を。

それからは早かった。3日と立たないうちに荷物を小さなカバンに詰め、馬車で城を後にした。…誰も見送りにはきてくれなかった。

青藍の森というのは地図で見たよりずっと遠かった。休憩を少し挟んで丸一日かかってしまった。

従者の方も口を開かないから沈黙が耳に痛かった。

「…降りてください」
眠くてうつらうつらとしていると肩を叩かれ起こされた。窓から見える森は酷く暗くて恐怖を覚えた


――
『…哀れな人の子』
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