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第三章 出会い
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着替えて髪を乾かし終わりリビングに戻れば、また俺が寝室から出てきたときのように2人してソファーに座ってテレビを見ていた。
ソファーは3人掛けだが、3人でぴったりくらいのサイズのため、二人揃って座るともう一人入るの忍びないので、俺は京介の足元のカーペットに座り、肘置きに凭れかかってテレビに目を向ける。
「多田の自虐は止まった?」
俺はテレビに向けたままどちらにとかではなく問いかける。
「は?お前まさか亀にも言ったのか?さっき脱衣所に行った時だな。どうりで帰ってこねぇと思ったら。お前のせいじゃねぇし亀には言うなって言っただろ。自己満に亀を巻き込むなよ。」
「ごめん。」
「ごめんじゃないだろ。今誰が一番しんどいと思ってんだよ。守れなくて悔しいのは分かるよ。俺だって同じだ。けどな、謝ったら済むようなことじゃねぇんだよ。苦しくても飲み込め。お前が今することは謝ることじゃない。守れなかったなら癒せ。情報が入らなかったなら情報網を増やせ。自分の力不足だったと思うなら動け。ここでただ自己満に走るなら帰れ。お前の子守をするほど俺らは暇じゃない。」
俺は京介の言葉を聞きながら、正直ここまで突き放す言葉を言うとは思っていなかった。
何となく言った言葉だったが、俺こそ黙っておいた方が良かったかもしれない。
「うん、ごめん。次は、絶対に失敗しない。絶対に守るから。」
「そう。お前がすることはそういうことだろ。亀、ごめんな。こいつ落ち込むと自分のことばっかになるから。悪気があるわけじゃねぇんだよ。許してやって。」
「別に怒ってないよ。むしろ何かごめん。そんなにきつい発破かけると思ってなかった。」
「逆に多田にはこれぐらいが丁度いいんだよ。怒らないとこいつは進めないから。」
それはきっと2人の信頼関係がなせることだろう。
お互いがお互いのことを深く知り、お互いを必要としてお互いに与え合っている間柄だからこその叱咤激励。
多田の表情も先ほど脱衣所にいた時よりも前向きの表情になっている。
少しは立ち直れたようだ。
「それはいいけど、昨日のこと、聞いてもいいか?何があった?」
「言わないと、ダメかな?」
「無理矢理には聞かない。けど、教えて欲しい。守れなかったのには俺らにも落ち度がある。俺らも知って、反省と対策をしたい。仲間を傷つけた奴は絶対に許さない。その為にも教えて欲しい。」
京介の申し出は切実だった。
本当に男気溢れる男の中の男だと思う。
他人の為に全力を尽くせる純粋な男。
こんな人と友達になれてよかったと思う。
以前は、誰もいなかった。
喋れる人なんて誰一人いなかった。
先生にも、友達にも、親にも、誰にも。
ずっと一人で抱えてずっと繕って生きてきた。
そして、卒業を機にここに逃げてきた。
苦しかったあの場所から。
ソファーは3人掛けだが、3人でぴったりくらいのサイズのため、二人揃って座るともう一人入るの忍びないので、俺は京介の足元のカーペットに座り、肘置きに凭れかかってテレビに目を向ける。
「多田の自虐は止まった?」
俺はテレビに向けたままどちらにとかではなく問いかける。
「は?お前まさか亀にも言ったのか?さっき脱衣所に行った時だな。どうりで帰ってこねぇと思ったら。お前のせいじゃねぇし亀には言うなって言っただろ。自己満に亀を巻き込むなよ。」
「ごめん。」
「ごめんじゃないだろ。今誰が一番しんどいと思ってんだよ。守れなくて悔しいのは分かるよ。俺だって同じだ。けどな、謝ったら済むようなことじゃねぇんだよ。苦しくても飲み込め。お前が今することは謝ることじゃない。守れなかったなら癒せ。情報が入らなかったなら情報網を増やせ。自分の力不足だったと思うなら動け。ここでただ自己満に走るなら帰れ。お前の子守をするほど俺らは暇じゃない。」
俺は京介の言葉を聞きながら、正直ここまで突き放す言葉を言うとは思っていなかった。
何となく言った言葉だったが、俺こそ黙っておいた方が良かったかもしれない。
「うん、ごめん。次は、絶対に失敗しない。絶対に守るから。」
「そう。お前がすることはそういうことだろ。亀、ごめんな。こいつ落ち込むと自分のことばっかになるから。悪気があるわけじゃねぇんだよ。許してやって。」
「別に怒ってないよ。むしろ何かごめん。そんなにきつい発破かけると思ってなかった。」
「逆に多田にはこれぐらいが丁度いいんだよ。怒らないとこいつは進めないから。」
それはきっと2人の信頼関係がなせることだろう。
お互いがお互いのことを深く知り、お互いを必要としてお互いに与え合っている間柄だからこその叱咤激励。
多田の表情も先ほど脱衣所にいた時よりも前向きの表情になっている。
少しは立ち直れたようだ。
「それはいいけど、昨日のこと、聞いてもいいか?何があった?」
「言わないと、ダメかな?」
「無理矢理には聞かない。けど、教えて欲しい。守れなかったのには俺らにも落ち度がある。俺らも知って、反省と対策をしたい。仲間を傷つけた奴は絶対に許さない。その為にも教えて欲しい。」
京介の申し出は切実だった。
本当に男気溢れる男の中の男だと思う。
他人の為に全力を尽くせる純粋な男。
こんな人と友達になれてよかったと思う。
以前は、誰もいなかった。
喋れる人なんて誰一人いなかった。
先生にも、友達にも、親にも、誰にも。
ずっと一人で抱えてずっと繕って生きてきた。
そして、卒業を機にここに逃げてきた。
苦しかったあの場所から。
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