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第五章 落ち着くのは
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誰かに組み敷かれ、身動きの取れない中、体をまさぐられる。
激しい恐怖と嫌悪感。
俺は飛び起きた。
全身を覆う恐怖。
真冬にも関わらずぐっしょりと汗をかいて首筋に髪が貼りつく。
怖かった。
両手は縛られていない。
逃げなければ。
俺は思い込んでいた。
誰かに捕まっているから、奇跡的に自由の今、逃げなければいけないと。
ベッドから飛び出して部屋から逃げ出す。
誰もいない。玄関が目に入る。
俺は靴も履かずに飛び出した。
目の前のエレベーターのボタンを押す。
背後が気になる。
何度も振り返りながら、早くなることなどないと分かっていても、なかなか来ないエレベーターのボタンを何度も押してしまう。
コンクリートの床は俺の足先の熱を容赦なく奪っていく。
汗をかいている体からも熱はどんどん奪われる。
でも気にならなかった。それどころではなかったから。
周囲を見渡すと、非常階段が目に入った。
俺はそちらに飛び込んでいた。
何階あるのかも分からない階段をただひたすらに駆け下りる。
「おい!柚希!」
上のほうから誰かが俺を呼ぶ声が聞こえた。
追ってきたと思い込み、俺は振り返らずにただ足を動かす。
足は冷え切り、衝撃が加わるたびに痛みが走る。
それでも止まる訳にはいかない。
しかし、相手のほうが圧倒的に早かった。
足が痛い俺は一段ずつ律儀におりるしかないが、相手は何段飛ばしかで下りてきているのだろう。
振り返る余裕はないが、足音が近い。
結局、俺は呆気なく捕まってしまった。
「はなしてっ、もう嫌だっ、いやだっ、」
「柚希落ち着けって。こんな格好でどこに行くんだよ。」
背後から俺を抱きしめているその人から、甘い匂いが漂ってくる。
それが颯斗の匂いだと、直ぐに分かった。
俺は落ち着きを取り戻し、抱きしめられたまま背後を確認する。
そこには息を上げた颯斗の姿があった。
「颯斗・・・。怖かったっ、っぅ、怖かった・・・。」
「ごめんな、一人で寝かせて。帰ろうぜ。」
颯斗に抱き上げられ、俺はその首に腕を回しながら大人しく身を任せた。
激しい恐怖と嫌悪感。
俺は飛び起きた。
全身を覆う恐怖。
真冬にも関わらずぐっしょりと汗をかいて首筋に髪が貼りつく。
怖かった。
両手は縛られていない。
逃げなければ。
俺は思い込んでいた。
誰かに捕まっているから、奇跡的に自由の今、逃げなければいけないと。
ベッドから飛び出して部屋から逃げ出す。
誰もいない。玄関が目に入る。
俺は靴も履かずに飛び出した。
目の前のエレベーターのボタンを押す。
背後が気になる。
何度も振り返りながら、早くなることなどないと分かっていても、なかなか来ないエレベーターのボタンを何度も押してしまう。
コンクリートの床は俺の足先の熱を容赦なく奪っていく。
汗をかいている体からも熱はどんどん奪われる。
でも気にならなかった。それどころではなかったから。
周囲を見渡すと、非常階段が目に入った。
俺はそちらに飛び込んでいた。
何階あるのかも分からない階段をただひたすらに駆け下りる。
「おい!柚希!」
上のほうから誰かが俺を呼ぶ声が聞こえた。
追ってきたと思い込み、俺は振り返らずにただ足を動かす。
足は冷え切り、衝撃が加わるたびに痛みが走る。
それでも止まる訳にはいかない。
しかし、相手のほうが圧倒的に早かった。
足が痛い俺は一段ずつ律儀におりるしかないが、相手は何段飛ばしかで下りてきているのだろう。
振り返る余裕はないが、足音が近い。
結局、俺は呆気なく捕まってしまった。
「はなしてっ、もう嫌だっ、いやだっ、」
「柚希落ち着けって。こんな格好でどこに行くんだよ。」
背後から俺を抱きしめているその人から、甘い匂いが漂ってくる。
それが颯斗の匂いだと、直ぐに分かった。
俺は落ち着きを取り戻し、抱きしめられたまま背後を確認する。
そこには息を上げた颯斗の姿があった。
「颯斗・・・。怖かったっ、っぅ、怖かった・・・。」
「ごめんな、一人で寝かせて。帰ろうぜ。」
颯斗に抱き上げられ、俺はその首に腕を回しながら大人しく身を任せた。
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