【完結】従順な俺を壊して

川崎葵

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第六章 干渉

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「それと、通知表の件だが、遅刻と欠席はどういうことだ。余程のことがあったんだろうな。」

母親はこういうことがあったという事実だけを伝え、俺の発言は一切伝えていないようだった。
いつものことと言えばそれまでだが、二度も三度も同じ事を言わなければならないのは俺としても神経を使う。
母親に告げたことと相違があれば直ぐに指摘が入るからだ。

「体調不良です。すみません。」

たったこれだけの会話で俺は何度謝ったことだろう。
すみませんという言葉はもう口癖のように口からついて出てくる。
謝れば済む話ではないのだが、謝らなければ父親は反省していないと捉えるため、思っていなくても口から出すようにしている。

「体調が悪かったとは聞いていないが。」

「心配かけてはいけないと思ったので黙っていました。」

「何故黙る必要がある。親として知っておくのは当然のことだろう。それに無断で休んだそうだが、理由は何だ。体調不良ならそう言えばいい話だろう。」

「しんどくて連絡出来る状態ではなかったので。すみません。以後気をつけます。」

「それ程の体調不良で休みはたったの一日か。動けない程の体調だったときは、いつも数日休んでいたじゃないか。それについてはどう説明する。」

根本的に、父親は俺が嘘をついていると思って話を聞いているのだろう。
だからこそ大丈夫だったのかという心配の一言もなければ、事実ならば説明できるだろうと理由を求める。

「金曜日だったので。土日と継続して休息したので治りました。ただ、病み上がりでしんどくて遅刻をしてしまいました。すみません。」

「3日寝込んだ後に遅刻か。それ程の体調で、病院は行ったのか?」

「いえ、行っていません。治ってきてたので、大丈夫だと判断しました。」

「3学期に体調を崩したんだろう?しかも3日も寝込むような。その時期ならインフルエンザもありえる。それなのにも関わらず自己判断で登校したのか?周りにうつすかもしれないのに?」

父親のこういうところが本当に嫌いだと思う。
母親とは全く違う切り口で俺の粗を探して指摘をする。
自分が気に食わなければ何としてでも説教をしようとする。

「すみません。周りに出ていなかったので思いつきませんでした。」

「集団感染してしまってからでは遅い。今回そういうことはなかったんだろうが、考えが甘すぎる。リスク管理は何においても基本だ。そんなことも出来ないなら立派な大人にはなれない。いつまでも子供でいられるわけじゃないんだ。もっと考えろ。もう高校生だろう。」

「すみません。肝に銘じておきます。」

「我が息子ながら情けない。体調管理ぐらいは自分でしろ。一人暮らしを申し出たのは自分だろう。そんなことも出来ないなら一人暮らしは早いんじゃないのか。」

「すみません。今後は改善するように努めます。」

「当たり前だ。そんなことも出来ないようなら社会に出るには早すぎる。高校生になってその程度のことも出来ないなど恥だ。」

「すみません。」

俺はどこまで貶められれば気が済むのだろうか。
こんな環境下に置かれてよく狂わずに生きてこれたと思う。

この1年、外に出て色んな人と関わって、色んな刺激を受けたおかげで、父親が俺を蔑むことが異常であることを知った。
ここで生活をしていた時は、言われて当然だと思っていた。
そんなこともできない自分が悪いのだと、そう思って生きていた。
自分は出来が悪い奴なのだと。
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