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第六章 干渉
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先生は60歳にしては、人前に出る仕事をしているせいか若々しく、言葉はゆっくりしていて若さはないかもしれないが、見た目だけで言えば到底60歳には見えないほど若い人だ。
背筋もすっと通っており、体はスマートでスーツが良く似合っている。
これだけの人だからスーツなど新調しなくとも沢山持っていると思うのだが、常に目の前にいる人たちに合わせて自分を魅せるためには必要なことなのだろう。
「柚希くんはどうしてあの高校を選んだんだい?」
ここから2人きりのため、俺一人への興味関心となる。
質問もそれなりにあるだろう。
父親が機嫌を損ねないような返答を心がけなければならない。
「自分が経験したことのない世界を経験してみたかったんです。勉強一筋で来たので、大学は遊びではいけないですから、高校ぐらいで少し周りを知るのにも丁度いいかと思いまして。」
「それなら、あんなに遠くなくても良かったんじゃないのかい?」
「誰も僕のことを知らない状況がよかったんです。父があれだけ立派な人ですから、自宅周辺ですと知らない人はいないぐらい有名なので。父の職業を意識されると、どうしても身構える人が多いですから。」
「それもそうだね。柚希くんは本当にお父さんを尊敬しているんだね。いいことだ。」
「父は偉大ですから。」
こういう状況ばかりは思ってなくても言わなくてはならない。
どう父に伝わるか分からない状況だからだ。
暫くやり取りを続けていると先生が行きつけのお店につき、俺はそれについていく形で後を追う。
「北条様、いらっしゃいませ。本日はどのようなものをお探しですか?」
「大学に着ていくもので、若い子が好きそうなものをいくつか見繕ってくれるかな?この子に選んでもらおうと思って。」
「かしこまりました。珍しいですね、北条様が奥様以外を連れてこられるのは。」
「僕の教え子のご子息でね、よく顔を見せに来てくれるんだ。孫みたいなものだよ。」
「そうでしたか。どうりで嬉しそうな表情をされていると思いました。本日は新作も入荷したばかりですので、ご覧になってお待ちください。」
「ありがとう。」
そうしてお店側が見繕ってくれている間に俺達は店内を見て回っていた。
「柚希くんにはこういうのが似合いそうだね。」
その中で先生が俺にスーツを合わせてそういう。
「僕には似合いませんよ。服に着られてる感が否めないので。」
「そんなことないよ。スーツってね、合わせ方次第で見え方が全然違うんだよ。少し見ない間に大人っぽくなったよね。もしかして彼女でも出来た?」
「出来てませんよ。男子校ですし、女性と話す機会は中学に比べて減りましたから、出会いもないですよ。」
「そう?でも、色気が出たように見えるのは何でかな?」
そう言いながら先生は俺の肩から腕に手を滑らせた。
先生は昔からボディタッチの多い人だった。
しかし、そのお触りはいつも誰も見ていないときと限られており、昔の俺は不思議なことをする人だなぐらいにしか思っていなかった。
しかし、いろんな出来事を経験していくうちに、その触り方がただの孫を可愛がるような触り方ではないことに気づいた。
先生は悪い人ではないのだが、会うのに気が乗らないのはそれが主な理由だった。
それが分かっていても、俺はその手を振り払うようなことがあってはならない。
背筋もすっと通っており、体はスマートでスーツが良く似合っている。
これだけの人だからスーツなど新調しなくとも沢山持っていると思うのだが、常に目の前にいる人たちに合わせて自分を魅せるためには必要なことなのだろう。
「柚希くんはどうしてあの高校を選んだんだい?」
ここから2人きりのため、俺一人への興味関心となる。
質問もそれなりにあるだろう。
父親が機嫌を損ねないような返答を心がけなければならない。
「自分が経験したことのない世界を経験してみたかったんです。勉強一筋で来たので、大学は遊びではいけないですから、高校ぐらいで少し周りを知るのにも丁度いいかと思いまして。」
「それなら、あんなに遠くなくても良かったんじゃないのかい?」
「誰も僕のことを知らない状況がよかったんです。父があれだけ立派な人ですから、自宅周辺ですと知らない人はいないぐらい有名なので。父の職業を意識されると、どうしても身構える人が多いですから。」
「それもそうだね。柚希くんは本当にお父さんを尊敬しているんだね。いいことだ。」
「父は偉大ですから。」
こういう状況ばかりは思ってなくても言わなくてはならない。
どう父に伝わるか分からない状況だからだ。
暫くやり取りを続けていると先生が行きつけのお店につき、俺はそれについていく形で後を追う。
「北条様、いらっしゃいませ。本日はどのようなものをお探しですか?」
「大学に着ていくもので、若い子が好きそうなものをいくつか見繕ってくれるかな?この子に選んでもらおうと思って。」
「かしこまりました。珍しいですね、北条様が奥様以外を連れてこられるのは。」
「僕の教え子のご子息でね、よく顔を見せに来てくれるんだ。孫みたいなものだよ。」
「そうでしたか。どうりで嬉しそうな表情をされていると思いました。本日は新作も入荷したばかりですので、ご覧になってお待ちください。」
「ありがとう。」
そうしてお店側が見繕ってくれている間に俺達は店内を見て回っていた。
「柚希くんにはこういうのが似合いそうだね。」
その中で先生が俺にスーツを合わせてそういう。
「僕には似合いませんよ。服に着られてる感が否めないので。」
「そんなことないよ。スーツってね、合わせ方次第で見え方が全然違うんだよ。少し見ない間に大人っぽくなったよね。もしかして彼女でも出来た?」
「出来てませんよ。男子校ですし、女性と話す機会は中学に比べて減りましたから、出会いもないですよ。」
「そう?でも、色気が出たように見えるのは何でかな?」
そう言いながら先生は俺の肩から腕に手を滑らせた。
先生は昔からボディタッチの多い人だった。
しかし、そのお触りはいつも誰も見ていないときと限られており、昔の俺は不思議なことをする人だなぐらいにしか思っていなかった。
しかし、いろんな出来事を経験していくうちに、その触り方がただの孫を可愛がるような触り方ではないことに気づいた。
先生は悪い人ではないのだが、会うのに気が乗らないのはそれが主な理由だった。
それが分かっていても、俺はその手を振り払うようなことがあってはならない。
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