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第六章 干渉
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「出てますか?僕に自覚はないですけど。」
「そうだね。大人っぽくなったと思うよ。何か新しい経験でもしたのかな?」
「この一年は新しい経験ばかりでしたから、そのせいですかね。」
先生が言いたいことはなんとなく分かったが、俺はあえて触れなかった。
その方が自分のためだということは、この1年で嫌というほど感じた。
「北条様、お待たせ致しました。」
店員がそう声をかけたことによって先生はぱっと手を離し、いつもの笑顔をそちらに向ける。
案内されついていった場所には、数着のスーツが置かれており、ファッション等に詳しいわけではない俺は、見ただけではどれが先生に似合うのか1つも分からない。
それでもジャケットを1つずつ羽織ってもらえば、俺の好みは出てくるが、そんなもので選んでいいのだろうかと不安にもなる。
「柚希くんはどれが好きだった?」
全てを合わせ終えれば先生はそう尋ねてくれる。
「僕の好みは3番目に着たものでしたけど、あくまで僕の好みなのでウケがいいかは分かりませんよ?」
「いいんだよ。柚希くんが選んでくれたことに意味があるんだから。これを一着いただけるかな。あとシャツも数着見繕って一緒に会計をお願いするよ。シャツは何でもいいから。他にも合わせられるし。」
「かしこまりました。」
そうして店員は会計に進み、俺と先生はそれを終わるまでソファーにかけて待つ。
「本当にこんなので良かったんでしょうか?ただ僕の好みを言っただけなんですが。」
「そんなに心配しなくても、それでいいんだよ。僕は嬉しい。柚希くんに選んでもらったってことが僕にはプレゼントなんだよ。」
「お力になれたなら良かったですけど、ファッションには疎いので不安です。スーツは特に、僕は着る機会がないので。」
「スーツってね、そんなに堅苦しいものじゃないんだよ。最近はカジュアルに着れるものも増えたし。やっぱり柚希くんにも一着プレゼントするよ。柚希くんに似合いそうだなってものがあったんだ。着てみなよ。」
そう言って先生はさっさと立って歩き始めてしまうので、俺はそれに慌ててついていく。
「僕はいいですよ。プレゼントされる理由もないですし。」
「僕がプレゼントしたいんだ。気にしないで。ほら、これ羽織ってみて。」
先生が手に取ったものを渡され、俺はそれを渋々羽織る。
様々なサイズが用意されているこの場所では小柄な俺にも合うものが置かれており、多少は直しが必要だろうが然程に余ることなく着ることができた。
鏡の前に立たされた俺は、中の服がカジュアルシャツだったこともあり、自分が思っていたよりは様になっていた。
「ほら、言ったでしょ。よく似合ってる。こっちはどうかな?」
突然俺は先生の着せ替え人形となってしまい、あれやこれやと手渡されるまま羽織っていく。
仕舞いには近くに店員がつく羽目になり、俺が脱いだものを店員に渡して片付けてもらいながら試着を繰り返す。
「そうだね。大人っぽくなったと思うよ。何か新しい経験でもしたのかな?」
「この一年は新しい経験ばかりでしたから、そのせいですかね。」
先生が言いたいことはなんとなく分かったが、俺はあえて触れなかった。
その方が自分のためだということは、この1年で嫌というほど感じた。
「北条様、お待たせ致しました。」
店員がそう声をかけたことによって先生はぱっと手を離し、いつもの笑顔をそちらに向ける。
案内されついていった場所には、数着のスーツが置かれており、ファッション等に詳しいわけではない俺は、見ただけではどれが先生に似合うのか1つも分からない。
それでもジャケットを1つずつ羽織ってもらえば、俺の好みは出てくるが、そんなもので選んでいいのだろうかと不安にもなる。
「柚希くんはどれが好きだった?」
全てを合わせ終えれば先生はそう尋ねてくれる。
「僕の好みは3番目に着たものでしたけど、あくまで僕の好みなのでウケがいいかは分かりませんよ?」
「いいんだよ。柚希くんが選んでくれたことに意味があるんだから。これを一着いただけるかな。あとシャツも数着見繕って一緒に会計をお願いするよ。シャツは何でもいいから。他にも合わせられるし。」
「かしこまりました。」
そうして店員は会計に進み、俺と先生はそれを終わるまでソファーにかけて待つ。
「本当にこんなので良かったんでしょうか?ただ僕の好みを言っただけなんですが。」
「そんなに心配しなくても、それでいいんだよ。僕は嬉しい。柚希くんに選んでもらったってことが僕にはプレゼントなんだよ。」
「お力になれたなら良かったですけど、ファッションには疎いので不安です。スーツは特に、僕は着る機会がないので。」
「スーツってね、そんなに堅苦しいものじゃないんだよ。最近はカジュアルに着れるものも増えたし。やっぱり柚希くんにも一着プレゼントするよ。柚希くんに似合いそうだなってものがあったんだ。着てみなよ。」
そう言って先生はさっさと立って歩き始めてしまうので、俺はそれに慌ててついていく。
「僕はいいですよ。プレゼントされる理由もないですし。」
「僕がプレゼントしたいんだ。気にしないで。ほら、これ羽織ってみて。」
先生が手に取ったものを渡され、俺はそれを渋々羽織る。
様々なサイズが用意されているこの場所では小柄な俺にも合うものが置かれており、多少は直しが必要だろうが然程に余ることなく着ることができた。
鏡の前に立たされた俺は、中の服がカジュアルシャツだったこともあり、自分が思っていたよりは様になっていた。
「ほら、言ったでしょ。よく似合ってる。こっちはどうかな?」
突然俺は先生の着せ替え人形となってしまい、あれやこれやと手渡されるまま羽織っていく。
仕舞いには近くに店員がつく羽目になり、俺が脱いだものを店員に渡して片付けてもらいながら試着を繰り返す。
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