【完結】従順な俺を壊して

川崎葵

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第六章 干渉

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「いいね、どれでも似合うね。可愛いなぁ。どれがいいかな。」

先生は何やら楽しそうであり、試着するたびに俺の肩に触れ、独り言を呟きながら店内をうろつく。

「北条様はあのようになってしまうと、とことん試着を繰り返されるので頑張ってくださいね。」

先生のことをよく知っている店員のその人は俺にそっと囁いた。
自分のものを決める時にもスイッチが入るとあぁなるようだ。

俺は困ったことに巻き込まれてしまったと思いながらも先生についていき、それなりの数試着をした後、試着したものを全て別の衣装ラックにかけてくれており、それを前にして先生は真剣に悩んでいる。

「この3着で悩むね。いっそのこと全部買おうか。」

「先生それはダメですよ。今日は僕のものを買いに来たわけではないので。本当なら買って頂かなくてもいいぐらいなんですから。」

「でもどれも似合うんだよ。柚希くんは可愛いからね。」

先ほどから俺のことを可愛いと表現するのをやめてもらえないだろうか。
可愛いといわれることは別に嬉しいことではない。
店員も聞いているところだから余計にいたたまれないのだが。

結局その悩んでいた3着を再度試着させられ、先生がその中で一番気に入ったものをプレゼントしていただいた。
その時間はそれなりに長く、お店を出た時には既に日は落ちてしまっていた。

「遅くなってしまったね。ごめんね、つき合わせてしまって。」

「いえ。先生が楽しそうだったのでよかったです。すみません、僕も買っていただいてしまって。」

「いいんだよ。今日付き合ってもらったお礼だと思って受け取って。そうだ、後もう1つお願いを聞いてもらってもいいかな?」

「いいですよ。僕が応えられることであれば。」

「この近くに、僕の宣材を取ってもらう写真館があるんだけど、そこで記念に一緒に撮ってもらってもいいかな?」

「いいですけど、写真を撮ってどうされるんです?」

「飾るんだよ。家族写真みたいでいいでしょ。」

「そうですね。先生と2人で写真を撮るのは初めてですね。」

先生の案内で写真館に向かいながら、不思議な要望をしてくるものだと考えを巡らす。

今まで先生と撮った写真といえば先生宅に遊びに行ったときに、何気なくとった記念の写真や両親が一緒に写った、それこそ家族写真のようなものばかりだった。
プロのカメラマンを雇って撮るようなものではなく、素人が撮ったものだ。

写真を悪用するような人ではないと思われるので大丈夫だろうが、本当に俺を孫のように可愛がっている節はあるので、そういうのに憧れがあるのかもしれない。
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