幼馴染みのポジションから逃げます

ぶるもあきら

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その頃勇者パーティーは?(ロディオside)

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「最近ウェルとエリック見ないな?」


ふと疑問に思った事を口にしてみた。

俺達、勇者パーティーと呼ばれている6人は無事に魔王を倒して帝都に帰ってきた。

長く辛い旅は終わったのに、皇帝と謁見しなきゃいけないし、祝賀会やらパレードやら色々な大人の事情で中々解放されない。

本当はすぐにでも村に帰りたいのだが…

俺はまだ拘束されて窮屈な思いをしているというのに仲間だったウェルとエリックの兄弟がいつの間にかいないのだ。

まさかアイツらだけ先に帰ったのか?


「奴らは補助でパーティーメンバーってわけじゃないからもうお払い箱だろ?」

タンクの男がそういうと、わざとらしく大きなため息をついて賢者の男がいった。


「君は相変わらず周りを見てないんだね」


あの2人は別の依頼が入ってそっちに行ってると言う。

なんでも近隣の領地で未知の病が蔓延しているらしい

帝都に入り込まれるとやっかいだからだろうウェルとエリックが派遣されたそうだ。


「そんなの、フローラが行けばいいじゃないか?」

一応聖女なんだからそれで解決だろ?


「おい、ロディオ本気で言ってるのか?」


この時ばかりは対立していたタンクと賢者両方が冷めた目で俺を見た。


「フローラはお飾り聖女だしな…」

「よっぽどあの兄弟の方が役立つだろうよ」

と、ため息混じりで言う2人

そうか?
確かにフローラが聖女の力を使う事はあまり無かったけど…

まあ、さほど興味も無いからか、気にもならなかったな。


「それに、凄い力がある癒し手が合流して3人で疫病を癒しているらしいぞ?」  


この時の俺はただ何となく賢者の言ったこの言葉を聞いていた。

トラビス子爵家の令嬢で俺達と同じ歳らしい。

つまりはアンと同じ歳の優秀な癒し手の令嬢がいるって事か?

癒し手だって数少ない貴重な人材なのにその中でも優秀な癒し手が3人も集まったならそりゃヘタな聖女より役立つのかもな、と自己完結した。


「そんな事よりもロディオ、君はフローラの事、気をつけた方がいい」


賢者が俺にそう言った。

気をつけるって?なにを?


「あれは何か企んでるぞ、君は巻き込まれる可能性かま高いと僕は思う」


賢者の称号を持つだけあって、人の感情や動きに敏感で頭の回転が早い彼が言うのだからそうなのかもしれない。

俺は嫌な予感を感じながらも、今日の予定通りにパーティーメンバー全員と皇帝に謁見する為に準備をするのだった。


パーティーの中で平民は俺とアーチャーの女の子の2人だけで、後は皆一応貴族の子息なんだそうだ。

フローラに至っては皇帝の娘で皇族だと聞いて驚いた。

ルールもマナーもよく知らない俺からすれば逆に何とも思わないが、他のメンバーは異常に緊張しているんだが?

フローラなんか父親に会うだけだろ?
何をそんなビビってるんだ?

皇帝がこの国の1番偉い人だって事はわかっているけど俺からすれば遠すぎる存在で実感が無いのかもしれない


謁見では皇帝から魔王討伐のご褒美がもらえるらしい

皆に希望を聞いてくれるのだそうだが、これが莫大過ぎても、些細な事過ぎてもダメなんだそうだ

なんだか面倒臭いなぁ…

俺の願いは早く村に帰ってアンと結婚したいだけなのに…

フローラが、俺は貴族の爵位を賜れば良いってやたら言ってくるんだが?

別に貴族になんてならなくてもいいし、興味もないけどなんで?


「だ、だって平民ではわたくしと結婚は……ゴニョゴニョ」


は?
なんて言ってんの?
声が小さくてわかんねーし?

結婚がどうのって?

赤い顔をしてブツブツ言ってるフローラを放置して俺も何かないか考えてみる。

アンはやっぱり平民より貴族の奥さんの方が良いのかなー

そんなの気にする子じゃ無いけど、その方がアンを幸せにできるって言うなら貰っておいてもいいか?


だってどうせ、アン意外は欲しい物なんか何も無いんだから…



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