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番外編 〜 ノア3〜4歳 〜
番外編 〜 ベル商会重役会議2 〜 イザベル妊娠初期
イザベル視点
「ベル、巨大な建物に色々な店を集めるというのは、想像し難いのだが、詳しく説明してもらえるか」
重役たちが集まる場所で、ショッピングモールやデパートのような所を作りたいと提案したのだけれど、皆様キョトンとされておりますわ。
テオ様だけが少し思案して、説明を求めてきましたの。
「はい。例えばマルシェなどは広場に様々なお店が集まっておりますわよね」
「ああ……。まさか、あの規模の建物を建てるというのか」
「お城やこの公爵邸を考えても、無理はないと思うのです」
「つまり、我が家に様々な店が出店していると考えれば良いのか……」
やっぱりテオ様の思考は柔軟ですわ!
「お屋敷に、様々な店……っ」
皆様は呆然としておりますが、わかりにくかったかしら。
「例えばこの邸の一階部分はおもちゃ屋さんや赤ちゃんグッズ、子供用品店など、二階に上がると生活雑貨や衣料品、三階は家具など、階数ごとに店舗の種類を分けると見やすいかもしれませんわね」
「その建物に行けば、必要なものは全て揃うという事か……」
テオ様はそう呟いて考え込んでしまいましたの。
「何て画期的な!」
「それは便利ですねっ」
重役たちが一気に活気づく。
「しかし奥様、そうなれば、皆その建物でばかり買い物をするようになり、マルシェには誰も寄り付かなくなるのではないでしょうか?」
ウォルトがもっともな懸念を口にすると、やはり皆商人なのか、「商品自体に差別化をはかれば……」などと次々に解決策を口にしだした。
「皆の言う通りですわ。ベル商会は元々、マルシェで売っているようなものは取り扱っておりませんもの。他のお店にもない、唯一無二の品物を取り扱っているのがわたくしどもの商会ですわ」
「なるほど……」
ウォルトが納得したようで、目を輝かせていますわ。きっと頭の中で予算を組んでいますのね。
「その建物の中に、わたくしは育児の相談が出来るような場所や、幼児を預かるような場所を作りたいのですわ。それに授乳室と、ベビーカーの貸出も……後は、」
「ベル、その辺りはまた後日、企画書を提出してくれ」
わたくしったら、また話が止まらなくなってしまいましたわ!
恥ずかしい、と両手で顔を覆うと、「私の妻が可愛すぎる」とテオ様がボソッと仰ったのが聞こえて、余計顔を上げられませんでしたわ。
もちろん周りはポカーンとしていたと思いますの。
「この話はまた後日進めることにする。君たちも何かしら提案があるようなら、企画書を提出するようにしてくれ」
「「「「「はい!」」」」」
「ウォルト、会議を進めてくれ」
「かしこまりました。それでは次は、各部署の───」
テオ様は逸れていた話の筋を元に戻すと、皆の話に耳を傾けながら、時に鋭く切り込み、あっという間に問題を解決する。
さすが優秀過ぎて怖い、と皇帝陛下に言われている方ですわ。
重役たちもテオ様の手腕に感心しきりですもの。
こうしてあっという間に会議が終わり、解散したのだけれど……、
「奥様、少しよろしいでしょうか」
重役の皆様とお見送りがてらお喋りをしていたら、ウォルトに呼ばれてしまったのよ。
「ええ。それでは皆様、お気をつけてお帰りください」
皆様を見送った後、会議をした部屋にまた案内されて、入るとテオ様がいらっしゃったのよ。
「テオ様、何かございましたの?」
もしかして、ショッピングモールのことかしら。
「ベル、君の現在の個人資産のことだが、」
「え? 個人資産?」
「ああ。とんでもない額になっているぞ」
「え?」
でもわたくし、寄付をしたり、お店を建てたり、サンプルを作ったり、実験したりと色々使っておりますわ。それに、
「わたくしのパーティー用のドレスや宝石、お化粧品などでもお金がかかっていると思いますし、出費は相当ですわよね?」
「何を言っている」
テオ様の眉間にシワが寄りましたわ。
「ドレスや宝石は公爵夫人用の予算から出している。しかし、それも予算を使い切ることもせず、自ら稼ぎを出し、個人資産がかなりの額になっている。君は国でも買い上げるつもりか」
「国!? べ、別荘とかではなく、国ですの!?」
「このままいけば、小国ならば買えるのではないか」
ヒェッ! 個人資産とか気にしておりませんでしたが、何でそんな事に……っ
「奥様、今や奥様の開発されたものは、国内だけでなく、他国にも輸出しております。当然その利益は、莫大なものとなります。こちらをご覧ください」
と渡された紙に、数字が書いてある。
「な、なんですの? この数字は……」
「奥様の個人資産をまとめた金額です」
「ヒィィッ! 寄付っ、寄付しますわ!」
「バカなことを。このような金額を寄付なぞしたら、寄付した所に迷惑がかかるぞ」
「でしたら、どうすれば良いのですか!?」
このたくさん並んでいる数字が怖いですわ!
「君が言っていた、巨大な城の建設に使用するといい」
「いずれ何倍にもなって返ってきそうですが」
テオ様は呆れ顔で、ウォルトはニコニコとそう言って、わたくしの胃はキリキリと痛みましたのよ。
これは……わたくしの可愛い息子に癒やしてもらうしかありませんわね。
「ハッ! そうですわよ! わたくし、ノアの将来の為に、個人資産を使いますわ!」
「また資産が増えそうなことを言っているな……」
「奥様の新たな発想、楽しみですね」
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